TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
陸地からおよそ400km以上離れた海上。
大型のヘリコプターから飛び降りた四つのローブを纏った人影は、それぞれを翼の生えた人型の存在──天使達に抱えられて中空で留まっていました。
「では始めるぞ」
「あいよっと……でも、マジで出せんのか?」
「理論上は問題無いデシ、"サモンエナジー"も予定必要量よりも沢山集めたデシからな」
「……………」
ジュンくん、レイカ嬢、タクミくん、オニマルくんを機内から天使達に指示を出して所定の位置に向かわせます。
このヘリコプターを用意してくれたのはIGPです。船で行くとこれからやる事を考えれば転覆の危険性が高い……ならば空から行こうという訳です。
「"
「上々です、もうすぐ実体化を行えるでしょう……ほら、見て下さい」
私に問いかけるIGPの今大会の担当の方に答えまる。少しヘリから身を乗り出し、指を指す方向……ちょうど
「【
「【
「【プリズムラインターミナル】!!」
「……【衰退の
四種のアーティファクトが海上にて実体化し、一つの島となります。
岩肌がむき出しの大地には所々で溶岩が流れており、そんな中に有るのはドクロを模したフラッグが突き立てられた煉瓦造りの闘技場。
同じく岩肌がむき出し……というよりも、元は草原であったあろう場所が石化した異様な地に有るのは死者の怨念渦巻く既に滅び去った古城。
美しい水晶で形作られた近未来都市の中心にそびえ立つのは何本もの線路が繋がっている巨大な神殿にも見える駅。
巨木や見たことの無いキノコが生い茂り、少し進めば迷うこと間違い無しのジャングル。
……全てが無事に実体化したのを確認してから、彼らをそれぞれが作った場所へと下ろします。
「……まさか、本当に土地まで創り出せるとは」
「"サモンエナジー"が切れてしまえば全て消え去ってしまいますが……それでも三日は余裕で持ちます。
私の言葉に頷きながら、インカムでどこかへと指示を飛ばしている姿を横目に見ます。
……私の方はスマホで今回の全国大会の予選突破者の一覧を確認します。鏡富市のある地区の予選突破者の中には
ストーリー的には入っていて当然という話ですが……それでも、友達が大舞台に出られるという事はとても素晴らしく思えます。他にめぼしい参加者はいないかとざっと目を通しますが……妙なのが三人程居ますね。
「ドールマスクに謎の怪盗K、そして爆撃仮面……」
三人とも仮面を被っていますが、どう見ても……見知った人達です。
前二人はまだ良いです……最後の一人はまだ動ける筈がありませんし、そもそも【
……頭が痛い、もう少しなのに嫌なイレギュラーの予兆が見えて酷く不快です。
「──代理、"
「っと、はい……すいません。少し、疲れが出ているようで……もう一度、お話していただいてもよろしいですか?」
気がつけば、ヘリから私達は降りていて決勝トーナメントが行われる予定の競技場の一室にいました。
怪訝そうな顔でこちらを見てくる運営委員会の方に申し訳なくて頭を下げます。
……いつの間にここまで来たのか記憶がありません。考え込んでいたにしても、結構な時間がここまで来るのに掛かると思いますが……その間ずっと、気がつかなかったのでしょうか?
「……ではもう一度、流れの確認を。開会式で"
挨拶……そういえばそんな事もしなければいけなかったですね。テレビでやっていた開会式で父が一喋っていたのを今更ながらに思い出します。
文章は……まあ、それらしい物を考えて言いますか。
「分かりました。教えてくださり、ありがとうございます」
「慣れない事ばかりのようで"
「……重ね重ね、ありがとうございます」
ニッコリと微笑み、委員会の方が自分の席に戻られるのを見送ります。
……今日は本戦が行われ、決勝トーナメントは明日になります。
ですが、決勝トーナメントを行う前に私は行動を起こす予定です。
「本戦では"
「問題ありません」
数を捌くのに最も強いレイカ嬢には仕込みをしてそのコンディションを最高にまで高めてありますし、他の三人はよろしく無いですがそれでも大抵の出場者を蹴散らせるだけの地力はあります。
「それではあと数十分ですので、皆さん準備の程をよろしくお願いします」
その言葉で他の方達も最後の準備を進めようと席を立とうとするのを推し留めました。
「すいません、皆さん少しよろしいですか?」
不思議そうにしている方や早くしてくれと言わんばかりに不機嫌そうな方たちを見渡し、懐から一枚のカードを取り出しました。
「私の
噎せ返るような甘ったるい芳香が室内に満ちました。
ーーーーー
「これより、第七十二回【ドレッドギアス】全国大会の本戦を開始します」
大会の運営委員長という人の妙にフワフワした言葉にやる気が削がれそうになるが、それでも本戦の開始という言葉に大会参加者や観客たちから歓声が飛ぶ。
「いよいよね……大人相手でもぶっ飛ばしてやるわ……!!」
やる気満々の
……昨日のオウドウとのファイトで使った父ちゃんからのお土産のカードはすごく強くて【クリカラ】を手に入れた時みたいにならないように気をつけなきゃいけない。
その日に見た夢の中では【ゴウエン】達
「強そうな人いっぱいっぺ……」
怖々といった感じで周りをキョロキョロしている
京都から帰ってきて、暫くしてから押し掛けてきた一枚のカード【
持ち前のぽわぽわ感でその世話焼きをスルーしているけどもそれがまた【タマモノマエ】は良いらしくて、さらに可愛がっている……
今の所
「──次に開催に伴って、
「…………んっ!!?」
どっかの国の偉い人の祝辞とかなんか色々長い言葉を聞き流していたら聞き覚えのある名前が聞こえて、頭を上げれば見覚えのある真っ白ローブに白い仮面の不審者が壇上に上がっていた。
「皆さんこんにちは、こうして長々と人の話を聞くのもそろそろ飽きてこられた頃でしょうから、短く纏めさせていただきます」
仮面越しでマイクも無しなのに不思議と通る声が響き、それだけで会場の全員がユギトに注目していた。
「私は強い人が好きです、子供も大人も関係なく現時点での日本最強が決まるこの大会においてはありとあらゆる要素の中で強い人が決まります」
仮面越しにユギトと目が合う。ニンマリと細めた真っ赤な目は妙に気味が悪い。
「大人だから、子供だからなんて色眼鏡は抜きにしましょう。日本一を決めるこの舞台ではそんな事は些末なものです……自分こそが最強なのだと示して下さい」
『以上です』とユギトが言うとそのまま降りて行くアイツを目で追う……昨日は結局有耶無耶になったけど、今日のアイツの言葉は変な事は言ってなかったように思える。
……この大会中は変な事しないよなアイツ。
ーちょっと前にあった出来事ー
「というわけで、予選はこの姿で行くぞ二人とも」
「待ちなさい、何ですかこの仮面と衣装は!?」
「正体を隠す為だ、ファイト中はお前こういうの似合うテンションでやってるだろ」
「アレはそういうルーティンだから違います!キミも嫌ですよねこういうのは」
「……カッコイイな」
「嘘でしょ
ーーーーー
( ˇωˇ )それぞれのネーミングは発案者が考えたそうです