夢主やめたい   作:燈葱

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急募、ゴミ箱

 

 

 

 

 一緒に戦った仲間を助けてくれ!

 そうルフィに頼まれてしまえばノーと言わないのが私、ブラコンのミルーです。おにぃちゃんの言うことは絶対ですから、マジペン構えて『ゼロレイ』かけて、その後個別に『エピスキー』をかけて回復回復ー。体力余ってる方には回復薬処方しておきますねぇ。

 

「あなた、小さいのに凄いわね」

「そ?小さきモノですが、回復ぐらいはできるのです。初めましてミルーです」

 

 ムササビ姿で杖を振り回し駆け回っていると、ナミちゃんの友達?であるローラ?が私に近づいてきた。ので怪我を治してやった。有り難がれ?

 

「──ミルー?」

「そ、ミルー。ムササビのサビィでもいいよ。なんとでも呼んでー」

 

 名前を名乗ってあげると首を傾げたローラは何度か私の名前を呼んで、そしてじぃっとムササビである私の目を見つめた。一、二分そうして、ローラは気のせいねと小さく笑った。

 

「なんか私、あなたの事知ってるような気がしたけど気のせいよね。人じゃないし。怪我を不思議な力で治す人がいるって話を昔よく聞かされてたせいかしら?」

「んー、それは気のせいだね?」

 

 私、そんなに怪我治したりしてないし。積極的に使うようになったのはルフィと旅に出てからだしね!個別行動だと首チョンパの方が多めだし、そっちだと若干の顔バレが危惧されているからうっかり見知っていてもおかしくはないかもだけど。島津豊久、使い勝手良かったのにちくせう。許さんぞ海軍。

 

 その後も怪我人の治療にあたって、時折ゾロに回復かけに行ったりして。サンジが作ったご飯をモグモグ食べていれば、ブルックがピアノを引き出した。リクエストがあればそれを弾くといいつつピアノが奏でたのは、私のよく知った曲である。

 私は徐に走り出しタタタッとピアノに飛び乗って、陽気にブルックと唄いだす。何せコレはまだ良い思い出の曲だからね!ヨホホホー!

 

「おい、ブルック。ミルー!この曲おれ知ってんぞ!シャンクス達が唄ってた!」

「昔の海賊達はよくコレを唄ってました。辛い時も楽しい時も……!ヨホホホ!」

 

 ルフィとブルックが仲間とラグーンについて話している最中も私はフンフン唄い、ジャガジャンとブルックが半泣きでピアノを弾くのをやめれば唄うのもやめる。何せ伴奏がなきゃ声が響いてしまうので。

 忘れてしまいたいかつての記憶、何処ぞの能力のせいで歌う主になってしまっている私。そんな古のユメヌシ設定いらぬと叫んだところで、もう装備されしまったものは排除できないのである。くそぅ。歌姫的な役割はもうウタちゃんで充分だろ、やめさせてくれ!

 

「おう、何だ何だ!もっと弾けブルック!」

「そうだ‼︎鼻割り箸で踊るんだ!オレは!」

 

 鼻割り箸はどうかと思うよチョッパーと軽くツッコミながらも私もブルックの演奏を心待ちにし、トーンダイアルから流れ出すブルックの仲間の声と演奏に合わせて唄った。もちろんそれは私だけでなく、その歌を知る者全てが唄いだしたのである。ヨホホホー!懐かしいね!

 

「辛くない日などなかった、希望なんかも正直見えもしなかった。でもね、ルフィさん……。私!生きててよかったァ!!」

 

 長い間一人で旅をしてきたブルックにとって、今日という日はかけがえのない日になったのだろう。何せ影は戻ったし、麦わらの一味という新しい仲間もできたのだから。

 いやぁルフィが望んでいた念願の音楽家じゃんとニヤニヤしていると、ルフィの手によって私の体は中に浮く。何のようと首を傾げてルフィを見てみれば、そこには満遍の笑みを浮かべるルフィさんがいて……。

 

「ブルック!ミルーも超歌がうめェんだ!仲良くしてやってくれ!」

「ピッ!?」

「──ミルーさん、でしたか。そういえばその方はチョッパーさんと同じく動物でいらして……?」

「んにゃ?ミルーは人間でおれのいもーと!」

 

 オーマイガ。どうしてルフィさんは無責任にそんな発言をするの?歌が上手いのは知らぬうちに生えてきた"仕様"なんだよぉ。これ以上傷口に塩を塗り込まないで!

 ヒンッと身を縮こませていれば眼前にブルックが現れて、多分じぃっと私を見つめている。そして一曲どうですかと誘ってくるではありませんか。

 

「私、歌、唄ワナイ!」

「ご安心ください!大抵の曲なら合わせられます!」

「ヤメテ」

 

 そんな能力発揮しなくていいの!

 必死に拒絶してるっつーのにルフィはヘラヘラと笑っていて、それに気づいたサンジやナミちゃんロビンちゃんも参戦。もう私の逃げ場はないのかと必死にチョッパーに助けを求めてみたが、キラキラとしたお目目で見つめられるだけ。

 

「──モウ、ドウニデモナーレ!」

 

 逃げ場がないと悟った私は適当に唄って終わりにしようと意気込んだ。

 ただしかし問題は山積みだ。何せ私の能力はユメヌシになるというもの。こんな時に陽キャなハピハピな歌を歌わせてくれると思うか?くれないんだなぁ、これが。

 

「────」

 

 小さきモノの姿で歌ったのは、某銀河系歌姫達が必ずいっていいほど唄う愛の歌。もうひとりぼっちじゃないとか、あなたの愛を信じますとか、挫けそうな私を待っていてくれているとか。いや、私そんな思いしたことないんで。だからブルック!とその他大勢の皆様!私をそんな目で見ないでェ!違うの!誤解なの!

 

「まさかお前がそんな恋をしていたなんてな……」

「シテナイ」

 

 誤解です、フランキー。私恋なんてしてない。

 

「好きな人と、離れてて辛いんだなっ」

「ツラクナイ」

 

 むしろそんな人おらんよチョッパー。

 

「ミルー、アンタはもうひとりぼっちじゃないわ!」

「私たちがいるもの」

「ンンンン!違うんだって!」

 

 ひとりぼっちじゃないのは分かってるから!てかルフィもエースもいたから全然平気に過ごしてたんです!そんな慈悲深い目で見ないで美人二人組!

 

「ヒンッ、苦しいっ」

「──大丈夫か?」

「誰のせいだとお思いで?お前のせいだよルフィ!」

「えぇー、だってミルーの歌おれ好きだし。みんなにも聞かせてやりてェもん!」

「ング!絶対的光!」

 

 にかっと笑うルフィには敵いませんて。

 それでも何となくその場にいるのは辛く、小さき体をもっと縮めてその場から走り出し未だ寝ているゾロのフサフサ頭に忍び込む。流石に怪我人の頭には手を出してこないだろうし、私はこのままスヤァさせていただこうじゃないか!じゃないとかストレスマッハよ!スヤァ!

 

 

 

 てことがあったのが二日前。ゾロも起きたしそろそろ海に出るかって話になった時、ナミちゃんにローラちゃんが紙切れを預けていた。

 どうやらローラちゃんは生まれが新世界で母親が海賊だそうな。新世界で海賊やってるってことは強いんだろうな。

 そんなことはさておき、私とルフィが気にしたのはその話ではない。ナミちゃんに手渡されたその紙切れである。どうやらそれはビブルカードという代物で、新世界にしかないものでもある。自分の爪の切り端を持っていくと特殊な紙をつくってくれて、それを家族に渡しておけば離れていても何処にいるかわかるってものらしい。便利だね!

 

「おれら、それ一枚もってるかもな。もしかして……」

「エースにもろたやつだね!」

 

 いそいそとルフィは帽子から、私は毛皮からその紙を取り出してみると何故だか端が焦げ始めていた。何故焦げてるのかと首を傾げていれば、ローラちゃんの口から出た言葉に私はうっかり素の声が出た。

 

「この人の命‼︎ もう、消えかけてるわよ!!」

「えェ!?」

「あ"?」

 

 濁点がつく野太い声が出たが、間違いではない。

 何処の誰の命が消えかけてるだって?ご冗談はおよしなさいな。

 

「ルフィィィィィイイイ!私、エースのとこ行ってくるぅぅうう!イ"ィィィィイイイ!」

 

 ばさっとカモメフォルムに変え飛ぼうとした瞬間、思いっきり強い力でルフィは私の両足を掴んだ。そして深く麦わら帽を被るとダメだと私にいうのである。

 

「何でダメなん!?エースがっ」

「……エースにはエースの冒険があるんだ!それにいくらミルーにだって、エースは弱ェとこのんて見られたくねェはずだ!」

「でも!それとこれとは話しが違う!」

「エースだって自分の意思で海賊やってんだ!海賊でもねェミルーが口出す問題じゃねぇ!」

「っんだとゴラァ!」

 

 そりゃ、エースもルフィも危険があると分かって海に出た。私みたいに連れてこられたわけでもないし、妹だからと言っていちいち戦いに口を出されるのも嫌だというのもわかる。

 それでも命の危機が迫っているのに何にもしないなんて、私にはできかねる。

 だって大切な家族なんだ。

 エースは私の情緒だぞ?いなくなったら歯止め効かなくなるからな!わかる?私、敵に容赦ない殺戮マシーンユメヌシに成り下がって、いつかルフィと退治する役になるかもしんねぇぞ!その危険性が生まれるってのに黙ってられるか!

 

「えっと、ミルー?命の危機って言った私がいうのも何だけど、ビブルカードは本人が弱ると縮んで元気になると下の大きさに戻るの。だからこの人の命が本当に危険に晒されているとも限らないわ」

 

 病気だったり、大きな戦闘に巻き込まれていたり。そんなことでもビブルカードは反応するようで。

 ルフィに対してイライラとしてしまったのは確かだが、もしそんな状況で私がやってきたらエースの立場はどうなる?なんて諭されてしまえば渋々飛び立とうとするのをやめるしかない。

 だって兄に恥はかかせられん。アイツいもーときてのプークスクス。何でやられた暁にはそいつを生涯許さない。

 でもな、納得したわけではないから。引き下がるのに、納得したわけじゃないからな!

 

「もし、エースに、なんかあったら。……ルフィのこと全力で殴るからな」

「嫌だ!頭潰れるだろ!」

「あ"?」

「……一回だけだぞ。嫌だけど。てかエースに何かあるわけないだろ!」

 

 ルフィもエースのことを気にしてないわけではないのは分かってる。この船の船長としての立場もあるし、万が一クルーを危険に晒すわけにもいかないのだろう。ま、そこまで考えてるかは知らんが。

 

 だからこそ、ただの妹である私はこの気持ちを突き通すのだ。突き通してやるのだ。

 

「私は何よりも"家族"が大切だから。だから、いざという時は言うこと聞かないからね」

 

 

 戦っちゃダメだとか殺しちゃダメだとか。

 そんなもの、ゴミ箱にボッシュートしてくれる!

 

 

 

 

 




ユメイノ・ミルー
どう見てもブラコンの姿。
しかしながら何度も知らない場所に飛ばされて命の危険晒されて、時にはヒューマンショップに売られかけ売られ、拷問に近いことされて。もっといえば死に戻りループ体験なんかして貞操もあってないようなもんで精神死にかけてるのに能力補正でSAN値チェック成功したために狂えない状況。を支えたのが、童心(子供らしさ)担当のルフィと、情緒担当のエース。多分サボは兄弟愛に偏らないためのストッパーだったはずなのに、それが無くなったので兄弟愛ガンギマリ。おにぃちゃんのためならいっぱいころしゅ。になっちゃった。残念。
本編には書かれていないが割と能力にえげつない過去を作られてしまっている病んでる系ユメヌシにはされている。どんまい。
お前が愛されユメヌシになろうとしなかったのが悪いんやby悪魔の実


ルフィ
本当はエースが心配。でもヤバなことはしない。
うっかり本音が出て目がガンギマリになったミルーは普通に怖いし、本気で殴られればクソほど痛いのは知ってる。勝ったことないので。
ブルックに会えなければミルーを音楽家にしようとしてたけど、二人いてもいいよね!ってなってる。
ウタと違い暗い歌とか意味深歌を唄うミルーの姿は自慢したかった。からした。


麦わらの一味
姿の割に歌が上手いミルーに驚きながらも、歌詞が歌詞なのでお前、そんな繊細だったんか!ってなってる。繊細ではない勘違いや。
おにぃちゃんが関わると発狂しだすミルーに一瞬呆れたが、その目があまりににも決まっていたのでこわっ!てなってる。
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