か、かわいい!
もふもふやもふもふ!ちっこい!かわいい!ツノ生えてる!かわいい!喋ってる!かわいい!
「なまえはなんそす?」
「ひっ!喋った!?」
「お前がいうなっ!?」
ドラム王国にて、私達は船医を手に入れた。それもとても可愛らしいトナカイの船医を!
まあ、彼ことチョッパーが船に乗ると決意するまで色々あったがそこは割合しておく。なんてったって私戦ってないし、詳しいことは知らないので。私がわかっている情報はルフィが誰かと戦って勝ってチョッパーを手に入れた。ただそれだけ。それ以外のものはなし。以上。ナミちゃんの病気も治ったことだし万々歳である。
ちなみに今の私の姿はファプタだ。これはチョッパーとルフィが話している最中に、そいや変な生き物いたけどそいつはどこいったんだ?とチョッパーがつっこんだためフォーマルチェンジした。なんかいつも以上に周りの声がうるさかったがきにしなーい。気にしたら負けな気がするし。
「うーん、見たことねぇ生物なんだなお前。今まで見た図鑑にも載ってなかったぞ?」
「ファプタはファプタそす。ずかんになんてのってねぇそす」
むしろ私以外のファプタっているんですかね?
コテンと首を傾げているとチョッパーは私の周りをくるくるまわり、興味深そうに尻尾を触ったり四本ある手の動きを確認したりしている。別に嫌じゃないから私もそれに付き合っていれば、やはりチラチラとこちらを伺う瞳。手招きしてナミちゃんとビビちゃんを呼び込むと、必殺ファプタ団子になってふわふわタイムを開催してあげた。かわいかろ?
「あ、あったかーい!」
「気持ちいい!」
「ふふん!」
え、ファプタって人型じゃん。馴れ合っていいの?って?
私の姿じゃないから別によし。ファプタはモフモフ枠なので、そこに恋愛のフレグランスをかけられなければそれでオッケーなのだ。まさか船内にケモナーはいないだろうな?……よしいない!
ファプタがメスだと気づいたサンジがニコニコとお菓子をくれたが、女に弱いサンジは元からだから問題なし!
「って、モフモフしてる場合じゃなかったわ!ミルー、あんたって本当に何者なの?姿変えたり傷なおしたり、色々おかしすぎる」
「ファプタはファプタそす?」
「だから、そーじゃなくて!」
「ミルーはおれと同じ、悪魔の実食ったんだぞ?」
「それは見ればわかるわよ!なんの実を食べたか聞いてんの!」
いや、聞かれてない。
とりまなんの実を食べたか分からないと正直に話すと、ナミちゃんは今度悪魔の実図鑑で調べてみようということになった。てかそんな図鑑あるんだね。驚きだよ。
モコモコとファプタ団子になって冬島の海域を抜けると、今度は暑くなってきたので団子は終了し別の小さきモノの姿をとる。チョッパーはそれを見てまた驚いていたが、他のメンバーはもう慣れつつあるのか今度は何になるのと別の意味で興味を示していた。アラバスタは砂漠が多い国だしスナネコかトビネズミか迷って、結果的にトビネズミに決定。これならルフィの頭に乗れるので。
そんなこんなをしつつ、途中で海でオカマを拾いつつサヨナラしつつ。ようやく辿り着いたアラバスタ。ルフィは陸に着くや否や飯屋めがけて走り出したので、ぐわんぐわんと揺れる頭に必死にしがみついた。こんなことならもっとちゃんと指がある種族にしとくべきだったと後悔したが、今となってはもう遅い。ちくせう。
ドカンと誰かをぶっ飛ばして飛び込んだ飯屋でルフィはご飯を口に詰め込み、私は頭上で目を回し。ようやく目の前のキラキラが収まったと思えばまたルフィは猛ダッシュ。もうやめて、私のHPはゼロよ!と叫んだところでどうにもならないのはわかっている。が、叫ばせて!私のHPはゼロよ!
ヒィ!辛い!頭ぐわんぐわんとする!
と半泣きでいれば何処からともなく、親しみのある声が聞こえてきた。
「エース……!?」
「変わらねェな、ルフィ」
「──エース、たど!?」
何処にいるのおにぃちゃん!
頭をぐわんぐわんさせながら帽子から抜け出し、懐かしいその人の姿を見ると意識は覚醒。おにぃちゃんとその胸に飛び込もうとしたところ、なぜかルフィの両手に遮られまた帽子の中へ隠されて、逃走劇の開始。なんで何?私も、エースと、話したかった!
「後で追うって言ってたからだいじだろ!」
「そーゆー問題じゃない!」
三年ぶりぞ?兄弟揃うの三年ぶりぞ?
なんで感動の再会させてくれないの!?イ"ィィィィイイイ!
ジタバタの頭上で暴れる私をルフィは帽子で押さえつけ、そのまま船へ戻り出航。そのあまりにも無情な行動に思わずグズグズ泣いてしまったが私は悪くない。
「さっきの奴は、お前らの兄貴なのか!?」
「あぁ、おれ等の兄ちゃんだ!エースはおれ等より3つ上だから、3年早く島を出たんだ」
「しかし兄弟揃って"悪魔の実"を食っちまってるとは……」
「うん、おれもびびった!」
「え、何それ!?私見てないよ!聞いてないよ!ンイ"ィィィィイイイ!ルフィばっかずるいぃぃい!」
17歳の本気の駄々を見せてやる!
とショウガラゴ(猿)の姿で甲板ごろごろ尻尾パチンパチンしていれば、なぜかナミちゃんとビビちゃんにはニンマリされた。違う、そうじゃない。
我、ブラコン。我、憤慨なりぃ。
ムキーと怒っているんだと地団駄をふんずけていればウソップに首根っこを掴まれて撫でられる。なかなかいい腕をしてるな、なんて思っても褒めてやらんからな!一昨日きやがれ!
「とにかく強ぇんだエースは!!負け負けだったからな、おれなんか!だっはっは!でも今やったらおれが勝つね!」
「──お前が、誰に勝てるって?」
ルフィの根拠のない話に付き合いつつムッスーとしていれば、何処からともなくエースはメリー号に現れた。
それを見た私は一目散にウソップの手のひらからエースの顔面にジャンプしへばりつく。我、いもうとぞ。離してやるものか!
「おっと、あー、こいつァどうもみなさん。うちの弟どもがいつもお世話に」
「や、まったく」
「ンミ°ィィィィイイイ!エェェェエエエス!」
「ハイハイ、わぁーったからお前は落ち着け」
「エース、なんでこの国にいるんだ?」
それは私も思ったけれど。
どうやらエースは私たちがドラムでエースの伝言を聞いてアラバスタにきたと思ったらしい。が、そんな伝言聞いてないが?恨むぞドラム王国。
エースはひとまず私を自身の帽子の上に置き、私も離れないぞと意気込んでそれにしがみつく。ルフィとエースが何やら話し込んでいるが、私の意思はそこに反映されないので口を挟むことはない。
なんで反映されないかといえば、兄であるエースには私の意思は時と場合によりとんでも事故を起こす可能性があるからと伝えてはいる故に。ルフィは理解しきれていないが、エースはそこんところちゃんとわかってくれているのだ。だからハイパー懐いてブラコンになっているのだけれども。
「ホラ、お前等にこれを渡したかった」
「ん?」
「なんだこれ?」
ポイっと渡されたのは紙切れ。何も書いてないし、何に使うか不明だがエースが持ってろというのならば大切にしておこう。
「出来の悪い弟をもつと、兄貴は心配なんだ。おめェらもコイツにゃ手ぇ焼くだろうが、よろしくたのむよ……」
え、私は?ルフィだけ?ひどいのでは?
ぴょんぴょんと帽子の上で猛反発をしているとエースは私を掴み取り、手の上に乗せる。そして言い聞かせるように“いつものことば"をいうのだ。
「いいかミルー、逆にお前は出来が良すぎる。だから絶対に、戦おうとすんじゃねェぞ。わかったな?」
「……はーい」
「それでいい。後お前にもらった薬が役にたっちまった。もしも
「なんと!」
ということは、誰か死にかけた系か。ナムさん。
エースは私をルフィの頭の上に戻して二、三度撫でると、次に会う時は海賊の高みでだと言って船の船に戻る。私はまだ海賊じゃないんだけどなぁと思いつつも口に出すことはない。
「ウソよ、ウソ!あんな常識のある人がルフィのお兄さんなわけないわ!」
「おれはてっきりルフィにワをかけた身勝手野郎かと」
「兄弟って素晴らしいんだな」
「弟思いのいい奴だ……!」
「エースはね、私のモラルでもあるからね!すごいお兄ちゃんなんだよ!」
多分エースがいなかったら、私病んでた自信あるし。
敵=死んでもいい。殺してもいい判定しちゃってる私に戦わせないって言い聞かせるのはまぁ大変なんですよ。そういうやり方できちゃったグレた私に根気強く付き合ってくれたのもエースなわけで。
つまり何が言いたいかというと、私はめっちゃエースに対してのブラコン度MAXなんですわ。
たとえメリー号が次の港へ向かおうとも、私はじぃっとエースの消えた方角を見つめる。
ボンっと一瞬火の手が上がったように見えたが気のせいだろうか?いや、気のせいじゃなくともいいか、多分エースが勝ったのだから。
「んぎぃぃぃい、次会う時を楽しみにしてるっ」
「見た目と言葉があってねぇぞ?」
「イ"ィィィィイイ!」
ルフィの頭の上で、私は"次"にあうその時心待ちにしていたのである。
たとえそれが、あまりにも過酷な再会だとしても。