TCG販促アニメでどう足掻いても悪役ポジションの私が開き直って悪役RPを満喫するお話 作:木津 吉木
こちらの手札は正直、現状では役に立ちませんので早々に入れ替えさせて頂きましょうか。
「そちらはターン終了でよろしいですね?私のターン開始時にデッキから【クルーシュチャ方程式】を手札に加えます。そして【ベリアル】を封印から解放してカウンターブースト」
ユギト 第三ターン
ライフ:1
手札:4 ターンカウンター:5
「私のギアスゾーンに"ギアスモンスター"が存在しないのでスペルカード【クルーシュチャ方程式】を発動します」
クルクルと私の周りを飛び回るのは数字の羅列──方程式。
見る人が見れば美しいその完璧な数列は私にとっては眺め続ければ気が滅入る数字の塊でしかありません。
黒 コスト:6 スペル・神器
このスペルは自分のギアスゾーンにモンスターが存在しない時に発動出来る。
自分の手札を任意の枚数破棄し、破棄したカードのコストの合計以下となるようにデッキからカードを手札に加える事が出来る。加えられる枚数は破棄したカードの枚数までとなる。
こうして手札に加えたカードに黒を追加する。
このスペルはデッキに一枚しか入れられず、発動後に相手プレイヤーにダメージを与える事が出来ない。
「手札のコスト:8の【
「…………チッ」
露骨に嫌そうな顔をされながら舌打ちをされましたが、舌打ちをしたいのはこちらです。
虎の子の一枚なのですからねこのカード……加えるべきカードは決まっています。
「私が手札に加えるのはコスト:4の【
作り物めいた肌の持ち主である【ウリゾラス】が場に降り立った直後に複数の空飛ぶ大小様々な機械の手が彼(?)の身体をつまみ上げて何処かへと連れ去ります。
そして代わりに同じように機械の手によって運ばれてくるのは巨大な茶色い毛むくじゃらの塊。
「私の場の黄のカードを破棄する事でこのモンスターは場に出ることが出来ます。【ウリゾラス】を破棄し、【
黒・黄 コスト:8 悪魔・使徒
A:6 B:6
このモンスターをサモンする時に自分の場の黄のカードを一枚破棄しなければならない。
このモンスターがサモンに成功した時、相手の場の全てのモンスターは効果を失う。
このモンスターがいる限り、元々の色が黄を含むモンスターをコントロールしていないプレイヤーは相手のターン中にカードの効果を使用出来ない。
のっそりと動く茶色の毛むくじゃらの塊……その正体は熊の毛皮を被った幼い少女です。
熊の毛皮を被った少女──【ベルフェゴール】はいかにも眠そうに目元を擦り、欠伸をします。
すると、その眠そうな姿につられたのかお父さんの場のモンスターたち全ての動きが鈍ります。
……お父さんは今、カードを使用するのに【マスティマ】によって無理やり体を操作する必要があります。つまりはカードを使うのにラグがあるということです。
【ウリゾラス】がサモンされたタイミングで【メタトロン】の効果を使われていれば私は負けていました。なので、発動される前に矢継ぎ早にカードを使用して無理に効果を通す……これは褒められたものでは無い盤外戦術です。
しかし、私は最早手段を選んでいられないのです。
「【
「こちらがカードを直ぐに使えない事を逆手に取ったか……サモナーとしてのプライドは無いのか?」
「目的の為ならば私への評価なんて投げ捨ててやります。私の場の黒のカードである【ベリアル】を破棄し、コストが10減るのでコスト:0で【
【ベリアル】が地面を切りつけ、生まれた亀裂にその身を飛び込ませました。
その直後にリズミカルな蹄の音が響いたかと思うと、艶やかな濡羽色の髪を長く垂らし黒い鎧を纏った、クールな印象の女性ケンタウロスとも呼べる存在がこちらへ走り寄ります。
「………」
『………やべ』
小さくそう呟いた彼女が指を鳴らすと人の上半身は馬に、馬の下半身は人の物となります。そして、鎧ではなくボディスーツに換装した彼女──【サタン】は何事も無かったかのようにどこからが取り出した大鎌を振り回してポーズを決めました。
……人と馬の比率変えられないなら、上が人の姿の方がまだマシではないかと思います。
「……【
面倒くさそうに地面を大鎌で切りつけ、開いた亀裂に腕を突っ込む【サタン】
しばらくしてから【ザドキエル】が首根っこを掴まれた状態で亀裂から助け出されます。
そして、掴まれたままジタバタ暴れる【ザドキエル】がこちらへとボールのように投げつけられてきました……途中でカードに姿が変わったので良かったのですが、そのままの姿ですと流石に受け止められるか不安です。
「コストが9減るので【ザドキエル】をコスト:0でサモンし、効果発動。デッキから【
場に現れた瞬間に【サタン】へと抗議しに行こうとする【ザドキエル】ですが、それを止めるのは緑がかった白のローブに身を包んだ好々爺──【ラファルガ】
一瞬だけ【サタン】に鋭い視線を送りますが【ザドキエル】に優しく微笑み掛けて彼女を宥めながら立ち位置へと帰っていきます。
「【ラファルガ】の効果でターンカウンターを一つ増やします……アタックフェイズです。【サタン】で【
風のように音もなく駆け抜ける【サタン】
それに対応しようと【
頭から股下まで一刀両断された【
「スペルカード【
声高らかに賛美歌を歌う【ザドキエル】はこちらに一礼をしてから光の粒子となります。
その光の粒子が集まり、白のローブに白の仮面の見慣れた不審者が重役出勤でご登場です。
『はははは!!待たせたな!!!!』
「待ってませんのでさっさと【メタトロン】に自爆特攻して来て下さい」
『貴様、やはり私の扱い雑だな!?というか【メタトロン】に攻撃だと……!!?』
私の攻撃宣言を聞いて慌てる【ルシフェリオン】……ですが、迎撃の為に既に【メタトロン】は炎の槍を投げつけています。
それに気づいて【ルシフェリオン】はやぶれかぶれに光の槍を投げつけます。【メタトロン】のボディに傷を付ける事には成功しますが、機能を止める事は出来ません。
そして、炎の槍が【ルシフェリオン】を呑み込むと同時に極彩色の光の柱が立ち登ります。
「私のライフを半分支払い、【
「来たか……裏切り者め」
元のライフが1故に私へのライフ半減は実質無効となります。
じとりとこちらを睨んでくる【ルシファー】から目線を逸らしつつ、最後の決め手を打ち込みます。
「【ルシフェル】と【ルシファー】が場に出たので
黒・緑 コスト:8 悪魔・使徒
A:6 B:6
このモンスターをサモンする時に自分の場の緑のカードを一枚破棄しなければならない。
このモンスターがサモンに成功した時に発動出来る。自分の場のモンスターを任意の枚数破棄し、その枚数の倍の数だけ自分のターンカウンターを増やす。
このモンスターがいる限り、元々の色が緑を含むモンスターをコントロールしていないプレイヤーはターンカウンターを使用してモンスターをサモン出来ない。
それは巨大な影でした。
見上げるほどの大きさの巨漢の腹部ははち切れんばかりに膨らんでいます。その背に真っ白な袋を背負い、右手には巨大なフォークを、左手には巨大なナイフを携えた豚鼻の男性が空から降って来ました。
そのまま押し潰される【ルシフェル】ですが、持ち前の頑丈さで這い出てきましたね……
「ポンポンと大型のモンスターを……嫌なデッキだ」
「そういうデッキなので仕方ないです。コスト:8以上のモンスターが場に出たので
【ベルゼブブ】が背負っていた真っ白な袋から取り出したのは肉魚野菜米と様々な食材の数々。
いつの間にかコック帽とエプロンを身に付けた彼があっという間に完成させた料理を【サタン】は満足気に平らげると、お代代わりにターンカウンターを二個残して去りました。
その直後に、緑の極光が【ラファルガ】へと降り注ぎます。
「ターンカウンターはこれにて八個……【ラファルガ】は覚醒して【
「その効果でライフを8回復して9とする……持ち直されたか」
ユギト ライフ:1→9
「
「……私のターン」
「その開始時に【
ギミック付きのカードって良いですよね……ひっくり返したり、繋げたり、その場で展開して大きなカードになったりするカード