ルフィ、エース共々目が覚めて数日後、カームベルト内にある女ヶ島に泳いで現れたのは他でもないレイリーさんであった。海王類の巣を泳いで渡るとか本当に人間か怪しんでしまうが、まぁ、ロジャー船長も似たようなもんだったし海賊王のクルーとなればなんでもできるのかもしれない。
私調べではレイリーさんはいい大人なので、ここに来られたからといって問題はないだろう。だって前回は見せなかった人型でご挨拶したら大きくなったねって言ってくれたし、無事で何よりって頭を撫でてくれたので。きっとここに来たのにも意味があるはずだ。
レイリーさんは世間ではエースが生死不明だがマグマで焼かれたことから死んだとされていると教えてくれて、ほとぼりが覚めるまで身を隠すのも手だと助言してくれた。しかしながらエースはエースでオヤジこと白ひげと、自身を助ける為にマリフォードまで赴いてくれた仲間の安否も気になるそうで近いうちに会いに行くと。けれどもまぁ、白ひげたちにも死んだと思われてそうだなと思う。
何せ一度心臓が止まったせいか、ビブルカードは燃えてしまったので。
「じゃあ私がエースを乗せて飛ぼうか?」
「飛ぶって、どうやって?」
「ドラゴンか!?またドラゴンになるんだな!!?おれも乗りてェ!」
「残念ながらドラゴンではないんだなルフィ。あれはお腹空くから無理」
それに今は人型しかとれないし。小さくなれないのに大きくなれるはずもないと思う。
てなわけで飛ぶ、といえばお世話になった箒である。多分エースを乗せるくらいならなんとかなるだろう。そう思って一度箒を呼び出して跨り、ふわりと飛んでみたらルフィのお目目がきらめいた。大変可愛らしいのであとで乗せよ。
「……できれば、ミルーも表立って行動は避けた方がいいかもしれん」
「え、何故に?」
「これを見なさい」
ポイっとレイリーさんから渡された新聞の中には3枚の手配書が。そこに移されていた人物は私にとって大変馴染みのあるモノたちであった。
『"断頭"の島津 二億五千万ベリー』
『"最果ての姫" ファプタ 一億二千万ベリー』
『"厄災の魔女" ミルー 五億ベリー』
「ファッ!?」
なんで私が賞金首になってるんですかね?厄災の魔女とか、厨二的な二つ名とかあるんですが。
ハワワと口元に手を当てて焦っていると私の手から手配書を奪い取ったルフィはすげぇな!と褒めてくるし、エースはエースでやっちまったなと私の頭を撫でる。
それで持ってレイリーさんは一体何もやらかしたんだと私に尋ねてきた。
「……いっぱい」
「うん?」
「いっぱい、殺したかなぁ。なんて?」
「ん?」
あ、はい。レイリーのこめかみがピキってなった。ついでにいえばエースの頭を撫でる手の力が強まった。
「詳しく聞こうか?」
「……エースを殺そうとする海軍は敵なので、見境なしに?容赦なく?細切れに?殺しました、いっぱい。でもあっちが悪いんだよ、私の家族に手ェ出したんだしたのはあっちだもん。奪おうとするなら奪われたってしょうがないでしょ。撃っていいのは撃たれる覚悟がありはやつだけって言うじゃない」
「──ミルー、君は」
「だってっ、そうしなきゃ、エース死んじゃうんだもんっ」
敵が弱かろうが強かろうが、目の前に立ちはだかるなら殺すしかないじゃない。じゃないとあいつ等蛆虫のように湧いてでるし、数は減らしておいて問題はない。それになりより今後エースに手を出したらまた同じ惨状作ってやるって牽制にもなるはずだ。
「海賊になる気はなかったけど、守るために使った能力ですし。その結果がこれならまぁ仕方ないかなとオモイマス」
ま、初頭手配書で億いくとは思ってなかったけどな。
「ちなみに、他の二人について何か知ってることは?」
「あー、それはー、そのー」
「シマズもファプタもミルーだぞ!レイリーのおっさん!ミルー、すげぇだろ!どっちもすげぇ強ェんだ!」
にししと笑いながら誇らないでルフィ。それとそれは言わないでほしかった情報や。
ほら後ろ見ろ、ハート奴らまでソワソワし出しちゃっただろ!もう嫌ぁ!
「──詳しく聞いてもいいだろうか」
「ハイ」
レイリーさんには逆らえませんって。ゲンコツいたいもん。
ちょっとピキったレイリーさんが怖いのでエースにバックハグをしてもらい、ボソボソと能力の説明をする。どうせユメヌシ云々言ってもわからないだろうから、姿を好き勝手に変えられこ事と、やろうと思えば大抵のことはできてしまう事。能力のバグで色んな場所に飛ばされちゃうので主に豊久の姿では色々やってきたことをチマチマ語らせていただいたのである。
「ホラ、見てくださいよこの筋肉のなさそうな弱々しい腕を!これじゃあ首を刈り取れないので戦闘民族と名高い島津豊久の姿をお借りしまして……、スパッと一発で首を切り落とす!すると首がお金になるんですよ!」
すごいでしょ。ドヤァ!ってやったらエースに怒られた。ごめんなさい。
いやだって、詳しく話せって言われたから。どうやって生存してきたか話さなきゃと思いまして。え、そこまでは話す必要なかった?そうですか、すいません。
「すまねぇ、レイリーさん。ミルーは小せェ頃に常識とかモラルをどっかに捨ててきちまったみてェでよ、人を殺す事に躊躇いなんてねぇんだ。今後はもっと目を光らせておくから、今は追求しねェでもらえると助かる。これでも色々あんだよ、コイツには」
「それはなんとなく分かったが、その能力は使い勝手が良すぎる」
「そうなんだ、だからこの先もなるべく戦わせないように言い聞かせとく。じゃねェと敵には容赦も情けもねぇ戦いで死体が積み重なるだけだからな。……わかったな、ミルー」
「ワタシ、タタカワナイ!」
「それでいい」
でも反撃はしますが。目には目を歯に歯を。殺意には殺意を。
しかしまぁ、エースが駄目っていうなら戦いませんて。一応は。
あーこれはやりすぎなんだろうなぁとか、敵対する理由聞いた方がいいんだろうなぁとか一応後から考えることは考えるよ。考えるだけで殺してるから意味ないけど。じゃないと大軍で殺そうとしてくるかもだし。手配書が出来たのがそのノリじゃない?ヤバい奴がいたから手配して捕まえるか殺す。
でもあの時あの場のいた海兵全部ヌッコロしてれば私の平穏と家族の平和は守られたってことでしょ?誰も私を知る人はいなくなるから。
だから出来るかどうかじゃなくて、そうすれば安全だって話なだけ。
「育て方を間違ったか……?いや、でも」
「いえいえ、こうなったのは能力のせいなので。誰のせいでもないですよきっと」
だからレイリーさん、安心してください。昔海賊船に乗ったせいではありませんから。
とまぁ賞金首になってしまった私の話は置いといて、今度はルフィの話しらしい。
レイリーさんはルフィにこれからシャボンディ諸島に戻り新世界は向かうのかと聞いて、ルフィは少し悩む素振りを見せた。いつもなら行く!って張り切りそうだけどどうしたんだろうと思っていれば、今のままでは駄目な気がすると真面目な顔で答えたのだ。
「エースは生きてる。けどそれはミルーがいたからだ。おれだけじゃあどうなってたかわかんねェ。仲間が心配だし会いてぇけど、このままじゃいけねェ気もすんだ」
「──そうか、なら私の提案にのらないか?」
「提案?」
「嗚呼そうだ、のるかそるかはキミが決めろ」
ルフィがレイリーさんの提案にどう反応したところで、とりあえず私はルフィについて行く気でいるんだけどね。
一応、麦わらの一味のみんなの安否確認したいので。
割と、絆されてるみたいなんだよ私。ちくせう。