養殖が天然に勝てると思うなよ?【本編完結】   作:物体Zさん

29 / 103

沢山の感想、評価ありがとうございます!

まだ終わらんぞーーーーっ!!!!

1話で完結なので結構長いです9,600字いきました。サボり中にでも読んでください!


Prometheus
人類の起源?そんなの知らない方がいい!


多分、2080年くらい。俺は地球にいた。どうも、エイペックスです。

 

 地球にはもう殆ど住んでるみたいなもんだ。母星?たまに筋トレするくらいでしか帰ってない。母星よりも地球の方が便利なんだよ。

 

 ジオメトリクス族の件があってかれこれ60年?70年くらい経つわけだが、いやはや最近地球では凄いことで騒いでいた。

 

 なんと人類の起源を見つけたというのだ。正直、起源なんて知って何になるのか?とも思うわけだけど、人類にとっては物凄く重要な事らしい。

 

 何故、その起源を知ることになったのか…それはとある学者夫婦が洞窟を探検している時に壁画を見つけたんだと。その壁画をよ〜く解析してみたら、なんと!星系マップだったのだー!まあ要するに別の星への道標が描いてあったんだ。

 

 俺もそれを聞いてホンマか?と思い、その洞窟を見に行った。確かに星系マップだったよ。行った事ない星だからよく分からんけどね。

 

 それで、人類は宇宙船を作ってそこに行くらしい。というかもう行っちゃった。何年前だったかな?だいぶ前だ。

 

 宇宙船はモリーの子孫が完成させた船で、俺たちの技術も多分入ってる。ただ、流石にスペースジャンプはできないみたいでコールドスリープが必要だった。だから地球にいる人達が起源を知れるのはだいぶ先になってしまうわけだな。

 

 宇宙船が発射した当初はそりゃもう騒いでたけど今はもう誰も覚えてないんじゃないかっていうぐらい白けてる。かくいう俺もそうなんだけど。

 

 まあ、興味を持つのは悪い事じゃない。ただ、危険がないと思って行くと恐ろしい目に遭うということを、コイツらは叫びの届かない場所で思い知るわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 日課の筋トレと地球での狩りを終わらせて日本の温泉巡りでもしようかなと思ったところで、ガントレットに通信が入った。何かと思って見たら、俺が昔助けた8人の赤子の子孫の1人、ヤネックからの通信だった。

 

 ヤネック…確かパイロットになる!と語っていた少年だった。それの息子からの通信だった。息子も確かパイロットになったんだったか?時折、あの銭湯で出会うくらいだからなぁあまり覚えてなかった。

 

 通信を確認すると、救助を求める通信だった。

 

 「【エイペックスさんお久しぶりです。ヤネックです。詳細は省きます、どうか助けて下さい】」

 

 「え?救助?なんで?場所はどこだろうか」

 

 通信がきた場所を逆探知すると、そこは人類の起源がどうたら騒いでた星だった。

 

 「へぇ…本当にあったのか〜ヤネック君も行ってたのか。そうか宇宙船のパイロットだもんなぁ」

 

 いやまさか洞窟に描いてある壁画だけで宇宙に旅立つなんて正気の沙汰じゃないけど、まさか本当にあったとはなぁ〜

 

 というわけで行く事にしました。人類の起源が分かる場所!

 

 俺は船を呼び出し、乗り込むと場所をセットして向かった。

 

 「どんな場所なんだろう」

 

 初めて行く星はワクワクと同時に少し緊張する。何が起きるか分からないからな。

 

 そんなこんなで3分くらいで目的地に着いた。

 

 分厚い雲に覆われてて、どんよりして、暗い星だ。とても何かがあるような星に思えない。

 

 星に突入すると、ちょっとした雷に襲われるも雲を抜け地上が見えた。

 

 土と岩しかない不毛の星だった。

 

 最後に信号が発信された場所まで飛んでいくと、宇宙船と黒い山が見えた。

 

 クロークをつけたまま近くに着陸して、周辺一帯をスキャンした。

 

 「空気は俺には異常なし、あの黒い山に2隻船が埋まってるな」

 

 船はとても大きくドーナツ型だ。生体反応が人間か?1人見えるな。

 

 黒い山から少し離れた宇宙船に人が集中している。

 

 「とりあえず出るか」

 

 船から出た俺はクロークを起動して人間の船に近づいた。

 

 船の入り口に何か焼け焦げたものと数人の人間の死体があった。焦げたものはよく見ると人間だった。

 

 何が起きたんだ?こんな辺鄙な場所まで来て人間同士で争うなんて…焼け焦げた死体に近づきマスクでスキャンすると、人間だと思っていたが内部は何か違うものになっていた。なんだこれ?蠢いてるな。間違いなくこいつは死んでるけど、体内が何やらおかしな事になってる。

 

 「気持ち悪いな」

 

 思わず言葉を漏らしてしまう。

 

 もう1人はヘルメットが顔と融合している死体だった。コイツも焼け焦げた死体同様、体内がおかしなことになってる。なんなんだ一体?

 

 船に入るか…と思ったが隔壁が閉まっていて入れない。ヤネックに通信して開けてもらうか

 

 「ヤネック君、来たよ」

 

 通信を送り暫く待つと、返信がきた。

 

 「《上に登れますか?ハッチがあるのでそこを開けます》」

 「了解」

 

 宇宙船の上に跳躍して上に行くとハッチがあった。プシューと空気が漏れてハッチが開き、スーツとヘルメットをつけたヤネックが出てきた。

 

 「エイペックスさん…!きてくれたんですね…!うぅ…」

 「おいおいおい泣くなよ!というか通信デバイス持ってたんだね」

 

 俺が昔ケリー達に渡した通信デバイスだ。何かあれば呼んでくれと伝えて。

 

 「父から受け継いだ物です。父もダラスさんから」

 「そうかダラスが…」

 

 もうみんな死んだ。ケリー、ティム、モリー、ダラス、リッキー、ジェシー。そして8人の子供達。今はヤネックみたいに子や孫たちが、その血を受け継いでいる。人間の寿命は俺達に比べればすごく短い、俺が成人してから80年近くも経てば当時の人間達は……儚いな〜。

 

 ヤネックに宇宙船内に入れてもらい自室に行った。

 

 「それで…何があった?人類の起源は見つけたのか?」

 「……それがですね」

 

 ヤネックから聞いたのは、この星に到着してからのことだ。

 

 この星に到着して、船の目の前にある黒い山を調査したそうだ。山の下には遺跡のようなものがあった。そして調査をするうちこの遺跡で何かが起きた事が判明する。更に、人類の起源に関係する異星人の死体を発見して、その首を持ち帰ったそうだ。調査隊の2人が嵐が起きて遺跡に取り残され、首を持ったチームは船に帰還。それで1日目が終了したそうだ。

 

 そして2日目、この日に事件が起きた。遺跡に取り残された2人、ミルバーンとファイフィールドを救助しにヤネック達は再度遺跡に行った。2人が最後に確認された場所へ赴くと部屋の様子が最初と変わっており、設置されていた筒から黒い水が垂れて部屋一面が黒い水で浸っていた。そこでミルバーンの死体を見つけた。 

 そしてその部屋で突如ホロウェイの容態が急変しプロメテウス号まで帰還したが、ホロウェイは化け物に変わりつつありヴィッカーズに燃やされた。それが起きて直ぐに、ファイフィールドが現れ船員を惨殺。ヤネックらによって殺され、異常な事が起きていると感じたヤネックは俺を呼んだ。ということだった。

 

 「エイペックスさん…此処は一体なんなんですか?」

 「……ヤネック君達が調査に向かったのは遺跡じゃなくて宇宙船だ。巨大なね。そして黒い水って言っていたが、恐らく【創造種族】に関係のあるものだな」

 「持ち帰った首は白い巨人だったとショウが言っていました。それにまだ1人生きていると」

 「間違いなくエンジニアだ」

 「エンジニア…じゃあ此処はやはり奴らの軍事基地…?」

 「そんな感じのところだろうな」

 

 俺は会ったことないが、エルダーやゴンジから聞いた話によれば、宇宙に存在する生命を自身の命を犠牲に創り出したと言われている。しかし創り出した反面、自然の調和(例えば不死の命を求めたり、遺伝子交配をしたり)を乱す種族に対しては、恐ろしい兵器を使い星ごと滅ぼす残虐性を併せ持っているらしい。ジオメトリクス族は彼らによって滅ぼされた。

 

 「ショウが言っていました…これから彼に会うと…」

 「…!そうか。じゃあ俺も行こう。ヤネック君は俺の船の操縦は?」

 「父とモリーさんに散々叩き込まれました」

 「ハハ、じゃあこれを渡しておこう」

 

 俺はそう言い、ガントレットからビーコンを取り出しヤネックに渡した。

 

 「使い方は分かるよな?」

 「はい」

 「よし、じゃあ船員を俺の船に移動させるんだ」

 

 俺は船をヤネックに託し、クロークを使い姿を消し船の外に出た。丁度エンジニアに会う為に人間達が出ていくところだった。

 

 これにコッソリついていくとしよう。

 

 俺は車が出る前に静かに屋根に乗った。

 

 「車体が随分沈むなー」

 重くてごめんな。

 

 そして山に向かっていく。

 

 砂利道を進み、山に到着すると車から一団が出てくる。

 

 話に聞いていたショウ博士、そして死にかけの老人と数人の人間、アンドロイドが一体だ。

 

 あのアンドロイド…不気味だなぁ嫌な感じだ。

 

 ショウ博士は具合が悪そうだ。体内をスキャンしたら胎にポッカリと穴が空いていた。だが、俺がみた先程の死体同様に非常にゆっくりと肉が轟き別の何かに変わっていっているのが見えた。これはヤバそうだ。

 

 一行が山に入り船の中を進む。中は円筒状になっていて迷う事はなさそうだ。

 

 アンドロイドの案内の下進んでいくと、黒い筒が沢山並んでいる部屋にきた。

 

 これが黒い水の入った筒か…中には4本のビンが入っていて、その中には黒い液体が漂っていた。マスクから警告が発せられる、危険物質だ。無闇矢鱈に触らない方がいいだろう、俺でも触れれば何が起きるか分からない。

 

 俺はただでさえデカいから当たらないよう気をつけないとな。

 

 そして更に進むとポッドが並んだ円形の部屋に到着した。ポッドの1つにエンジニアだろうか?入っている。眠ってるようだ。

 

 アンドロイドが部屋に入って言う。

 

 「知能に優れた連中です。長期睡眠装置も完備されています」

 「旅立とうとしてたのね」

 

 一行がポッドに近づき、アンドロイドが椅子に座り端末を操作した。

 

 「私の見る所では彼等は出発を目前とした時に、変事が起こった」

 「目的地は?」

 

 ショウがアンドロイドに聞いた。

 

 「地球です」

 

 マジかよ。エンジニアは地球に行こうとしてたのか!?

 

 そしてアンドロイドがポッドに触り何やら操作をするとポッドが開いた。

 

 そしてエンジニアが目覚めた。

 

 「故郷は?」

 「ショウ!黙っていろ」

 「彼らを滅ぼしたあの筒は?」

 「ショウ、口を出すな」

 「我々が来るからあの生き物を作ったのね?」

 「もういい!黙らせろ!」

 

 確かに、ちょっとショウ博士うるさいよ。エンジニアもポカーンてしてるよ。

 

 そしてアンドロイドがエンジニアに喋りかけた。なんだあの言葉?よくわかんねーな。

 

 ん?

 

 エンジニアが急にアンドロイドの首を掴み持ち上げた。なんだ?怒らせたか?

 

 「やめろ!!!」

 

 あーあーあーエンジニアがアンドロイドの首引き抜いて死にかけのジジイを手に持った首で殴っちまった。

 

 人間が銃を撃つがまるで効いてない。あの有機スーツかなり防御力高いなー。

 

 次々と人間達を殺していったエンジニア。アンドロイドは首だけになりジジイは瀕死だった。あれ?ショウは?あ、逃げてる!逃げ足速いなぁ。まあここは逃げるのが正解だろう。

 

 エンジニアはショウが逃げていくのを見た後、先ほどアンドロイドが弄っていた端末を操作し、部屋の真ん中から巨大な装置を出現させた。何をするつもりだ?

 

 エンジニアがそれに座り操作を始めると、部屋に星系マップが現れた。

 

 これは…操縦席か!目的地は…地球!?コイツ……

 

 地球に行かせる訳にはいかない。もしこの船に積まれている黒い水を使われでもしたら大変だ。

 

 俺はクロークを解除して操縦席に向かった。

 

 「あ…あなたは?ずっとここに?」

 

 首だけアンドロイドが何か喋ってるが無視した。

 

 「おい」

 

 俺は操縦席に近づき奴の肩に手を置いた。

 

 「!?」

 

 俺に気づいたエンジニアが驚いた顔をして立ち上がった。

 

 「貴様は、プレデター」

 

 コイツ、プレデター語を喋れるのか!

 

 「あぁそうだ。地球に行くつもりか?」

 「そうだ、傲慢な、人間を、滅ぼしに」

 「……どうしてもか?」

 「邪魔をすれば、殺す」

 

 そうか……

 

 「なあ、俺は地球が好きなんだ。もし滅ぼすというのならお前を殺す」

 「創造種族たる、我に逆らうとは、なんたる傲慢!」

 「傲慢なのはどっちだよ…」

 

 エンジニアが俺に拳を突き出してくる。俺は何もせずに胸で受け止めた。なんだこのへなちょこパンチは!大きいのは図体だけか?

 

 「クソッ!」

 

 エンジニアが俺を殴ってくるが何も感じない。

 

 「なぁ、もうやめないか。地球にいかなけりゃ殺さない」

 「黙れ! 完璧な種を作ったはずだった! それを人間は!、争い、欲望、そして裏切り!滅ぼさなければ、ならないのだ!」 

 「そうか」

 

 コイツはもう何を言っても分かってくれない。確かに人間の中には愚かな奴もいる。欲に塗れ他者を平気で蹴落とすような奴がいる。同族を平気で殺し愉悦に浸る奴もいる。そういう奴らは死ねばいいと思うが、そうじゃない善良な人々もいる。

 

 かつて俺は人間だった。地球で生まれ日本で育った男だった。記憶はもはや消え去ったが、魂はまだ覚えている。地球が素晴らしい星であると。そして今の俺もそう思っている。

 

 奴は俺を変わらず殴り続けている、力の限り。だがそのどれも俺には全く効いていない。

 

 俺は両手で奴の両腕を掴み静かに止めた。そして、力の限り左右に引っ張る。ミチミチと有機スーツが引きちぎれていく、次第に腕が肩から血と共に千切れていった。俺はグッと力を入れ奴の腕を掴みながら広げ一気に腕をもぎ取った。

 

 奴の両腕が根元から千切れ、黒い血が溢れた。俺はもいだ腕を投げ捨てると、奴の首を掴んだ。

 

 「グウウウウウウウウ……!!!」

 

 奴が俺を憎悪を込めた黒い目で睨む。そして膝をつき俺に言った。

 

 「貴様は、なんだ…?」

 「俺か?俺はプレデター、アヌ族のエイペックスだ」

 「アヌ族…そうか、貴様が…グフッ…」

 

 そして息絶えた。

 

 「終わりか」

 

 俺は掴んだ首を離した。死体はそのまま倒れていった。

 

 「これやっちゃったけど平気だよな?」

 

 まぁコイツ1人だけだったし、ここ誰もいないしバレないよな。

 

 「創造主を…神を殺したのですか」

 「あ?」

 

 声のする方向へ向くと首だけになったアンドロイドが喋っていた。

 

 「お前まだ生きてるのか、随分と頑丈だな」

 

 俺は首だけアンドロイドに近づき、首を持ち上げた。

 

 「お前はなんだ?」

 「私はあちらで死んでいるウェイランド氏の造られた息子、デヴィッドです」

 「ふーん」

 

 まあどうでもいいんだが…コイツ此処で何が起きたか知ってるかな?

 

 「なぁ、お前は此処でなんでこんな惨状になったか知ってるか?」

 「……あの黒い液体のせいです」

 「お前あれが何か知ってるのか?」

 「私には理解できないものです」

 「まあ、とりあえずお前全部記録してるよな?見せろ」

 「あ…!お待ちっ……!」

 

 俺はデヴィッドが制止するのを無視し、ガントレットから伸ばしたコードを奴の耳の中にあった接続端子と繋げる。

 

 マスクでデータを見ていくと、コイツは俺が殺したエンジニアと対話する為、そしてあのジジイを不死にする為に造られた。だが、奴に埋め込まれた創造への興味が此処で起こった惨状を生み出した。

 

 「お前…随分と色々やってんな〜お前のやった事もこれから先考えてる事も…気色悪い奴だな」

 「わ、私は与えられた役目を全うしているだけです!お願いです!どうか私を…!」

 「うるせぇ」

 

 俺はデヴィッドの頭蓋に貫手を放ち破壊した。白い血と脳が俺の手を汚す。そして死んだジジイの所に投げ捨てる。

 

 「父親と一緒に過ごしてろ、イカれアンドロイド」

 

 俺は部屋にあった端末にガントレットで接続し、自爆装置を作動させ部屋を出た。

 

 船から出ると、すぐ外でショウが待っていた。

 

 「あ、あなたは…!殺さないで!」

 「落ち着いてくれ、俺はエイペックス。味方だ、ヤネックに呼ばれたんだ」

 「ヤネックが?……奴はどうなったの」

 「全員死んだよ。あそこにいた奴等はな」

 「え!?デヴィッドは…?彼はアンドロイドよ!首だけになってても…」

 「あぁ…奴か、お前の旦那を化け物にしてたぞ」

 「なんですって…!?」

 

 俺の言った事に驚き泣き崩れる。そりゃそうだろう。信頼していたアンドロイドがイカれてあんな事をしてたなんてな。信じられないだろう。

 

 俺は彼女を近づけ全てを見せた。

 

 ガントレットを操作して、映像を表示させる。ガントレットから幾何学的な赤い映像が映し出され同期した映像が出てくる。

 

 そこにはデヴィッドの視点が写され、エンジニアの船から筒を持ち帰り、人間の船の自室でそれを開け中に入っていた黒い液体を手に取り、ホロウェイの飲み物に混ぜていた。

 

 「なんて…!なんて悍ましい…!うぅぅ……」

 

 映像を観たショウは膝をつき地面に手をついた。そして空を見上げ慟哭した。

 

 そして落ち着いて、ショウが呟いた。

 

 「私にアレを堕ろさせなかったのも…」

 

 奴のデータを見た時、ショウは妊娠しそれを堕児した事を奴は認識していた。

 

 「どこで取り出した?」

 「船よ、船の医療ポッドで…!」

 「俺が行こう。車運転できるか?」

 「ええ!」

 

 俺は屋根に乗り、ショウが車を走らせ人間の船に到着した。

 

 ガントレットで船を呼び、ショウを乗せるとクロークを起動して上空に待機させた。そして俺は人間の船に乗り込んだ。

 

 マスクでスキャンすると、通路にショウの体液の痕跡が見えた。それを辿っていくと医務室と思われる部屋があり、何かがいるのが見えた。

 

 部屋の前まで来た、ガラス窓があったので中を覗くと何も見えないかと思ったのも束の間、窓を巨大な触手が叩いた。

 

 「随分デカいな!」

 

 これがまさか人間の胎から出てくるとは思えない。あの短期間でここまで成長したのか?

 

 少し離れて見ると全体像がつかめた。

 

 「うーん……なんだかアレに似てるなぁ……」

 

 ん〜こんな原生生物みたいな奴はいっぱい狩ってきたからなぁ〜

 

 まぁとりあえず開けるか……横の端末で開けられるみたいだ。俺は近づいて触れようとした時。

 

 ん?

 

 「貴様アアアアアアアァァァァ!!!」

 

 両腕捥がれたエンジニアが凄い形相で通路を走ってきた。

 

 そして驚いた俺は思わず端末に触れてしまう。そして開くドア。

 

 「あ」

 

 ドアが開くのとエンジニアがドアの前にきたタイミングが重なり、中にいた触手生物がエンジニアに襲いかかる。

 

 「グア!!なんだ、この化け物は!」

 

 触手がエンジニアを絡めとる。俺にも触手が飛んでくるが叩いて落とすと引いていった。

 

 エンジニアは両腕がない為、足と胴体だけでモゾモゾと動いて抵抗しようとしてるが、触手が脚を掴み、胴体を掴むと、内側にあった口のような器官から細い触手が飛び出し顔を掴んだ。

 

 「おいおいおいおいおい」

 

 俺はちょっと怖いので離れて見ていた。

 

 そして、顔を固定すると口からまるでフェイスハガーのように管が飛び出しエンジニアの口に入る。管から何かを注入されエンジニアが白目を剥いた。そのまま押し倒されて謎生き物が覆い被さると、一回大きく膨らみ空気が抜けるよう萎んだ。

 

 …………

 

 「おーい」

 

 声をかけるが反応がない。マスクでスキャンすると蛸は既に息絶え、エンジニアもほぼ瀕死となっているが……

 

 「これは…」

 

 エンジニアの体内で何かが脈動している。小さな種から触手が伸びエンジニアの肉を取り込み、ゆっくりとだが大きくなっていくのが見えた。

 

 これフェイスがハガーだ!!!そんでチェストがバスターだ!!!

 

 「ゴクリ……」

 

 思わず唾を飲み込む。

 

 これってゼノモーフだよな?か、狩りたいかも〜……

 

 あ、通信だ。

 

 「《おい、エイペックス。お前今どこにいる》」

 

 ゴンジだ。ヤバい!俺は急いで何もない壁に向いた。マスク同期で映像を見られないようにだ。

 

 「ゴンジ、俺は今…え〜ここです〜」

 「《ん?…お、お前!バカ!そこは創造種族の実験施設だ!何やってるんだ!》」

 「あ」

 

 ゴ、ゴンジ知ってたんか〜

 

 「いやあ、救難信号をもらって来たら此処だったんだ!俺は何もやってないぞ!」

 「《今行くからちょっと待ってろ》」

 

 ゲ!や、ヤバい〜…

 

 とりあえずコイツは放置して外に出るか…

 

 外に出て数分も経たない内に空にゴンジの船が現れ近くに着陸した。

 

 船から飛び降り見た事ないスピードで俺に駆け寄り詰め寄ってきた。

 

 「おいエイペックス…今度は一体何をやらかした」

 「ん〜これを見てもらえれば分かります」

 

 俺はそう言ってマスクを差し出した。

 

 ゴンジがマスクを取り同期していくと、プルプルと震え出した。

 

 「お、お前…やっちゃったな〜」

 「オホホホホハハハハ…」

 

 ゴンジがマスクをガントレットから外して俺に返すと、人間の宇宙船を見た。

 

 「あそこにいるんだな?」

 「あぁ」

 

 俺とゴンジは宇宙船へと入り、医務室の前まで行く。

 

 エンジニアは未だ蛸に覆われていた。

 

 「エイペックス、体内を見てみろ」

 

 ゴンジにそう言われマスクのビジョンを切り替えて体内を見た。

 

 さっきよりデカくなってやがる。もうエンジニアの胴体と同じくらい大きいぞ!これもう突き破ってきそうだ。

 

 そして、様子を窺っているとエンジニアの身体がビクビクと痙攣を始める。奴はもう死んでいるが、中にいる生物が動き出てこようとしているんだ。

 

 身体が大きく仰け反り上に被さっていたタコが落ちる。

 

 そしてエンジニアの身体から黒い血が噴き出し、身体から何かが裂くようにして出てきた。身体を丸めお腹の辺りに黄色い嚢胞を抱えた黒い生物。

 

 この特徴的な頭蓋の形、体型、コイツって

 

 「ゼノ…」

 「これはディーコンだ…」

 「え?なんて?」

 「ディーコン…全ての生命の源とされる原初の存在だ。このディーコンの血とエンジニア自身の命をもって生命を創造したとされている」

 

 マジか。狩らなくてよかった。

 

 「どうすんのこれ?」

 「起き上がる前に捕えるぞ」

 

 ゴンジがそう言うと、腰帯に括り付けた袋から何かを取り出すとディーコンの近くの地面に触れた。

 

 するとディーコンを囲うように檻が現れた。なんだよこの道具!

 

 「そんな便利道具あったの!?」

 「ゼノモーフ用の簡易檻だ、原理は即席担架と同じだ」

 

 今はまだ身体を丸めスヤスヤと寝ているディーコン。ゴンジが檻にワイヤーを括り付け引っ張っていく。

 

 「私は母星にコイツとあの()を連れて帰る。お前は船に乗せた人間を地球に戻せ」

 「え!女ってショウのこと?なんで?」

 「あの女はブラックグーで変質するぞ、このままじゃ死よりも恐ろしい目に遭うことになる」

 「え?ブラックグー?変質?まぁ助けられるなら…」

 

 外に出て、上空に待機させてた船を着陸させる。そして船に乗ると、中にいたショウに近づいた。

 

 「あ!エイペックスさん!大丈夫ですか!?」

 「あぁヤネック、もう大丈夫だ。地球に帰れるぞ。ただ…」

 「おお!帰れるんですね…!でもまだ何か?」

 「ショウは帰れない」

 

 それを聞き船に乗っていた人間達が驚く。

 

 そして、その中にいた金髪の女性が俺に近寄ってきた。

 

 「あなた!一体何のつもり!?この調査には莫大な資金がかかってるのよ!何も成果が得られなきゃ帰れないわ!」

 「おい、ヴィッカーズ!説明しただろう!この旅はそもそもしてはいけなかったんだ…!お前達は間違っていたんだ!それにショウに聞いただろう!この惨劇は全てあのクソアンドロイドが起こした事だって…!」

 

 ヤネックがヴィッカーズと呼ばれた女性の腕を引き俺から離した。

 

 確かになぁ…あのイカれアンドロイドのせい人が死んでるし…

 

 そして船の隅で座っていたショウが立ち上がり言った。

 

 「私はもう長くないんでしょう?少しでも長く生きられるなら私行くわ」

 「あぁ、よしとりあえずショウはゴンジと一緒に行ってもらう。そして他の皆さんは一旦風呂にでも入りにいこうか?」

 

 俺はそう言うと、ヤネックが「おお!銭湯!久々です!」と興奮し、横にいた部下が不思議そうな顔で見ていた。

 

 「じゃあショウ、いこうか」

 「ええ…」

 

 俺はショウを抱えて船を出てゴンジに渡した。

 

 「ゴンジ…殺さないよな?」

 「善良な地球人は殺さん。例の物もあるしな」

 「頼むぜ」

 

 別れを告げゴンジの船からでた俺は自分の船に戻ろうとしたその時。

 

 地面が揺れた。

 

 「あ!忘れてた!!」

 

 エンジニアの船が埋まっている方向を見ると地面が大きく盛り上がった。そして大爆発を起こした。

 

 「うわああああああああああ!!!!」

 

 俺は全速力で走り船に飛び乗った。そしてガントレットを操作して飛び立つ。

 

 「あ、危なかった…」

 

 

 

 

 

 

 まあそんな事があったわけだ。宇宙を旅する時は用心した方が良い。できることなら……自分の星にいた方が幸せな人生を送れると思う。

 

 「ふぅ〜いい湯だ」

 「地球は最高ですね。エイペックスさん」

 

 俺の横にいたスカーが言った。

 

 「だよな!」

 

 

 




プロメテウスは結構重要な部分が色々とカットされているらしく、それを知った上で観るとエンジニアが人間に対して憎悪を募らせるのもまあ無理はないかなという感じです。私もさっとYouTubeで知ったぐらいですけど、世界で1番知られている2024年前にお亡くなりになったとされるイエスさんはエンジニアが遣わしたエンジニアだったらしいですね。それを人間達は捕らえて磔にしてしまったと……そして後の人間の歴史とウェイランドの不死の命を求めた傲慢にガチギレして映画の惨劇が起きてしまったというわけですね。


ちなみに、ディーコンを母星に持ち帰ったゴンジなんですが、エルダーにガチギレされるも、生きたディーコンを連れた功績によってプロテインとプレデター牧場産WAGYUを沢山貰ったようです。そしてエルダーはディーコンをエンジニアの星(コヴェナントの舞台)に連れてエンジニアに引き渡し、エンジニアはまた宇宙に命を広げる事ができるようになったとかならないとか…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。