TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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シーズン2 偽神戦争
第三章 役者は舞台へ


──時折、私の左眼は未来を映す。

何時に起こるかは分からない。しかし、必ず何時かに訪れる情景。

 

赤い水に沈む黒

 

唄と共に消える白

 

錆びつき二度と動かなくなる黄

 

影ごと焼き尽くされる緑

 

生贄として差し出される青

 

そして──

 

 

私に近しい力を持ち、未来をより良いものへと変えようとしていた基青神にこの未来の一部を見せ、待ち受けるであろう試練について話してやったことがある。

しかし、奴は私の手を振り払った。

私が頂点に立っていないことを妬んでいる……?馬鹿な、そんなことはありえない(・・・・・)。

彼が……太陽(タイヨウ)がその座に相応しい。気ままで、残酷で、しかし横暴ではない。自由とは、彼を表す言葉なのだろう。

彼の隣に居たい。彼の望むままに与えたい……私以外が彼の関心を得ていることの方がずっと妬ましい(・・・・)。

だから……産まれた時から彼の心の片隅を占領し続けているあの子が妬ましい。

だから……だから……

 

 

 

いつの間にか登っていた朝日が、私を照らしていた。

思案(しあん)に耽(ふけ)過ぎていたようだ……これから大仕事が待ち受けているというのに徹夜をするなんて。

 

 

「おう、ハヤいな」

 

「おはよう太陽(タイヨウ)。キミも早いねぇ……もしかして、緊張してる?」

 

「ギャハハハハ!!ンなわけねぇだろ?ちぃとばかし、ヒャッカのヨウ子(す)ミに行ってたんだヨ」

 

 

スっと反射的に目を細めてしまう。また直ぐに会えるのにわざわざ見に行くなんて……ズキリと胸の奥が痛む。

 

 

「ふーん……そんなに百火(ヒャッカ)くんのこと気になるなら、あの子は巻き込まないようにするかい?」

 

「ヒャッカが中シンだからムリだ。アイツがこのサクのジクの一ポンだからな」

 

「じゃあ、仕方ないねぇ……あの鳥、自由にさせてていいの?アレ、間違いなく敵側に内通してるよ?」

 

「カマわねぇヨ。アイツの目テキはサイショからあのオンナとキョーマだけだ……テキもミカタもどうでもいいンだヨ、アイツにとっちゃあな」

 

「だから、あの子(・・・)の為に動く為なら誰が協力者でも関係ないと……ヤダねぇ、愛に溺れた男ってのは。みみっちいや」

 

「オマエが言うか〜?」

 

「私はみみっちくないから良いんだよ」

 

 

『オナじアナのムジナだわー』と笑ってくる太陽(タイヨウ)の肩を軽く叩き、笑いあってから……私たちは外へと連れ添って歩いていく。

そう……今日この時から、全てを終わらせるんだ。

 

 

ーーーーー

 

未明に、一基のヘリコプターがラ・リィア島へと着陸する。

人目を憚(はばか)るように、森の奥の着陸場から入島したそのヘリから、小さなブリキの玩具(おもちゃ)が降りてくる。

 

 

「お待ちしておりました救黄神様」

 

『出迎えは不要と伝えていた筈ですが』

 

「恐怖連合(ダークアライアンス)の幹部の姿が確認されています。御身(おんみ)に何かがあれば、世界の秩序を維持する者が居なくなってしまいます」

 

『……良いでしょう。そなたの行いを赦(ゆる)します金継(カナツギ)磁兵(ジヘイ)』

 

「寛大(かんだい)なるご慈悲(じひ)に感謝を」

 

 

頭を下げ、平伏(へいふく)する私に『不要です』と一言で切って捨てる救黄神様。

機械仕掛けの神故に、合理的に行動を起こすかの神には……このような行動は非合理的なのだろう。

ヘリは速やかに島を離れ、付き添いとなる者も必要最低限、つまりは私だけだ。

故に……賊(ぞく)も今が好機と思ったのだろう。

 

 

「救黄神、覚悟ぉぉぉー!!」

 

 

雄叫びと共に襲い掛かる恐怖連合(ダークアライアンス)のゴロツキ、その数は二十。

咄嗟に、"ギアスモンスター"を呼び出そうとした私を制したのは救黄神様だ。

 

 

『不要です。私(わたくし)だけで十分ですので』

 

 

その言葉と同時に、鈴の音(ね)が鳴り……一拍(ぱく)の静寂の後に、鞘に刀が収まる冷たい音が響く。

 

 

『金継(カナツギ)磁兵(ジヘイ)、この者たちの罪を全て暴き、正しき裁きを下しなさい』

 

 

ゴロツキ共は全て地に伏せ……その意識を刈り取られていた。恐らくは、峰打ち。得物の形もその攻撃の瞬間さえ私の目には取られられなかった。

そして……救黄神様のお姿は、ブリキの玩具(おもちゃ)から変わられていた。

月の光を受ける濡れた烏(カラス)の羽色と同じ黒の髪は背の中程まで伸ばされ、眉より上でキッチリと切り揃えられた前髪の下で琥珀色の瞳が、どこか硝子玉(ガラスだま)めいた輝きで私を見上げる。

清楚な白いワンピース姿と併せ、小柄な女性といった容姿……これが救黄神様が人の姿を模した姿なのだろう。

 

 

「は……直ちに」

 

『それでは、私(わたくし)は……統白神の所へ向かいます』

 

「お供します……」

 

 

否定も言葉もない……ただ静かに歩いていく救黄神様の後を私は追った。

 

 

ーーーーー

 

日本代表に残された最後の希望、それは……勝利数が同率のインド代表と、それぞれが代表を一人選んでの決戦。

ただし、その代表戦には条件がある……日本代表対インド代表の試合で選ばれた選手以外から選ぶこと。

百火(ヒャッカ)くんも水兎(ミト)ちゃんも試合で選ばれていて、残ったメンバーの中から選ばれるのは恐馬(キョウマ)さんか……優義徒(ユギト)さんだと思っていたっぺ。なのに選ばれたのは……

 

 

「わたすが……わたすが勝たないと、みんなが今まで頑張ってきた努力が報われないっぺ」

 

 

わたすとタマモノマエ(・・・・・・)だけがいる部屋の中、デッキの内容を一生懸命考えていれば……どんどんと膨れ上がる重圧に、押し潰されそうになるっぺ。

でも、ここでわたすが逃げたら……それこそ、みんなの迷惑になってしまうっぺ。

震える手を、タマモノマエ(・・・・・・)がそのしっぽで優しく撫でてくれる。

 

 

「わふっ」

 

「うん……独りじゃない、分かってるっぺ……わたすには、みんなが居るっぺ。でも、勝たないと……わたすが勝たないと、ダメなんだっぺ」

 

「わふっ」

 

「……うん、ありがとう。一緒に……戦おう、タマモノマエ!」

 

「わふっ!!」

 

 

頬を舐めてくるもふもふの毛の温もりに、笑みが零れてしまう。

もう、怖くない……みんなで……【豊穣(ハーベスティア)】のみんなと一緒に、頑張るっぺな!!

 

 

 

 

 

 




おや、翠子(ミドリコ)の様子が……?
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