そんな彼女が先生からされた話は、「この関係を終わらせよう」というものだった。
そんなティーパーティーで巻き起こるドロドロとした物語、それはあるべき本来の姿に戻るのか。
<先生視点>
私は今シャーレにいる。
大事な用事があると言いミカを説得して今は一人だ。
仕事はあるものの、そこまで大事な用事は実際には無い。
今日一人、シャーレにいる理由はナギサとちゃんと話をするためだ。
私はモモトークを開きナギサへメールを送る。
先生『ナギサ、シャーレにいるんだけど今から来れるかい?』
ナギサ『わかりました』
30分ほど仕事を片付けながら待っていると...
コンコン
ナギサ「失礼します」
彼女がやってきた。
"悪いね、こんな昼間に"
ナギサ「いえ、お気になさらず。それよりもミカさんがすごい剣幕で...」
"後で私が説明しておくから大丈夫だよ"
ナギサ「ところで今日はなぜシャーレに?」
"うん、まぁ座ってよ"
ナギサは私の隣の椅子へ腰かける。
"...ナギサ、話があるんだ。"
ナギサ「......。」
ナギサはどこか怯えたような表情をしている。
"もう、あんなことはやめよう。ナギサとミカの為にも。"
ナギサ「......先生」
"なんだい?"
ナギサ「わ、私のどこがいけなかったのでしょうか?教えてください!すぐに、今すぐに直します!だから...捨てないでください!」
"ナ、ナギサ!落ち着いて!捨てるとかじゃなくて、この関係を続けるのは良くないと思うんだ"
彼女の顔は酷く青ざめていた。
ナギサ「お願いします!す、捨てないでください!全部!全部渡します!地位も財も!だから!」
"ナギサ!!!"
私は彼女の肩を掴み大きな声で名前を呼ぶ。
彼女は一瞬ビクッと肩を跳ねあがらせ、小刻みに震えている。
ナギサ「ご、ごめんなさいごめんなさい...」
"ナギサ、ごめん。そういうつもりじゃなかったんだ。"
私はナギサを優しく抱きしめる。
彼女の体はやけに冷たくその体からは生気を感じなかった。
"...ナギサ、この関係を辞めたって私がナギサと一生会わないなんてことはないんだ"
"それに、この関係を続けたってナギサの為になるとは思えない。ミカにバレた時だって、この前なんか危なかった。"
ナギサ「...じゃ...なんです...。」
"ナギサ...?"
ナギサ「それじゃ嫌なんです!私だって先生と結婚したかった...。毎日幸福に包まれながら朝を迎えたかったんです!」
"......。"
ナギサ「もちろん私だって先生にアプローチをしようとしました!でも...でもミカさんの為に...う、うぅ...」
彼女の瞳からは大きな雫がポロポロと溢れる。
ナギサ「先生は生徒と結婚をするなんて思っていなくて...」
"ごめん、私が悪かった。でも、本当にこの関係はやめよう。やめたってたまに甘やかすくらいならできるから..."
ナギサ「わかりました...。」
"ナギサありが"
ナギサは私を押し倒した。
"ナ、ナギサ...?冗談は良くないよ?"
ナギサ「ふ、ふふふ...。先生、辞める方法なら何でもいいんですよね?じゃあ今以上の関係なれば、辞めたことになりますよね?」
"ぼ、暴論じゃないか!"
ナギサ「私は、気づいてしまったんです。もう先生無しでは生きていけないことに。なのでもうなりふり構っていられません。相手がミカさんだろうとなんだろうと先生を奪います。」
"や、やめ"
やめて!と言いかけるが彼女に口を塞がれる。
長い、熱いキスだった。
"セ、セリナ!助けてくれ!"
ナギサ「セリナさんは来ませんよ。今日は少し、遠出して貰っていますから」
必死に抵抗する私をナギサは押さえつける。
ナギサ「先生って、力が弱いんですね♡私は自分のことを非力な方だと思っていたのですが...」
彼女は嫌がる私を見つめ、何かを思い出したかのように力を弱める。
その隙に私はナギサから離れた。
ナギサ「......。もう、いいです。私は先生の愛が欲しかったんです。でも、もう特別な愛も無償の愛も受け取れなさそうですね。」
彼女は泣きながら部屋を飛び出していった。
"......。"
私はその日以降ナギサとは距離を置くようにした。
出会って最初の頃よりも遠くに。
...
......
.........
セイア「先生、ナギサが最近部屋から出てこない。どこか様子がおかしいんだ。そう、それも、君がミカと結ばれた日からね」
ミカ「セイアちゃん!先生のせいにするのはやめてよね!...でも私もナギちゃんのことが心配かも...あんなにやつれたナギちゃんは見たことないから...」
"私は...、セイア、ミカ、ナギサをよろしく頼むよ。私にはどうすることもできないと思う"
ミカ「?先生?どうしたの?いつもと違って元気がないよ?」
セイア「......。」
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<セイア視点>
最近ナギサと先生の様子がおかしい。
安定したと思っていたが、私の勘違いだったのだろうか。
ナギサが再び不安定になったのはあの時だ。
私たち3人でお茶会をしていると、ナギサの携帯が鳴り、ナギサは急いで「急用ができました」と言い部屋から出て行った。
そして先生はその日からナギサと目を合わせないどころか会話すらしていない。
軽く話を振ってみるが反応が悪い。
ナギサの調子を旨に伝えてみるが、先生はどうも役に立たない。
「はぁ...ミカを連れて行くことはできないし、私一人で向かおうか...」
コンコン
「ナギサ...?いるかい?開けてもいいかい?」
......。
扉の向こうからは何も返事がない。
ドアノブに手をかける。
ゾワッ...。
私の背筋に悪寒が走る。
「いや...ナギサが...いくらなんでも流石に...」
私は勢いよく扉を開ける。
そこには床に倒れヘイローが消えた状態のナギサの姿が。
「ナギサ!」
私はすぐにナギサのもとへ走る。
「呼吸は...している...体温は...冷たい...」
彼女は同じ生きた人間とは思えないほど体温が低い。
私は携帯を取り出し救護騎士団へ連絡する。
「ナギサが倒れている。今すぐ来てくれ!」
そう言うと電話すぐに切れてしまった。
救護騎士団を待つこと数十秒。
ミネ「セイアさん!ナギサさんはどちらに!」
蒼森ミネはナギサを優しく持ち上げ部屋を飛び出す。
セリナ「セイアさんも一緒に来てください!」
私たちは保健室へと向かう。
...
......
.........
ナギサ「...セイアさん?ここは一体...」
「おはようナギサ、君は部屋で倒れていてね、保健室へと連れてきたんだ。」
ナギサ「そうですか...ミカさんには...」
「言ってないよ」
ナギサ「ありがとうございます」
「ナギサ、最近君の様子がおかしい。先生と何かあったのか?」
ナギサ「な、何もありま、うっゴホッゴホッ」
「大丈夫か!?」
ナギサ「なんでもありません...大丈夫です...」
ガラララ
"ナギサ、大丈夫かい!?"
先生が慌ててやってきた。
ナギサの方へ振りかえると彼女の顔色は一層悪くなり小さく震えている。
私は先生の前に立つ。
"セ、セイア?ナギサは大丈夫なの?"
「先生、悪いが君が立ち会う権利はない。さっさと帰ってくれ。」
"な、なんで?生徒の安全を確かめる権利くらいあるだろう?"
「何回も言わせないでくれ!いいから帰れ!いつから君はそんなに図太く無神経な人間になったんだ!?」
私は生きてきて初めて声を荒げる。
先生は引き攣った顔をし立ち去って行った。
"ご、ごめん。ナギサを頼んだよ"
ナギサ「セイアさん...そこまでしなくてもいいのではないでしょうか...」
「何を言っているんだ、君がこうなったのは彼のせいなのは見てわかる。ならば彼をここに入れる理由なんて無いじゃないか」
ナギサ「セイアさんなんで分かって...」
「私は直感だけはいいからね。君は何も考えなくていいんだ、ゆっくり休んでくれ。」
私はナギサの頭を撫でながら聖歌を口ずさむ...。
ナギサ「セイアさんの歌声、初めて聞いたかもしれません。とっても綺麗で...とても落ち着きます」
「ふふ、確かに、最近は大聖堂に足を運んでいなかったからね。しかも、これしか歌っていなかったからバリエーションに欠けるがね」
私は続ける。
その日、保健室から素敵な聖歌が聞こえるとちょっとだけ話題になった。
ナギサ「セイアさん、これから毎日、こうして頭を撫でながら、歌ってくれませんか?」
「いいとも、君がしてほしいというなら喜んで」
...
......
.........
ナギサは3日ほど休み体調は万全といってもいいだろう。
彼女から先生を入れてもいいと言われた日から、ちょくちょく先生は顔を出しに来ていた。
すっかり慣れたようで顔色も変わらず震えも無い。
ナギサ「先生、セイアさんの歌声、聞いたことありますか?」
"無いかな、セイアって歌えたんだね"
「失礼だな、私だって一(いち)トリニティ生なんだ、大聖堂で歌ったことなんて数えるくらいはあるさ。」
ナギサは退院(保健室)し元気な姿を見せていた。
ミカや先生とも仲良く、私は眺めているだけだったが、とても幸せだった。
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<先生視点>
"ナギサ、話ってなんだい?"
ナギサ「私は先生との関係を元に戻します。そして、ミカさんにも関係のことについて話そうかと思います。」
"...ナギサの決断だ、私は口を出さないよ"
ナギサ「そうですか」
"...ナギサ、セイアにありがとうと、伝えてくれるかい?"
ナギサ「えぇもちろんです」
彼女は自立した、いや、自立というよりはセイアという母を見つけたのだろう。
ナギサは、彼女からは不安定さは無くなりティーパーティーホストという名にふさわしい素晴らしい人物になった。
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<ナギサ視点>
「セイアさん、先生からありがとう、と」
セイア「何のことかわからないが、受け取っておくよ」
「ミカさん、少し、あちらでお話ししましょう」
ミカ「え?別にいいけど...」
「ミカさん、私は先生と肉体的な関係を持っていました」
ミカ「は?...持っていた?じゃあ今は持ってないの?」
「えぇ、今はもうそのような関係ではないです。生徒と先生、あるべき姿に戻ったのです。」
ミカ「でも、許せないかな☆」
「ふふ、わかってますよ」
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<ミカ視点>
「先生?私たち、別れよっか」
"え?ミカどうして急に..."
「ナギちゃんから聞いたんだ。関係のこと。」
"そうなんだ"
「でね?ナギちゃんが言ってたの、生徒と先生、あるべき姿にって、最近ナギちゃん凄いでしょ?私凄い尊敬してるんだ、だからね卒業まで待ってほしいな」
"わかった、私はミカのことをずっと待つよ"
「先生大好きっ!」
...
......
.........
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こうしてトリニティは、ティーパーティーはあるべき本来の姿に戻った。
誰もが幸せに、学生らしく、無償の愛を貰うそんな姿に。
END
一応これで完結ですが、IFもあるので是非見てください。
次話がIFとなっております。