─お風呂事情─
いくら小さき命とて、船に乗っている以上何もしなげにはいかぬ。ただ飯より怖いものはないと、任せられた仕事が私にはある。
それつまり、ルフィのお風呂のお供である。
「ルッフィ!お風呂タイムじゃぁァァアアア!」
「えぇー、この間も入ったからヤダ」
「臭いと頭の上のれないのだが?」
「臭くねェし!」
「くさいが?主に戦闘後はな」
グヌヌと唸るルフィの頭の上でぴょんぴょん跳ね、ついでにチョッパーにも入ろうと声をかけてる。何故ならば二人は能力者なので迂闊に湯に浸かると溺れるのだ。監視の目がいる。
私も一応能力者だが浮くし、ちょっとだるくなるだけだがら問題ない。こーゆー時は便利よねと思ってしまうが、能力であること自体デメリットなんだよな。うん。
「ほれいくぞー」
イヤイヤながらもついてくるルフィと、心配そうにこちらを見守るウソップ。安心したまえ、フーシャ村でもルフィのお風呂のお供は私だったからな!ちゃんと人型でも水着使用してたから!マキノさんに口が酸っぱくなるくらいに言われてましたから!だから!メスなのに?って顔しないでサンジ!メスだけど!メスじゃないの!小さきモノなの!
シュパパン!と服を脱ぐルフィとチョッパーから目を逸らし、水着着用のもとお風呂へゴー。
私ですか?ちゃんと洗いやすいようにお猿フォルムです。水着は来てません。だって小さきモノはいつもスッポンポンですからね!へけ!
ザバンとルフィにお湯をかけて、頭を念入りに洗う。私のお家ですからね、いい香りをさせておきたいのでちょっといいシャンプーを使っています。前にナミちゃんがルフィからお花の香りがするっていっておりましたが、正体はこれです。任意です。
ゴシゴシ洗ってマッサージもして、ザバンとお湯をかけトリートメントも抜かりなく。フワフワのベッドになりますからね!
髪が洗い終われば沈まない程度に張ったお湯につけて100まで数えるのよーといっておく。
その隙に私は専用ブラシを持ってチョッパーの元へ。
するとチョッパーさんも私用の小さなブラシを持っているのでキャッキャと洗いっこを開始。
あー、至福の時。モフモフは尊い。
「ミルーはいつもサルになるよな!」
「手が使えるからね!あとハムだと沈むとやばい!」
「確かに!」
たまにチョッパーとのお風呂タイムも眺めたそうなロビンちゃんがいるのだが、チョッパーは一応男の子なのと、もれなくルフィがいるから遠慮いただいている。まぁその代わりナミちゃんとロビンちゃんとお風呂に入るときはファプタかナナチになってあげるんですけどね。
「ミルー、もう上がるぅ」
「おっけ!じゃぁ髪乾かそ!」
ちょっとフラフラしているルフィを上らせると着替えさせて(勿論見てない)、フランキーが作ってくれたドライヤーでルフィの髪と私の体を乾かせばいい香りのモフモ召喚成功。ついでにチョッパーの毛並みも最高なので至福でしかない。
「うむ!いい匂い!」
「そうか?」
「そうだよ!」
サルからハムスターにフォルムを変え、ゴロゴロとルフィの頭の上に寝転んでいれば眠くなってきて。私はそのままお昼寝タイムに突入したのである。
おやすみスヤァ。
─至福のモフモフタイム─
「ミルー、あれやって」
「……大きいの?小さいの?」
「おっきいの!」
「ラジャ!」
本日はナミちゃん感謝DAYが開催されるらしい。つまりはナミちゃん、と釣られてやってくるロビンちゃんを癒そうの会。主に女子部屋で開かれるそれは、男達が知らない秘密の花園。てなわけでもない。
主に嵐がすぎた後のナミちゃんのお願いにより開催されるモフモフの会である。本日は大きい姿とのご所望はので姿をファプタに変えてベッドの上に丸まった。するとナミちゃんは引き寄せられるように私に近づき、バフンとそのモフモフに顔を埋めるのである。
「あー!これよこれ!癒されるぅ」
「ふふ、私もいいかしら?」
「どぞそす」
ナミちゃん同様に私に抱きつくロビンちゃんの手にはブラシがあり、されるがままにブラッシングされる私。ロビンちゃんのブラッシングの腕はなかなかなモノで、うっかり寝てしまうこともあるのだ。多分ロビンちゃんはそういうお仕事をしても儲かると思う。私とチョッパーが保証する。
「ふわぁ、太陽の、匂い」
「芳しいとよくいわれるそす」
「うん、わかるわぁー。あー、ナナチもこんな匂いするわよねぇ」
ナナチとはファプタと同様、慣れ果てのモフモフである。ナミちゃん曰く抱きつくならナナチ、寝るならファプタらしい。
ちなみに他になれるモフモフはないの聞かれたことによりキッ◯ロとモ◯ゾー、エ◯モになったところなんか違うとダメ出しをくらった事もある。オッケーを頂いたのはイーブイとピカチュウさんでしたね。つまり動物系がいいらしい。
「んんー、このまま、眠りたい」
「じゃあ三人で寝ちゃいましょう」
「そうするといいそす」
グリグリとモフモフに埋まって、その後スヤスヤと寝息を立て始めたナミちゃんをロビンちゃんと共に眺めて。私も欠伸を一つしてから目を閉じる。
まぁあれだ、なんとなく、この空間は心地いいから嫌いじゃない。
─おやつタイム─
さぁどうぞ。と差し出されたのは小さなアップルパイ。サンジが私専用に作ってくれたモノだ。
出会ってすぐは動物だしとドライフルーツとかナッツしかくれなかったサンジであるが、必死に元は人間だから!みんなと同じご飯がいい!と駄々をこねた結果、人間が食べるご飯やお菓子をくれるようになったのである!
一度じゃあ本体見せてよ!と言われたが拒否しましたけど。その代わりナナチになって『んなぁ』って言いつつ食べたらにっこりサンジが見れましたマル。
「別に大きい姿になって食べてもいいんだよ?」
「それだと食費が嵩みますからなぁ」
「……あの馬鹿どもに聞かせてやりてェ」
馬鹿どもとは大食いルフィと酒飲みゾロをさす言葉である。まぁ、サンジの言うことは尤もだからね、私は小さきモノの姿でもぐもぐするのです。でもこの小ささだとすぐお腹いっぱいなるから幸せ。
必死にもぐもぐ食べているとサンジは前に座ってそれを眺めているし、たまに口元についた食べカスを掃除してくれる事もしばしば。女の子に弱いサンジであるが、一応メスである私にも優しいので大変ありがたい。
「──いつか、ミルーちゃんの本当の姿が見たいなぁなんて♡」
「いやだが」
「そんなに嫌かぁ」
真面目なトーンで返してあげればガックリと項垂れるサンジ。
悪りぃな、多分この船で一番警戒すべきなのはサンジだと思ってるのでね。いやだって女好きで惚れっぽいとか、絶対愛され設定モリモリされちゃうやん。ムーリー。
「……ま、どんな姿でもミルーちゃんはミルーちゃんだけどさぁ」
「そうだ!私は私!小さきモノ!小さき命!」
「うん、元気が一番」
ハムスターの姿を撫でるサンジの顔はどちらかといえば小さきモノを尊ぶ顔で、女の子に見せる顔ではない。
そのまま私を小さきモノと認識しててくれよ、マジで。
─電気の話─
ペカチュウ!
ビリビリっと電気を放つとアゥ!と声を上げたフランキー。とそれを引きた目で見つめるウソップ。
「ほんとに、大丈夫なのか?それ」
「ピカピー!」
「うん、何いってるかわかんねェ!」
「ピカー」
十万ボルトしてないから平気だよっていっても、ピカチュウは話せないから伝わらないよね。知ってた。
私が何故フランキーに電気を放ったかというと、この世界に電気というもののが概念がない気がするからである。
電話だって電伝虫だし、サニー号のエネルギーもコーラでしょ?雷はあるのになんで電気はないだろうって思うよね。
「うーん、デンキってやつを上手く使えりゃ、サニー号ももっとすげぇ船になりそうなんだがなぁ」
「ピカー!」
「でもそこの構造まではミルーも思いつかねェんだろ?」
「ピカー」
「何、いつかおれ様が開発してやる!そんな顔すんなって!」
「ピカー!」
「よく『ピカ』しかいってないに話せるな、お前ら」
ニュアンス、ですかね?
ウソップもなんやかんやで話に混じってくれるし、まぁ気にはなってるのだろう。多分電気の知識を取り入れて、武器を作ってくれると勝手に期待。ナミちゃんの武器作ったのウソップなんでしょ?私知ってるもんねー!
「よし!ミルー!もう一回だ!」
「ピッカチュー!」
ピッピカチュー!
「アゥ!」
「見た目がヤベェんだけなぁ」
ごめんて。
─迷子─
「そっちやないって!ちがう!商店街あっち!」
「あ?こっちだろ?」
「違うって!」
絶賛迷子なぅ。何故ならばゾロが指示した方と違う道を選ぶから。なんで毎回違う方角行くかな?人の話ちゃんと聞こ?私、ナミちゃんに頼まれたのだけど?
「このままじゃお酒買えないよー!」
ゾロの頭の上でピョンピョン跳ねて文句をいうとガシッと捕まえれて、そのまま腹巻きイン。
おい、小さきモノを雑に扱うでない。
「こっちだな」
「違うって!もう!そっちじゃない!違う違う!あ"ぁぁぁぁあ!」
「うるせぇ!」
「ゾロのばぁぁぁぁかぁぁああ!」
毎回このやりとりやるんだけど、なんで私がゾロとセットなんですかナミちゃん。
え、ゾロからの指名?
一番面倒じゃないから?
くそ!小さきモノはしまえばいいと思ってやがるなコイツ!こうなったらチョコボで無理矢理運んでやるからな!覚えてやがれ!
─歌─
真夜中、私の耳に届いたのバイオリンの音色。どこか悲しくも優しい調べに、いそいそとベッドから抜け出した私はそれを奏でる人の元へ向かった。
「ブルックー」
「ヨホホホ!ミルーさん、どうかされました?」
「バイオリン!聞きにきた!」
「それは嬉しいですねぇ!」
海賊は歌うものですからね!
ブルックになんでもいいから弾いてとせがんで、それに合わせて私は体を揺らす。本当はこの曲!ってリクエスト出来ればいいんだけど、そんな知ってる曲はないもので。なのでいつブルックのおすすめである。
知ってる曲が流れるとフンフンと喉を鳴らし、ブルックと一緒に夜空を楽しむなんてことは日常茶飯事で。昼間よりもゆったりと流れる時間の心地よいこと。
「──そういえば、」
「ん?」
「ミルーさんは歌がお上手でしたよね。今日は一曲お聞かせ頂いてもよろしいでしょうか?」
「あー、うー。じゃあ、一曲だけ」
いつも弾いてもらってるしまあいいかと口を開くと、今回はちゃんと自分の意思で選曲した歌が唄えた。ヤッタネ!
いつどこで巡り合うか私たちは知らないけれど、出会えば二人で誰かを暖められるかもしれない。誰かの傷を癒やされかもしれない糸の歌。
ゆったりとしたいい曲なので、是非ともブルックには覚えて弾いて欲しいものです。
体を揺らしながら歌い、それが終われだ小さな拍手が響く。にっこり笑っているブルックに私も微笑み返し、その後ものんびりと夜空を堪能するのである。
「ミルーさんの歌は不思議ですねェ」
「そう?あー、まぁ、ちょっとみんなが知らない歌が多いかも。……面白い歌ならおっぱいの歌もあるよ?」
「聞かせていただいても!?」
「うわぁ、乗り気だコイツぅ」
てなわけでお聞きください。
チチヲモゲ。
後日、これを歌ったブルックがナミちゃんにしばかれてた。
私は知らないふりをした。