ポケットに入ったお財布には、そこそこのお金が入っていた。
エースが旅立つの明々後日。故に今日こそは選別品を買うぞ、と意気込んで玄関の扉を開け、開け……?
開けた、はずだったんだよなぁ。
「オウチカエリタイ!」
目の前に広がるはお菓子まみれの不思議空間、いや、町?ちなみにさっき通った玄関の扉は消えていた。
何で今日に限って飛ばされるの?エースの旅立ち明々後日よ?わかる?一週間後とかに帰っても意味ないの、明々後日までに帰らせてぇ!
10歳超えたから泣かないと思ったか?
ぐずぐず泣くに決まってんだろ。現に今私は泣いている。辺りの人に引かれるくらいに泣いている。おにぃちゃんずいない私のHPはゼロよ!
いきなり知らない場所飛ばされるとか、普通に恐怖体験だかんね!
何故こんなところに飛ばされたか分からないが、多分意味がある、のか?知らんけど。
とりあえずグズリながらも豊久に成り変わりブラブラ街中を散策してみる。がみんなニコニコしてて悪いやついなさそうなんだが。てことはお金稼げない?
何故?今までどこ行っても大体ヤベェ奴いたじゃん。何でみんな幸せそうな顔しちゃっての?え、ここがラフテル?
いや違うな。行ったことないから分からんけど。
ヤバい奴がいないイコール稼げないわけで。今回はそんなに長丁場じゃないと見た。
元の姿に戻り一応豊久の刀(モンハンコラボの漂流者の刀)を装備し(なんか刀だけ召喚できるようになったんよつい最近!そこらへんのナマクラ使うより丈夫!まだ子供には重すぎるのが難点!)、ついついドーナッツを買い食いしながら街を練り歩く。
何の強制イベントかぁ、もしかしてエースの選別はお菓子にしろという天啓なのでは?
などと考えていると、前方で何やら騒ぎが起こっていた。
どうやら町の不良が、女の子の顔を切りつけたらしい。
うっわかわいそ。
チラッと見ただけで顔面にガッツリ怪我をしてるのがわかるし、ありゃ傷跡残るなぁなんて。
え、治療しないのって?むしろ何で私が治療しなきゃならんのよ。私、ヤサシクナイ。
なむさんと彼女が運ばれていった方に一礼し、その後はエースのプレゼント何がいいかな店を物色。フーシャ村より店あるし、やっぱりコレは天啓だったに違いない。たまにはやるな、この能力。
ようやく気に入ったお菓子のギフトセットを購入しウハウハしていると、後方から突き飛ばされその拍子に買ったばかりのプレゼントが飛んでいく。そして突き飛ばした奴らに踏まれるプレゼント。
一瞬何が起きたかわからなかったが、理解した時にはすでに太刀を片手に奴らを追いかけていた。
「くびぃ!よこせぇぇぇえええ!」
ちゃんとエースの言いつけを守って鞘は抜いてない。ちゃんと殺さないように注意払った。首殴打して死んだら弱いあいつらが悪いんでは?
走り抜ける不良(海賊だったら首チョンパしてやったのに)を追いかけ刀を奮い、一人一人沈めていく。あと残り二人になった時、不意にそいつらはどこかにぶっ飛んでいった。
不良をぶっ飛ばしたのは口元に大きな傷がある少年で、何やら妹がどうこうと言っている。聞き耳を立てていると、あのクソ不良どもはおにぃちゃんである少年に勝てない腹いせに妹ちゃんを傷つけたとか……。
くそでは?とってもクソなのでは?
負けたのはお前が悪からじゃん妹ちゃんに当たるなよ!クソ野郎と伸びていた不良Aの頭をフルスイングでブン殴り、怒れる鬼ぃちゃんにそいつらを受け渡す。
「お前、いい鬼ぃちゃんなんだね。こいつらあげる」
私が潰しちゃったけど、よかったらもっと拷問してくれ。
そういって私だが鬼いちゃんは怪訝な顔をしていて、私はいかに妹を愛するおにぃちゃんが素晴らしいかと解いた。その結果、鬼ぃちゃんは顔を真っ赤にしていた。ははん、褒められ慣れしてないな。
ついつい気を許してしまった私はそのまま妹ちゃんの傷を治す手があると諭し、顔面に傷を負ったあの少女の元まで案内してもらった。
すれ違ったときは治す気はなかったが、今は別。妹を愛する鬼ぃちゃんに免じて治してあげよう。
「『エピスキー』、はいコレでオッケー。そこのゴミも治しておく?そーすればもっかい痛めつけられるよ?」
「じゃあ頼む」
「オッケー」
ヒィヒィやめてと叫ぶ不良ともにもちゃんと治癒をかけ、その後鬼ぃちゃんがボコ殴りにするのを腹を抱えて笑って見てたのは私です。
ある程度奴らがボコボコになると鬼ぃちゃんと妹ちゃんが怪我をなをしてくれたお礼をしたいといってきたので、ダメ元でさっき不良どもにズタボロになったお菓子と似たようなものが欲しいとお願いしたのだが、元のものよりランクが高いお菓子ギフトになってかえってきた!やったね!
「なぁ、お前、名前は──?」
「ん?名前?私はミ──」
ぐわんとと視界が揺れる。
おっと今日のうちに帰れるとは素晴らしい!なんか名前いいそびれた気もするが、まあいいか。
フーシャ村に戻るとあれからまだ3時間程度しか立っていなくて、私は小躍りして喜んだ。
そしてエースのプレゼントにかなりお高いお菓子を手に入れたわけなのだがあの鬼ぃちゃんと妹ちゃんのことを思い出すと、この先エースが怪我をしたらどうしようとも思えてくるわけで。
私はモンハン版の太刀が召喚できるのなら、モンハン主も可能なのではと考えてそこら辺にある薬草となんか生えてたアオキノコ、ハチミツを採取し例のアレを作ってみた。らできた!素晴らしい!
それをお菓子と共に紙袋に詰め込んで用意は万全。
エースが旅立つ日に、お菓子ギフトと小瓶に入った回復薬と回復薬グレードをプレゼントしたのである。
「お前はなんつーもんを作りやがって……」
「ちな、傷口を完璧に治すやつじゃないから注意してね!とりま10個ずつ用意したけどヤベェ怪我にはグレードで、それ以外は普通の回復薬つかいなよー!ま、エースの回復力ならあんま役に立たんかもしれんが」
「いや、ありがたくもらっとくぜ!今後仲間もできるかも知れねぇしな!」
ひひっと笑ったエースは私の頭をなで、つぎはルフィへと話しかける。内容が私の扱い方だったのは遺恨ではあるが、まぁ、私の杜撰な性格のせいだから致し方ない。
「じゃあなルフィ、ミルー!おれは先に行くぞ!!──ルフィ!くれぐれもミルーに戦わせんなよ!」
「わかったー!」
「がんばるー!」
戦わないといってないけどな!
ついでに海賊になるなんてもいってないけどな!
わたしは生涯フーシャ村で過ごす予定だよ!
なんて、儚い夢だったのだけど。
エースから遅れて三年後。
私はルフィととある約束をして拉致られたのである。
「イ"ィィィィイイイィィィイ!お家に帰るぅぅうう!」
「お前のおうちは今日から船だ!」
ドンっ!やない!