あるべき本来の姿   作:曇らせは晴れる

3 / 6
前回のセイア視点です。


違和感と信頼

<セイア視点>

 

ミカ「ナギちゃんセイアちゃん、私先生と結婚するんだ!」

 

私は当初冗談だと思っていた。

だけれどどうやら本当のことらしい。

 

「あのミカが...頑張ったようだね...」

 

少しだけ寂しさを感じつつも、私は心からミカを尊敬するとともに祝福した。

だがその日からナギサの調子がおかしい。

ミカと先生を前にするたび顔からは血の気が引き、カップを持つ手はわずかだが震えている。

 

彼女はミカと先生を祝福してはいた。

きっと、彼女の性格上これは本心だ。

だが、彼女の心にはこの事実は重すぎたのだ。

 

私は日に日に衰弱していくナギサを見ていられなかった。

 

「ナギサ、今日は大丈夫かい?今日も彼女たちは来ると思うが、休んだほうが良いんじゃないか?」

 

私は彼女の身を心配して声をかける。

 

ナギサ「私は...大丈夫です。彼女たちに余計な心配事を増やすのは申し訳ないですから」

 

彼女はミカたちの事を第一に考えているが、正直自身の身を案じて欲しいものだ。

 

「ナギサ、明日は体調を見てもらおう。同級生として心配してるのではなく、友達としてのお願いなんだ。」

 

ナギサ「......。」

 

コンコン

 

扉を叩く音が鳴る。

はぁ...来てしまった。

 

"失礼するよ、おはようナギサ、セイア"

 

「...いらっしゃい、ミカはお休みかい?」

 

不幸中の幸いなのは、彼女が、ミカがいないことだろう。

 

"ミカは寝坊かな"

 

彼はこちらの気も知れずいつもの席に座り紅茶を嗜む。

全く、鈍感なのは恋心だけにしてほしいものだ。

 

「おや、先生。その持ち方ではマナー違反だよ。」

 

私はちょっとした当てつけに、いつもは気にすることのないマナーの指摘をする。

 

ナギサ「私がお教えします。」

 

ナギサが席を立ち彼の隣へ行く。

ナギサは先生の手を優しく持ちながらマナーについて教えている。

 

「...全く、困ったものだな」

 

私はシマエナガに独り言のように語り掛ける。

 

ミカ「せんせ~!お~っはよ!」

ミカ「あれ?ナギちゃん?先生に近くない?」

 

...彼女も困ったものだ、ナギサは君たちに悟られないよう気を張っているというのに、その気も知れず...。

 

ナギサ「先生にマナーを少し教えていたところなんですよ。」

 

ミカ「ふ~ん」

ミカ「ま、いいけどね。ナギちゃんに先生を奪うような事はできないだろうし☆」

 

「君達落ち着き給え、先生がいるんだぞ」

 

ミカ「フン!」

 

ナギサ「...はぁ」

 

ナギサは疲れ切ったようにため息をつく。

彼女にしては珍しい反応だ...。

 

私の直感が囁くが思考でかき消す。

 

私とナギサは静かに紅茶を飲み、ミカと先生はイチャイチャイチャイチャ騒がしい。

 

地獄のような空気が過ぎ去ったのはそこから2時間後だった。

 

"じゃ、今日はここらへんで帰るとするよ。今日もありがとね"

 

二人が退室する。

 

ナギサの方を見ると彼女は浅い呼吸に発汗が多い。

私は椅子を並べて私の膝に彼女を寝かせる。

 

「ナギサ、大丈夫かい?やっぱり今すぐ救護騎士団に...」

 

ナギサ「セイアさん、お気持ちは嬉しいですが大丈夫です。本当に大丈夫なので...。もう少しこのまま...」

 

「わかったよ...。」

 

私はナギサの頭を優しく撫で、ハンカチで汗を拭う。

 

そうすること30分

 

ナギサ「セイアさんありがとうございます。おかげで体調は少し良くなりました。後はセーフハウスに戻って休息しますので...」

 

セイア「私がセーフハウスまで一緒に行こう。」

 

私は遠慮するナギサを無視し家まで送る。

 

「明日こそは行ってもらうよ」

 

ナギサ「えぇ、分かってます。」

 

「じゃあおやすみ」

 

ナギサ「おやすみなさい」

 

部屋に戻った私は仕事を片付ける。

 

ミカは仕事ができるような性格ではないし、ナギサは仕事をさせるべきではない。

 

気づけば私は机に突っ伏して寝ていた。

起きたら時間は7時ちょっと、私は急いで身支度を済ませナギサに会いに行く。

 

私はナギサのセーフハウスに向かい扉を叩く。

 

コンコン

 

「ナギサ、起きてるかい?」

 

ナギサ「セイアさん、ここまで来なくてもいいのですよ。」

 

「私はティーパーティーの仲間以前に友達なんだ。今日は休むかい?」

 

ナギサ「いえ、今日も向かいます。」

 

「じゃあ、身支度を済ませて向かうとしよう。」

 

私は彼女の長くきめ細やかな髪を梳かし今日のことについて話す。

 

「今日は昼に体調を見てもらって、それから食事も栄養の多いものを、お茶会のお菓子もほどほどにしよう」

 

ナギサ「ふふ、まるでお母さんみたいです。」

 

「クスッ珍しく面白いことを言うね。そうか、お母さんか...悪くはないね。」

 

ナギサ「じょ、冗談ですよ?」

 

「おや、羽毛が乱れてるよ?しかも根元の方が...」

 

ナギサ「あ、気にしないでください」

 

「ストレスで荒れるというしね、デリケートな部分だったか。申し訳ないね。」

 

そんな他愛のない会話をして学校へ向かう。

 

扉を開くとまだそこには誰もいなかった。

 

「間に合ったようだね」

 

いつもの様に係りの生徒を呼び、準備をする。

 

準備が終わり15分後、

 

コンコン

 

彼らがやってきた。

 

"失礼するよ。"

 

ミカ「ナギちゃんセイアちゃんおはよ~!」

 

「やぁ二人とも、今日は一緒に来たんだね」

 

ナギサ「おはようございます。先生、ミカさん。」

 

ナギサは今までのような不安定な様子は見せていなかった。

 

「おや、先生、昨日マナーをナギサに教えてもらったんじゃないか?」

 

先生の様子が何処かおかしい。

先生は人の目を見て会話する人だが、

ナギサの目をまだ一回も見ていない、というより意識的に視界から外しているようだ。

 

まぁ先生もミカとナギサの衝突を避けているのだろうか。

 

「む、そろそろ時間だね。ナギサと私は大事な用事があるからここらで失礼するよ。」

 

ミカ「ナギちゃんセイアちゃんいってらっしゃ~い」

 

"二人ともお疲れ様"

 

私たちは部屋を後にし、保健室へ向かう。

 

...

......

.........

 

セリナ「これは...精神的なストレスによるものですね」

 

「やはりそうか...」

 

セリナ「相当ショックなことがない限りこんな重篤な症状は出ないのですが...まぁそうですね...」

 

「何か、健康にいい食事などはないだろうか」

 

セリナ「はい、そうですね...。ですと...」

 

「ふむ、なるほど。ありがとう。これからも定期的に来るからその時はよろしく頼む。」

 

セリナ「あと、こちらのお薬を毎日服用するように言ってください。こちらは...」

 

「わかった。恩に着るよ。では」

 

...

......

.........

 

「今日はゆっくりしてくれ。あとで料理人を呼んで健康にいい料理を作ってもらおう」

 

ナギサ「...わかりました」

ナギサ「その...セイアさん...。また前のように膝枕をしていただけませんか?」

 

「ふふっ、いいとも」

 

ナギサ「あと、できれば夕方まで一緒にいていただけると」

 

私は彼女の頭を撫でる。

 

気づけば彼女は眠っていた。

 

私が考えるに、ナギサは数日は寝ていなかっただろう。

 

「ゆっくりと休むんだ。君には色々背負わせてしまったからね。」

 

気づけば私も寝ていたようで、起きるとそこには紅茶を淹れているナギサの姿があった。

 

「体は大丈夫なのかい?」

 

ナギサ「はい、おかげさまで」

 

彼女は紅茶の入ったカップを私に差し出す。

 

「ありがとう」

 

空が暗くなるまで私たちはお茶を楽しんだ。

 

「じゃあ私はこれくらいで失礼するよ。しっかり休んでくれ」

 

ナギサ「セイアさん、今日はありがとうございました。」

 

バタン

 

...

......

.........

 

私は珍しく寝坊し、少し遅れる。

扉を開けると私以外みんな揃っていた。

 

ミカ「ナギちゃんなんか先生と近くない?」

 

ナギサ「ふふふ、ミカさんの気のせいですよ?そうですよね?セイアさん、先生」

 

...ナギサの様子に違和感を感じた。

確かにミカが言うほど近いわけではないが、何かドロッとしたような...。

 

「う~ん...。まぁ少し近いと思うが、ナギサの言う通りミカ、君が言うほど近いとは思わないが」

 

"う、うんミカの気にしすぎだと思うよ"

 

ミカ「先生まで!私たちは結婚してるんだよ!ナギちゃんは離れて!」

 

ナギサ「すみません。ちょっと近すぎでしたかね。」

 

"まぁまぁミカも落ち着いて、ほら撫でてあげるから"

 

得意げに笑うミカと、人を嘲笑するような、見下したような目をするナギサ。

 

私の直感は警告を鳴らしているが、「きっと気のせい」そう思い込み、警告を無視した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。