TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話   作:木津 吉木

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( ˇωˇ )出落ちです


「好き……?」/「悪いことなんペか?」

「いや、弱……」

 

「ははは……ボッコボコにされ過ぎて草しか生えないなぁ」

 

 

それはもう酷い瞬殺劇だったわ……理由は相手のデッキ……【武闘戦将(バトルビューティー)】は赤と黄という攻めっけ抜群の色で構成されてるカテゴリーで、戦闘の度に場の雑兵トークンを破棄してデッキトップからモンスターを出していくんだけど……だけど。

 

 

「何そのデッキの山……」

 

「えへへ……どの子も抜けなくて全員入れちゃった♡」

 

 

どう見繕っても普通の五十枚デッキ四つはあるカードの束……しかも、スペルカードも【武闘戦将(バトルビューティー)】モンスターが写っているなら投入という徹底具合。一応、五十枚より上ならデッキ枚数の上限は無いのだけど、欲しいカードを引けないからと五十枚に抑えるのがセオリーだ。西岡(ニシオカ)さんもそれを分かっている筈なのにこんな暴挙をして……キーパーツの雑兵トークンを出すカードやそれをサーチする手段が引ける確率はかなり低い筈よ。それでもある程度は戦えているのだから不思議だわ。

 

 

「バベルというデッキ種が有るがあのカテゴリーとは相性が悪いだろう……何故あのような事になったんだ?」

 

「っていうか、地元で一番の使い手って言ってたじゃない!!」

 

「地元で【武闘戦将(バトルビューティー)】使ってるの私だけだからね!!」

 

 

そういうオチなの……?修行って言ってたけどアタシはこの人との"ギアスファイト"が役に立ったとは思えない……

 

 

「【氷雪(アイスタル)】と【凍土(アブソリューション)】の混合デッキ、良いねーひんやり冷たい感じでさーエースの【氷雪の大妖精(アイスタル・フェアリー)ティターニア】と【凍土の魔女(アブソリューション・ウィッチ)フリージア】……良いよねぇ、氷系お姉様コンビって感じがさー……やっぱりそういう子達好き?」

 

「好き……?強いからアタシいれてるだけなんですけど……」

 

 

好きかと聞かれると……分からない。【氷雪(アイスタル)】デッキは自分が初めて手に入れたカード達が青で【氷雪(アイスタル)】だから組んだだけなのだから……【凍土(アブソリューション)】を混ぜてからはコントロール色が強くなって安定感が増したとは思うけども……やっぱり好きとかそういう感情で組んでるわけじゃない。

 

 

「あーそういう?強いから組むのも私は正解だと思うよ。"ドレッドギアス"は対戦ゲーだし、勝てなきゃ楽しくないもんねー」

 

「でも"西岡(ニシオカ)"さんは負けても楽しそうですよね?」

 

「うん、楽しいよ。大好きなカード達が活躍して頑張ってる所が間近で見られるんだもん……私がへっぽこだから中々勝たせてあげられないのが申し訳ないけどねー」

 

 

そう言って西岡(ニシオカ)さんがデッキの一番上をめくるとこちらにそのカードを見せてくれた。

 

 

「【武闘戦将(バトルビューティー)ノブナガ】……さっき出てきた子ですね」

 

「【ノブナガ】はね、私が初めて手に入れたカードなんだよ。すっごく可愛くてずーっと一緒なんだよ」

 

 

描かれているのは武者鎧を簡略化させたような鎧を纏った刀を持った女の子……【武闘戦将(バトルビューティー)】はいわゆる、戦国武将の美少女化モンスターだ。

 

 

「【ノブナガ】の天下布武バージョンとか三英傑バージョンも有るけど……やっぱりこのノーマルな【ノブナガ】に帰ってくるんだよねぇ……可愛さの中にしっかり威厳とか感じられて、でも初々しさもあってね、フレーバーストーリーだとこの後大変な目に合うんだけどそれでも天下統一をしてみんなが笑顔でいられる国を作る為に頑張ってるんだよ……健気で本当に可愛いよね!!!」

 

「へ、へぇー……」

 

 

凄まじい熱量……これがオタクの本気トークって奴なのかしら。

でも、ここまで一枚のカードに対して語れるのはすごいと思う……アタシにはこんな風に語れるものがあるかしら。

 

 

「"五月雨(サミダレ)"ちゃんはすごく強かったなぁ……私が戦った中で三本の指に入るよ!間違いなく!まだ子供なのにそんなに強いなんて……"ドレッドギアス"が好きなんだね!」

 

「アタシは……」

 

 

アタシが"ドレッドギアス"を始めたのは何となく、周りのみんながやってるからだった。何となく初めて、勝った時はこんなものかと思ったけど負けるとすごく悔しいから……勝つ為に努力した。相性の良いカードを集めて、戦略を立てて、色事のメジャーな戦略への対抗策を考えて……勝つ事が多くなってからもコレは続けている。だって、負けるのは嫌だから。

 

 

「アタシは……"ドレッドギアス"が好きなのかは分からないけど、負けるのは好きじゃないから……」

 

 

『そうかーそうかー』と言わんばかりに生暖かい目で見つめながら頷いてくる西岡(ニシオカ)さんは絶妙に腹が立つ。

……でも、自分の芯みたいなのは見えた気がする。

なんで"ドレッドギアス"をしているのかっていう理由、特定のカードが好きとかそういうのじゃないけど……負けるのが嫌だからしているっていう後ろ向きだけど確かな理由を小さく呟くと胸の奥がじんわりと熱くなる。

もう負けたくない……アタシはこれからも勝ち続けてやる。

 

 

ーーーーー

 

 

「さて、"米原(マイバラ)"の嬢ちゃんの修行というか問題点は初心者やから経験不足やな……今までどんな人と対戦したことあるん?」

 

「えーっと……"百火(ヒャッカ)"くんに"水兎(ミト)"ちゃんに……"ユギト"さんとこの前の変な仮面の人たちだっぺ!」

 

 

指折り数えて対戦した相手を言っていくと大体は百火(ヒャッカ)くんと水兎(ミト)ちゃんとしかファイトしてない事が分かるっぺ。

その事にわたすが気づいたと同時に照海(テルミ)さんもあちゃーとおでこに手を当ててるっぺ。

 

 

「あー……これは対戦回数は多いけど、同じような相手としかやってないからプレイが大分影響されてるのかもなぁ」

 

「されちゃってるっぺ?それって悪いことなんペか?」

 

「大分よろしくは無いなぁ……同じ相手とばかりしてるとその人を相手にした事を想定したプレイする事に慣れちゃうもんなんや」

 

「それは……困っちゃうっぺな」

 

 

うーんと頭を傾げて考えるわたす。結局はどうしたらいいんだっペ?

 

 

「解決方法は割と簡単やからそんな困った顔せんでええよ。色んな人とファイトしたらええ。せやなぁ……なぁ、兄ちゃんらのどっちかどうや?」

 

 

声を掛けられてスマホを弄ってた皇導(オウドウ)さんがビックリして手を止め、こちらをメガネ越しにしげしげと見て来るっぺ……なんかこの人に見られると胸がもやもやするっぺな。

神牙(ジンガ)お兄さんの方はかき氷をちょうど食べ終わったみたいで手を合わせてたっぺ。

 

 

「私か……彼が?」

 

「せやせや、何も食べてへんくてメガネの兄ちゃんは暇やったやろ?"米原(マイバラ)"の嬢ちゃんの相手してやってーな」

 

「……生憎だが、デッキは持ってきていない。今日は頼まれていた物を買いに来るだけだったからな」

 

「そら残念やなぁ……なら、ゴツイ兄ちゃんはどうや?」

 

「わたすからもお願いしますっぺ、色んな人とファイトしたいっぺ!」

 

 

ジーッと神牙(ジンガ)お兄さんの方を見ていると、彼は困ったように視線を泳がせながら口を開いたっぺ。

 

 

「……俺の、デッキは……あまり、人には好かれない類だ……だから、楽しくないかも、しれない」

 

「それも経験だっペ!それに、"神牙(ジンガ)"お兄さん優しいから、どんなデッキ使われたとしても嫌いにはならないと思うっぺよ?」

 

 

わたすの言葉に少し目を見開いてから、神牙(ジンガ)お兄さんはデッキを出してくれたッペ。

やる気出してくれたっぺな!

 

 

「…………良い、ファイトをしよう」

 

「やったっぺ!テーブルファイト、頑張るっぺよ〜!」

 

 

「「"ギアスファイト"レディセット」だっぺ!」

 

 

わたすの"ギアスモンスター"はやっぱり【豊穣の古狸(ハーベスティア・ビッグラクーン)サンダユウ】!使いやすくてぽんぽこお腹が可愛いタヌキさんだっぺ!

神牙(ジンガ)お兄さんは……なんか、黒っぽい天狗さんだっぺ。イメージとは大分違うっぺな。

 

 

神牙 鬼丸【繁殖する悪意】

VS

米原 翠子【豊穣の混沌坩堝】

 

 

「「スタートアップ!!」だっぺ!」

 

 

先行は……取られちゃったっぺ。

 

 

「俺のターン……ドロー」

 

 

鬼丸 第一ターン

ライフ:10

手札:6 ターンカウンター:1

 

 

「アーティファクト【寄生菌類(パラファンガス)シロテングタケ】と……【猛毒菌類(ポイファンガス)ベニテングタケ】を、使う」

 

 

寄生菌類(パラファンガス)シロテングタケ】

緑・黒 コスト:1 アーティファクト・天狗

 

一ターンに一度、相手モンスターが戦闘を行う時に発動出来る。

その攻撃を無効にし、相手のデッキの1番上のカードを破棄してそのコスト分だけ互いのライフを回復する。

 

 

猛毒菌類(ポイファンガス)ベニテングタケ】

緑・黒 コスト:1 アーティファクト・天狗

 

相手がターンカウンターを増やした時に発動する。

増えたターンカウンターの数字分だけ相手のデッキの一番上のカードを破棄する。

このアーティファクトは自分の場にモンスターが出た時に破棄される。

 

 

真っ白なキノコのカードと真っ赤なキノコのカードが置かれるっぺ……何だかよく分からない効果だっぺな。

 

 

「これで……ターン、終了だ」

 

「よーし行くっぺ!わたすのターン!ドローせずにカウンターブーストだっぺ!」

 

 

翠子 第一ターン

ライフ:10

手札:5 ターンカウンター:2

 

 

「この瞬間……【ベニテングタケ】の効果でデッキの上の、カードを二枚破棄してもらう」

 

「むむむ……でも、二枚だけだっぺ!」

 

「カードが破棄されたのでスペルカード【繁殖】を発動する」

 

 

【繁殖】

緑・黒 コスト:1 スペル

 

自分の場にモンスターが存在せず、【菌類(ファンガス)】と名の付くカード効果でカードが破棄された時に発動出来る。

デッキから場に同名カードの存在しない【菌類(ファンガス)】アーティファクト一枚を発動出来る。

このスペルはファイト中に一度しか使えない。

 

 

「効果でデッキから……アーティファクト【寄生菌類(パラファンガス)タマゴテングタケ】を、発動する」

 

 

寄生菌類(パラファンガス)タマゴテングタケ】

緑・黒 コスト:1 アーティファクト・天狗

 

一ターンに一度、相手のライフが回復した時に発動出来る。

回復した数字分だけ相手のデッキの一番上のカードを破棄する。

 

 

「キノコいっぱい増えてきたっぺな」

 

「……そう、だな」

 

 

何だか嫌な予感がするけんども、頑張って行くっぺよ!

 

 

 

 

 

 

 

 




( ˇωˇ )デッキ破壊は嫌われやすいのがTCGアニメのお約束……
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