このひもじい厳冬に終焉を!
「ねぇカズマ、最近は特に思うんだけど」
「お前の言いそうなことは大体ろくでもないが一応聞いておく。なんだ?」
「なんで私達最近の食べ物が少ないのよ!」
「何言ってんだ、毎回毎回お前が余計なことをしまくって借金したせいで、どれだけクエストをこなしても天引きされるんだよ!それに今は冬だ。俺達にもできるようなクエストは大体安上がりなんだ。少しは俺の気にもなってくれよ…」
「なんでそんな事言うのよ、この前だって私の活躍がなかったらカズマはおろか、この街は魔物に蹂躙されてたじゃない!もっと私を労って!もっと私を褒めて!」
「そんなにお前の活躍がすごいなら、これからは借金を一人で返してこい。いいな?」
そう言って俺はギルドの椅子を立つ。何回目かなんて覚えられないぐらい毎度毎度のことだし分かってはいたが、やはり駄女神だ。現実を言わないと分からないらしい。
「待って、待ってよ、カズマさん!私が悪かったから置いてかないで、見捨てないで」
「おい、離れろ。皆見てるだろ。おい、まとわりつくなって」
「カズマが魔王討伐すまで離さないからー!絶対に絶対だからー!」
「おい分かったから離せって!おい鼻水つけるなよ」
「あのー…カズマさん?」
「はいカズマです…ってルナさん!?すいませんうるさかったですよね、すぐこいつ黙らせますから出禁だけは勘弁を」
「いえそういうことではなく…実は」
アクアのせいでギルドから出禁になってもおかしくないというのは事実だ。そろそろこいつも分かってくれるとありがたいのだが。それはそうとルナさんの話ってなんだろう?まさか、ついに俺と…?
「ギルドから直接カズマさん達にクエストをお願いしたいんです」
「ギルドからの直接の依頼?って絶対に危ないやつじゃないですか。流石にそんなの怖くて…」
「200万…」
「え?」
「200万エリスの報酬です」
どんな危なっかしいクエストが来るか分からない。そんな高額クエスト、できるならば喉から出るほどありがたい話だが難易度ゆえの高額報酬だろう。良い話ではあるが…ゴクリ。
「とりあえず、クエストの内容だけでも…」
「やるわ!」
「は?」
「やりましょう、私の腕も鈍っていた所です。久しぶりにドカンと一発ぶちかましてやりたいですねぇ」
「アクアてめえ何勝手に受注してんだよ、先ずは話を聞かないことには内容も分からないだろ。それにおいめぐみんお前どこから来た」
「失礼ですね、高額報酬クエストあるところに私ありというものですよ」
「ただの金満じゃねえか。それでクエストの内容というのはなんですか?」
「冬将軍の動向調査です」
「ごめんなさい無理です失礼しました。おいお前ら帰るぞ」
「何言ってるのカズマ?倒すわけじゃなくて調査よ。それで200万エリスも貰えるなら良い話じゃない」
「…お前、前回どんな目にあったのかもう忘れたのか?おい俺首チョンパだったんだぞ?そんなヤバい相手のもとにもう一度行ってあまつさえ調査しろと?絶対に嫌だね、今度こそ俺は全身八つ裂きだ」
「くっ、冬将軍。その話本当か?」
「おいダクネス良いところに。お前からもこいつらに何か行ってやれ」
「そうだな…冬将軍、クルセイダーである私の頭を地につけた因縁の相手だ。こうして再戦の機会があるのなら是非とも受けたい限りだ。それに今度こそ私はあの卑屈顔に陵辱され弄ばれるだろう。あ〜…」
何言ってんだ!そうだ、こいつ変態だったんだ。
「お前だって前回剣折られてただろ、クルセイダーにとって剣を折られるのは嫌なんじゃないか?」
「そうだな、今度こそ私の心も折られるだろうな」
「もう良いお前黙ってろ」
「でもカズマ、現実問題お金がなければ私達、冬を乗り越えられないのではないですか」
めぐみんのくせに痛いところをついてきてやがる。俺だってこんな報酬の良いクエスト、是非とも受けたい。だがとても危険なクエストだ。もしかしたら今度は俺じゃなく、めぐみんやダクネスが殺されるかもしれない。できるならば受けたくはないものだが…皆だって本当は分かっているのだろう。不安そうな顔を俺に向けてきている。
「お気づきの通り今回の依頼は危険なものです。ギルドとしてももっと強い人に頼むべきでしたが如何せん冬ですから受けてくれる人がいなくて……時間はありますから気持ちが固まってからでいいのでまた後日来て下さい。お願いしますね」
申し訳無さそうな顔を見せて俯くルナさん。彼女だって危険なことは充分承知だろう。それでも金に苦労してる俺達のためにわざわざ紹介してくれたんだ。そうだ…最初から心の中では既に決まっていたんだ。覚悟を決めろ俺…
「やります…」
「本当ですか?ありがとうございます!」
「そうと決まれば準備してくるわ!」
「私もコートを新調しに」
「ふふふ…冬将軍め、いやらしい目で私を待ちやがれ…」
コノヤロー!お前らさっきの顔はなんだったんだ!