「あの…大丈夫ですか?」
「あぁ…誰だか知らないけど助かったよ、ありがとう」
「いえいえ…」
さっきの白いローブの男が俺に手を差し伸べる。俺はその手を掴もうとしたが、途端に紫のショートヘアの女が男の手を取った。
「やっぱり危ないですよ冬夜さん」
「そうでござる。ユミナどのもそう言ってたではありませぬか」
「でも…僕にはそうは見えないんだよね…」
今度は日本風の袴を来た女性が俺を見下ろした。だが見下ろすだけでなくなぜか汚物を見るような目を向けている。話の筋からして白いローブの男は冬夜というらしい。てか日本風!?俺は驚きのあまり立ち上がった。
「【グラビティ】!」
冬夜がそう唱えるとさっきと同じように俺は再びその場に倒れた。だが不思議な感じだ。なんだか上から押さえつけられているような…
「大丈夫エルゼ?」
「はい、大丈夫です…でもやっぱりこの人助けなければ良かったのでは?」
何を言ってるんだこのエルゼとかいう女。少し胸がたわわなだけで舐めたこと言いやがって。
「まあ待ってよ。僕が見極めるからさ」
冬夜とかいう男はそう言って俺に銃を向けた。え?銃?俺はパニックになって何も言えなくなった。
「おいお前、カズマに何をする気だ!」
「こちらとしても手荒な真似をするのは本意ではない。少し待っては下さらんか」
「何を言う、助けてもらったのには感謝するが…」
「そうですよ、カズマに酷いことをしたら私が許しませんよ!」
必死にダクネスとめぐみんが助けようとしてくれる。だが見ての通りこいつらは銃を持っている。それに冬将軍を怯ませるほどの力だ。めぐみんの爆裂魔法があればもしかしたら…だが危険な目には合わせられない……
「まあまあ、今から僕が質問するからそれに正直に答えて欲しいんだ」
「うぅ…」
「君は誰?」
「カズマです…」
「ここはどこ?」
「アクセルの街の近くの雪山だ」
「あのモンスターは?」
「冬将軍だ…一応霊的なやつらしい」
「君達はどうしてここに?」
「あいつ―冬将軍の調査をするために来たんだ…」
「何か悪い企みとかしてるわけではないの?」
「そうだ…」
「……」
抵抗する力なんて残ってない。それに銃を向けられちゃ俺は素直に答えるしかなかった。俺…こいつらに殺されるのかな。
「ユミナが大丈夫だって。エルゼも八重も良いよね?」
「冬夜さんとユミナがそう言うなら」
「拙者も良いでござる」
「手荒な真似をしてごめんね。僕は望月冬夜。あっ、冬夜が名前で望月が苗字ね」
冬夜とかいう男は銃を下げて再び手を出してきた。会っていきなりこんな目に負わせられたのは納得いかないが…というか今望月冬夜って言ったか?明らかに日本人の名前だよな。
「もしかして望月さんって日本人ですか?」
「え?もしかして君も?」
「嗚呼そうだ…だが2人には内緒にしてくれ」
俺は冬夜の手を取って立ち、少しばかり耳打ちをした。流石に今ばれると面倒くさいことになるだろう。冬夜は快く頷いてくれた。けれど彼に寄った時3人の恐ろしいほどの目線を感じた。なんで?俺なんかしちゃったか?
それにしても冬夜の周りには可愛い女の子ばかりだ。冬夜の左には袴らしき和装をする八重…と呼ばれていた子。彼女が持っている刀ってもしかして日本刀か?ちゅんちゅん丸よりもかっこいいじゃねぇか。そして右には胸のたわわなエルゼ…と呼ばれていた子。魔法の杖を持っているようだ。冬将軍を攻撃していたのは彼女だろうか。あとユミナって言ってたっけ。姿は見えないがもう一人いるようだ。
「2人もごめんね、僕もちょっと警戒しちゃってね」
冬夜はダクネス達のもとにも寄って頭を下げていた。こっちに銃を向けた割には誠意があるようだ。一応ダクネスの怒りも収まるだろう。
「ふざけるな!カズマにそんなことしておいて何が警戒だ」
「カズマ!大丈夫ですか?私を心配させないでくださいよ…」
なぜかダクネスは思ったよりも怒っているようだし、めぐみんもいきなり俺に抱きついてきた。まあ悪い気はしないなあ…だがダクネスが剣を取ろうとすると八重は刀を、エルゼは杖を向ける。おいおいこれは不味いぞ。
「待って二人共」
「でも…」
「悪いのは僕たちの方だよ、ちゃんと謝らないと」
「冬夜さんがそこまで言うのなら…」
「本当にごめん、君達を心配させてしまったのは僕のせいだ。この通りだ」
そう言って冬夜は頭を下げた。流石に頭を下げた人にこれ以上怒る気は起きないようでダクネスの方も不満そうな顔は見せつつも剣を引いた。