養殖が天然に勝てると思うなよ?【本編完結】   作:物体Zさん

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少し遅れました。


欲望が悲劇を生んでしまったのです

 簡単に自己紹介を済ませ、これからどうするかを話し合った。まあどうするも何も、もう此処にニュート以外に生き残ってる人間はいない。だからやる事は一つ。

 

 「此処にいた人間達はもう死んだか苗床になった。この先のエリアには奴らの巣がある。俺とヴィーンはこれから殲滅にいく」

 「ま、待ってくれ。生存者がいないのは確かなのか?」

 

 そう言ったのは、スコット・ゴーマン。此処に調査に来た植民地海兵隊の将校で部隊を率いる人間だ。確か中尉と言っていた。

 

 「あぁ、間違いない。なんならこれを見てくれ」

 

 俺はそう言って、マスクに表示されているマップをガントレットに表示させた。俺のガントレットから光が漏れ幾何学的な赤い映像が照射され次第に形が出来上がっていく。

 

 「青いマーカーは人間、赤は俺とヴィーン。そして緑がゼノモーフだ」

 「なんてことだ…」

 

 青いマーカーはここにいる海兵隊とニュートしか表示されていない。

 

 「こ、このコロニーには157人の入植者がいたんだぞ…!」

 「残念だが生き残りはニュートだけだ」

 

 ゴーマンは被っていた帽子を取り額を拭った。そして俺に言った。

 

 「なぜこんな事が…?」

 「さあな、あそこにいるバークとやらなら知っているんじゃないか?」

 「ウェイランド社のおっさんがなんでそんな事を知ってるんだ?」

 

 そばで話を聞いていたヒックスが俺に聞いた。まあ話してもいいか。

 

 「人間が巻き込まれるゼノモーフの被害は、まぁだいたいウェイランドユタニ社が関わってる。俺が助けたエレンやアマンダ、そしてレイン達、ヒックスの姉のテキーラとルーキーもそうだ。みんな奴らの実験やら研究やらで巻き込まれ大切な人を亡くしてる」

 「エレンだと?それはエレン・リプリーの事か?我々がいるLv426は彼女が乗船していたノストロモ号が最後に着陸した星だ。だが…」

 

 ノストロモ号はこの星lv426に救難信号やらを受信し着陸した。そして、3人の船員が外を調べると異星人の宇宙船を発見した。中を調べていると船員の1人が謎の化け物に襲われ寄生されてしまう。それからエレンの地獄が始まったんだ。

 

 というか、エレンが訪れた星は此処だったのか!なら謎の宇宙船もあるはずだ。ここが片付いたら調べてみよう。

 

 「バークを連れてこい!!!」

 

 ゴーマンが命令を下すと赤いバンダナを頭に巻いた女海兵バスクエスと大柄な兵士ドレイクがバークの両脇をガッチリ固めてこちらに連れてくる。

 

 「や、やめろぉ!!私は何も知らない!!」

 「コイツくせーな!漏らしてやがるぜ!」

 「バーク!全て話してもらうぞ!」

 

 そうして海兵隊全員に銃口を向けられ逃げられなくなったバークは洗いざらい全てを話した。此処へきた本当の目的をだ。

 

 バークが植民地海兵隊と共にこの星を訪れた本当の理由、それはコロニーにいた入植者157名の安否確認などではなく、此処で発生したゼノモーフを極秘裏に地球へ持ち帰り、本社でゼノモーフを研究するというものだった。また、フェイスハガーを利用し、あわよくば海兵達に寄生させてハイパースリープを施し持ち帰るつもりだった事も話していた。つまり、コイツには元々入植者を助けるつもりなんてなかった。

 また、このコロニーがこのような事態になり壊滅してしまった原因もバークが、このコロニーにいたウェイランドユタニ社社員に謎の宇宙船と着陸した植民地海兵隊の輸送船の調査を命令したからだという事も分かった。バークが間接的にコロニーを壊滅させニュートを除く入植者全ての命を奪ったという恐ろしい事実まで糞を漏らしながら話した。

 

 俺はこの話を聞き思わず近くの壁を思い切り叩いてしまった。壁に大きな穴が空いたが、それでも俺の怒りが収まることはない。俺は奴に近寄り胸元を掴み持ち上げた。

 

 「おい」

 「ひぃぃぃぃ!!頼む!!許してくれぇ…!私も命令に従っただけなんだぁ!」

 「お前も此処にいた人間達が味わった苦しみを味わうといい、楽に死ねると思うなよ」

 「プレデターは無防備な生物は狙わないんじゃないのか!?」

 「お前のどこが無防備なんだ。157人も殺したやつがよ」

 

 俺は奴を持ち上げながらゼノモーフの巣に向かおうと歩き始める。そしてニュートを抱きながらマスクから大量の涙を溢れさせるヴィーンに言った。

 

 「ヴィーン、ニュートと植民地海兵隊を全員船に乗せろ」

 「う…う…分かった…乗せたら私も行くからちょっと待ってて…!」

 「早くいけ!」

 

 俺はそう言って歩き出した。

 

 ヴィーンが行こうとすると、ゴーマンが俺に近寄ってくる。

 

 「いいか!さっきのマップに表示されていた奴らの巣とこのコロニーの詳細を照らし合わせたら、巣のある場所が惑星大気改造用の大気製造プラントのある場所だった!銃火器を使い誘爆すればこのコロニーは吹っ飛ぶぞ!」

 「火器なぞ使わんから心配ない」

 

 俺がそう伝えると、ヴィーンに連れられ外に出ていった。俺はバークを下ろし逃げないよう脚を折ると、ガントレットで船を格納扉の近くに呼んだ。

 

 ヴィーン達が船に乗ったのを確認し、降下艇にいる残りの海兵も乗せるよう通信を入れた。

 

 「グウウウウウウウウ!!」

 

 脚を折ったバークが叫び声をあげる。

 

 「ここでどんなに叫んでも誰も助けにはこない」

 

 俺は奴に冷たく言い放ち、再度奴の服を掴み持ち上げた。

 

 数分後ヴィーンがやってくる。

 

 「エペさんお待たせ!いこう」

 「あぁ」

 

 俺とヴィーンは巣へと向かった。

 

 巣につながるエリアの扉をこじ開け中に入ると、一気の肉の壁が広がる。中へ進んでいくと繭にされゼノモーフの餌食になった人々が現れた。俺はバークの頭を掴み繭にされた人の前に持ってくる。

 

 「見ろ、この恐怖に染まった人々の顔を」

 「う…う…許して…」

 

 更に進んでいくとまだ生きている人間がいた。しかし体内を見ると既に寄生されチェストバスターを抱えている。

 

 「これがお前らがやろうとしている事だ。もし地球に持ち込んでみろ、お前の大切な人や家族がこういう目に遭うんだぞ」

 

 俺が声を発すると正面にいた繭にされた人が起きる。

 

 「殺して…殺して…」

 

 ヴィーンが手に持った棍棒で繭にされた人の頭を破壊し、殺した。

 

 そしてヴィーンはその人の胸部向けに手を突っ込みチェストバスターを引き摺り出すと、バークの前に持ってくる。

 

 「バーク、これがチェストバスターだ。体内で肉を食い成長する、ある程度成長すると宿主の胸を突き破って出てくるんだ。知っているだろう?」

 「頼む!頼むやめてくれぇ…」

 

 やめるわけがないだろう。

 

 そして、俺達の気配を察知したゼノモーフが起き上がる。肉の壁と半ば同化していたゼノモーフが俺とヴィーン、そしてバークを殺す為に壁を這いゆっくりと近づいてくる。

 

 ある程度まで近づくと一斉に襲いかかってきた。

 

 「ヴィーン」

 「おす」

 

 ヴィーンが棍棒の仕掛けを起動し、先端に無数の棘を出現させた。

 

 近づいてくるゼノモーフを次々と棍棒で屠っていく。ヴィーンの膂力によって振るわれた棍棒による一撃がゼノモーフをバラバラに粉砕し、肉の壁に吹き飛ぶ。大きな頭蓋に棍棒が当たると、頭蓋が破裂したかのように吹き飛び倒れ、胴体に当たれば紙切れのように舞い動かなくなった。

 

 ゼノモーフの大群が押し寄せる。ヴィーンが薙ぎ払うように蹴散らしていくが、それでもすり抜け俺の下にゼノモーフがやってくる。俺はそれをバークを持っていない反対の腕を鞭のように振い近づいてきたゼノモーフを弾き飛ばしていった。俺の腕に当たったゼノモーフが四肢を爆散させながら吹き飛んでいった。

 

 「ひぃ!!ひぃっっ!!」

 

 掴んでいるバークの叫びが聞こえるが無視した。

 

 「ヴィーン!!大元は下だ!」

 「了解っ!」

 

 ヴィーンが周りに集まったゼノモーフを棍棒を振るい殺すと、身体を大きくしならせながら棍棒を全力で床に叩きつけた。

 

 大きな揺れと共に衝撃波が死骸を吹き飛ばし、床が崩れる。

 

 俺とヴィーンはそのまま下へと降っていった。

 

 最下層まで到着すると少し開けた場所に出た。そして無数のエッグチャンバーとそれを産むクイーンが目に入る。

 

 クイーンが俺たちに気付き大きな頭蓋に仕舞われていた顔を出す。

 

 「随分と大きく育ったもんだ」

 

 周囲の壁に肉を伸ばし、磔になっている。お腹には巨大な卵巣とそれから伸びる卵管がある。俺らがいてもお構いなしに床の隙間に卵を産みつけていた。

 

 「おい、これがお前の見たかったものだ」

 「あ、あ、あああああああなんて恐ろしい!分かった!分かったからもう助けてく…!」

 

 俺はバークの言葉を最後まで聞かずに無数の卵の中へバークを放り投げた。

 

 「うげぇ!」

 

 床に落ちて呻き声をあげるバーク。そしてバークが落ちた事で獲物を感知したエッグチャンバーが開いていく。卵からフェイスハガーの足が見えた。

 

 「やめろぉ!!!くるなぁ!!!おい!!!助けてくれぇ!!!」

 

 バークがジタバタと暴れ逃げようとするが脚が折れている為、モゾモゾと這うことしかできない。

 

 そして、卵から次々にフェイスハガーがバークに向かって飛んでいく。

 

 「うわあああああああああ!!!!くるなぁ!!!!グホォ…オボブウウウ」

 

 バークの顔にフェイスハガーが張り付き長い尻尾が首に巻きついた。そして気絶した。

 

 寄生対象を失ったフェイスハガーが俺達に殺到するが、全てを瞬殺してクイーンを見据えた。

 

 「さて…次はお前だ」

 

 俺はバークが動かなくなったのを見て、背中からスピアを取り伸ばした。

 

 クイーンが俺とヴィーンの殺気を感じたのか、卵巣を外し周りの肉を剥がし床に立つ。

 

 そして大きく咆哮を上げた。 

 

 「ギエエエエエエエエエエエエエヤアアアアアア!!!」

 

 咆哮により大気が震え、俺達に圧が飛んでくる。

 

 「ヴィーン!いくぞ!」

 「おっしゃ!」 

 

 ヴィーンが上でやった時と同じように全力で棍棒を床に叩きつける。そうすると床が大きく揺れ卵が倒れ、地割れに飲み込まれていく。

 

 俺とヴィーンは肉を踏み締め全力で走る。途中にある卵を轢き潰しながらクイーンに近づく、奴は俺に向かって巨大な腕を振るうがそれを俺はスピアで捌きつつ、俺は奴の左脚にスピアを突き刺し、ヴィーンは右脚に向かって棍棒を振るう。

 

 「ギャアアアアアアアア!!!」

 

 脚が折れズドーンとそのまま倒れるクイーン。俺はスピアを脚から引き抜き背中にしまい、ヴィーンも棍棒を背負うと、俺はヴィーンと共に上へ跳躍した。

 

 そして上に飛び上がり2人で仰向けになると落下しながら俺とヴィーンは奴の胴体に向かってエルボードロップを決めた。

 

 「グホオオオオアアアア!!!」

 

 胴体が陥没し、衝撃で地面がひび割れる。

 

 そして俺とヴィーンはまた飛び上がる。再度エルボードロップを決める。また飛び上がりエルボードロップを決める…

 

 何回か繰り返し離れ、クイーンを見ると胴体部分がぺちゃんこになり陥没した穴に埋まっていた。

 

 「楽勝だったな」

 「ええ」

 

 ピクリともしなくなったクイーンを見下ろしながら俺が言うと、ヴィーンがそれに応えた。

 

 「持って帰るか」

 「勿論!」

 

 首を切り落とし担ぐ。

 

 持ち帰る前に、腰帯から小型広域殲滅爆弾を取り出しタイマーを起動させ放り投げた。かなり余裕を持たせタイマーをセットしたからゆっくり脱出できる。

 

 俺はバークの下に近寄った。寄生が終わったのかフェイスハガーが顔から剥がれ死んでいる。バークの体内を見ると胸にチェストバスターがしっかりと寄生していた。

 

 「起きろ」

 

 俺はバークの頬をペチペチと叩き、起こした。

 

 「ゲホ!ゲホ!うぅ…一体何が…?あ、ああああひぃぃぃぃ!!」

 

 バークが俺達を見て飛び上がるように起き、這いながら逃げようとする。

 

 しかし、突然仰向けになり痙攣し始めた。

 

 「ああああああああぶにくくぬくばか」

 

 白目を剥き、口から血が溢れる。そして身体が反ると胸が大きく膨らみチェストバスターが飛び出した。

 

 「馬鹿野郎が」

 

 俺は近づきチェストバスターを引き抜き、振り回して床に叩きつけた。

 

 「帰ろう」

 

 クイーンの頭を担いで地上を目指した。

 

 途中襲ってきたゼノモーフを始末して上へと駆け上がり、コロニーを出ると船に乗り込んだ。

 

 船に乗ると海兵隊の面々が待っていた。ヴィーンが操縦席に向かい船を動かし、こちらに戻る。

 

 そしてゴーマンが俺に言う。

 

 「終わったのか?」

 

 俺は担いでいたクイーンの頭を下ろし、ゴーマンに言った。

 

 「あぁ、終わった」

 「バークは…?」

 「後悔しながら死んだだろう」

 「そ、そうか…」

 

 ゴーマンが帽子を取り顔を拭った。少しの間だが行動を共にした仲間だったからだろうか?涙が見えた。

 

 「エ、エイペックスさん…これは…?」

 

 俺が持ち込んだクイーンを見てヒックスが聞いた。

 

 「これがゼノモーフだ」

 「なんて禍々しい生き物なんだ…(プレデターとは絶対戦っちゃいけない…!)」

 

 海兵隊達がクイーンの頭を囲い蹴飛ばしたり銃で突ついたりして遊んでいた。子供か!

 

 「血に触れると溶けるぞ」

 「えぇ!あ!俺のパルスライフルが!」

 

 ウィリアムの銃が溶け、他の面々にバーカバーカと罵られる。

 

 「怪物さんありがとう…!」

 「ニュート!」

 

 ヴィーンにニュートが抱きつく。すっかり懐いたようだ。

 

 「俺は海兵隊なんてやめてもう家に帰るぜ。こんな化け物相手にできねーよ!」

 「そうだな〜」

 「あたいは一度でもいいから戦ってみたいね!」

 「バスクエス!やめとけ!」

 

 そうしてコロニーでの事件が終わり、俺は彼らを軌道上に待機していた海兵隊の船スラコ号に戻した。ヒックスにテキーラによろしくと伝えといた。

 

 天涯孤独となったニュートは俺とヴィーンで育てようと思い一度母星に連れて帰ったが、隣に住んでるゴンジに「お前らの生活に人間がついていけるわけないだろう」と強く言われ、ショックを受けつつも母星の女園で育てたらどうだろうか?と言われた。

 

 確かにあそこならショウもケイもいるから安心できるかもしれない。それに、引っ越してきたエレンやアマンダもいるから、きっと楽しいだろう。

 

 というかショウもケイも随分長生きだな!老けるどころか若返ってる気がするんだけど気のせいか?ブラックグーヤバくね?

 

 

 

 

 

 そして俺とヴィーンはエルダーの大聖堂にクイーンの頭を担いで向かった。狭いエレベーターに頭を屈め入り上へ向かい、部屋に着きノックした。

 

 「入れ」

 

 扉を開けて入ると、上裸のエルダーが街を見渡せる窓の前に立っていた。

 

 以前見た時よりもなんだか身体が絞られ筋肉がスッゴイ浮き出ていた。太い緑の血管がドクドク動いてやがる。今回のエルダーはかなり上手く絞れたようだ。

 最近のエルダーは筋肉を大きくする事は勿論だが、何よりも形にこだわり美しく見える筋肉を目指し始めた。ダッチと共にボディビルダーのコンテストを見に行き何かが変わったみたいだ。

 

 エルダーがこちらを向いた。

 

 「そいつはなんだエイペックス」

 「例のナンバー6です。人間の星で好き勝手生きてました」

 「……そうかよくやった。してあの少女はその星の生き残りという事か」

 「そうです。別にいいですよね?」

 「ゴンジが許可を出したのだろう、構わん。ところでエイペックスよ」

 「ん?なんです?」

 

 エルダーが手首を握り身体を捻り、全身の筋肉に力を滾らせ膨張させた。

 

 なに…!?サイドチェストだと!?

 

 「見よこの筋肉!体脂肪率2パーセントまで絞ったぞ」

 「す、素晴らしい筋肉です!!!」

 「エルダーすごーい」

 

 今日も母星は平和だった。




これにてエイリアン2終了になります。

比較的平和に終了したのでエイリアン3は消滅しました。

エレンはニュートと出会い、見る事のできなかった娘の成長を追体験する事になります。
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