エースと別れた翌日、私たちは次の目的地ユバに行くために陸へ降りのだが、すごく暑い。ものすごく暑い。毛皮が、あつい!
昨日の街中はそうでもなかったのにとボフンと姿をサバクツノトカゲへと変えてみるが、それでも暑いのには変わらない。同じ毛皮仲間のチョッパーもヒィヒィ言ってるし、多分この暑さは防げるものではないのであろう。
私は歩く気がないのでいそいそとルフィの麦わら帽に潜り込むも、そこはそこでまた暑い。
早くビビちゃん問題終わらせてアラバスタを出たいと切実に願った。
道中ビビちゃんが何故国が変わってくれたのかとか話してくれたが、私からすれば世の中がそんなうまく回ってないのは当たり前の事実で、アラバスタはたまたまその渦中に置かれてしまったとしか思えない。幸せなんてずっとは続かないもんなんだし、王様が今までまともだったかアラバスタは平和だっただけで、外の世界に目を向ければ悲惨なものなんですわ。故になんで今更感がある。
ま、いやいやこの能力で色んな島に飛ばされた結果論だからビビちゃんと論ずることはないけれど。
えっちらおっちら砂漠を進み、鳥に食糧を奪われたりデカいトカゲを食べたり、ルフィが変なサボテンを食べて幻覚を見たりと色々あったが夜になりようやくユバに着くことができた。
オアシスって言われてたみたいだが水は全然ないし、これってやばいんでない?と帽子から出て首を傾げていれば、必死に砂漠を掘る人影を発見。宿ならいくらでもあると言ってくれたが、宿があってもねぇ?
「あの、この町に反乱軍がいると聞いてきたんですが……」
「……反乱軍に何のようだね。貴様等まさか反乱軍に入りたいなんて輩じゃあるまいな!!」
おぅち、おじさんマジギレしとる。
どうどうと怒りを収めてもらいつつ話を飽きていると、どうも反乱軍とやらは街からすでに出ていて本拠地をカトレアへと移したらしい。そしてそのカトレアはつい先日までいたナノハナのお隣。もっと早く知りたかった情報です。
また戻るのかとがっくし肩を落としていても何も変わらないので、私たちは結局ここで一夜を明かすこととなった。でもまぁ、ルフィさんのお顔が真面目なんですよね。
はいはいわかってますよ、助けたいんでしょー?はー、まじうちのおにぃさま主人公。もち、褒め言葉ですよ。
みんなが休もうとする最中外に出て、いまだに砂を掘っているおじさんの元へかけていく。何やらおじさんと話して地面に砂を掘って、その中で眠り出したルフィに呆れはするも嫌いにはなれない。かさこそと私は帽子から抜け出し、ルフィを寝床へ運んだおっさんがもう一度ここに帰ってきたところで致し方なしに声かけたのだ。
別にぃ、ルフィに感化されたわけじゃあないしぃ。
「おじさんおじさん、雨、降ったらうれしい?」
「──っ!?トカゲがしゃべった!?」
「それはもういいから。んで、雨降ったら嬉しいの?一度でもいいから、降ったら嬉しい?」
「……そりゃあ、もう三年は降ってないからね。降ってくれればそりゃ嬉しいに決まってるだろう」
「そっかぁ──。じゃあ、特別だよ?お礼はルフィにね、お水あげてね」
てなわけで。
マジカルペンを取り出す私。
「『熱砂の憩い、終わらぬ宴。歌え、踊れ!【
まぁ、私、ユメヌシなので。ユニーク魔法だって使えるんすわ。本当はやりたくないけど、飲み水が少なくなってるから仕方ないんだと自分に言い聞かせる。何でもできちゃうユメヌシ成分に精神がイテテとされるが、もうしょうがない。これは戦闘でもないしエースとの約束は破ってないからギリセーフ!
ユメヌシになりたくないと生きたいはイコールじゃないのよ、ニアリーイコール。状況によって変わるんだよ多分。
ポタポタと振り始めた雨におじさんは驚き、そして私のことをはヒョイっと持ち上げる。くるしゅうない、優しく撫でろと頭を差し出せば、潤んだ瞳で私見ていて、けれど言葉が出ないようでハクハクと口だけが動いていた。
「みんなには内緒だよ」
あれ?これは某魔法少女のセリフでは?
なんて思いつつ、その手の中でスヤァ。もうどうにでもなぁーれ!である。
翌る日の朝、出発前におじさんは樽に入った水をみんなへと配ってくれた。もちろん昨夜何があったかなんて誰にも言わず、一度でも私の目を見てにっこり笑ってくれたくらいだ。
やや、このおっさんいい人だわ。嫌な奴だったら私のこと囲おうとしてもおかしくないのにね。今の状況だと下手すれば神扱いされちまうし。へけ!
ユバから出てすこしたって、ルフィがやっぱりやーめた!おれクロコダイルぶっ倒したい!って我儘を言い出した時はどうしたもんかなって思ったら、まぁ、そうよね。反乱軍止めたことところで何にも変わんないし人はどう足掻いたって死ぬ。コレ体験談。
ワタシ、イッパイ死ニ戻リループシタ。コワイ。
元をどうにかしなきゃ一生終わらんのですわ。
「おれ達の命くらい一緒にかけてみろ!仲間だろうが!」
安心してくれ、もしもの時はイヤイヤながらユメヌシパワーでルフィは助けますので。
てなわけで、私たちの目的はクロコダイルぶっ倒しに変わったわけである。行くぜ!奴らの本拠地レインベース!
でついたぜレインベース!でも早速海軍を引くとか流石のルフィ、さすルフィ。
クロコダイルのいる建物まではまっすぐ行けばいいだけなので、まぁなんとかなるっしょと私は大人しくルフィの頭の上で待機。ガンガン揺れるし、クロコダイルとやらと戦う前に海軍と戦うのかなぁと思いつついつも通りに睡眠な入らせていただきます。
小さきモノはよく寝るので。
スヤスヤと眠って幾分が経つと何故が体がモゾモゾしだした。なんだっけなぁこの感じ。あーあれだ、どこぞの赤髪さんからもらったプレゼントを触った感じに似ておる。でもなんでこんなものを身近に感じるのかとちょろっと帽子から顔を出してみると、傷の男と何やら話をしているみんなの姿が見えた。あ、知らん人もおるし、あの人は海兵なのかもしれん。
「おい!!お前ェ!勝負、しホ……」
捉えられている柵に触るとルフィはぐでぇっとなるし、どう考えても海楼石の牢屋ですねこれは。なんてこったい。
まだ主賓が到着してないからとのんびり優雅に煙草を吹かしているのはどうやらクロコダイルというらしく、この騒動の元凶のようだ。下手に出ると私の存在もバレるしなぁと、ひっそりと帽子の中へUターン。ま、いざとなったらルフィさんが呼ぶでしょ、モーマンタイ。
なんて思っていたら主賓はビビちゃんだったらしく、目があったら即バトル並みにクロコダイルに攻撃をけしかけたらしい。そこの場面見てなかったけど、みんなの声でそう判断した。しかしながらクロコダイルは砂人間らしく、一般的な攻撃は通用することはなくて。いつのまにかビビちゃんは拘束されて、無理やり会談させられてるようである。どうやら今まさにクロコダイルが仕組んだ戦さが始まろうとしているようであるが、私たちは動けずにいた。
「あの野郎ォ!!この檻さえなけりゃ!!」
戦闘するなと指示さえなけりゃ、私がここで戦う。とはならない。だってそれはユメヌシの役割なので。私はただのルフィの妹なので。
いくらアラバスタが崩壊しようと、民衆が死に急ごうと心は動かない。だって動かしたら本格的なユメヌシにされてしまうのだから。
悪いなビビちゃん、私はそんな人間です。助けての声には知らんぷりします。大切なものだけ守れればいいのです。私はユメヌシじゃないので、世界なんて守れませんて。
都合の悪いことには耳をふさぎ、ルフィに呼ばれるまで反応を示さないのは幼少期から変わっていない。
だからあれだ、どうしても私を動かしたい時は、ルフィを頼ればいいってわけで。
牢の鍵は変なワニの入り場所に落とされ、それをワニが食らった。てことはここから出るすべはないに等しい。ビビちゃんが自分の命と引き換えに取ってきてくれる、なんてできるかどうか怪しいところだし。
「なんとかしろっ!おれ達をここから出せ!」
「クハハハ、ついに命乞いを始めたから麦わらのルフィ!!そりゃそうだ、死ぬのは誰でも恐ぇもんさ……」
「おれ達がここで死んだら!誰がアイツをぶっ飛ばすんだ!」
ま、ルフィさんは命乞いなんて、しませんて。
「……自惚れぬねよ、小物が……」
「…………お前の方が、小物だろ!!!」
「あ、呼びました?
うっかり呼ばれたと思って顔出したら、なんかシリアス場面だった。うっからりうっかり。
ウソップとナミちゃんがこんなとこにいたのかと叫んでいるが気にしない。チマっと体を外に出すが、どうやらクロコダイルさんは私の存在には気付いてないようである。やったね!怒ったルフィもなんか気付いてないし、どーしたものかと考えているとナミちゃんがガシッと私を掴み、なんとかならないのと懇願するではないか。
「えー、ワニさんに存在バレたくないなぁ」
「んなこと言ってる場合じゃないでしょ!!?」
「頼むよ!なんとかしてくれ!」
どうしようかなと考えて、チラリと視線を動かせばそこにはもう誰もいなかった。ならいいかとマジカルペンを取り出して『
「ルフィ、もうその檻、破れるよ」
ただの檻に変えたので。
そう言い切る前にゴムゴムパワーで檻を壊すあたり、私への信頼は高いのかもしれない。
「お前、何をしたっ──!?」
「んん?ただ、素材を変えただけですが何か?」
驚いた顔をする海兵さんにごめんねと尻尾を振り、その後も戦えと私に言ってくる二人はスルーさせていただこう。
「私、ルフィのいもうと。海賊じゃないし、戦わない!おにぃちゃんとの約束なので!」
じゃあなんで船に乗ってるのかって?
そんなのルフィに聞いて!