養殖が天然に勝てると思うなよ?【本編完結】   作:物体Zさん

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野生はこんな優しくないぞ

 研究所で手がかりを探し、プレデターの装備品を強奪したついでにゴンジを助けました。その後あら大変!クインの息子さんが攫われてしまいました。どうも、エイペックスです。

 

 船を降りてフジティブ、クイン、ネブラスカと別れた俺は木々を跳び伝ってフジティブを追ってきたプレデターの下へと向かった。

 

 奴は現在、フジティブの船に向かいジオメトリクス族の痕跡を消そうとしているのだろう。俺が以前ウルフ大先生とやった事と同じだ。

 まあ確かに人類に俺たちプレデターの技術が渡れば、人類の頭の良さならすぐに技術を物にして文明力を飛躍的に上昇させ、俺たちプレデターなんて容易に撃退できる存在になるだろう。それはそれで面白そうだけども。

 

 俺たちプレデターは他文明に技術が流出するのを良しとしない。俺たちが文明に干渉すれば本来進むはずの進化の道筋が絶たれる可能性があるからだ。だからもし、俺たちが人類を狩りにきて人類に返り討ちにされればガントレットの広域殲滅爆弾を起動して装備諸共あたり一帯を消滅させる訳だ。それすらも失敗すれば、ウルフ大先生のような掃除屋が派遣され、プレデターの技術に関わった者達を皆殺しにして痕跡を全て消す。

 

 ……今考えたら俺って船の部品とかモリーにあげたりしてるけどバレたら俺殺されちゃうかな…?ヤバい?

 

 まあいいっか!今のところそんな技術が上がった感じしないから平気だ!

 

 そんな事をなんやかんやと考えながら移動していたらフジティブ君の船の近くに来た。

 

 それらを見渡せる崖際にしゃがんだ。

 

 船の周りはスタートレックの人間達によって要塞のようになっていて、フェンスやら車やら物資やら沢山置いてあった。

 

 もう見つけてたんだなぁ…

 

 だが、其処に見る限り生きている人間はいなかった。

 

 胴体から真っ二つにされた死体、車に乗った4人組の首のない死体、プラズマキャスターによって風穴が空いた死体。辺りを見渡せば死屍累々の地獄絵図だった。

 

 少し遅かったか…

 

 そしてアレがフジティブ君の船か…中々カッコいいじゃないか!今は岸壁に突っ込んでるけど。

 

 とりあえず、船に行こう。

 

 俺は崖から飛び降りて船に向かった。周囲は血と硝煙の臭いが立ち込めていた。あ、研究所にいたリーダーみたいな人が死んでる。可哀想に。

 

 船に向かうと、後方の搭乗口が開いていた。外の機械からコードが伸びていて人間達が何かしようとした形跡がある。

 

 中に入ると、外と同じように人間の死体で一杯だった。中々惨い事をしてるなぁコイツは…

 

 まぁ武装して襲ってきたから殺すのは間違いじゃないが…

 

 ん?後ろに何か気配が…

 

 後ろに振り向くと頭プレデターの犬がいた。ちょっと何を言ってるか分からねーと思うが俺もよく分かってない。大きくて頭がプレデターで胴体が犬のような四足歩行の怪物が目の前にいたんだ。しかも2匹。

 

 「グルルルゥ…」

 「ガウウウウゥ…」

 

 いや完全に犬じゃん。犬ならこうすれば寄ってくるハズ!

 

 「ほーらヨシヨシ〜!おいで〜!」

 

 そう言って俺は犬向かって手を出した。

 

 頭プレデター犬はそれを見て歯を剥き出しにしながら走ってきた。

 

 え?これ襲われる?

 

 「え!ちょっと待て!」

 

 俺は両手を伸ばし犬に向ける。

 

 ダメだ止まらねぇ!モリーと観た恐竜の映画で恐ろしい恐竜が主人公によって止められてるシーンを真似してみたんだけど止まらねぇ!

 

 頭プレデター犬が俺に飛びついてきた。俺は咄嗟に腕を前に出す。すると俺の腕に噛みついてきた。もう1匹も同じように飛びついてきて腕に噛みついてきた。

 

 あ〜腕がヨダレだらけだ…

 

 間近で見ると本当気持ち悪い生き物だなぁ〜それに臭いな!野生の獣臭じゃなくて変な臭いだ。あ!フジティブ君に似てるかも…

 

 中々離れないな!

 

 「ちょっと臭いから離れろ!」

 

 俺は腕を軽く振って地面に犬を叩きつけた。

 

 「クウゥン!」

 「キャインィン!」

 

 地面に叩きつけられ痛ましい声を上げ俺の腕から離れた。

 

 だが、すぐに立ち上がり歯を剥き出しにしてまた威嚇を始めた。

 

 お前ら此処が野生だったらもう死んでるぞ。

 

 「おい、食うぞ」

 

 殺気を込めながら言葉を放つ。

 

 「クゥーーン…」

 

 と1匹が可愛らしい声を上げながら仰向けになり腹を見せてきた。もう犬ですやん…

 

 片方の犬は相棒の犬が突然俺に服従のポーズをとっているのを見てビビるような表情を見せる。が、俺に向かって唸り声を上げながら走ってくる。

 

 「そうかお前は分からなかったか、なら狩らせてもらうぞッ!」

 

 俺は犬でも猫でも食っちまうプレデターだッ!舐めるなよーッ!!!!

 

 向かってきた頭プレデター犬の突進を横に身体をスッとずらして避けた俺は、頭プレデター犬の首の皮を掴み持ち上げた。

 

 ジタバタと暴れるが、俺に攻撃は届かない。

 

 「あのなぁ。一回目は許した。だけど二回目は許さん」

 

 俺は背中から2()()()()()の1本のスピアを取り出し伸ばした。そして頭プレデター犬の尻からブッ刺す。そして胴体を貫通し口の中からスピアが出てきた。ビクビクと犬の身体が暴れ口から尻から蛍光色の血が溢れる。

 

 うわ、血まで俺達と同じかよ…だがこれですぐに焼いて食える。

 

 俺はスピアに犬を突き刺したまま持ち上げ肩に乗っける。

 

 「ゴンジ、行くぞ!」

 

 俺がゴンジと呼ぶと仰向けだった頭プレデター犬がシュッと立ち上がり俺の後ろをついてきた。

 

 さっと船を探索しようと奥に進もうとした時、船内にアラームが鳴り響いた。

 

 「なんだ!?あ!!」

 

 俺が入ってきた搭乗口を見ると隔壁が閉まっていた。

 

 ヤバい、閉じ込められた…

 

 「【自爆を開始します】」

 

 自爆!!!!マズい!!!!

 

 犬を肩に担ぎながら周囲を焦って見渡す。身を守れる所ないぞ!

 

 そうだ!脱出ポッドは!?

 

 俺は急いで脱出ポッドが置いてある筈の場所へ向かった。

 

 「なんだよこれ!脱出ポッドじゃないのか!?」

 

 俺が目にしたものはポッドだが、既に中に何かが入っている為か開けることができなかった。

 

 「クソ!!ヤバい!!ん?おい!ゴンジ何やってる!」

 

 ゴンジが操縦席にあるボタンを前脚でしっちゃかめっちゃか押している。

 

 あー!おい!今スペースジャンプなんてしなくていいんだよ!

 

 「あ」

 

 強烈な音と身体が引っ張られる感覚と共に俺の視界が光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジオメトリクス族によって作られた新たなプレデター。アサシンは船が見える崖の上から、自身と同じ背丈のプレデターが船に入っていくのを見ていた。

 

 フジティブの船に集まる人間を容易に屠ったあと、船の自爆装置を起動させたところでプレデタードッグが気配を察知し自身はクロークをつけ崖の上で待機していた。

 

 そして、現れたエイペックスをガントレットを操作し船の中に閉じ込め船を離れた。

 

 後方で大きな音が聞こえた。

 

 「船諸共消えるがいい」

 

 足止めにプレデタードッグを放ち時間を稼いだアサシンは自身の船に戻り、残るはフジティブを殺すのみとなった。

 

 「奴の反応は近い、殺せば任務完了だ」

 

 ガントレットに送られてくる母星からのフジティブの追跡をマップに表示すると、自身の船に近づいているのが分かった。

 

 「奴め、俺の船を奪うつもりか」

 

 あえて泳がせていたが、ここまで狡猾とは思わなかった。とアサシンは考える。

 

 (フジティブ、反乱軍唯一の生き残り)

 

 アサシンは森に入り木々を跳びながら船に向かった。

 

 

 一方、アサシンの船に侵入を果たしたフジティブ一行は途中で爆発の揺れに襲われつつも、ポッドの中に閉じ込められているロリーを見つけた。

 

 「ロリー!待ってろ!今出すからな!」

 クインが銃床でポッドを叩くが割れる気配はない。

 

 それを見たフジティブは船の操縦席に向かった。

 

 (このまま船を操縦して脱出すれば……)

 

 そんな考えが頭を過ぎる。だがここで逃げられたとて別の奴に追われるだけだろう…と直ぐに思い考えを振り払った。そして、フジティブはポッド解放のボタンを押す。

 

 ボタンが押されると、ポッドが格納場所から出てくる。

 

 そして扉が開くと、クインが横たわるロリーを抱いてポッドから出した。クインが確認すると息を吸い胸が上下しているのが分かった。

 

 「ロリー!起きろ!ロリー!」

 

 クインが揺らしながら声をかける。

 

 「うーん…」

 

 ロリーが目を擦りながら目を覚ました。

 

 「良かった…!すまなかったロリー!」

 「うん?パパ?どうしたの…」

 

 クインがロリーを降ろすと、自力でロリーは立った。そしてクインと抱き合うと離れ言った。

 

 「大きい奴はまた来るよ!」

 「あぁ!だが…」

 「下がっていろ」

 

 ダッチが2人に声をかけた。そして手に持ったLMGを撃ち始めた。

 

 けたたましい音と共に銃弾が放たれ船の後方、暗闇へと飛んでいく。そして何かに当たったのか火花が散った。

 

 「俺が抑える。今のうちに逃げるんだ!」

 「俺もやるぜ!」

 

 そこにネブラスカも参加し撃ち始める。

 

 戦いが始まったのを知ったフジティブが船を操作し、操縦席近くにある搭乗口を開けた。手招きしてクインとロリー親子を逃すと、再度船を操作して搭乗口を閉じた。

 

 フジティブが2人の下に行くとネブラスカが血が出る腹を押さえて倒れていた。近くに駆け寄りお腹を手で押さえた。近くに血濡れた一枚刃のリストブレイドが落ちていた。脇腹を貫通したようだ。

 

 そして、その奥でダッチと呼ばれた男とアサシンが戦っていた。

 

 ダッチが背中の剣を抜き放ち、片手でLMGをアサシンの振るわれた腕に向かって連続で撃ち腕を弾くと、右手で持ったマチェーテをアサシンの肩目掛け袈裟斬りにした。火花が散り、アサシンが切られた衝撃と共に仰け反った。

 

 「硬いな」

 

 ダッチがそう一言呟き、弾のなくなったLMGを投げ捨て走った。

 

 (なんて男だ…!アサシン相手にここまで戦うとは…!)

 

 フジティブはダッチの戦い振りを見て驚嘆した。私がアサシンと戦えば全く太刀打ちできず瞬殺されるだろう。私の仲間たちは奴の強化外骨格に自慢のリストブレイドを折られ、プラズマキャスターは強化された反射神経によって避けられ、アサシンの剛力によって投げ飛ばされ、殴られ、一枚刃のリストブレイドで首をはねられた。

 

 それをあの人間は軽快に動き、奴の攻撃を避けて攻撃を繰り出していた。

 

 (しかし…それでは奴の防御は突破できない…!)

 

 フジティブはプラズマキャスターをアサシンに向かって放とうとするがダッチに当たってしまいそうで撃てずにいた。 

 

 しかし、ダッチは援護なんぞいらぬと言わんばかりに果敢にアサシンに向かっていく。

 

 手に持つマチェーテでアサシンの右腕から伸びるリストブレイドと打ち合い、隙を見てアサシンの脇腹や脇の下などを切りつけていく。しかしそのどれもが浮き出た外骨格によって守られ有効打になり得ない。

 

 (ジリ貧だな)

 

 ダッチはホルスターから一丁のハンドガンを抜いた。特注のマグナムリボルバーだ。

 

 そしてアサシンに向かって右手にマチェーテ、左手にマグナムを持ち走っていった。

 

 走りながら頭に向かってマグナムを放つと奴は腕で庇った。弾が無くなるまで放ち、マチェーテで奴の股下を切りつけながらスライディングして潜り抜ける。

 

 マチェーテを見るとうっすらと血がついていた。

 

 (ふっ流石にここは硬くできなかったか)

 

 ダッチが切ったのは肛門だった。

 

 (血が出るなら殺せるはずだ)

 

 アサシンは肛門を初めて切られ驚いていた。まさかこんな場所を切るやつがいるとは…と。だがこんなところを薄ら切られたとて何も問題はない。いつも通り殺すだけとアサシンは思案した。

 

 左腕のガントレットのプラズマキャスターを起動させたアサシン。

 

 ダッチはアサシンの左腕に小さな砲台が出てきたのを確認した。

 

 そしてアサシンの左腕のプラズマキャスターがエネルギー弾を放つ。真っ直ぐとダッチに向かって飛んでいくエネルギー弾。そのまま喰らえばダッチとて致命傷は避けられない一撃だろう。

 

 だが、そう簡単には喰らわないダッチ。マチェーテを全力で振るいエネルギー弾を斬り飛ばした。

 

 斬り飛ばされ真っ二つに分かれたエネルギー弾が船の両サイドぶつかり激しい音がなる。

 

 一瞬の隙でダッチはリボルバーに弾を装填し再度構えた。しかし…

 

 (エイペックス…何をしているんだ…!)

 

 ダッチは内心焦っていた。今し方、エネルギー弾の爆発音とは違う爆発音がエイペックスの向かった方から聞こえたからだ。この船を見つけた直後にも同じような爆発音が聞こえたがエイペックスが船を爆発させたのかと思っていた。しかし現れたのは奴だった。

 

 そして、ダッチはこのままでは奴に勝てないと思い始めていた。手に持つマチェーテは刃こぼれを起こし後数回打ち合えば折れてしまうだろう。リボルバーの残弾も今装填したもので最後だった。

 

 ダッチの体力は無限ではない。年齢の割には動ける方だ。プレデターを殺す為、毎日鍛えた。無惨に死んだ部隊の仲間達を思い、もう同じ事を繰り返すまいと鍛えた。その力は並のプレデターであれば殺せただろう。だが、アサシンは違う。宇宙で優れた種族との交配によって産まれたプレデター。

 

 (やるしかない)

 

 ダッチがアサシンに向かって走る。銃を顔に向けて撃つが腕でガードされ防がれた。アサシンに近づきマチェーテを全力で振るうが表皮に弾かれ折れてしまった。ならばと拳に力を込め全力で鳩尾を殴った。拳が捩じ込まれ深く入っていく感覚があるが、アサシンは意に介さずダッチの腕を掴み持ち上げた。

 

 (クソッ!ここまでか…)

 

 「ニンゲンニシテハツヨイ、シコウノリョウイキトイッテモイイ、ワレラノニエトナルガイイ!!」

 

 そうしてアサシンがダッチの顔面に向かって拳を放とうとした時、アサシンの拳が突然止まる。そしてアサシンがゆっくりと後ろを振り返り、ダッチを離した。

 

 ダッチは見えていた。アサシンの後方からやってくる者を。

 

 

 ヒタ…ヒタ…

 

  

 それは()()()()()()()を肩に置きながら、全身に怒気を滾らせ強大な筋肉を脈動させる巨大なプレデター。

 

 アサシンは、瞬時に全身に外骨格を出現させ硬質化させた。

 

 「おい養殖野郎……やってくれたなぁ……」

 

 エイペックス・プレデター(頂点捕食者)

 

 

 

 

 

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