養殖が天然に勝てると思うなよ?【本編完結】   作:物体Zさん

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感想、誤字報告ありがとうございます!助かります。

本日2話公開になります!どうぞー!!


偉大な名誉を目にした事はあるかい?俺はある。

 勢いで無辜の人間を殺してしまい地味にショックを受けているのを、病院に行く道すがらウルフ大先生に気づかれ慰められました。どうもエイペックスです。

 

 高台から病院を見て俺は前世の記憶をほんの少し濁り汁程度思い出し、急いで病院に向かう事数分。

 

 建物の上を跳躍し、道中襲いかかってきたゼノモーフ達をウルフ大先生と共に塵殺して、あっという間に病院に到着した。

 

 「それでエイペックス君、こんなに急いで何があるんだい?」

 「ウルフ大先生いいですか?覚悟してください。ここに奴がいます」

 「え?マジ?確かにあの高台から見た時に何体かゼノモーフが此処に入っていくのを見たし、気配もヒシヒシと感じるけど…」

 「間違いないっす。奴は絶対此処にいますよー!!」

 「え!?わ、わかったよ」

 

 俺の圧に押し負けたウルフ大先生。

 

 よし、これで後は奴を倒すだけだ。ん?でももっと重要な事を忘れてるような……

 

 「じゃあいきましょ」

 「奴を狩ろう」

 

 俺は病院の横にある入り口の扉を開け、ウルフ大先生を先に入れ俺も後に続いた。

 

 病院の中はこんな状況にもかかわらず静かで人気がない。壁や床には人間の血や臓物が飛び散り、様々な物が散乱していた。病院内の人間は餌になってしまったようだ。

 

 病院の奥に進むにつれてゼノモーフの気配が濃密になり、病院の通路がゼノモーフ特有の組織に覆われていく。

 

 奴ら此処を巣にするつもりだ。

 

 2階へ上がるとウルフ大先生が声をかけてきた。

 

 「アレを見てくれ」

 

 ウルフ大先生の言った所を見るとそこには、沢山のベッドがあり、その全てに人間の死体が乗っていた。

 

 酷い事をする。

 

 人間の死体近づきよく見ると、ほぼ全ての死体のお腹が大きく破裂していた。そう、まるで沢山のチェストバスターが誕生したかのように。

 

 「またこの死体だ、ありえないと思ったが此処で見て確信した。奴は妊娠したメスの身体に種を植え付け胎児をチェストバスターに変態させるんだ」

 

 ーーー長年この仕事をしてきたがコレは初めてだ。とウルフ大先生が言った。

 

 「それにこの増え方だと産まれるのは1体だけじゃないっぽいすね」

 「あぁ、1体だけだったらこんなに激しく破裂しない、なんて悍ましい生き物なんだ」

 

 ウルフ大先生ですらドン引きするプレデリアン。早く会って戦いてーな。

 

 おっと?後ろの部屋で何か聞こえた。

 

 音の出所に向かうと、そこにはポッドが沢山置かれていた。

 

 「これは保育器か…」

 

 ちょっと待てーーい、人間の赤子まだ生きてるじゃねーか!!!

 

 俺の視線の先には保育器がズラリと並べられていて、全てに赤子が入っていた。ウニウニとアーウーと声を上げている赤子が、え〜数えたら8人!?めちゃ生き残ってるやんけ!何故だ!?

 

 ゼノモーフは同じ種族以外問答無用で殺すか苗床にする奴らだぞ?一体なぜ……まさか母性でもあるってのか!?

 

 「ウルフ大……危ない!!」

 

 ウルフ大先生に声をかけようと振り向いたら、大先生の後ろに奴が忍び寄っているのが見えた。俺はすぐさま背中からスピアを手に取り仕掛けを起動し伸ばし、奴に放った。そして俺の声を聞いたウルフ大先生は瞬時に横に転がり奴の攻撃を避けると、同じように忍びよってきていたゼノモーフに対し腰帯に括り付けた黒い鞭を手に取り放った。

 

 そしてウルフ大先生への攻撃を外し怯んだ所に、俺の放ったスピアがプレデリアンの脇腹に突き刺さり貫通する。貫通したスピアは部屋の壁を突き抜け、通路の壁に刺さった。

 

 プレデリアンは思わぬ攻撃と、俺の強大な殺気を感知したのか逃げていく。

 

 「あ!逃げんな!」

 

 奴を追いかけ、部屋を出る。ウルフ大先生も後ろに来ている。

 

 奴を追いかけながらリストブレイドを伸ばし更に奴への距離を詰める。

 

 奴は階段を巨躯に似合わず壁を走りながら駆け上がり登っていく。

 

 何匹かゼノモーフが現れるがリストブレイドで撫で切りにした、そしてそのまま追いかけると屋上にでた。高台には羽を持った機械が止まっていた。

 

 奴が屋上の少し開けた場所に躍り出ると、プレデターとゼノモーフが合わさったかのような気色悪い咆哮を上げ、俺達に威嚇する。

 

 「雑魚は俺に任せて、奴は君がやるんだ」

 「おなしゃす!」

 

 女王の危機に続々とゼノモーフが屋上に集まっていく。

 

 俺は奴を前に、ウルフ大先生は無数のゼノモーフを前にし、未だかつてない戦いの高揚に身を任せるように手に持つ武器を振るった。

 

 

 

 「何か聞こえないか?」

 「怪物がいっぱいいるみたいね」

 

 装甲車で病院に到着したケリー一行は病院に入り、ヘリのある屋上を目指していた。

 

 一行のメンバーはアメリカ陸軍兵士のケリー、その夫ティムと娘、窃盗犯だったダラスと弟のリッキー、ガールフレンドのジェシーの6人だ。

 

 一行は銃を構えながら病院内を進み2階へと登った。2階は1階とは様子がまるで違い、黒い謎の肉壁に覆われていて不気味だった。足元はブニブニしていて歩きにくく、壁に触れると粘液がつき気持ちが悪かった。

 

 屋上への階段を探す道すがら2階を探索していたケリーは耳に何かの音を捉えた。

 

 「何かしら…」

 

銃を構えながら部屋を確認していく。中には見るも悍ましい光景の部屋もあったが、クリアリングを済ませ次の部屋に向かう。

 

 最後の部屋から何か音が聞こえる。

 

 意を決して銃を構え部屋に突入すると、そこには8個の保育器が置かれていた。

 

 「これは…!」

 

 一旦部屋を出て、同じように探索していた他の人を呼ぶ。

 

 「みんな!ちょっと来て!」

 

 手招きをして部屋にダラス等を入れた。

 

 「赤ん坊?まさか生きてるのか…!?」

 「ええ、生きてる。何故だか分からないけど」

 

 手前の部屋では沢山の妊婦達が惨い姿で息絶えていたのに、この部屋だけはまるで何かに守られてるかのように保育器が大事に黒い肉壁に覆われていて赤子達は無事だった。

 

 「連れていきましょう」

 「そうだな、これは見捨てられない」

 

 8人の子供を5人の大人で手分けしながら抱いて部屋をでた。

 

 そこでケリーの娘が何かを見つけた。

 

 「お母さん!これ…」

 「え?これは槍…?」

 

 肉壁に鉄製の大きな槍が突き刺さっていた。

 

 「なんか臭いよ?お肉の焼けた臭い」

 「抜いてみるんだ」

 

 ティムが娘に言う。

 

 「えぇ…分かった」

 

  肉壁に突き刺さった槍は丁度引っ張れる位置に突き刺さっていた。

 

 ぐん!と力をこめて抜こうとするが全く抜けない。うーんうーんと何度か挑戦すると持っていた箇所からカチッと音がして槍が収縮した。

 

 「うわぁ!抜けた…」

 「よくやった、大事に持ってるんだよ」

 

 ティムは娘にそう言いながら頭を撫でた。

 

 「屋上への階段はあっちだ」

 

 リッキーが階段を見つけた。そして階段を登っていく一行。

 

 しかし、屋上に近づくにつれて何か激しい音が聞こえてくる。

 

 「何が起きてるんだ?」

 「私が見る」

 

 ケリーが両脇で抱いた子供を娘とティムに預けると。銃を構え直し屋上をそっと見た。

 

 「あれは…!」

 

 

 

 

 

 

 俺はプレデリアンとの戦闘を始めた。

 

 映像越しで見た事はあるが、この様に対峙するのは初めてだ。

 

 思った以上に大きい。俺と同じか少し小さいくらいか?俺達と同じ特徴的なドレッドヘアーを持ち、口蓋には4本の大きな牙があり更に人間と同じ歯並びだが鋭い歯を持っている。口を開けば中にインナーマウスも見える。

 身体は通常のゼノモーフの様に細身ではなく、大きくガッシリとしている。腕や脚は太く、胴体に至っては筋肉の筋が見て取れるほど浮き出て、そして引き締まっている。尻から生えている尻尾は通常のゼノモーフよりも鋭い棘が沢山付いていて更に太く、先端は巨大な槍のようだ。あの巨体から繰り出されたら、鍛えた俺でも致命傷を受けてしまいそうだ。

 

 「これはかなり手応えがありそうだ」

 

 俺は、背中からスピア…あれ?ない!あ!投げてそのままだった…。

 仕方ない、腰帯に括り付けたシュリケンディスクを取り6枚の刃を展開した。

 

 「ゴアアアアアアアアア!!!」

 

 プレデリアンは両手を大きく広げ咆哮を上げた。

 

 「ウオオオオオオオオオ!!!」

 

 俺も大きく声を張り上げ奴に向かって走った。

 

 ディスクを手に持ったまま間合いにはいる。奴が身体を大きく捻らせ尻尾をこちらに振ってきたが、当たるすんでの所でしゃがみ込み避けた。そして、そのままディスクの6枚の刃で奴の太ももを切りつける。

 

 「硬えな!おい!」

 

 筋肉が引っかかるような感触を覚え見ると、強靭な筋肉で深くまで切り裂けず、表皮が少し切れ血が滲み出ている程度だった。

 

 俺はそのまま横に転がっていき、少し離れた所で手に持ったディスクを思い切り投げた。

 

 フィンッ

 

 風と雨を切り裂きながら高速回転し、奴に向かったディスク。それを奴は強靭な尻尾でガードしようとするが、切り裂かれてしまい尻尾が根本から千切れそうになる。尋常ではない血が溢れ、雨に流されていく。

 

 思いの外切れたな!!

 

 俺は手元に返ってきたディスクを再度投げた。しかし、奴は学んだのか驚異的な反射神経でそれをキャッチして俺に投げてきた。

 

 なに!?!?

 

 奴に投げられたディスクを俺は避けた。そのまま俺を通り過ぎ飛んでいったディスクは高速回転を続けながら飛んでいって俺の後ろ、離れた場所にあった羽を持った機械の頭に突き刺さった。

 

 アイツ!!投げやがった!!

 

 「グオハァッ!!!」

 

 少し怯んだ俺は奴の巨体から繰り出される猛烈なタックルを喰らい吹き飛ばされてしまった。

 

 胴体に強烈な衝撃をくらい唾を吐きながら、かなり遠くへ吹き飛ばされた俺は屋上の入り口まで戻された。

 

 奴の大きな咆哮が聞こえる。どうだ?見たか?とでも言っているのだろうか。ちくしょうめ、次はこうはいかんぞ。

 

 そこで、俺の後方、院内に繋がる扉に気配を感じた。

 

 「ん?」

 

 薄く開かれた扉から人間が見えた。

 

 お!!ここまで来てたか!!

 

 俺は直ぐに立ち上がり扉に駆け寄る。人間が急いで扉を閉めようとするが隙間に手を入れそれを止め、そして声をかけた。

 

 「マテ!ダシュツスルンダロ!オレニツイテコイ!」

 

 大きく声を上げて人間に声をかけると、その人間の後ろから赤子を両手に抱いた男が現れた。彼は!そうかここまで生き残ってたか!

 

 現れた男は俺が少し前に助けた家族の父親だった。

 

 「ケリー!俺が話していたのは彼だ!彼に助けてもらったんだ!」

 「えぇ!?」

 

 俺が助けた父親がケリーと呼ばれた女性の目を見て訴える。

 

 「後ろから怪物が来てる!助かるなら今しかない!」

 「…!わかった!あなたを信じるわ!みんな!彼についていくわよ!」

 

 ケリーと呼ばれた女性が声を張り上げ後ろで待つ人々を呼ぶ。

 

 ケリーの夫の後ろから銃声が聞こえる。これは急いだ方が良いかもしれない。

 

 そして一際大きな爆発音が聞こえると、扉が大きく開き人間達が屋上へと出てきた。

 

 「ダラス!」

 「装甲車で拾った手榴弾を投げてきた!今しかないぞ…うわ!化け物か!?」

 「待てダラス!彼は俺を助けてくれた巨人だ!話しただろう!」

 「は!?奴がそうなのか!?店でデイルを殺したやつだぞ!」

 

 あ〜その節はすみませんでした。あれは不慮の事故なんです。

 

 「アノトキハスマナイ!ダガタスケルツモリダタンダ!」

 

 くぅ〜!もう少し練習すれば上手く喋れそうなんだけどな!バイオマスクの音声機能を使ってもいいが、あれは気味が悪くて使いたくないんだ。

 

 「…!ヘリがあるわ!早く行きましょう!」

 「おい!ちょっと待…!いや早く行こう!」

 

 ダラスが俺を信用できずケリーを止めようとするが、少し離れた場所でウルフ大先生と大量のゼノモーフが戦っているのを見て竦み、リッキーやジェシー、そしてケリーらを伴いヘリに向かおうとする。

 

 「オレガソバニツク、ハヤクアレニノルンダ!」

 「か、怪物さん!これ!」

 「ん?おおお!!これは!!」

 

 少女が俺に使い込まれたスピアを渡してきた。

 

 拾ってくれたのか…!感謝!

 

 移動を始めたと同時に、俺を吹き飛ばしたプレデリアンは自らが生み出したゼノモーフを悉く屠っているウルフ大先生の下に向かっていったのが見え、更に俺は急いだ。

 

 人間達と移動しているのに気づいた一部のゼノモーフが俺達に襲いかかってくる。ケリーが銃を撃ち、俺は少女から渡されたスピアを伸ばしゼノモーフを殺していく。

 

 そして、なんとかヘリと呼ばれる大きな機械に乗り込むと、ケリーが運転席に座りガチャガチャと弄っているが一向に動く気配がない。

 

 「どうした!?」

 

 ダラスがケリーに声をかける。

 

 「動かない…!!ちょっと!エンジンに何か刺さってるわ!」

 

 あいつーー!!!絶対許さねぇ!!!

 

 「ちょっと待っててくれ!」

 「!?なんて言ったんだ!?」

 

 ここに留まるよう身振り手振りで伝えて、俺は急いでウルフ大先生の下に向かった。

 

 跳躍し、一瞬でウルフ大先生の下に着くと周りの光景に驚く。

 

 ウルフ大先生は黒い鞭を振るい、2門のプラズマキャスターを放ち、それでも近づいてきたやつはリストブレイドで殺していた。大量のゼノモーフがウルフ大先生の周りで四肢を臓物を撒き散らし死んでいた。

 

 凄すぎる。流石ウルフ大先生だ。

 

 「ウルフ大先生!ここまで生き残り逃げようとする人間達がいました!見捨てられないっす!逃しましょう!」

 「え!?」

 

 一瞬驚くが、プレデリアンの咆哮が響き考えを放棄した。

 

 病院にいたゼノモーフは全て死んだ。後は目の前にいる奴だけである。

 

 「ウルフ大先生、あそこに船を着けてください。コイツは俺が」

 「分かった。死ぬなよ!絶対に狩れ!」

 「ハハハ、楽勝っすよ!」

 

 俺の腰をグーで叩き、後方にあるケリー達の下へウルフ大先生が向かった。

 

 「グゴアアアアアアア!!」

 

 おーおーおー怒ってる。だがなぁ怒ってるのはお前だけじゃないんだ。

 

 俺はスピアを身体の周りで回転させる。

 

 「俺の狩りを見せてやる。ケルティックモーフ」

 

 プレデリアンってなんだよ!奴はケルティック君から生まれたゼノモーフなんだからケルティックモーフだろ!と心の中で訴えつつ俺は、スピアを持ち肩に構えた。

 

 全身に力を込めた。肩から腕の筋肉が膨張し、そして地面がひび割れるほど踏み締め、俺は全力でスピアを投げた。

 

 ビュンッと音を立て、風圧で雨を吹き飛ばしながら飛んでいったスピアが奴の足元に刺さる。そして地面が爆ぜた。

 

 「あれ」

 

 コンクリートが爆ぜ、吹き飛ばされたケルティックモーフは地面に倒れ伏した。

 

 精一杯立ちあがろうとするが、何故か力が入らなそうだった。

 

 俺はそれを見て、スピアを外した事を忘れ全力で走る。

 

 そして奴の頭を掴み、何度も地面に叩きつける。

 

 叩きつける度に地面がひび割れ、血を吐き出すケルティックモーフ。

 

 (脳が揺れ、意識を保てないー)

 プレデリアンは発達した脳でそう考えた。

 

 次第に奴の身体の力が抜けていくのを感じた俺は奴を持ち上げた。

 

 「思ったより軽いな」

 

 ケルティックモーフを持ち上げた俺はそこから奴を殴り始める。アッパー、フック、ストレート。それをひたすら全力で繰り返す。

 

 軽く殴れば岩を砕くのを全力でやればどうなるのだろうか?しかし、俺は奴の表皮、そして筋肉が尋常ではない強度を持っているのを知っている。ケルティック君の強靭な身体の特性を引き継ぎ、俺の全力の切りつけにも耐えられる強靭性が、俺の岩をも砕く一撃に耐えてみせる。

 あの時、間違えて殺した人間が俺の拳でどうなったか…胸元から上が破裂したように爆散して死んでしまった人間…。

 

 「ハッハッハ!こんな硬い奴は初めてだ!」

 

 だが、まだ安心できない。こんな悍ましい生き物は徹底的に叩きのめす。いや、ちょっと待て、ここまで硬いならこのまま叩き殺してトロ……

 

 《エイペックス君、急ぐんだ!8キロ先から何か飛んできてる!》

 

 ウルフ大先生の通信で我に帰り、一瞬手が止まる。

 

 バイオマスクに同期された母船から警告アラートが視界の片隅に表示されていた。

 

 コイツはヤバい。

 

 俺は持ち上げていたケルティックモーフを見た。

 

 完全に力が抜けグッタリしている。バイオマスクの体内スキャンで体内を見ると心臓が動いてなかった。

 

 死んだか。

 

 「《今行きます!》ん?」

 

 ウルフ大先生に通信を入れ船に向かおうとした時、数キロ離れた上空に何かが飛んでいるのが見えた。

 

 「は?」

 

 やべぇ!!!!!!

 

 俺は本能的に、そして朧げな前世の記憶の中で観た映画のシーンが頭の中で巡り、あの飛んできているものの恐ろしさを思い出した。

 

 急ぎ近くにあるスピアを回収し、ケルティックモーフの腕を持ち引き摺るようにして船が着く場所に跳躍した。

 

 俺の後ろで光が迸り、影ができる。

 

 「うおおおおおおおおおおおおおお!!!やべええええええ!!!」

 

 全速力で船に走る。バタバタとケルティックモーフが地面にバンバンと叩きつけられるが気にせず走る。

 

 後ろから熱気を感じる。

 

 船のハッチでウルフ大先生が手を伸ばしていた。

 

 「エイペックス君!おぉ!!!えー!!!(なんか持ってるー!!!)」

 

 俺がウルフ大先生の手を掴むと引っ張られ船の中に一緒に倒れ込む。そしてケルティックモーフが俺とウルフ大先生の上に覆い被さったのと同時にハッチが閉まり、船が猛烈な揺れに襲われる。そして、次第に静かになり浮遊感を覚えた。

 

 「ほおおおお〜…助かった…」

 

 ケルティックモーフを上から退かして立ち上がり、俺の下で倒れていたウルフ大先生を起こす。

 

 「大先生!助かりました…」

 「いやぁ、ヤバかったね(無傷でプレデリアンを倒し持ち帰りやがった!!なんて奴なんだ)」

 

 「あの光、やっぱり軍は…」

 

 船の後方で赤子を両手に抱いたケリーが言葉を溢した。

 

 「アレハナンナンダ?」

 

 拙い言葉でケリーに聞いた。

 

 「あれは恐らく威力可変型核爆弾、ガリソン市を怪物ごと滅ぼすもの…人間が作った中で最も威力のある兵器よ」

 

 そうだ。それだ。俺が思い出した光景は。

 

 町の中心に集まった人々やゼノモーフを全てを焼き尽くす核爆弾。本来であれば病院の屋上で戦っていたウルフ大先生とケルティックモーフはあの爆弾によって消失し、この戦いは終わるはずだった。

 

 「間に合って良かった……」

 

 ちょっと疲れたぞ。ちょっと連続で爆発に巻き込まれそうになるのは流石に疲れますわ。でも大物を狩れたからそれでチャラかな〜。俺は、力尽き息絶えているケルティックモーフを見た。ちょっと怖いからもう2発くらい殴っとくか。

 

 「怪物さん?」

 

 少女が俺の下に近寄ってきた。

 

 「パパを助けてくれてありがとう!私はモリーっていうの!(やっぱステーキ臭い)」

 

 そうか、君はモリーっていうのか…あの時、驚かせてごめんな。でもおじさんは決して筋肉モリモリマッチョマンの変態じゃないからね?お父さんも鼻押さえないで?

 

 「オレハ、エイペックス。」

 

 大きな手でモリーの頭を撫でながら挨拶をする。

 

 そして、腰帯に付けた小袋からある物を取り出す。町を散策中に柔らかい布と共に民家から持ち出した物だ。

 

 

 「ヴェルターズオリジナル、タベル?」

 

 

 

 

 

 

 プレデターの母船、司令室にて2人のプレデターが大きな画面を観ながら話していた。これまでに起きた事をバイオマスクの同期によって全て観ていた2人はエイペックスの異常性を認識し頭を抱えていた。

 

 「ゴンジよ、奴を育てたのはお前か?何がどうしてああなった?」

 「エルダー…私は……奴の同期は7人と例年と比べ多かったのです。だから選別の時一番有望だったエイペックスをあえて過酷な星に放置し、他の7人に注力していたのです」

 「お前…やった事エグいな」

 「奴は正真正銘の化け物です」

 

 ゴンジがそう漏らすと、エルダーは腕を組み考える。

 

 奴を絶対に絶対に絶対に怒らせてはいけないと……。

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