養殖が天然に勝てると思うなよ?【本編完結】   作:物体Zさん

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お前が生まれた時俺はサバイバルをしていた。

 やあ、船で寝ていたら攫われ吊るされ飯を抜かれ船を爆破され失意のドン底に落とされスカー君に慰められてます。どうも、エイペックスです。

 

 事件を起こした3人の輩を殺しても俺の大切な物達は帰ってこなかった。怒りが復讐がこんなにも虚しいものだとは思わなかった。俺に残されたのは手に持つ幼少期から愛用しているスピアだけだった。俺はまた、あの時のサバイバルをしていた時に戻ったようだった。

 

 まあ、また船は買えば…いや、買わなくてもいい方法を見つけた。

 

 俺は先ほど殺したバカの下に近づいた。首と腕と身体がおさらばしている死体だ。

 

 俺は奴の腕からガントレットを取り操作する。やっぱりだ。

 

 少し離れた場所で船のエンジン音が聞こえた。コイツの船だ。俺は奴のガントレットから船の操作権限を全て移動した。

 

 いいか?勝者が全てを手に入れるんだよぉ!!お前が爆破した俺の船に代わってお前の船をいただくぞ!クソ野郎が。文句は言わせねぇ!

 

 「なあ、ふと思ったんだがコイツ殺して平気だったか?」

 「エイペックスさんなら大丈夫ですよ」

 

 いや、何が大丈夫なのか分からんが。

 

 まあスカーが大丈夫と言うなら大丈夫だろう!しーらね!だってコイツは同族を攫って殺してたんだ。もうバッドブラッドみたいなもんだろ?なんかバーサーク族とかなんたら言っていたが…気にするのはやめておこう。

 

 ふぅ、なんだか疲れたな…早く風呂に入りたい。

 

 そうだ!ノヴル君とロイス達は?

 

 「スカー!ノヴル君とロイス達はスカーの船に?」

 「ええ、僕の船で保護してますよ」

 「いやぁ助かったよ」

 

 俺とスカーは船に向かった。

 

 おお!立派な船じゃないか!

 

 搭乗口から船に入るとノヴル君とロイス達、そしてレックスがいた。

 

 「皆!無事カ!」

 

 俺が船に入り声を上げると皆が振り返る。そして駆け寄ってきた。

 

 「エイペックスさん!やりましたね!」

 傷だらけのノヴルだ。

 

 「エイペックスさんをあそこで助けて正解だったな」

 「ははは、確かになぁ!最初はとんでもねー怪物かと思ったがマジで助かったぜ!」

 「世話になったわね」

 「Спасибо!」

 「本当に良かった(身体いてぇよコンチクショー)」

 「早く帰ロウ」

 

 皆それぞれ言葉を発した。

 

 あれ?1人いなくないか?えーっと誰だったか?

 

 「1人どこへ行っタ?」

 「え?あ…!」

 

 彼がいないわ!とイザベルが言った。

 

 エドウィンだ。

 

 「船に一緒に乗ったんだよな?」

 「ええ、そのはずだけど」

 

 レックスに聞くと間違いないという。

 

 どこへ行ったんだ?トイレか?全く…仕方ないなぁ。

 

 「俺が探し二行くヨ!もう少し待ってテくれ!」

 

 俺はそう言い船から出た。

 

 どこへ行ったんだ?エドウィン。

 

 マスクのビジョンを切り替えて痕跡を見ると船から離れる足跡を見つけた。

 

 本当にトイレか?まあ、だけどかなり危ないぞ、奴らが死んだとは言え此処にはまだ危険が残っているかもしれないからだ。例えば罠とか…

 

 痕跡を辿っていくと彼は普通に森の中にいた。何をしてるんだ?

 

 「おーい!エドウィン君!帰ルゾ!」

 「あぁ…エイペックスさん…いやぁ助かりました。トイレをしたくて船を離れたら迷ってしまってどうしようかと」

 

 本当にトイレしてたんか。

 

 「もう大丈夫?じゃあ行こウカ。皆待っテルよ」

 「はい……」 

 

 俺はエドウィンの肩を摩り船の方向へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕は殺人鬼だ。

 

 僕の名はエドウィン。アメリカで開業医をしていた。

 

 ただ、僕には隠された一面がある。人を殺すのが好きな事だ。

 

 人が死ぬ時に見せる表情が堪らなく好きだった。絶望に染まった瞳から光が失われるのが好きだった。信じていた者から裏切られた時の驚いた表情が好きだった。何も抵抗できず泣き叫ぶ声が好きだった。

 

 ある日僕は次のターゲットを探していた。誰がいいだろうか?お!あの女性なんか良さそうだ。そう思い後ろからついて行こうとした時、僕は光に包まれた。

 

 そして気づいたら遥か上空から落下していた。

 

 必死にパラシュートのボタンとおもわしきものを押してなんとかパラシュートを開き命は助かった。

 

 しかし、パラシュートが木に引っかかって身動きがとれなくなってしまった。宙吊りになり助けを求めていると兵士たちが来て助けてくれた。

 

 そして森を探索する途中で、地球で見た強力な神経毒を持つ草と似たような草を見つけた。ロシア人に説明するついでに持っていたメスに毒を塗りつけた。

 

 その後クッチーロという男が死んだ。特に何も感情が湧かなかったが早く人を殺したい気持ちだけが募っていった。

 

 キャンプで巨大な宇宙人と少し小柄な宇宙人と遭遇して共に行動する事になった。どうやら僕達を攫った者達と同じ種族のようだ。

 

 それから色々あって巨大な宇宙船で休息する事になった。

 

 目を瞑ると今までの犠牲者の顔が浮かぶ、僕はもう限界だった。早く殺したかった。だが、もし僕達がこのまま安全に星を脱出してしまったら僕はまた異常者になる。だが…この星で僕は【普通】でいれる。殺しを咎められない世界。だから僕はこの星に残りたい。

 

 皆が寝ている隙に火をつけた。皆が慌てふためく姿が滑稽で面白かった。

 

 そして奴…あのエイペックスと呼ばれる宇宙人…彼さえいなければ…僕は…そうだ。彼に毒を使おう。そして皆を呼んで隙をついて皆んな毒で痺れさせて殺してしまおう。

 

 なぜなら僕は殺人鬼だから。

 

 

 

 

 

 

 「エイペックスさん」

 「ん?」

 

 エドウィンがそう言って俺の手の甲に何かしてきた。

 

 ん?なんだ?手の甲を見ると蛍光色の血が一筋流れていた。何かで切ったのか?なんかピリッとしたが…

 

 「おーい、ちょんってスナヨー危ないだロー」

 「え?え?あ、あ、はい」

 

 なんだ?何がしたいんだ?よく分かんねーな。

 

 「じゃあ行こウカ」

 「はい…」

 

 俺はエドウィンを連れてスカーの船に戻った。

 

 俺とエドウィンが船に戻ると、帰る準備が整ったのか皆座ったり、談笑したりしている。ハンゾーは陰で刀を眺めニヤニヤしていた。刀好きだなぁ。

 

 船に入るやいなやエドウィンが走り出しイザベルの方へ向かった。そんな会いたかったのか?

 

 「ん?なんだぁ?あの医者野郎どうした…?」

 

 急な動きを見せたエドウィンにウォルターが不思議がる。

 

 うん?なんか手に持ってるぞ。あれで俺の手を切ったのか?

 

 エドウィンが手に持つ銀色の小さい刃物でイザベルの首を切りつけた。イザベルは急な事で反応できず切られてしまった。

 

 すると首を切られたイザベルが急に倒れる。そばにいたロイスが支えるが、イザベルは完全に身体を動かせなくなっていた。瞳だけが動いている。

 

 「やっぱり…毒はちゃんと効いている…なんでだ?なんで効かなかった?」

 

 何をぶつぶつ言ってやがる?コイツ本当になんなんだ?

 

 「おい!エドウィン何をした!」

 

 イザベルを抱き抱えるロイスが声を上げる。

 

 そしてエドウィンが笑いながら言った。

 

 「僕は殺人鬼なんだ、だから僕は普通でいられる此処に残りたいんだ」

 

 ロイスがイザベルを床に静かに寝かせる。エドウィンに背を向けイザベルの顔を優しく触っている。

 

 「今ここで助かったら僕はまた異常者になってしまうじゃないか、だから…」

 

 エドウィンがそう言って刃物を持つ手をロイスに近づけた。

 

 「ならここで死ぬんだな」

 

 ロイスは立ち上がりエドウィンの腕を捻り上げそのまま口元に動かした。

 

 「ゴフッ……」

 

 エドウィンの持つ刃物がロイスよって顎下に突き刺さり口の中の舌にまで達し、血が口内に溢れる。

 

 「え!エ?ロイス!?なんデ!?」

 

 俺はロイスのいきなりの行動にビビる。

 

 行動が早すぎる…

 

 そしてロイスは立て掛けてあった銃を手に取り、まだ生きているエドウィンの首元を掴み船の外に向かって引き摺っていった。

 

 どうするつもりなんだろう?

 

 「おいおいロイス!殺すのかぁ!?」

 

 ウォルターが茶化すように言う。

 

 「この星に残りたいようなんでな。捨ててくる」

 「ハッハッハ!そいつぁ傑作だな!バカ医者ぁ!達者でな〜!」

 

 船の搭乗口からエドウィンを放り投げたロイスが肩にかけた銃を構える。そして引き金を引いた。

 

 シャカシャカシャカシャカシャカ

 

 ロイスのショットガンの独特な銃声が船内に響き渡る。

 

 ロ、ロイス怖え〜よマジで…やっぱ人間て野蛮な生き物だ。俺たちのような身一つで狩りをする事を至上の喜びとしたイカれた種族、とは違った側面で人間はイカれてる。なんというか大切なものを奪われた時の燃えるような復讐心というか…ありえないパワーというか。ロイスは怒らせないようにしよっと! 

 

 ロイスの後ろに近づき外を見ると、跡形もなくグチャった赤い肉片が散らばってた。良かったな、これでこの星に残れるぞ。

 

 イザベルは大丈夫かな?あ、レックスが見てる大丈夫そうだ。

 

 さて、帰ろうか。

 

 俺はスカーに合図を出した。そしてガントレットで奪った船を操作し、今乗っている船を追従するよう指示を出す。

 

 船が地上を飛び立ち、宇宙に出た。

 

 星の周りにいたバーサーク族の奴らはいつの間にか何処かへと行ったようだ。ほんと何がしたかったんだ?バーサーク族って。

 

 此処から地球へはそれほど遠くなく直ぐに着いた。

 

 彼らは突然攫われ、あの星に来た。地球では今頃大騒ぎでもしているのだろうか?だっていきなり人が行方不明になったらビックリするだろう?俺もビックリするもんな。目の前で人が消えたりしたらよ。

 

 「エイペックスさン、銭湯いきまショウ」

 「あァ、早くさっぱりしタいぜ!」

 

 ハンゾーが俺の近くに来てそう言った。

 

 そうだ!みんな誘って風呂に入ろう!ロイス、イザベル、ウォルター、モンバサ、ハンゾー、そしてノヴル君とスカーもレックスもさ!最高に気持ちいいだろうな〜。

 

 俺はロイス達に聞こえるように声を上げる。

 

 「皆、風呂って知ってルカ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バーサーク族の母星ベルセルク星。

 

 「まずい…!まずいまずい!」

 

 彼はバーサーク族元老院の1人でありブラックと呼ばれたプレデターの父親だ。

 

 彼はブラックに贅という贅を与えた。元老院という立場を用いてあらゆる物を買い与えた。ブラックが保育ポッドから出てきたその日から、いやその前から愛情を与え育ててきた。

 

 ブラックの言う事に全て従った。その愛しさ故に。

 

 そしてブラックは幼い頃から貪欲に傲慢に力を求めた。

 

 力が強くなる増強剤や、身体が大きくなる成長剤を彼は与えた。その副作用で顔が変化し凶悪になったが両親のブラックへの愛は変わらない。

 

 ある時ブラックは偉業を成し遂げたいと言った。だから、20歳の時に受けるべき成人の儀式に14歳で受けさせた。ゼノモーフは誠恐ろしい生物であるが、専用の麻酔薬を渡して難なく通過させた。

 

 それから母親が死んだ。ブラックが殺したのだ。これが初めての同族殺しだった。元老院の力を利用して揉み消した。母親も本望だと。

 

 そしてブラックに専用の狩場を与えた。ここで自由にやるといい。そう伝えて。

 

 暫くして買い与えた星を警備させていた私兵から報告があった。

 

 ブラックが同族を攫って狩りをしているという報告だった。これを初めて聞いた時、息子の事をもう止められないと悟った。怪物を育ててしまったと。

 

 同族殺しは禁忌だ。掟破りだ。だから全力で揉み消した。金が湯水のように消えた。もしこれが明るみに出れば、エルダーにバレれればまずい事になる…!

 

 どんどんブラックはエスカレートしていく。

 

 もう誰にも止められない…!このままいけば……

 

 と彼が自室で考えていたところで、部屋の明かりが突然消えた。

 

 「あ…あ……あああああああ」

 

 暗闇でもよくわかった。

 

 目の前にプレデターがいた。傷だらけの古代語が書かれたマスクを被り、細身だが体格がよくガッシリしている。そして()()()()()()()()()()()を手に持っていた。

 

 「お前の息子は禁忌を犯した。分かっているな」

 

 マスクの目が赤く光り、低く冷たい声が響く。

 

 「あ、あ、違う。息子がやった事だ…!私は関係ない!」

 

 手を大きく振り必死に否定する。もう息子を犠牲にして自分だけが生き残ろうとした。

 

 「お前の息子は死んだぞ、もう全て分かっている。お前のやっていた事もだ。禁忌を犯せば族滅(一族郎党)、残るはお前だけだ」

 「なっ……!待っ…!」

 

 鞭が振るわれ、身体に巻きつく。そして一瞬でバラバラになった。

 

 暗闇に染まった部屋が蛍光色の血で照らされる。

 

 鞭を軽く振い血を落とし、仕掛けを起動し丸めると腰帯に取り付けた。

 

 「抹消完了」

 

 そしてクロークが起動し消えていく。

 

 部屋に残ったのはバラバラになった1人のプレデターの死体と血が飛び散り汚れた3人のプレデターが写る1枚の家族写真だった。

 

 

 

 

 

 

 ブラックの父親を惨殺したプレデターが船に戻りクロークを解除する。

 

 そしてガントレットを操作し、通信を行う。

 

 「()()()()、掃除は終わりました、全て滞りなく」

 「《うむ…ご苦労だった………ウルフよ》」

 

 ウルフと呼ばれたプレデターはマスクを脱ぎ壁にかけ、腰帯から()()()()()()()()()を外しそれも壁にかけた。

 

 「オリオン、報酬は例の物で…」

 「《あぁ、分かっている。してこの仕事はどうだ?》」

 「まあ、ゼノモーフよりかは簡単です。それに…」

 「《それに?》」

 「昔から腐った物を掃除するのは得意ですから」

 

 通信を終わらせ。ウルフが船を操縦し宇宙へと飛び立つ。船が闇へと溶けるように消えていった。




これにてプレデターズ編完結になります。
あ、あの部族討滅を読みたかった方々申し訳ございませんッ!!
お亡くなりになったのはブラック君の父と他親族、共に狩りをしていた輩、私兵がウルフの手によって抹消されました。
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