プレデターに転生しました。
いきなりだが俺はプレデターに転生した。カロロロ…。
まず、プレデターってのは何か?捕食者って意味のプレデターじゃない。星々を駆ける宇宙の狩人の方のプレデターだ。
見た目はとってもグロテスクだし顔も凶悪で醜い。体型は人類とほぼ同じだけど、体格は大きく体重も重い、あと風呂に入らないからめっちゃ臭いらしい。
しかし、とっても機敏に動いて木々の間をジャンプして移動したり、高い場所へと飛び上がる脚力を持っている。身体は個体差があるが筋肉質でがっしりしている。
種族によって顔つきや肌の色が違うのは人類で言うところの人種と同じだな。
文明力は宇宙進出ができるレベル。恒星間移動やら星系移動なんかは楽勝にできる。
様々な星に訪れて、その星にいる頂点捕食者を探し自らの手で狩ることを至上の喜びとしているイカれた種族である。
俺はそんなイカれた種族に何故か転生しちまった。
前世はなんとなくしか覚えていないが、はっきり覚えていることが1つ。
それは俺が転生する直前、なんとなくプレデターのWikipediaを見ていたことだ。
そして気づいたらプレデターの赤ん坊になっていた。何を言ってるか分からねーと思うが映画やゲームでも見たことないプレデターの赤ん坊になってたんだ。
何故俺がプレデターになったのを分かったのかって?目の前に鏡があるんだよ!
というかプレデターってどうやって生まれたんや!これ大人になったら分かるよな?プレデターにも童貞とかある?
まあそこは置いておいて、俺は今よく分からない場所に寝かされている。いや、寝かされているというか浮いてるねプカプカと。
どこぞの惑星ベジータの戦闘民族サイヤ人の赤子が入っているような培養ポッドみたいなものに俺は入っている。へぇプレデターってこういう育児の仕方なんか〜と驚きつつも、口に装着されたマスクの喉に向かって伸びた管からクッソマズイ液体が出てきて、まるでフォアグラを作る為に鶏に無理やり餌を注入するみたいにお腹を強制的に満たしていく。
正直、プレデターのこの口じゃオッパイちゅーちゅーできないよな…なんて妙に納得しつつもお腹がいっぱいになり眠くなってきた。いやゲロ吐きそう!ゲップとかできんのか?
なんやかんやと、腹が減って起きて腹に直接飯を注入されて、おしっことウンチはポッドの中で垂れ流しの繰り返しをして1年が経ちました。
そして、なんと俺は遂にこのポッドから解放されるようだ。
ポッドの前に大人プレデターがやってきたのだ!(初めて)
目が見えるようになってから外の景色は鏡に映っている俺と、その周りに同じようにポッドに入っているプレデター赤ちゃんだけだった。
何やらゴニョゴニョと話して端末を弄っている。
おお!ポッドを満たしている培養液がなくなってく!
徐々になくなっていく培養液が完全に底をつくとポッドが開放されて大人プレデターに逆さに吊るされるように両脚を掴まれ持ち上げられた。いや雑!赤ちゃんの持ち方じゃねぇ!これがプレデターか!
こ、こえ〜…
間近で見るとやっぱプレデターって怖いわ。
鋭い4本の大きな牙と真ん中の小さな口に生えた牙!クパァと広げたり閉じたりして俺をあやしてるのか知らんけどマジで怖い。逆さに見えてるから尚更怖い。
映画ではむしゃむしゃと人間さんを木の上で噛み殺してたけど大丈夫だよね?喰われないよね?
俺は身体の反射で思わず泣いてしまい、プレデターはカッカッカッカと喉を鳴らし俺を上下に揺らす。逆さ持ちの状態で。
エグいってゲロ出るって!
俺は心地悪くなって泣き止む。あれ?でもなんか揺れが心地良いと感じるかもしれない…コレがプレデターの育児…!そしてプレデターの三半規管の力!
なんて感動していると、俺を持ちながら何処かへと移動するプレデター。
あまり見たことない建築様式の通路を暫く歩くと目的地に到着した。
そこで俺は勢いよく投げられる。
足からまるで野球のトスバッティングのボールのように投げられた俺は床に激突しそうになった…けど、うぇ!?!?すげぇ!!立ったぞ!!
俺立ってる!!!どゆこと!?!?
俺は今投げられてそのまま床に叩きつけられるところだったんだけど、何故だか知らんけど立った。
え?これからどうすればいいの?聞いてみればいいか?というか俺喋れる?
「これからどうすればいいの?」
すんなり出たね〜言葉が!でも聞いても日本語じゃないわ。プレデター語だわ。なんというかゴニョゴニョって感じ。
「問題ないな」
「え?」
「もう歩けるだろう、隅で待っていろ」
大人プレデターはそう言って部屋から出て行ってしまった。
さいでっか…俺は言う通りに部屋の隅にてこてこ歩いていく。
数分待つと、俺と同じように赤ちゃんプレデターがやってきた。そして同じように投げられ床に落ちる寸前に驚異的な動きで立った。
すご!俺あんな感じで立ったんか。というかどんな施設?これ人間だったら死ぬだろ!
「カロロロロ」
「お前はまだ喋れないか、隅で待っていろ」
俺は天才か?
俺の隣に小さいプレデターがやってくる。か、可愛い。
そして大人プレデターはまた部屋を去っていく。
俺の隣にきた仲間とコミュニケーションをとってみることにしよう。
「俺の喋ってる事分かる?」
「カロロ」
俺が聞くと、頷きと共に喉を鳴らした。
おお!まだ喋れないみたいだけど意思疎通はなんとなくできる!プレデターってやっぱ頭良いなぁ!風呂入らねーけど。
「俺は…まだ名前はない、よろしくな」
挨拶をして握手をするため手を出す。
するとぎこちない動きで手を握り返してくれた。
「カロロロ」
「ふっよろしくな」
可愛い。
それから数分後、また大人プレデターが赤子を持ってやってきた。
そしてまた投げる。
しかし今度は立てずにそのまま転がっていってしまう。
投げられ床に転がった赤子は
モゾモゾと動いているだけで一向に立つ気配がない。
「コイツは駄目か」
え?駄目?駄目だったらどうなるんだ?
大人プレデターが床に転がった赤子に近づき、部屋に入ってきた時と同様に足を掴み持ち上げる。
そして今度は思いっきり振りかぶって俺らがいる反対側の壁に投げた。
「ちょっ!!」
大人プレデターのあの体格で思いっきり投げたらどうなるか、簡単に予想できるだろう。
ベチっと音が聞こえた。壁は蛍光色の血がベットリとついていた。赤子の小さな身体は原型を留めることなく、無機質な壁のシミとなり、ズルりと肉片が壁を伝い落ちていった。
「……マジか」
投げられて立てなかったら殺されちまうんか……これはスパルタもビックリするレベルのスパルタだ。これもしかするともしかして、この先なにかやらかせばサクッと殺されちゃうんじゃねーか?いやプレデターやばいって!ハードすぎるって!映画で観たプレデターにまさかこんな文化があったなんて知らねーって!
そんな事をドン引きしながら考えていると、大人プレデターはまた部屋を出ていった。
「ヤバくね?」
「……カロロ」
確かに。なんていう感情が伝わってくる。
そうこうして、プレデターは同じ事を繰り返し赤子を選別していった。そして、残った赤子は俺と7人の赤子だった。
プレデターが俺達の前に立ち、手に持った端末を操作しながら告げた。
「最初の試練の突破よくやった、お前達はこれから我ら部族【アヌ】の一員となる。これから更なる高みを目指しグレートハンティングを成し遂げよ!」
「「「「「ガァァ!」」」」」
なんか周りにつられて吠えちゃったけど、俺これから完全にプレデターとして生きていくんか?で、できるかなぁ?グレートハンティング……
そして、19年の時が経つ……