TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
生暖かい潮風が頬を撫でていきます。
ラ・リィアー島の全てを見渡せる観光スポットであるD1高台から見下ろした世界は……夜の闇の中に街の
「…………」
手の中のデッキ、その一番上に置かれている【
……気付いてはいます。
この島に来た辺りから【
正確には、
故に、他の方が自分のモンスターと触れ合ったり話している姿は見ることが出来る…………酷く、
「何故……ですか?」
呟いた言葉に答える者はいない……筈でした。
「教えて差し上げますよ、誘黒神」
「誰です?」
涼やかなその声に振り返れば……腰に二本の刀を下げ、白を基調とした袴姿の……まるで侍のような印象の、メガネを掛けた男性が自然な
気配を感じ取れませんでしたが、何者でしょう?
私の警戒を解かせる為に……素らしいその鋭い目つきを和らげ、代わりに微笑みながら、彼が私に一歩近づきます。
「怪しい者ではありません……
「誰なのかと聞いているのですよ、後……あまり近づかないで下さい」
「これは失礼を……一方的にこちらが貴方の事を知っていた為に、親近感を覚えていた
足を止め、メガネの鼻当てを中指で軽く押し上げながら男性が言葉を紡ぎます。
「自己紹介から始めないといけませんね。手前は
ーーーーー
「
「はい」
無事に予選を突破した記念に開かれたパーティーという名の呑み会。ユギトは後で来るとのことで、先に他の三人で始めることとしたのだ。
会場は宿泊しているホテルの一室、まあ私(とユギト)の部屋だ。未成年の
「オニサマのお兄さん……となると、やっぱりめちゃくちゃデカイデシ?」
「いや……
「力は弱かったけど、すごく足が速かった。頭も良くて……よく分からない話をよくしていたな」
「よく分からない話?」
「うんまい」
「いや、今はその話の方が気になるから、飲むの一回止まりな
「んー」
グビグビと酒を飲み干す
しかしアレ、何杯目だ?転がっている空き瓶は五本を超えているが……まあ、ユギトの持ち込んだ酒だから良いだろう。後で
「えー……なんだったっけな。今どきやり方が古臭い?だから盾にされる?もっと効率良くしろ……って、よく父さんたちと喧嘩してたな」
「確かにその言葉だけじゃ、分からないデシが……喧嘩してたってことは、今は仲直りしたんデシ?」
「いや、
「喧嘩の果てに家出か……」
「
「アンタが小学生ってことは……十五年前ってことになるね」
「そんなになるのか……実感が湧かないな」
「身内だろう……」
酒が入ってるとはいえ、あっけらかんとした
だが、それに対して
「元気でやってるよ
ーーーーー
「
「初めにその
見た目は殆ど似つかない彼ですが……無理やりに
見た目以外にも、言動も似ていません。
「それで、その
「通りがかったら、悩んでいた様子で思わず……という建前では納得しないでしょうね」
口元に手を当て、小さく笑う
「手前
「……最近になって、ついにモテ期到来なのですかね」
レティシア・ブランもですし、何故そんなに私が欲しいのですか……?
そう考えている間に、止めたのにまた一歩近づいてきた
「二度目の警告です、近づかないで下さい」
「おやおや……まるで、弱った姿を見せまいと
にこやかに、しかし
「初対面の相手に無礼ですね……
「
「答えはもち「NOだ。下がれ、下郎」ろ……ん?」
私の言葉を
高台の街側──つまりは崖となっている側から一つの影が跳び、私の目の前に着地します。
「誘黒神、暇だ。戦え」
「なんで崖登りしてるんですか統白神!!?」
「余が進む先が道だ。あの程度では余の行く手を
どこか誇らしげに鼻を鳴らし、腕を組む(右手は無いのに……)統白神の登場に辺りには微妙な空気が流れ始めました。