養殖が天然に勝てると思うなよ?【本編完結】   作:物体Zさん

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人に与えた恩は必ず帰ってくる

 「ん?なんだここ…?」

 

 俺は船で寝ていた筈だ。だけど今は何故か柱に吊るされていた。何を言ってるか分からねーと思うが、俺もよく分からねー。いやマジで。

 

 どこだここ?見た事ねー植物生えてるし、今まで訪れた事ない星だな。

 

 俺の周りにはゴミが散乱していて、宇宙船の残骸だったり、檻だったり、骨で作られたよく分からねーもんまでとにかく色んな物が散乱していた。ヤードみたいなとこか?

 

 あれ、俺の船はどこだ?あ!ガントレットがついてない!嘘だろ?

 

 俺は辺りを見回した。

 

 そして、俺の装備一式が少し離れた場所にあるのを見つける。良かった…あれ失くしたら地球に行けないぞ。それだけは勘弁願いたい。

 

 「脱出するか、オラ!……あれ?」

 

 全然解けない!どういう事だ!?

 

 俺の手は後ろで縛られ、更に胴体は何重にもロープが巻きつかれていた。頭だけが出ていてまるでミノムシだ。

 

 「全然力が入らん。困ったな…」

 

 ちくしょーめ!どういう事だよ。

 

 「おーーーい、誰かいるかーーー!」

 

 声を上げても誰の返事もなかった。とりあえず、寝よう。

 

 

 それから太陽が4回のぼった。

 

 「おい、腹減ったぞ。ヤバいぞ」

 

 いい加減に誰か来ないと餓死しちまう。極限状態のままお空をボーッと見上げていたら、複数の気配を感じた。

 

 「うぇ!?なんだお前ら!?」

 

 やってきたのはクソダサいバイオマスクを被った碌に鍛えてないように見える3人の輩だった。1人は袋を引いていた。

 

 「おい、お前ら。飯をくれ」

 

 声をかけるが無視される。なんだコイツら?プレデターだよな?

 

 奴らの1人が引いていた袋を破ると中からまたプレデターが出てきた。いやいや、本当にどういう事?俺ら食われるのか?

 

 混乱していると、袋から出てきたプレデターを俺の隣にあった柱に俺と同じように吊るしていく。

 

 それでもプレデターは全く起きない。

 

 そして、作業が終わると、もう1人のプレデターが彼の装備だろうか?それを俺の装備が置いてある場所に置いた。

 

 「おい!肉!プロテインでもいい!くれよ!なぁお前ら一体なんだんだ?こんな事をして何になる?え?マジか?行っちゃうの?」

 

 奴らはまたしても俺の声を無視して、そして去っていった。

 

 これどういう事ー?

 

 隣に磔になったプレデターはまだ起きる気配がない。呼吸音が聞こえるので生きている事は間違いない。

 

 「奴ら一体どこの部族だ?同族を攫うなんて聞いた事ないぞ」

 

 はぁ、イライラする。とりあえず今は考えても無駄だ。なるべく動かないようにしてエネルギーを温存しないといけない。

 

 俺は目を閉じて眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 一方、地球の日本。

 

 顔が煤だらけになったモリーがリビングにやってきた。そして料理をしている父であるティムに声をかける。

 

 「パパ、エペ見てない?」

 「え?エイペックスさんか?そういえば見てないな」

 

 地球に入り浸っているエイペックスは、定期的に地球に来訪してモリーやダッチの下に訪れ遊んだりしているが、予定になってもエイペックスが姿を見せない事にモリーは少し心配になる。

 

 「もしかして死んじゃった?」

 

 手に持つエイペックスからもらった通信機を使っても応答がない。

 

 エイペックスは大きくて強い。並大抵の事では死なないだろう。あの時も恐ろしい怪物を簡単に殺していた。そんな事はありえないと。

 

 「モリー、あのエイペックスさんが死ぬわけないだろう?ちょっと予定がすぎてるだけじゃないか」

 「それもそうね!分かったありがとパパ!」

 

 モリーが部屋から出ていった後、ティムは一旦料理を作る手を止めた。手を洗いエプロンで濡れた手を拭くと、銭湯の番台として働くティムは先日、常連から聞いた事ある事を思い出した。

 

 (そういえば、ハンゾーさんが行方不明って聞いたな)

 

 ハンゾーは日本のYAKUZAだ。ティム達が営む銭湯の常連で、口数が少なく寡黙な印象を持つ人物であるが、銭湯に住む子供達の世話をよくしてくれている良い人だった。

 

 (確かエイペックスさんとも仲が良かったよな)

 

 少し心配になってきたな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ん?お〜起きたか」

 

 隣にプレデターがやってきた翌日、俺の隣にいたプレデターが目を覚ました。

 

 「大丈夫か?お前も攫われたみたいだな」

 「ウッ…ここは…?」

 

 俺の隣で目覚めたプレデターは自身が縄で縛られ磔になった事を知り、そして俺の声に気づき驚く。

 

 「わぁっ!?あなたは!?(ミノムシ!?縄でぐるぐるに巻かれて顔しか出てない!?)」

 「おいおいそんな驚くなよ!俺はエイペックスだ。何か覚えてる事はあるか?」

 

 俺は彼に挨拶をして、どういった経緯でここに連れてこられたのか聞いた。まあ多分俺と同じだろうが……

 

 「エイペックスさん…?あ、僕はノヴルといいます。僕は…確か船で寝ていたんです。でも気づいたらここに…」

 「同じだな、俺もそうだ。船で寝てて気づいたら此処に吊るされてた」

 

 彼はまだ奴らの姿を見てない。寝てたからな。クソ、なんの手がかりもなしか。

 

 俺は彼を見つめる。俺よりも拘束が緩そうだ。

 

 「拘束を解けるか?」

 「試してみます。フンッ……!」

 

 プルプルと身体を揺らし、血管が浮き出るほど力をこめて拘束を解こうとするが解けずに終わった。

 

 「ダメか…」

 「すみません…」

 「いや、いいんだ。それよりも腹が減ったな…何かあるか?って言っても無理だよなー」

 

 だって、彼も縛られているんだもの。

 

 はぁ、アイツら俺達をここで縛ってどうするつもりなんだ?殺したいならさっさと殺せばいいのによ。イラつく野郎どもだ。

 

 「あ、あの…エイペックスさん!髪の隙間に何か見えます」

 「え?髪の隙間?なんだ?」

 

 隙間?髪の隙間に何があるってんだ?

 

 「どの辺?」

 「右の……」

 

 ノヴル君の指示に従い牙を器用に動かし髪の中を探る。ん?確かに何かある。なんだろうか?

 

 「あ、あ!そうです!そうすれば引っかかります!」

 

 こうか?あーやべ、口開きすぎて切れそう。水分摂ってないから乾燥してんだよ!

 

 カパカパと口を動かし、牙に何かが引っかかる感触がした。落ちないように口元に入れよう。

 

 「黄色いですね」

 「黄色?」

 

 あ!!!!そういえば……

 

 (エペの髪の毛って太いししっかりしてるよね〜いっぱいあるし、お菓子とか隠せそう!)

 

 なんてモリーが言っていたのを思い出す。俺は地球の文化の一つハロウィンでお菓子を髪の毛に結ばれて子供達をお菓子をあげてたんだ。

 

 俺は全力で牙と口を動かし、それを口に中に放り込み、小さい口で転がし中身を舐めた。

 

 あ、甘い!これは…!

 

 (ねぇねぇエペ!キャンディ、食べる?)

 

 モリーが好きな飴!ヴェルターズオリジナル!

 

 モリーーー!!!!うほおおおおおおおん!!!!

 

 「う……う……美味いよぉ……」

 「エイペックスさん?」

 

 俺は口の中で飴を転がし、空を見上げた。

 

 「ん?」

 

 空が急に騒がしくなり、プレデターの船が通過した。そして船から何かが降ってくる。

 

 「あれは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 1人の男が強烈な浮遊感で意識を覚醒させた。まるで高所から落ちているかのような感覚だ。

 

 目を開くと一面に広がったのは雲だ。そしてその隙間から青い空が見えた。

 

 「!!!!!!」

 

 男は自分がかなり高い高度から落下してるのを知った。

 

 仰向けになって落ちながら、胸元を見ると赤いボタンのようなものが見えたので必死で押すが何も起こる気配がない。

 

 「クソッ!!!」

 

 男は尚も落ちていく。

 

 雲を抜け、地上が見えた。樹々が生い茂っているのが見えたが、男にとって今はそんな事どうでもよかった。

 

 パラシュートが開けば、これがスカイダイビングであれば最高の景色だっただろう。しかし、これは違う。

 

 落ちながらも男は必死にボタンを押し続けたが、残り地上数百メートルの所で自身の結末を予想しボタンから手を離す。

 

 そして男が地上に近づき巨大な木に触れそうになる瞬間、胸元のボタンが赤く点滅して背中のパラシュートが開いた。

 

 しかし、開くのが明らかに遅かった為、多少、落ちるスピードが遅くなったが男はそのまま木の枝にもみくちゃにされるように落ち、地面にぶつかった。

 

 「うっ……」

 

男は生きていた。なんとかパラシュートが開いたお陰で助かったのだ。まあ、体中は擦り傷だらけになったが……

 

 「一体なんなんだ……!?」

 

 辺りを見回し、安全を確認した。

 

 そして男、ロイスは自身の状態の確認を始めた。

 

 「!?」

 

 そこで突然、何かが落ちてきた。持っていたショットガンを構えた。

 

 落ちてきたのは男だった。

 

 「クソクソクソ!なんだ!あ!?お前か!?」

 

 降ってきた男は錯乱し持っていた二丁の銃をロイスに向けてきた。

 

 両手を前に出し、落ち着くよう諭す。

 

 「落ち着け!落ち着くんだ!」

 「うるせぇ…!?」

 

 2人の間にまた何かが降ってきた。ロイスと激昂していた男、クッチーロは呆然と立ち尽くす。降ってきたのは自分達と同じ人間だった。そしてピクリとも動いていない。

 

 「パラシュートが開かなかったのか」

 

 クッチーロがそう呟くと、突然銃声が鳴り響き、連続で銃弾が飛来してくる。ミニガンだ。

 

 クッチーロは倒れた木の陰に隠れ、ロイスもなんとか銃弾を避けクッチーロの隣に転がり込んだ。

 

 ショットガンの装填を済ませたロイスがクッチーロに言う。

 

 「相手は1人」

 「なぜ分かる!?」

 

 返事をせずロイスは銃を構え、銃を撃つ何者かの後ろに回り込む。回り込んでいる最中で銃声が止む、ガチャガチャと銃に弾を装填しようとしているのが音で分かった。そして、ロイスは静かに忍び寄ると、ミニガンを持った男の耳元に銃口を置き言った。

 

 「撃つんじゃない、俺達は敵じゃない」

 「なんで分かる?」

 「敵なら話す前に撃ってる」

 

 ミニガンを持った男はゆっくりと振り向いた。お互い見つめ合い息を整えるとロイスは銃を下げる。

 

 「敵を教えてくれ、ニコライ、俺はニコライだ」

 

 男、ニコライはロシア訛りの英語で自己紹介をした。そして、ロイスの後ろからクッチーロが何食わぬ顔で現れた。

 

 「最後の記憶は?ニコライ」

 「戦争、チェチニアにいた。光が見えてそのあとは…気づいたら」

 「落ちた。俺も同じだ、バハにいた。光が見えて気づいたらクソだ」

 

 一体どうなっているんだ…と3人で辺りを見回した。そしてニコライが自身のいる場所が何処なのか疑問を持つと、ロイスがニコライの後ろを見て言う。

 

 「彼女に聞こう」

 

 ロイスの視線の先には狙撃銃を構えた女性がいた。

 

 そして、それから1人、2人と人数が増えていき、ロイスが狙撃銃を持った女性、イザベルに話す。

 

 「何が起きてる?か。スペツナズのアルファ部隊、ロス・セタス暗殺者集団、RUFシエラレオネの殺人部隊、ヤクザは日本のマフィア、FBIが追う極悪犯、そしてあの男…奴だけ違う。後は皆大物だ。」

 「違う?」

 「……俺達は選ばれた」

 「アンタは?」

 「俺が何だ?」

 「ジャングルに詳しい、そして彼らの事も。アンタは元軍人で特殊部隊ってとこ?それで今は傭兵」

 「それがなんだ?いいだろ?」

 「ふ……今はね」

 「そうか」

 

 ロイス達は選ばれた。ある者達の企み、狩の対象に。

 

 

 「飴じゃ満足できねぇよ」

 

 そしてエイペックスは未だ脱出できず……

 

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