今ひとたび、英雄たらんことを   作:blue man

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リブラは楽しかったですね……


隠されし叡智の園

 王城の執務室。王国のあらゆる政務の最終決定が成されるそこで、王子が書類の山との戦いを繰り広げていた。

 しかし、その姿はどこか落ち着きがない。一、二枚書類に判を押しては執務室の扉を見る。まるで報告を待っているかのように見つめてはまた書類の方へと視線を落とす。

 そんな事を幾許か繰り返していた時、不意に扉が叩かれる。

 

「アンナです」

 

「ああ、入ってきてくれ」

 

 己の政務官の声に、王子が入室を促す。

 中へと入ってきたアンナは少し前に見た時から然程変わっていない書類の山に静かに溜息をつきながら、王子の方へと視線を戻した。

 

「褪せ人様達が戻られました」

 

「本当か!」

 

 王子が勢いよく立ち上がる。その勢いで書類が数枚机から舞い上がるが気にした様子もない。

 

「すぐに呼んでくれ、色々と話す事もある」

 

「そう言われるかと思い、別室に待機させています」

 

 アンナが執務室を後にしてしばらく、再び彼女は褪せ人達を連れて戻ってくる。

 

「戻ってきてくれると信じていたぞ、褪せ人」

 

 アンナが机の上の書類の山を物言いたげに見ていたが、やがて誰にも気付かれないように小さく嘆息する。

 

「手間をかけさせた」

 

「構わんさ、それで……そこの彼女は」

 

 王子が鷹揚に頷いた後、褪せ人の隣に立つアランへと目を向ける。

 

「アランだ、故あってついてきた」

 

「不遜な物言いです。敬いが足りていないようですが」

 

 勝手についてきたとでも言いたげな褪せ人の言葉にアランが眉根を寄せる。

 そして、端的にアランは自身が亜神である事を語った。

 

「また亜神か……お前は本当にどこから連れてくるんだ?」

 

「英傑を拾ってくるお前と変わらん」

 

「貴方達揃って不敬ですね……斬りましょうか?」

 

 不穏な気配を漂わせ始めたアランに、そろそろ本題に入るべきだと王子が姿勢を正す。

 褪せ人は転移後に起きた事を話し始める。

 

「オリュンポス第一層で亜神と戦闘……その際にアランと出会ったと」

 

 王子が背もたれに深くもたれかかる。

 オリュンポス第一層、新しい情報だった。現状でそこに赴く方法も必要性も無いが、気には止めておいた方が良いだろう。

 褪せ人の見た夢について、興味がないといえば嘘になるが、それはまたの機会にしよう。彼も素直に話すとは思えない。

 

「それで……姉様——トラム達はどうなったのです」

 

「ああそれが——」

 

 アランの問いに、今度は王子が答える番だった。

 結果として、トラムとゴルゴーン達を殺す事は出来なかった。一度はゴルゴーンを仕留めたものの、アランの言うように、神由来の不死性によって復活。撤退を余儀なくされた。

 

「その戦いの中で、どうやらトラムは自身の庇護下にある民達を人質に取られている事が分かった」

 

 天界に向かって早々に追い返されてしまったが、それでも収穫はあった。

 トラムの置かれた状況に、アランは眉根を寄せて呟く。

 

「……人間如きを人質にされて無様を晒すなんて、本当に愚かな姉です」

 

「……かつての英傑にして亜神。彼女の民の解放が成されれば此方側についてくれるはずだ」

 

 アランの物言いに僅かに眉を顰める。しかし、それが言葉通りの意味ではないと悟ると、王子は何も言わなかった。

 

「とはいえ、一度とはいえゴルゴーンを撃退したのは見事です。流石は魔王を滅ぼした英雄といったところでしょうか」

 

「褒められて悪い気はしないが……貴方の思惑を聞かせて欲しい。何もないのに来たわけではないだろう?」

 

 アランの世辞を程々に、今度は王子がアランへと問い掛ける。

 アランの思惑、それは即ちトラムを救い出し、この神々のくだらない争いに幕を引く事。その為の手段について、アランはグングニルの事を持ち出した。

 

「ああ、聖槍についてか。丁度今、ピラミッド出発に向けて準備を進めている」

 

「……準備が良いですね?」

 

「同じ事をケラウノス様からも言われたからな」

 

「は?」

 

 まるで知っていたかのように準備を進めていた王国にアランが疑問を持つと、呆気なく答えは返ってきた。

 

「ゴルゴーン打倒について悩んでいたら、夢の中でケラウノス様からお告げを授かってな……」

 

「あの女神……滅ぼしたいのか救いたいのかどっちなんですか!?」

 

「ははは、まぁ良いじゃないか」

 

 アランの最もな言葉に、王子は笑いながら応じる。

 実際、王子としては嬉しい事ではある。人に失望し、終わらせる事を選択した神が、少なくとも今はその行く末を見守っている。彼女の所業は許される事ではないが、それでもお告げを疑うような事は無かった。

 

「……ピラミッドに行くと言う事で良いのだな」

 

「いや、お前には別の頼み事がある」

 

 ピラミッドへと行く算段を立てていた褪せ人に、しかし王子はかぶりを振る。彼には別でやってもらいたいことがあった。

 

「……内容は」

 

「——叡智の園。そこを探し出し、賢者達に力を借りたいのさ」

 

 ——叡智の園。

 北の大国を抜け、さらに北。豪雪地帯を抜けた先にあるとされる隠れ里。

 その地には千年戦争より以前の知識すら封印されているのだという。

 王子は語る。

 

「俺達の目的は神々の争いを止める事と、世界樹の魔物化を阻止する事。それは両者ともに果たさなければならない使命だが、目下急を要するのは世界樹の方だ」

 

 王子達が天界へ向かう間にも、王国、帝国を筆頭とした賢者達によって世界樹の魔物化についての研究が進められていた。しかし、神の楔という超常の力によって為されたであろうそれに、全くといって良いほどに解決策を見出せずにいたのだ。

 

「そんな折、とある魔法都市の書庫から叡智の園について記録された本が手に入った」

 

 賢者達ならば、或いは千年を超える知識の中から対策を探し出せるかもしれない。そんな藁にも縋るような思いがあった。

 英傑すらその名を知らない、まるで歴史の中で隠蔽されたようなその場所を探し当てる。その為に褪せ人達に同行して欲しいのだという。

 

「……情報は確かなのか」

 

「確か……と言いたいところだが、見つかったのはこの書物だけ。だが、ソラスから探す価値はあるとそう言われてな」

 

 書物一冊と英傑の星占い。あまりにも根拠に乏しい。しかし、王子は探す価値は十分にあるという。それだけ星占いに信を置いているのか、或いはその僅かな希望に縋っているのか。

 

「……良いだろう」

 

「そう言ってくれると信じていたよ」

 

 王子がアンナへと視線を向けると、テーブルに地図を広げる。

 

「北の大国までの道のりはシビラ達が案内してくれる。そこから先はこの書物頼りだ」

 

 北の大国よりさらに北部、人類の生存圏を越えたその先に踏み入れ、生きて帰った者は居ない。

 褪せ人はその未踏の領域へと向かうべく、執務室を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 北へ向かうにつれ、空気は鋭さを増し、吐息は瞬く間に白く凍りついた。

 大地は雪に閉ざされ、枯れ木すらも氷に縛られている。

 一行は厚衣を身に纏ってなお、骨の芯まで冷え込むような寒気に晒されながら歩みを進めていた。

 

 北の大国を越え、ついに極寒の豪雪地帯まで褪せ人達は歩みを進めていた。

 

「流石に寒いね……魔法も装備も整えてるのに凍えそうだよ」

 

 雪を踏み締めながら、タラニアが呟く。

 舐めていたつもりはない。しかし、それでもなおこの寒さは慣れていない者には厳しいものがあった。

 

「この国の北部は殆ど豪雪地帯ですから、慣れていないとこの寒さは身に沁みるでしょう」

 

 そう言って、一人の女騎士がタラニアへと茶を差し出す。

 湯気の立ったそれを受け取り、飲み干すとタラニアが口を開いた。

 

「ありがとう、えぇっと……」

 

「オーシェンです。この辺りの領地を治めております。今回は道案内とシビラ殿下の護衛にと」

 

 空になったコップを受け取りながら女騎士——オーシェンが名乗る。

 北の大国へと足を運んだ際、シビラが護衛として連れてきたのが彼女であった。

 

「オーシェンは光槍ビルガの継承者、『英傑』の一人よ。実力は期待して構わないわ」

 

「お戯れを……私はまだまだ若輩の身。ですが精一杯護衛の任は果たさせて頂きます」

 

 シビラの言葉に、オーシェンが恐縮とばかりに答える。

『英傑』と呼ばれる者は二種類に大別される。ソラスやアトナテス達のように千年戦争を経験した生ける伝説の英雄。そして、かつての英雄が振るった、女神の力を授けられし神器の継承者達。

 オーシェンは後者であった。

 

 雪原を歩きながら、シビラがオーシェンへとふと尋ねる。

 

「叡智の園、という地名に聞き覚えは?」

 

「寡聞にして聞き覚えはありません。私の領地は未踏領域に近いのもあり、荒唐無稽な噂話が絶えないもので」

 

「へぇ、例えば?」

 

 荒唐無稽な噂話という言葉にシビラが反応する。北の未踏領域、少しでも情報が欲しかった。

 

「そうですね……霞の向こう、巨大な竜の影を見ただとか、秤を持った怪しげな商人から理不尽な取引を持ちかけられたとか……後は北へ行こうとする旅人はいつの間にか人里の近くに戻されるだとか」

 

「……確かに荒唐無稽ね」

 

 オーシェンが思い出すように指折り数えて噂話を挙げていく。しかし、そのいずれもが与太話の域を出ない。叡智の園とは関係が無さそうなものであった。

 

「そうですね。北へ行ってあまりに過酷な環境から命からがら引き返してきた旅人からは良くそのような話を聞きます。領民の多くが吹雪が見せた幻だろうと信じてはいませんが」

 

 オーシェンが小さく苦笑いを浮かべた。

 そんなシビラとオーシェンの雑談を横目にアブグルントがぼそりと呟く。

 

「それにしても、書物一つを頼りに探すのは随分と無茶な注文よね?」

 

「褪せ人はその辺慣れてるみたいですねー」

 

 カゴメの視線の先、露払いとして先陣を行く褪せ人の姿が見えた。

 雪の中、鎧を身に纏っているにも関わらず軽快な足取りで前へ進んでいく。その顔に憂いの表情はなく、ただ淡々と周囲を探索し続けていた。

 

「彼が異界の英雄殿ですか……」

 

 オーシェンが褪せ人の方を見遣る。

 シビラから度々話は聞いていた。魔王討伐の立役者の一人にして、亜神達からも一目置かれる存在。

 オーシェンから見ても、その一挙手一投足は歴戦の戦士である事は見て取れた。しかし先代——つまりは彼女の祖父に言わせれば『そんな次元ではない』らしい。

 

 そんなオーシェンへとシビラが並び、声を掛ける。

 

「貴方にとって、彼との出会いは良い経験になると思うわ」

 

「それは一体……」

 

「貴方が英傑として生きていく上で、彼は良い先達ということよ」

 

 無論、見習ってほしくないところも多々あるのだが、そんな思いは流石に口には出さなかった。

 

 雑談を続けて歩く事しばらく、不意に褪せ人が立ち止まった。訝しげな視線が褪せ人へと集まる中、褪せ人がゆっくりと武器を構える。

 

「何か見つけたようね」

 

 そんなシビラの呟きの後、オーシェンもまた槍を構え、褪せ人に並ぶ。

 吹雪が視界を覆う中、複数の気配が此方へと近づいているのが感じられる。

 

「魔物でしょうか?」

 

「違う」

 

 警戒しながら呟かれたオーシェンの言葉を、褪せ人が言葉少なに否定する。

 明確な目的を持って此方へ近付いてきている。偶発的な遭遇とは考え難かった。

 

 霞の向こう、硬質な足音がこだまする。人よりも二回りほど大きな影が褪せ人達を見下ろしていた。

 

「……ゴーレムですか」

 

 此方を出迎えたのは鋼鉄の巨兵達。魔導によって造られたゴーレムであった。

 

『ここより先に何の用かな?』

 

 雪原に女の声が響き渡る。恐らくはゴーレムを介して此方に話しかけているのだろう。

 少なくとも敵対的な態度ではない。話の通じそうな相手がこの未踏領域に居るという事実が、先程まで懐疑的であった叡智の園の存在に真実味が帯びてくる。

 

「叡智の園と呼ばれる地を探しているの、何か知らないかしら」

 

「……へぇ、一体どこでその名を知ったのやら」

 

 シビラの問いに対して女の声が低くなる。ゴーレム達が一斉に動き出し、戦闘態勢に移る。無機質な単眼越しに、女の敵意が膨れ上がる。

 

「悪いけど、人類に手を貸すつもりはない。過ぎたるは及ばざるが如し。この地の知識は人類にとって手に余るものだ」

 

「待ってちょうだい! 私達はただ——」

 

 尚も対話を試みようとするシビラに、しかし女は聞く耳を持たなかった。

 一方的に、しかし安心させるような穏やかな声音で女は告げる。

 

「殺しはしない。君達は気が付いたら人里で眠っていて、叡智の園については何も覚えていない。そういう事さ」

 

「殿下、これ以上の問答は無用です。お下がりを」

 

 ゴーレムの群れに対してオーシェンがシビラを庇うように前へ出る。槍がオーシェンの戦いの意思に応えるように輝きを放つ。

 褪せ人もまた武器を構え、前に出た。

 今の問答で、この先に叡智の園がある事は分かった。多少強引な手を用いてでも話し合いの席についてもらう。そういう事は慣れていた。

 

 ゴーレムの巨影が雪煙を巻き上げる。

 吐息すら凍りつく極寒の地で、鋼鉄と鋼鉄がぶつかる音が間もなく鳴り響こうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「驚いた、まさかこれほどとは……」

 

 戦場より離れた場所で、女——アナベラは叡智の園を目指す侵入者達を観察していた。

 迷い込んだ旅人ではなく、明確な目的を持ってこの地に訪れた者達。世界からその存在を隠蔽し続けていた叡智の園にとってそれは予想外の出来事ではあった。

 

「光槍ビルガ、魔剣アンサラー……となると北の大国の王族達か」

 

 ゴーレムを相手に一歩も退く事なく立ち向かう彼女達の装備から当たりをつける。

 いずれも叡智の園の知識としてその武器については保管されている。故に、彼女達が何者か、そしてどういう目的でこの地に来たのかは推測出来た。

 

「だが、彼は一体……」

 

 アナベラが戦場の最も激しい一角を見遣る。

 デーモンや妖怪、種族すらバラバラな奇妙な集団。その中で一際異彩を放っているのはその男であった。

 

「奇跡の行使……だがあんなものは知らない。武器も、それに刻まれた文章も記録にはない」

 

 数多の武器を使いこなす戦士。知識の中に類似する英雄達の記録は残っているが、それは女性であったし、神の奇跡の行使もとなるといよいよ前例がない。

 今こうしている間にも、ゴーレムを相手に巨大な石の棍棒を振るい、叩き潰していた。

 珍しい石で出来ているようではあるが、特別な力は見受けられない。ただただ単純な質量の暴力。それはその男の膂力が並外れている事を意味していた。

 

 そんな男が新たに術を行使する。

 その身を竜と化し、咆哮。その巨大な口腔より青い魔力のブレスが放たれる。

 

「魔力のブレス、このゴーレム達ではひとたまりもないね」

 

 鋼鉄の巨兵。物理に対して驚異的な防御力こそ備えているが、魔力に対しては耐性を持ち合わせていない。

 瞬く間に手勢のゴーレムが全滅するのを見てアナベラが身を翻す。

 

「……ここは突破されるね。里長に報告しないと」

 

 先程彼女達にああは言ったが、実際のところ今の物質界の現状に思うところがないわけではない。それは恐らく、現叡智の園の長である彼女とて同じだろう。

 一度、彼女と相談しなければならない。

 

「同じ過ちは繰り返してはならない。見極めさせてもらうよ」

 

 かつて賢者は、長き戦乱を終わらせる為に人々に知識を与え——より悲壮な戦乱を引き起こした。叡智の園は、そんな過ちを繰り返さない為に造られた箱庭なのだ。

 

 先祖と同じ過ちをアナベラの代で再び引き起こすようなことがあってはならない。

 今一度その意志を胸の内に固め、彼女はその場を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 そこはまさしく本の森であった。

 見上げる程に巨大な本棚の壁。そこを埋め尽くすように本が並べられている。

 驚くべきは、その広さだろう。整然とされたその空間が遥か先まで広がっている。

 魔導書が一人でに飛び交い、本棚から本棚へと行き来するそこは、まさしく知識を求める者にとって楽園に等しい光景だろう。

 

 そこは無限書庫。叡智の園の賢者によって造られた無限に広がる知識の保管庫であった。

 

 その無限書庫の一角、椅子に座し、ただ無限に広がる空間を見つめる者がいた。

 それはこの世界最後の真なる竜にして、この世界に生み出された最初の竜人。

 

 ただ静かに無限書庫を見守っていた彼女は、ふとその首を動かしある方向へと目を向ける。そこもまた、無限に本棚が続く異空間であったが、彼女が目を向けたのはそれではない。

 

「——竜が来た」

 

 誰も居ない書庫の中、彼女の呟きが小さく響く。

 無限書庫というある種の異空間に居ながらも、竜である彼女はそれを感じた。

 この世界とは異なる、しかし確かな竜の息吹。

 

「——いや、違うな。竜ではなく、竜狩りか」

 

 彼女が己の言葉を否定する。これは竜ではなく、竜の力の簒奪者であると。

 

 少し前にも、似たような力を感じたことがあった。より強く、ともすれば真なる竜に匹敵しかねないそれをほんの一瞬感じ取ったのだ。

 その竜の力が世界に轟いたその少し後、この無限書庫の歴史書の中に、魔王の死が書き加えられていたのは彼女の記憶に新しい。

 

 ——魔王を殺した竜狩りが、この叡智の園へと近づいている。

 

「面白い、竜狩りの英雄など最早見る事はないと思っていたが」

 

 真なる竜がこの世界から数を減らし、今では竜狩りの英雄達も絶えて久しい。

 かつては姫を攫い、財宝を奪い、来たる英雄を待ち望んでいたものだが。

 

「何用かは知らんが、まぁいい。少し覗いてやるとするか」

 

 盟友との約定として、この地でただ独り番人を務めて数百年。老いた己の血を滾らせた英雄の顔ぐらいは見ておいてやろう。

 

「——汝、我が前に勇と剣を携えよ。竜とは挑戦を受ける者である」

 

 それは最後の竜にして最初の竜人——頂に座す者

 

 その名はアルコゥ。かつて幾多の生物を統べ、頂に座した古代竜。その最後の生き残りが今静かに目を開けた。




本当はここでルイン出したかったんですけどね……テンポとかその辺考えると中々難しいところです。
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