箒に乗って何処までも、とは言わないですが現在私たち二人はグランドラインを逆走中。エース曰く、あの戦争で白ひげの船・モビーディック号に傷がつき、修繕の為ウォーターセブンに向かったのではないかとのこと。まぁあんだけの戦闘があれば、ちゃんとした船大工がいないと直せない個所が壊れてても納得がいく。新世界に行ってなくてよかったなと思いつつ、ウォーターセブンには一方的な顔見知りがいるのでそこにいく前に出会いたいものである。
途中の島の島で服を買ったり食料を買ったりしたけれど、運がいい事に海軍もいなけりゃ賞金稼ぎに狙われることはなかった。が、残念な事実も判明しやがりました。
なんと、前と違って成り変わり主になりにくくなってるじゃありませんか!ちくせう!
なれるっちゃなるのよ、豊久にもファプタにも。ただ飛龍種になった時と同様にひどくお腹が空くようになったけど!カロリーが必要になったけど!そんで持って小さきモノも数時間のキープしかできなくなったんだが!?私をいじめて楽しいか能力さん!そんなにこの身体ユメヌシやれってのか!
そりゃなんでも差し出すと言いましたけど?成り変わりも動物主も、同じユメヌシだろうに!クソ野郎。ンギィィィィィイイイ!
絶賛プンスコしながら空を飛んでいれば、ある日の夕暮れ間にその鳥はやってきた。綺麗な青い翼を持つ大きな鳥、エース曰くマルコって名前の人らしい。
「マルコー!!!」
「ッエースか!?お前、生きてたのかよいっ!!?」
あ、その姿でも話せるんですね。ちょっと名前から可愛い声を予想していたのでびっくりです。
どうやらこのマルコさんとやらは船から不審な飛行物を発見し偵察として見にきたらしく。まさか箒で飛ぶ人間がいるとはと驚かれた。
この世界には箒で飛ぶ魔女の童話とかないんかな?海ばっかだし。金属製でないにしろ飛行機の姿も見たことないし、飛行すること自体があまり考えられてないのかもしれない。
まぁ、そんなことはさておき。
マルコさんはオヤジに知らせてくるよい!と船に戻っていった。
なんていうか、エースがエースだって一度は疑った方がいいんではと思うの間違いだろうか。ビブルカード燃えてるし、本物か分からなくない?まぁ、本物だし証明の仕方分からないから別にいいんだけどさ。
それから十数分ほど飛んだところで、サニー号よりもかなり大きめなモビーディック号の甲板に私とエースは降り立つこととなる。そこそこ急に来たにも関わらず甲板には多くの乗組員がいて、お腹がグルグルしてくる。つまりはストレスですね。能力上、人が苦手なもんで。お腹痛い。
しかしそんなことお構いなしのエースに手を引かれて、私はいろんな点滴を取り付けている白ひげの前へ連行されたのである。
「オヤジ!」
「──無事だったか、エース」
「一回心臓止まったらしいが、しぶとくしがみついてやったぜ」
しぶとくって言うな、私が泣くぞ。
嬉しそうに会話をするエースの後ろからまじまじと白ひげを観察し、やっぱりデカいなと感慨深く頷いた。
私は決して小さくはない、と思ってた。だって150はあるし、多く見積もって160届かないくらい。決して小さいわけでないのだ、元の世界調べては。
ただしナミちゃんも170近くあるしロビンちゃんはそれより大きい。薄々気づいていたのだけど、私ってもしかして生態が地球産生物に近いんじゃね?体型もこの世界じゃ幼児体型ですし。村じゃ十七歳に見られないことは多々あった。
つまり何が言いたいかといいますと、この身はすでに、トリップ主仕様に作り替えられていたのではと。
だって何処にいっても女の人はボンキュボンなんだよ!手のひらで収まるほどの乳の人いなかったもん、腰が私より太い人おらんのよ!?みんな臓物何処に収納してるのさ!そんで持って背もこれ以上伸びないんだろ?どう考えたって人種が違うに決まってる。
酷い、絶望した。どう考えても私は小人。どう足掻いても小人、気づきたくなかった。グスン。
「……で、エース。お前はいつになったら後ろに隠れてる奴を紹介してくれるんだ?」
「あぁ!そうだったそうだった!──オヤジ、こいつはおれの妹でミルーだ!」
「……先日は兄共々大変お世話になりました。こちらつまらない物ですがお納めください。ちょっと先にある島の銘菓ですが、気に触るようであれば捨てていただいて結構ですので」
流石にエースの後ろから挨拶するのは失礼かと隣に立って、用意していたお菓子を差し出し頭を下げる。なかなか受け取ってくれなくて顔を上げればじぃっと見ている白ひげと目が合うし、エースも目を見開いて驚いている。一体何があったんだ。
「ミルー、お前。礼儀正しくできたんだな!」
「そりゃできるわ。もう十七だ」
「ルフィはできないけどな」
「まだ十七だもの」
いいんだよルフィは。あれで人たらしなんだから問題ない。いざって時は大人組が何とかしてくれると私は信じている。
エースとそんなやり取りをしていればパイナップルみたいな頭の人がお菓子を受け取ってくれて、私はそそくさとエースの後ろに戻る。流石にまだ帰っちゃ駄目だよなと思いつつお伺いを立てるとエースは首を振るし、白ひげはグラララと笑った。
「息子が戻ってきた祝いだ、お前さんも飲んでいけ!」
「お酒はちょっと……」
酒に弱いのでご遠慮させていただきたいとお断りしたのだが受理されず、強制的に宴に参加させらでたのである。アルハラ辛い。
渡されたマグに並々と注がれたのをちびっと飲んでみるとフルーツジュースっぽいし、それなりに考慮はされたのだと思う。
だがしかし、だがしかしだ!どうも居心地が悪いのだ。意地でもエースの側から動かんぞと引っ付き、誰かがエースを呼べばそちらへフラフラ。待ってていいと言われても断固拒否で首を振る。だって白ひげクルーのお目目が怖いので。
私なんかしましたかね?そんなに穴が開くほど見られる何かしました?いっそのことエースが隣にいる時に来てくれれば何でも答えますから睨まないでください。マジ恐怖。オウチカエリタイ。
普段から人目を避けていた私にとっても注目されるのはただのストレスでしかないのだ。タッケテ。
「──あ、そういやミルー。お前に会いたがってた奴いたんだけどよォ」
「え、会わなきゃダメなやつ?」
「サッチ!」
「えぇ、そこで呼んじゃうんか」
私の顔を見てくれおにぃちゃん。妹は人に会う余裕なんてねぇんだわ。
しかし呼ばれてしまったのに会わない、とはできなくてエースの後ろに隠れてサッチさんとやらと顔を合わす。どう見ても髪の毛がリーゼント。でも目のとこの傷がちょっとルフィに似てるような気がしたけど、よくみると違った。ルフィに会いたい。妹はすでにホームシックですよ。
「よ、嬢ちゃん!おれはサッチ。あんたに助けられたんだ」
「はぁ、さいでっか」
「え、反応うすくない?エース、本当にこの嬢ちゃんであってる?」
「ミルーは基本人が苦手だから塩対応なんだ。ミルー、こいつァミルーの回復薬で助かった奴なんだけどよォ」
「──なるほ。じゃあこちらをどうぞ」
そういって差し出したのは回復薬セット。差し上げますのでちょっと離れていただけます?
「いや!それが欲しいわけじゃなくてな!?あー、でも貰えるならありがてェけど。マルコとデュースが気にしてたし。でもそうじゃなくては、おれはただ御礼が言いたくて」
「おれい?」
「嬢ちゃんの薬でおれは今ここで生きていられてる。あんがとな!」
「どう、いましまして?」
いや、あんたに薬を使う判断をしたのはエースだからそっちに感謝してください。
いい年したおじさんのキラキラした笑みにオゥフと圧倒されながら差し出された手を握りると、グイッと引き寄せられた。そして深々と頭を下げられたのである。
「それとな、あん時もいろんな奴助けてくれただろ?本当に感謝してんだ。──ほら見てみろ、みんな嬢ちゃんに話しかけたくて仕方ないねェって顔してんだろ?」
「え、いや。あー、ソウナンデスカ」
「あぁ!」
やめて、その笑顔が辛い。私はエースが悲しむから助けただけで、善意ですらなかったのだから。
サッチさんに絡まれたことでワラワラと集まり出すクルーに怯え必死にエースに助けを求めるも、そっちもそっちで囲まれている。コヤツ仕組んだな!とサッチさんを睨んだところで何も変わりやせず、やってくる人たちの対応に追われたのである。
私が覚えてないだけで大量の人を回復させていたみたいで、そりゃぶっ倒れたわけだと今になってようやく納得。でも逆に言えばここまで無理しなきゃ倒れることは無いのだろうと、自分の実力を知る機会であった。
といったものの、白ひげのクルーは多すぎて流石に目が回り始めた。名前を言われたところで覚えらんないし、覚える気もないのでそろそろ解放してくれないだろうか。エースを探してももう見えるところにいないし、泣きそうである。
「──っ」
さてどうしたものか。今の私は幼子並みに弱いぞ。何故ならば大勢に囲まれているので。ここで能力が勝手に発動したらと思うとかなりキツい。もはや逃げ出したいレベルである。
「おい、そろそろエースの所に帰すよい。嬢ちゃんもこっち来な」
「──スイマセン」
アワアワとしていた私に助け舟を出してくれたのはパイナップルの人だった。その特徴的な語尾に聞き覚えがあるから、多分鳥の人だったはず。その人は私の手首を掴み、エースがいる方へと連れて行ってくれるみたいだった。
「タスカリマシタ」
「うちのモンがすまねェねぃ。エースから嬢ちゃんの話は聞いてたんだが、まさか会えると思ってなかったからよい。みんな興味があるんだろう」
「そーですか」
「ま、おれも嬢ちゃんに聞きたいことがあんだけどねぃ」
「……聞きたい、こと?」
「アンタ、島津とどういった関係なんだよい」
「……豊久?」
島津と言ったら豊久ですが、もしかして私はこの人の知り合いの海賊とか首チョンパしてる感じでしょうか?関係性を聞くって事は、姿変えた瞬間は見られてない感じで?
振り返ってこっちを見てくるその人に何で答えようかと思考を巡らせ、ルフィがいない今なら普通に簡単に嘘つけることに気づいて嘘をつく。ただの知り合いですかねと。うん完璧。バレないって素晴らしい。って思ってたわ。
「……嘘だな」
「へぁ?」
「瞳が右に動いたし、脈が若干速くなった。女は嘘をつく時髪や顔を触るんだが、今、髪をすいたよな?」
「ピ」
「で、関係性は?」
白ひげのお船怖い。
まさか手首掴んだものわざとですか。そこまでして知りたい情報ですか?え、私、誰の首チョンパしたんでしょうか。恋人?家族?親友とか?
謝ろうとか思いませんが、だって仕方がなかったのでと開き直ることしかできませんが、ここに来てそんな展開ある?何てこったい。
「え、え、ぇぇ、え」
「え?」
「エェェェエエスゥゥウウウ!」
へるぷみーおにぃちゃん。あなたのいもうとはもうだめです。
「ミルー!!?どうした!?」
「こわ、こわ」
「え、こわ?──マルコ、ミルーになんかしたのかよ?」
「……知りてェこと聞いただけだよい」
「それって、何だ?」
腕を振り払い、私は駆けつけてきてくれたエースの後ろに急いで隠れてその人の顔色を伺う。
怒っているわけでもなさそうだが、若干不機嫌そう。周りにいた人たちも何だ何だと注目し出すし、本当にどうしたらいいのだろうか。
もういっそのことルフィの元に帰ろうかなと意識を明後日の方向は飛ばして、お空綺麗と天を仰ぐことしか私にはできません。
「島津。お前らと島津について知りたかっただけだよい」
「島津ぅ?──あ、トヨヒサか!」
「……名前呼ぶまでの仲ってことか」
「いや、それは何というか。まぁ、うん、その。……知り合い、だ!」
エースからしたら島津は知り合い。間違ってない。
ルフィと違って私だぞ!って言い切らないけど、こっちを見て言わないであっちのマルコさんに言い切って欲しかったんだがな!
「──何処にいるとか、連絡先を教えて欲しいんだよい」
「おれは知らねぇなぁ。な、ミルーも知らねぇよな!?」
「シラナイ!」
ぎゅっと目を瞑って断言する。瞳の動きとか見て嘘だとバレたから、もう二度とこの人の目を見て話してやるものか!
必死にエースの後ろに隠れ首をブンブン振りまくっていれば、マルコさんは深々とため息を吐いた。諦めてくれたのかななんて思いきや、まぁ、そのうち吐かせるかと恐ろしい言葉を残して去っていたのである。
「……おい、ミルー。何やったんだ」
「ワカラナイ」
だからそんな目で見ないでよおにぃちゃん。私の方が知りたいんだよ。
でもまぁ、連絡先って事は復讐心とかではない?でもここにきてビーでエルのユメヌシ設定やめてよ?
ワタシ、ソンナノ、望ンデナイ!