「ねえカズマ、ウィズさんという人なら本当に直せるのかな」
「さあな、でも俺が知ってる中で一番そういう知識はあると思うぞ」
「そうなんだ…」
冬夜は腑抜けた顔をしながらこちらを不思議そうに見つめてくる。そういえばそうだったなと。というかなんで俺はこんな状況になってるんだ。
遡ること1時間ほど前、
「とりあえずウィズさん…?のところに行ってみよう。フレイズと戦うとなった時にいつもの力がないと戦いづらいしね」
冬夜がそう言うとエルゼと八重は持っている武器を下ろした。その様子を見てめぐみんとダクネスも引き下がる。正直こんなハーレム作って羨ましい限りだが、ハーレムを作るにはそれ相応の扱い方が必要なのだなと学びを得た。
「そうか?俺はもう少しこの体でいろんな魔法楽しみたいけどな」
「「「は?」」」
「すみません冗談です」
少し冗談を言ったつもりだったが、ここ一番の3人の殺気がこの空間を鋭く切り裂いた。ダクネスやめぐみん、アクアにはない女の怖さというものを久しぶりに感じた気がする。
そうして俺と冬夜は2人でアクセルの街に出かけた。めぐみん達やユミナさん達も来るのかと思ったがそっちはそっちでなんだか話したいようなので、男性陣だけでの外出になったというわけである。
「ああは言ったが正直なところ、君みたいな日本人と会えて少し嬉しいな」
「え?」
「この世界には何人も日本人が転生してくるらしいんだが、どいつもこいつも頭のおかしい連中でな。まあ頭がおかしいのはあいつらも同じだがな、アハハ」
「あいつらって…あの眼帯を付けてる子や騎士の格好の子?」
「ああそうだ、そういえば名前も言ってなかったな。中二病の方がめぐみん、ドMの方がダクネスだ」
俺がそう答えると冬夜は苦笑いした。
「そうなんだね…でも、正直君が羨ましいのかもしれない」
「なんでそんなこと言うんだよ。俺に言わせてみれば、あんなに女の子達から好かれて、チート能力も扱えるお前の方が羨ましいよ」
これは本音だ。どう考えても冬夜の立場の方が羨ましい。この体のままいたいぐらいだ。
「そうかな、確かにユミナ達は僕のことを好きになってくれる。でも、時折思うんだ。ああいう恋人よりも普通の友達が欲しいって。女の子に求婚されたり、王様や有能な部下と関係を持つことはあっても、もっと身近に一緒にワイワイ楽しめる友達が欲しいんだ」
「フン、贅沢なやつだな。別に、俺と冬夜はもう友達だろ?」
「え?」
「文字通り体を交わした仲じゃないか」
俺は冬夜の顔を見ながら自慢げにそう言った。
「その言い方はやめてよカズマ君!」
「まあごめん、ごめん」
俺らしくない言葉だったが、これも本音だ。同郷のよしみというのもあるだろうが、不思議と冬夜には物怖じもせずに心おきなく話せる。それに俺も冬夜の気持ちが分かる気がする。確かにめぐみんやダクネスは大切な仲間だが、やはり男友達もたまには良いものだ。
「でも、ありがとうカズマ君」
そうこうしている内に、アクセルの街に入った。そうだ、完全に忘れていたが俺はともかく冬夜は全く顔馴染みがないだろう。門の衛兵を切り抜けられるだろうか。
「おいカズマじゃないか、お前が野郎と2人で歩くなんて珍しいな」
「そんなわけあるか!」
「え?」
衛兵は驚いて目を大きくしている。そうだ、今の俺の見た目は冬夜だ。やばい、どうすれば良い。
「あはは。この人は僕の兄だよ、衛兵さん」
「そうなのか?…というかお前なんでそんな口調なんだ?」
冬夜が誤魔化そうしたが案の定怪しまれた。ああ終わった。というかお前いつもぐうたら門番やってるくせにこういう時だけ勘を鋭くさせやがって。とにかくここは切り抜けなければ…そうだ、あれがある。
「おいカズマ、ポケットのやつ渡してやるんじゃなかったのか?いつものお礼にって」
「え?」
最初カズマは不思議そうにしていたが、俺が言わんとしていることが分かったようで、ポケットに手を入れ『それ』を掴んだ。
「ああそうだね兄さん、はいこれを」
「おお!これはサキュバスのお姉さんとのの特別優待券じゃねえか!本当に良いのか?」
「ああ、良いよ」
「ありがとなカズマ」
衛兵は優待券を持ってすぐさまお姉さんのところに向かっていった。おいおいこの街の門番大丈夫かよ…
「カズマ君、あれは一体…」
「ああ、あれは特別な体験をするためのチケットだ。今度お前にも教えてやるよ」
俺は冬夜の肩を掴みニヤリと笑みを浮かべた。