夢主やめたい   作:燈葱

12 / 41
急募、かつての知り合い

 

 

 ローグタウン。

 それはかつて海賊王ゴール・D・ロジャーが処刑された終わりの街。であって大海賊時代の始まりの街。

 世間じゃ色々言われているおじさんではあるが、私は好きだったよあの人。猫可愛がりしてくれたし。なによりあの抱擁力で少なくとも私は"あの時"は怖がらずに生きられた。下っ端の下っ端で役に立たない私をうけいれてくれた、優しい人だったんだよ。世間じゃならず者の海賊だったとしてもね。

 だから人伝に聞く"船長"の話より、自分の目でみて体験して、思ったことの方が重要で。

 しかしまぁ、まさか同じように死刑台に上がるとは思ってなかったけどな!

 なんでこんなときは誰にも帽子を預けないんだよルフィ!

 

「これよりハデ死刑公開執行する!!!」

「いやだーっ!!!」

「私もーっ!」

 

 このままルフィの首がゴロンってすると漏れなく私は血塗れですからね!流石にそうはさせん!

 わたしはシマエナガに姿を変えるとぐぬぬっと必死に麦わら帽子から抜け出し、ルフィに剣を向けるバギーの肩へちょこんと乗って声をかえた。

 

「もしもし、バギーさんバギーさん。お久しぶりですミルーです」

「っだれだ!何処にいやがる!」

 

 ここですよここ。

 とは言えないのでひとまず黙っているのだが、処刑台の上でキョロキョロしていたら観衆に変に思われるのでは?

 ま、今はそんなこと言ってられないのですけれど。さーせん。

 

「あのときはたいっっっっっへんお世話になりました。シャンクスさんはなんかしつこかったので、バギーさんが手を引いてくれて感謝の毎日でした」

「っどこにいる!誰の話をしてっ」

「いきなり消えたのは申し訳なかったと思っていますが、これには深海より深いわけがありまして……。あ、でもバギーさんは変態になってないですよね?シャンクスさんガチでヤバめな幼女趣味になってたんですけど何故でしょう?」

「はぁ!?」

「なんなんでしょうねあのロリコっ……ゲフンゲフン、シャンクスさん。もう私では手に負えません、是非ともバギーさんがなんとかてくださいお願いします。じゃないと私の貞操がピンチです。SAN値ピンチです。マジでヤベェんですよ勘弁してください」

 

 グスン。

 あっ、ちょっとトラウマ思い出して涙出てきた。

 オヨヨと翼で涙を拭っていればバギーは立ち上がり、意味がわからねぇ!と発狂して剣を振り上げる。やっべ、死刑止めなきゃならんのだったと私が思った瞬間、広間からゾロの声でから静止がかかり難を逃れることができた。

 ごめんよルフィ、うっかり昔話に花を咲かせてしまっていたよ。別に助けようとしてなかったわけではないからゆるして。

 処刑台に駆け寄ってくるゾロとサンジを確認すると私はぴょいっと空を飛び、近場の建物へと避難する。多分二人がなんとかしてくれんだろうとか見守っていたが、ちょいギレバギーがルフィへ剣を振り下ろす方が早かったのある。

 

 あ、やべ。

 こんなところで死ぬ男じゃないんですがルフィは。

 

 いくら恩人のバギーであってもルフィを殺したらタダじゃ済ませんと視線を向けたそのとき、頭上から雷が降り注いだ。それは避雷針代わりに処刑台に落ち、ゴム人間であるルフィにはきかなかったがバギーには効果覿面。にいっと笑ったルフィは処刑台から解放され、周囲に集まっていた海軍から逃げるようにゾロとサンジと共に走り出した。

 ルフィの悪運強いなと笑いながら私は必死に翼を動かし一番近くにいたサンジの頭にピヨっと降りたって、ピーピー泣いていればそれに気づいたサンジが私をそっとポケットにしまってくれました。

 いやぁ、これで船までは安心して移動できたよね。ありがたやー。

 

 船は悪天候ながら出航し、みんなは各々の野望のために偉大なる航海(グランドライン)に誓いを立て、私もそこで高らかに言いきったのである!

 

「わたしは立派な人間に戻るために!」

「今はちげぇのかよ!?」

「人間に、もどりたいっ!」

「お前ハム介じゃなかったのか!?」

「早ク人間ニナリタイ!」

「人なの動物なのどっちッ!?」

 

 自分の意思で自由に生きられるものに戻りたいのだが?勝手にどっかに飛ばされたり人の性癖操作したりする不思議生物ではなく、ちゃんとした人間に戻りたい!何処かにあってくれ、人間に戻るチャンス!

 

「ンイ“ィィィィイイイ!」

「おいルフィ!お前のいもーと?奇声上げてんだけどぉ!?」

「にししっ!いつもの事だかんなぁー!」

 

 失礼な。

 私が変人みたいに言ってくれやがって。否定はしないがルフィに言われるのは気に食わん。

 その後メリー号は嵐の中進み、道中凪の海(カームベルト)に入り大型海王類(可愛い)の巣を抜けてリヴァース・マウンテンの運河入り口へと差し掛かった。

 グランドラインに入れればいいが入れなかったらその場でゲームオーバーで海の藻屑へと成り下がる運ゲーに勝ち、私たちは無事にグランドラインに入ることになったのであ、…………る?

 

「ん?」

「クジラだぁぁぁぁあ!」

 

 運河を抜けた向こうには巨大な鯨が待っていました。

 もしもこれが映画だったらそんなキャッチコピーがつくに違いない。

 ナミちゃんは鯨を避けて海流に合流しようとしたのだけれども、我が兄弟のルフィさんがそれを許してくれるわけもなく鯨をぶん殴りメリー号はそのままごっくんとされ。取り残された私とルフィへ何故か鯨についている扉を通って体の中へ侵入。

 もしかしてこいつ生き物でいらっしゃらない?はっ、私と同じ悪魔の実の被害者かもしれん。かわいそ。

 ナームとルフィの頭の上で鯨に同情していれば、大きな扉通ってみんなと合流することに成功した。行き当たりばったりで行動してるのに、本当に運がいいね!

 トポンと海?に落ちた私たちを引き上げたのはゾロで、何やらその他二名も一緒だ。一体どこのどいつだと観察してみるが、見たことがない人間だからよその人間に違いない。

 

 それよりも、だ。今日は本当に見知った顔に合うなと私はその人の姿を瞳に映した。記憶の中の気のいいおじさんよりも大分歳をとっているが、その特徴的な髪型は変わらないから私の知るその人で間違い無いだろう。

 メリー号を鯨、もといラブーンの体内から外へ出してくれた彼・クロッカスの肩に私は飛びって、彼が語るラブーンの物語を聞く。

 二、三年で戻ると言って戻らなかった海賊となれば、死んでいると思っても仕方がない結果だろう。しかしながらそれを動物であるラブーンに理解しろというのは酷なものだろう。

 

「だが事実は想像よりも残酷なものだ」

 

 死んだと思われる彼らは、グランドラインから逃げ出した。だから尚更ここには戻らない。

 まぁ、現実なんてそんなものさ。残酷じゃない人生を生きられる人間の方がこの世界では少数派だろうに。

 

「うぉぉおおおぉおおお!」

 

 クロッカスの話に耳を傾けて入ると、どうやらまたルフィがやらかし始めたらしい。手に持っているのはメリー号の折れた帆。それをグサリとラブーンにブッ刺してラブーンと喧嘩をおっ始めたのだ。ウケんね。

 

「引き分けだ‼︎俺は強いだろうが!」

 

 不意にルフィはラブーンに話しかけ、その言葉にラブーンも頭に疑問符を浮かべやているように想える。

 

「おれとお前の勝負はまだついてないから、おれ達はまた戦わなきゃならないんだ!お前のなかまはしんだけど、おれはお前のライバルだ。おれ達がグランドラインを一周したらまたお前に会いにくるから、そしたらまたケンカしよう!!!」

 

 は?え?

 私の兄弟尊すぎません?こーゆーとこだよねぇルフィのいいところ。おにぃちゃん尊い。さすおに。そゆとこ最高。推しうちわあとで作ったろ。

 

 その後ラブーンがこれ以上頭を傷つけないようにと、大変絵心のあるジョリー・ロジャーをルフィは描き出す。私はそれを手伝うことなく、ちょこんとクロッカスの肩に止まっていた。

 

「どうも今はシマエナガのミルーです。お久しぶりです。見習いの見習い時代は大変お世話になりました。覚えてない、かもしれませんが……」

 

 私にとって十年ほど前でも、きっとクロッカスからすれば二十年は軽く超えているわけで。数ヶ月しか一緒にいなかったお子ちゃまなんて覚えいないだろうけれど。

 

「……お前は。そうか、生きていたか。ならそれでいい。また会えて嬉しいよミルー。大きく、はないな。小さくなりよって」

「!!──本当はルフィと同じ歳だから大きんですよ!ただ、人型をとってないだけで人間でもあります」

「そうか」

「……なにも、きかないんですね」

「聞いて欲しけりゃ聞いてやる」

「んじゃぁ……」

 

 ルフィが絵を描き終えるまで。

 フーシャ村の人間にも、ルフィにもそんなに詳しく話していない過去の話と能力を私は彼に話してしまう。

 なんだかなぁ、あの時の船の人間はまぁ好きなのだ。陽気なおじちゃん、私、好きー。あ、あれだ。多分このおじさん方は私を"娘"のように思っていたから。どこぞの変態は変態になったけど、私が"保護者"を求めた結果、大人達は私を"守るべき対象"としてみてくれてたのだろう。

 まぁ、この能力の犠牲者っちゃぁ犠牲者だけど、変な思考に飛ばなかったから私は彼らを親のように慕ってしまっている。

 この能力、私の精神感情にも影響すんのか、コワ。

 

「お前はこのまま、あいつ等と共に行くのか?」

「んー、一応は。おにぃちゃんですし、帰る場所でもありますし。ラフテル?行ければなんかが終わるかなと」

 

 主にユメヌシとしての人生が!

 流石にラフテルに着く=原作終了。その後のユメヌシの活躍はない。と思いたい。できれば能力消す何かがあればいいなぁって。

 あ、海楼石?残念ながら使えないだよなぁ。もう試した。

 試したってか、贈り物が海楼石のアクセだったらしいんだよね。

 送り主?ロリコンさんだよぉぉぉおおお!貴方はこれを私に送ってどうしたいの?ってもう、なんか薄々気づいてます?コワ!

 毎年誕生日に送ってくんのも怖いからやめてよぉおお!ヒンッ

 

「このまま進むならば新世界に行った時は気をつけておけ」

「──なにに?」

「シャンクスがお前に執着しておったからな、幼いながら」

「モット早ク知リタカッタ」

 

 それを!幼少期に!知りたかった!

 そうすれば他人の性癖歪めずに済んだのにな!てか、知ってたならクロッカスも止めてくれよ切実に!

 大人なんだから、幼女を守って!

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。