TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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【枯れ果て】

残りライフは1、しかしこのターン中に彼を倒し切る為の手段はこの手札には無い……

 

 

「これでターンしゅうりょうですわ」

 

「…………私のターン」

 

 

炎が消え去った後、首のチョーカーを片手で弄りながらユギトさんがターンの始まりを告げますが……向こうの動きは止まります。

私の【ダイヤモンドドラゴン】の効果により、私の場の【昇華玉獣(ジュエルビースト)】たちは場を離れません。

効果の無効に対しても、対抗策は有ります……悩ましい所でしょうね。

 

 

「困りましたね……私は今、不調です。実の所……ろくにモンスターを引けていないのですよね」

 

「それはそれは……ずいぶんとやりづらいのでは?」

 

「ええ……約定(クレスト)で無理矢理に引っ張ってきたりしますが、焼け石に水ですね……」

 

「では……このしょうぶをあきらめますか?」

 

向こうは既に二勝しています。この試合を捨てたとしても、次で勝てば良いだけですし……何より、チームが敗北したとしても決勝トーナメントに出場出来るのは決まっています。

彼にはこの"ギアスファイト"を負けたとしても何のデメリットも無いのですわ。

そんな私の問いへの答えは……荒々しく踏まれる地面と対照的に深まる笑みが物語っていました。

 

 

「ナンセンスな質問ですね、お嬢さん……私、こんなつまらない(・・・・・)遊びで負けるのが一番嫌いなんですよ!!」

 

 

牙を剥(む)き出しにするような、笑顔と言うにはあまりにも凶悪な表情を浮かべた彼から、何かが千切(ちぎ)れる不吉な音が聞こえた気がしました。

 

 

「【強壮なる使者(暗黒のファラオ)】の効果でデッキより【混織誘黒旅団(ノーフェイスブリゲード)の(・)舞い手(ダンサー)仮称(コードネーム)M(マモン)】を手札に加え、カウンターブースト!!」

 

 

ユギト 第三ターン

ライフ:1

手札:6 ターンカウンター:5

約定(クレスト):【強壮なる使者(暗黒のファラオ)】 C(コントラクト)カウンター:0

 

 

「【強壮なる使者(暗黒のファラオ)】でコストを2減らし【混織誘黒旅団(ノーフェイスブリゲード)の(・)舞い手(ダンサー)仮称(コードネーム)M(マモン)】をサモン!!手札を一枚破棄し、その効果を全て使用します!!」

 

 

藍色の愛らしいデザインの浴衣を着た少女が元気いっぱいに飛び出し、ツンツンとユギトさんの頬をつついていますが……何も感じていないように無視していますね。

 

 

『えーん!!虫野郎に無視されたぁー!!』

 

『虫だけにって、シャレかよ婆(ばあ)さん』

 

『おばあちゃんじゃないし、シャレでもないもん!!モルっちの意地悪!!』

 

『はいはい、意地悪だよ俺は……もう俺らの声も(・・・・・・・)、姿も(・・)、団長には(・・・・)届かなく(・・・・)なっちまった(・・・・・・)からちょっかい掛けるのは辞めとけ……虚しいだけだぜ』

 

『むぅ……』

 

「先ずは墓地の【混織誘黒旅団(ノーフェイスブリゲード)の(・)団長(イブニング)Mr.UNKNOWN(正体不明)】と【混織誘黒旅団(ノーフェイスブリゲード)の(・)機工技師(メカニック)仮称(コードネーム)B(ベルフェゴール)】でD(デュアル)R(レゾナンス)を行います!!」

 

「手札コストで落としたのですか……無駄が無い」

 

「今宵(こよい)星揃う時、仮初(かりそめ)を取り払うは痴れ者の使者……虚無の彼方、異界の果て……窮極(きゅうきょく)の門の向こう側から来たれ【幽黒神(ヨグ=ソトース)】!!」

 

 

身の毛もよだつような悪臭と共に、ユギト氏に似た容姿のモンスターが触手をくねらせながら場に降り立ちます……【幽黒神(ヨグ=ソトース)】、ユギトさんの切り札の一枚がお出ましですね。

 

 

「さらに【幽黒神(ヨグ=ソトース)】はこのターン中、二回攻撃が行えるようになります!そして、最後の効果でゲーム外に取り除かれた【仮称(コードネーム)B(ベルフェゴール)】を墓地へ破棄します!!」

 

「しかし、そのモンスターはゲームからとりのぞかれたカードがはちまいいじょう、そんざいしなければただのおきものもどうぜん……」

 

「ええ、そういう効果を(・・・)持っていますね。なら、こうしたら良いのですよ!!【仮称(コードネーム)B(ベルフェゴール)】の効果を三回(・・)発動します!!」

 

「さ、さんかい!?」

 

 

【混織誘黒旅団(ノーフェイスブリゲード)の(・)機工技師(メカニック)仮称(コードネーム)B(ベルフェゴール)】

黒・黄 コスト:6 無貌・大罪・英雄

A:3 B:2

 

このモンスターが場に出た時、デッキまたは手札からカテゴリー:大罪または無貌を持ったモンスターを一体選び、サモン条件を無視して場に出せる。

このモンスターが破棄された時、またはD(デュアル)R(レゾナンス)の素材となった時に発動する。場のカードを一枚選び、その効果を無効にする。

一ターンに一度、場のカードの効果が無効にされている時に発動出来る。墓地のこのモンスターを場に出す。

 

 

「【仮称(コードネーム)B(ベルフェゴール)】が破棄された時、またはD(デュアル)R(レゾナンス)の素材としてゲームから取り除かれた時、場のカードの効果を一枚無効にします!!一回目は【ダイヤモンドドラゴン】を対象にします!!」

 

「させません!!カウンタースペル【乱虹反射(ミスディレクション)】はつどう!!」

 

 

【乱虹反射(ミスディレクション)】

青・白 コスト:1 スペル・宝玉

 

自分の場のモンスターを任意の枚数選ぶ。このターン中、選ばれたモンスターは効果を無効にされない。

自分のターン終了時、選ばれたモンスター全てを破棄する。

 

 

「【ダイヤモンドドラゴン】【ガーネットガルム】【サファイアアルミラージ】をえらび、そのさんたいはこのターンちゅう、こうかをむこうにされませんわ!!」

 

「構いません、次に【幽黒神(ヨグ=ソトース)】の効果を無効にします!!」

 

「……それは、とめられませんわね」

 

「最後に【スフェーンカーバンクル】の効果を無効にします」

 

 

作務衣(さむえ)姿の半透明の少女がニヤリと笑ったかと思うと【幽黒神(ヨグ=ソトース)】と【スフェーンカーバンクル】に爆弾のマークが描かれた無骨(ぶこつ)な首輪を付けていきます……煩わしそうにさわっていますが、間違いなく爆弾ですわアレ。

 

 

「スペルのたいしょうとしてえらばれたので【サファイアアルミラージ】と【ガーネットガルム】のこうかをはつどうしますわ!!いちまいドローし、そちらの場のモンスターすべてにいちダメージ!!」

 

【昇華玉獣(ジュエルビースト)ガーネットガルム】

青・白 コスト:1 宝玉・虹

A:1 B:2

 

このモンスターはデッキに入れることが出来ず、自分の墓地に【研磨玉獣(ストーンビースト)レッドウルフ】が存在する時に以下の効果を得る。

・このモンスターがスペルの対象となった時、相手の場のモンスター全てに一ダメージを与える。

 

 

引いたカードは……この勝負を決める決定打の一枚!!

 

 

「場のカードの効果が無効にされている時、墓地から【仮称(コードネーム)B(ベルフェゴール)】を場に出します!!」

 

「そのしゅんかん、スペルカード【極光の輝き(ラストファイア)】をはつどうしますわ!!」

 

 

【極光の輝き(ラストファイア)】

青・白 コスト:4 スペル・宝玉・虹

 

自分の場または墓地から昇華玉獣(ジュエルビースト)モンスターを任意の枚数ゲーム外へと取り除き、その枚数分のダメージを相手プレイヤーに与える。

 

 

「【スフェーンカーバンクル】をゲームがいへととりのぞき、あいてプレイヤーにいちダメージ!!!」

 

 

彼の目が見開かれます。

【スフェーンカーバンクル】から放たれるのは最期の輝き、プリズムの如く輝く七色の極光。その美しくも残酷な光が、止める手段が間に合わなかったユギトさんを貫きました。

 

 

ユギト ライフ:1→0

 

 

青晶院(ショウショウイン)虹霞(コウカ) WIN

 

 

ーーーーー

 

呆気ない終わりでした。

【仮称(コードネーム)B(ベルフェゴール)】を出し、その後にデッキからあの子を出せば効果ダメージは無効に出来たのでそのまま押し切れました……その一手が、足らなかった。

 

 

『大番狂わせ!!まさかまさかの黒の神の敗北!!それをしたのは宝玉の女王(クイーン)青晶院(ショウショウイン)虹霞(コウカ)!!!!』

 

 

歓声が彼女を祝福(しゅくふく)しています。

その姿が酷く眩(まぶ)しくて……私は逃げるように舞台を降りていきました。

妙に疲れて……最後の一段を降りようとした瞬間、足がもつれて倒れそうになりますが

 

 

「後は任せろ、私がキッチリ勝ってくるからお前は寝ていろユギト」

 

 

最後の試合に向かおうとしていたジュンくんが私の体を受け止め、そのまま流れるように離します。

倒れることはありませんでしたが……あまりにもあんまりな動きに、笑えてきます。

 

 

「すいません……頑張って下さい、ジュンくん」

 

 

鼻を鳴らして振り返りもせずに、しかしひらりと後方へ手を振るジュンくんの姿が、妙に頼もしく見えました。

 

 

 

 

 

 

 

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