TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

186 / 186
ジュンの暴走が止まらない……


暴君/騎士

ユーウェインの効果で引いたカードを確認した瞬間、思わず眉を顰(ひそ)めてしまう。

カードが実体化している現状でコレを用いれば……下手をすれば優義徒(ユギト)が死んでしまう。だが……引いてしまったということは、必要になる場面が来るのだろう。厄介だな。

 

 

「……アタックフェイズ!」

 

「その前に【アルデバラン】の効果発動だよ!【アルデバラン】の下に置かれている【星化生(アストロ)の幼生(ようせい)】をサモン!!【星化生(アストロ)の幼生(ようせい)】が場に出たからデッキから【星化生(アストロ)の(・)黄魔蟻(バイアクヘー)】を手札に加えるよ!!さーらーにー!!」

 

 

優義徒(ユギト)の傍で光を放っていた【星化生(アストロ)の標虫(しるべむし)】の光が点滅し、それに導かれるように低い虫の羽音が辺りに満ちる。

 

 

「【星化生(アストロ)の標虫(しるべむし)】は相手ターン中にぼくのモンスターがサモンされた時に、手札のモンスターを場に出せる!!さあ、出番だよ【黄魔蟻(バイアクヘー)】!!」

 

 

【星化生(アストロ)の(・)黄魔蟻(バイアクヘー)】

黒・白 コスト:5 星魔・使徒

A:3 B:3

 

このモンスターが場に出た時に発動出来る。自分の場のこのモンスター名を除くモンスターを全て手札に戻し、戻した枚数と同じ枚数の星化生(アストロ)モンスターを場に出す。

 

 

それは、羽アリに非常に似ていたが……どぎつい黄色と黒のストライプは蜂のソレであり、何よりも私が二、三人乗っても余裕な大きさは異常だ。

 

 

「【黄魔蟻(バイアクヘー)】の効果発動!!この子以外のぼくのモンスター全てを手札に戻し、戻した枚数だけ手札から【星化生(アストロ)】モンスターを場に出す!!【星化生(アストロ)の幼生(ようせい)】【星化生(アストロ)の標虫(しるべむし)】【星化生(アストロ)の(・)双頭蟲(ロイガァール)】を手札に戻し、同じ子たちを場に出すよ!!」

 

「私のターンなのにこうも展開を行うとは……しかも【双頭蟲(ロイガァール)】の効果無効を解除するとは……流石だ優義徒(ユギト)!!!」

 

「………………」

 

 

この五年の間に格段に上達した優義徒(ユギト)の"ギアスファイト"の腕に素直に賞賛の言葉を投げるが……彼の様子がおかしい。

ほんの少し、太陽が雲に隠れたようなほんの一瞬の陰りが優義徒(ユギト)の澄んだエメラルドグリーンの瞳を濁らせ……次の瞬間には、夢幻だったかのように元の色へと戻る。

見間違えたのか……いや、私が優義徒(ユギト)のことに関して何かを見間違える筈がない。

 

 

「【星化生(アストロ)の標虫(しるべむし)】の効果でデッキの上から五枚を見て……【暴君の即位】を【アルデバラン】の下に置くよ。さらに【星化生(アストロ)の幼生(ようせい)】の効果でデッキから二体目の【星化生(アストロ)の(・)双頭蟲(ロイガァール)】を手札に加え【双頭蟲(ロイガァール)】の効果で今手札に加えた【双頭蟲(ロイガァール)】を場へ!!」

 

 

あまりにも悍(おぞ)ましい外見の、星を喰らう虫たちの大群。

【誘黒神(ナイアルラト)】とはまた違う虫の群れは、一応は元所有者であった縁だろうか……

だが、まだ甘いな。

 

 

「フフン、二体の【双頭蟲(ロイガァール)】の効果でぼくの場の【星化生(アストロ)】モンスターたちのA(アタック)とB(バイタル)は2上がってるからね……次のターンには総攻撃で終わりだよ!!」

 

「さて、そう上手くいくか……アタックフェイズ!!【ユーウェイン】で【星化生(アストロ)の幼生(ようせい)】を攻撃!!」

 

 

再び振るわれる鉄の爪が柔らかな虫の肉体を突き破り、異臭を纏った乳白色の中身を辺りへとぶちまける。

赤い血では無いことに不満を抱いているのか、苛立たしげに地面を切りつけてからこちらの場へと戻る。

 

 

「【騎士は消して引かず(ラウンドオブシール)】があるので【ユーウェイン】は戦闘でダメージを受けない……そして、相手の場のモンスターを戦闘で破棄した時、手札のこのアーティファクトを捨てることで相手の場のモンスターを全て破棄する!!我に勝利を、敵対者に絶対の死を!!【絶命の剣(エクスカリバー)】!!!!」

 

 

私の目の前に浮かぶのは黒曜石によって歪(いびつ)な形へと復元された大剣。両手で握れば、脈動が伝わるが……その呪いは、もはや私を脅(おびや)かすものではない。

振り下ろすと同時に砕け散り、黒曜石の破片が優義徒(ユギト)の場の【星化生(アストロ)】モンスターたちに突き刺さる。長い間共にあったことで、不本意ながら適応してしまった私とは違い、初見の奴らがその呪いを受けて無事で済むわけがない。

その身を黒曜石へと変えられていき、やがて風によって風化して消え去っていく。

 

 

「全滅……っ」

 

「さらに、手札から【黒曜の純化(オブシディアン・プロモーション)】を発動!!【ユーウェイン】を破棄し、それよりコストが2大きい【黒曜騎士(オブシディアンナイト)】……【黒曜騎士(オブシディアンナイト)ガウェインⅢ(スリー)】を場に出す!!追撃だ【ガウェインⅢ(スリー)】!!」

 

 

雄叫(おたけ)びを上げた【ユーウェイン】の全身が黒曜石の塊に覆われ、ソレを中から砕いて姿を見せるのは金髪を短く刈り込んだ騎士。

私の指示により、その手に握られた先端がギロチンのように湾曲した大剣を……優義徒(ユギト)に当たらないギリギリの所に振り下ろす。

口に出さなくても、私の考えを読み取る……流石は私の騎士たちだ。

 

 

優義徒(ユギト) ライフ:10→6

 

 

「……んで………っ」

 

「これで私のターンは終了だ」

 

「なんで……当てないの?」

 

「当然だろう?当たれば、痛いし……私は優義徒(ユギト)に怪我をさせたくない」

 

「……【ガウェインⅢ(スリー)】の効果使わなかったのもそれが理由?」

 

「そうだ」

 

 

流石に七点を叩き込めば……余波でも相当な物になる。私は優義徒(ユギト)を大事にしたいからな。

だが……私のその想いが、彼を深く傷つけてしまったのだと直ぐに気付かされた。

 

 

「唯純(イズミ)ちゃん、酷いなぁ。ぼくは真剣にやってるのに……手加減して、私(・)を惨(みじ)めにさせて楽しい?」

 

「優義(ユギ)」

 

「ああ、本当に私をイラつかせるのが上手いよね唯純(イズミ)ちゃんはさぁ……巫山戯(ふざけ)んなよ!!いつからお前は私を見下せる立場になった?ええっ!!?」

 

 

変貌(へんぼう)というにはあまりにも自然な姿。苛立ちを隠すのを止めた優義徒(ユギト)はきちんと整えられていたカソックの胸元を緩(ゆる)め、荒れる感情を解き放つ。

 

 

「私が上でお前が下なんだよ、唯純(イズミ)ちゃん!!それなのにさぁ、私のことを気遣(きづか)う?お前如きが図に乗るんじゃあ無い!!!唯純(イズミ)ちゃんの癖に、生意気なんだよ!!!!」

 

 

そのまま荒々しく引かれるカード、見たことの無い優義徒(ユギト)の姿にいつの間にやら歓声は止まっていたが……その代わりに私の心臓の音が騒がしいくらいに鳴り響くのを感じる。

 

 

優義徒(ユギト) 第三ターン

ライフ:6

手札:5 ターンカウンター:4

 

 

「…………フフ」

 

「何がおかしいの?」

 

「違う、おかしいんじゃない……嬉しいんだ!!!!」

 

「はぁ?」

 

 

そうだ、嬉しくて嬉しくて堪らない……だって、そうだろう?

 

 

「お前の本音を私が引き出し、そしてぶつけられた!!世界で私が一番最初だろう!!?嬉しいに決まってるじゃあないか!!」

 

「ねぇ、ほんとそういう所!!!お前、そういう所マジでキモイ!!!私がこの体で初めて起きた時に意地悪言ってやったのに、何変な方向に振り切ってんのお前さぁ!!?」

 

「私は!!お前のことが大好きだからな!!!!」

 

 

大きく胸を張り、どこか毒気が抜けたような……呆れたような表情の優義徒(ユギト)を真正面から見る。

溜め息を吐かれるが……構わない。私はもう迷わない。私がやりたいように振る舞い……そして今度こそ、私は大事なものの為に動く。

 

 

「…………だったら、その大好きな私に負かされて!!泣きべそかいちゃいなよ!!【アルデバラン】の下に置かれている【暴君の即位】をゲームから取り除くことで、このモンスターは場に出せる!!」

 

 

風が吹き荒れる。

どこまでも冷たい風は刃のように鋭く……敵対者への殺意を形にしたようであった。

 

 

「星々(イノチ)を砕き、宇宙(ソラ)を統べるは黄衣の暴君!!この風を止められるものなら止めてみなよ!!さあ行け【星間の帝王(タイラント)ハストゥール】!!」

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

俺がカードゲームで無双できる都合のいい世界 〜カードゲームアニメの世界に転移したけど、前の世界のカード持ち込めたので好き放題します〜(作者:鴨山兄助)(オリジナル:現代/ノンジャンル)

「ハズレSRの買取価格が1枚100万円超えるとか嘘だろ!?10枚あるよ!」▼ 転移先は、カードゲーム至上主義世界でした。▼ TCG『モンスター・サモナー』が好きな大学生主人公、天川ツルギ。▼ ある日彼は、目が覚めると中学生時代に戻っていた。▼ しかも、戻っていたのはツルギの家族もである。▼ 状況確認のためにつけたテレビから流れるのは、大量のモンスター・サモナ…


総合評価:4832/評価:7.84/連載:279話/更新日時:2026年07月03日(金) 07:11 小説情報

キミの切札?俺の隣で寝てるよw(作者:ピッツァ煮込み焼き)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

▼コントロール奪取。▼相手の所有するカードの制御を奪い、支配することから、NTRとも言われる効果。▼一つのTCGが全てを支配する世界に転生した少年、寝捕 捲は、ある日自らの元にコントロール奪取を持ったカード達が集まっていることに気がつく。▼「せっかくなら、色んな人の切札寝取りますかw」▼そんな悪乗り少年は、気が付かぬ間にアニメ主人公のエースカード、悪の組織の…


総合評価:557/評価:7.3/連載:7話/更新日時:2026年09月30日(水) 21:00 小説情報

魔法少女はニチアサ展開に付き合いたくないって話。(作者:暁真)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

▼一宮弍乃(いちみやにの)は歴戦の魔法少女である。▼日常をこよなく愛し、面倒事を忌み嫌う彼女は定期便の如く現れる異世界からの侵略者にキレながら今日も今日とて魔導士(マギスター)ユノとして戦い続けている。▼そんなある日、偶然見つけた自分とはまるで系統が違う魔法少女を見て彼女は思った。▼「あの子ニチアサ主人公じゃん、関わりたくねぇ」▼世界がニチアサ時空である事を…


総合評価:19572/評価:8.85/連載:77話/更新日時:2026年10月19日(月) 07:05 小説情報

【書籍版1巻2/20発売】貞操逆転ハードモード異世界を鋼メンタル冒険者が生き抜く(作者:風見ひなた(TS団大首領))(オリジナル:ファンタジー/コメディ)

【可愛い女の子ばかりの貞操逆転世界! ただし男の人権はないものとする】▼ 不慮の事故で死亡した大学生・男島雄士はあこがれの異世界転移を果たすが、そこは女の性欲がクッソ強く、男性に人権がないハードモード中世な貞操逆転世界だった!▼ 普通の異世界だとばかり思って冒険者ギルドに登録した雄士を取り囲むのは、シコ猿ばかりの女性冒険者たち。顔は美少女! 頭は男子中学生!…


総合評価:18576/評価:8.64/連載:144話/更新日時:2026年10月18日(日) 19:00 小説情報

逆転なんて許さない(作者:続(ツヅ))(オリジナル:現代/冒険・バトル)

▼ 一般カドショ通い大学生『読辻 堺』はカードゲーム『Reボード』を引退した夜、気がついたらReボードが社会を支配する世界へ転移していた。▼ 悪の組織『シャドウリヴォルト』に拾って貰った堺は今日も今日とて着ぐるみマスコットキャラとなってファイトをする。▼ 知らず知らずのうちに改編されていくアニメストーリー。▼ アニメ世界では存在しない異端の考えで周囲を驚かせ…


総合評価:291/評価:6.88/連載:18話/更新日時:2026年08月31日(月) 23:15 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>