どうぞ!
レックスに巨大実験宇宙船オーリガの詳細な位置情報を教えてもらい、建物から出た俺は船に飛び乗った。
オーリガのある場所に進路をセットし船を発進させた。船が浮かび、地球を離れ光速で冥王星に飛んでいく。
1分も経たないうちに冥王星に着いた。
冥王星の軌道上に一隻の巨大宇宙船が漂っていた。巨大と言うだけであってかなり大きい。
船からスキャンをした。ゼノモーフを表す緑のマーカーがウジャウジャと動いていて、船の下層部で一際大きい緑のマーカーがある。
「クイーンまでいるのか」
そしてレックスの言っていた密偵が橙色のマーカーで映った。そのそばには人間もいる。密偵は女性型のアンドロイドと言っていた。
「とりあえずそこを目指そう」
俺は船にクロークを施し、入れる場所を探した。
どこも隔壁が閉じていて入れないな。時折脱出ポッドが出ていくがそこからは俺の船じゃ入れない。あ、また一台出ていった。ん?おいあの脱出ポッドの中身ゼノモーフじゃねぇか!!中にいた人間が全員死んでやがるぞ。あ、爆発した。
ん〜どう入ろうか…
俺の船に積んである脱出ポッドを、あの船のポッド射出の穴に打ち込んで入るか?
船が格納されているエリアは封鎖されていて入れない。打ち込むしかなさそうだ。
もう一度スキャンして、あの船の脱出ポッドがない事を確認して穴の前に船をつけた。そして俺は船に積んである1人用のポッドに乗り込んだ。
ガントレットで操作し射出する。強烈な揺れと浮遊感が俺を襲い、穴を真っ直ぐ突き進み、船内の壁に突き刺さった。
「爆発とかしないで良かった…」
扉を開け、クロークをつけて船内に降り立つ。マップを確認して密偵がいる場所を確認した。
俺がいる場所からそう遠くなさそうだ。急いで向かうとしよう。
通路に入り、閉まっている隔壁をこじ開けてすぐ、人間の死体を見つけた。2人だ。
1人は帽子を被った男と、もう1人はハゲている男だった。後頭部に大きな穴が空いて死んでる。どうやらゼノモーフにやられたようだ。
帽子を被った男の手には何かスイッチのような物が握られていた。マスクでスキャンすると爆弾の起爆スイッチと出た。
「さっきの脱出ポッドの爆発はこいつか」
部下を先に逃し自分は船に残ったのか…?だが最後のポッドにゼノモーフが紛れ込んで泣く泣く爆破したってとこか?
「一応ご冥福を祈っておくぜ、来世はまともな生を送れるといいな」
だが、そもそもゼノモーフに関わらなければ命を落とす事もなかった。自業自得とも言える。
俺は人間の死体を一蹴し目的地へと急いだ。
通路を進んでいくと、ゼノモーフが1体現れた。
「ふむ、久々だな〜」
奇声を上げながら俺に走ってくる。そして飛びかかってきた。とりあえず首を掴んで受け止めると壁に押し付けた。
「ずいぶんとご立腹に見えるな?ん?クイーンに何か言われたのか?」
尻尾が飛んでくるが反対の手で掴み捥ぎ取った。
「おいおい落ち着けって………じゃあ死んでくれ」
リストブレイドを伸ばし顎下から突き刺した。そして手で頭を押し刃を滑らせた。
血が溢れ床を溶かし穴が空く。ボロい宇宙船だなぁ、こんな耐久性の船でよくゼノモーフを研究しようとしたな。そりゃ脱走もするわ。
それから何体かゼノモーフを屠り、密偵の近くにまで来た。1人集団から逸れてるな。それにその近くにゼノモーフの反応もある。気づいてないのか?
行くか。
にしてもこの宇宙船の通路は俺には少し狭い。頭をちょっと屈めないとぶつけちまいそうだ。というか何回かぶつけた。
前に走っていくと、前方にゼノモーフが見えた。手を天井の網に伸ばしている。その上には人間がいた。
不意打ちをしようってか?
そして、ゼノモーフが腕を引く、すると網が崩れ人間が落ちてきた。人間はなんとか腕で支え完全に落ちることがなかったが、それでも胴体がガラ空きだった。そこにゼノモーフが近づいていく。
「不意打ちをするなら、される覚悟もしておけ」
俺は跳ぶように近づきゼノモーフを後ろから掴み、そのまま後方へと投げ飛ばした。
「エルジン!!!」
上から人間の声が聞こえる。
俺は落ちそうになっている人間を掴み持ち上げ上のエリアに戻すと、投げ飛ばしたゼノモーフを見据えた。
そして奴に向かおうとした時、奴の上からアンドロイドが降ってきて裂けた腕から飛び出た刃でゼノモーフを切り裂き殺してしまった。
「おぉ!」
例の密偵か?
密偵が刃を腕の中に収納し、俺に気付き近づいてくる。
「助かったわ!ありがとう」
「お、おう!お前強いな!その武器…」
「マンティスブレードよ、あなたがエイペックス?」
「そうだ、俺はエイペックス。君は?」
俺がそう言って自己紹介をすると、アンドロイドも俺に告げる。
「私はアナリー・コール。
「分かった」
やっぱりアンドロイドか、でも正直体内を見ないとアンドロイドかどうか分からないな。なんなら人間より人間らしく見える。息遣い、表皮の汗、人間の臭い、そして感情。最近のアンドロイドはすごいな。
まぁ俺達の技術が入ってるらしいから、それもそうか。
にしても、あの腕から飛び出た刃…カッコいいなぁ、アンドロイドだからできる装備だよな〜。
「酸性血液がついても平気なのか?」
「あぁ、これはあなたのリストブレイドやスピアと同じ金属で
「すご」
俺の使ってる装備は今は滅亡したジオメトリクス族の一品だ。あの金属を加工できる者達…まあフジティブしかいないな。あいつはプレデターキラーとかいうパワースーツを昔作ってた。あれはゴンジが処理したが、ああいうスーツを作れればアンドロイドなんて簡単に作れちまうか。
「彼らに合流しよう」
「ええ」
彼女は自ら落ちてきた穴から上に登り、俺はゼノモーフの空けた穴から上に登った。
上に這い上がると、人間達が銃を向けて俺を待ち構えていた。
「ちょっと待ってちょっと待って!撃たないでくれ」
「てめぇ!そのナリで何言ってんだ!!」
俺は両手を上げ攻撃の意思がない事を示した。しかし、大柄な男と、ドレッドヘアーの男は銃を下げない。
「ま、待て2人とも…彼は俺を助けてくれたんだ」
「あ!?エルジン!?」
「俺を持ち上げてここに戻してくれたのは彼だ。戻された後に見たから間違いない、彼がエイリアンに向かっていくところを見た」
「分かってくれたか?」
エルジンと呼ばれた俺が助けた男が説明してくれた。銃を構えていた2人が納得したのか銃を下げた。
「ふぅ…助かった。驚かせてすまんな。俺はエイペックス、プレデターだ」
俺が自己紹介をすると、アナリー以外の人間が自己紹介を始めた。
ここにいるのは宇宙貨物船ベティの乗組員達とオーリガの科学者が1人と兵士が1人と、そしてケイに似た少女がいた。
ベティ船長のフランク・エルジン、俺が助けた男だ。副長のゲーリー・クリスティー、俺に恐れず銃を向けたドレッドヘアーの男。同じく銃を向けたロナルド・ジョナーは大柄で腕っぷしが強そうだ。そして後ろで俺を見て目を輝かせる車椅子の男はドム・ブリースと名乗った。彼は俺たちプレデターを知っているらしく、俺の装備を見て興奮していた。そしてエルジンを支える女性、ザヴラ・ヒラードはベティの操縦士でエルジンの恋人だそうだ。最後はアナリー・コール。彼女はベティの新人技師だと言った。嘘つけ。
宇宙貨物船ベティは此処オーリガに研究物資を運びに来た。彼らは金の為なら違法なものでもなんでも運ぶようだ。まぁ…とやかく言うつもりはないが、今も生きて仕事ができているという事はオブライエン&ハワード産業も特段気にしていないのだろう。現に密偵のアナリーが彼らと仲良さそうにしているのを見れば、それがよく分かった。
エルジンは此処に研究物資を運び入れたが此処でどんな研究をしているかは知らないと言っていた。知りたくもないとも。ただ、金払いが良くオーリガの船長とは腐れ縁で色々と融通してもらっていたそうだ。そして今回物資を納入して食堂で食事をしていたら変事が起こった。
ベティ以外の人間が2人、オーリガの科学者メイソン・レンと警備のヴィンセント・ディステファノだ。
随分と個性的な人間達が集まっている。
そして俺は此処に来た目的を話した。
「俺は君たちが連れているその少女に用があって来た」
「このガキが?なりゆきで連れてたが…なんなんだこのガキは?」
「それは分からん、ただ俺の知り合いが彼女と瓜二つでな、夢で此処を見たと言うんだ」
「はぁ?わけわかんねぇな」
クリスティーが大袈裟に手を上げながら反応する。
そして少女が口を開く。
「あなたの事は知ってる…夢でみた。わたしを助けてくれた怪物…」
「ん?お前の事は助けた事ないが…」
「お願い…わたしの子供を殺して……」
「………」
ケイはつくづく不幸な女性だ。200年前に俺に赤子を殺され、そして今も俺にそれを懇願している。
「お前はなんだ?」
「わたしはクローン…ここで作られたケイという少女の複製…」
「……そうか」
また、生命を弄んだ奴等がいるようだ。
「おい、お前」
俺はこの場にいたただ1人のオーリガの科学者を呼んだ。
「な、なんだね」
「お前らは此処で何をしていたんだ?事によっちゃお前ら皆殺しだぞ」
「わ、私達は地球人類の発展の為に研究をしていただけだ…」
「そうなのか?人類の為に?複製を作って何をしたんだ?ここで暴れている生物が何かお前は知っているのか?」
「ま、まさかこんな事になるとは思わなかった…」
「メイソン・レン、嘘をつくのだけはやめた方がいいわよ。彼はプレデターよ。ここにいる生物を片手間で簡単に殺せるわ」
アナリーが言った。まぁ確証がなければ殺さない。俺は殺人鬼じゃないからな。
「とりあえずベティを目指そうぜ、おいヴィンセント。どう行くんだ?」
「冷却塔から貨物エレベーターへ、1階に下りてベティの待つ格納庫へいける」
ふむ、スキャンで表示されたマップを見るとまあまあ近いな。ゼノモーフは船尾に集中してるが、ちらほらとこの近くにも来ている。急いだ方がいいな。
ん?
「なあ…船が動いてるか?誰が操縦してる?」
「まさか、振動を感じる筈ない」
「いえ、確かに動いてる」
メイソンが俺の言うことに否定を示すが、アナリーも船が動いてる事を感じ言った。
「…そうプログラムされている」
メイソンが言った。そしてヴィンセントがそれを補足するように言う。
「異常が発生すると船は自動的に基地へ向かう」
「え!?そんなの初めて聞いたわよ」
「悪かったな」
メイソンが謝る。ここは冥王星付近だが今も移動してるとなると…
「どこへ向かうの?」
エルジンのそばにいたザヴラが聞く。
「地球だ…」
ヴィンセントがそう答えた。地球!?おいおいそれはまずいぜ。
こんな船が地球に近づいたら撃ち落とされちまうぞ。
「おいおい地球なんか行きたくもねぇ」
「到着時間は?」
「約3時間後」
つまりそれよりも前にこの船を脱出しないといけないわけだ。これは俺も急がないといけない。撃墜される船にいたら流石に死ぬだろう。
「みんな急ごう」
俺はケイをひょいと抱き上げヴィンセントの案内の下移動した。
暫く走ると、ケイが俺を止める。
「エイペックス、待って」
「ん?どうした?」
ケイが俺を1-7と書かれた部屋の前で止めた。どうしたんだ?
「おい!こっちだ!寄り道してる暇ねぇぞ!」
クリスティーの呼ぶ声が聞こえる。だがケイは俺の背から降りて腰帯を引っ張り、部屋から視線を外さない。
「何かあるのか?」
「……うん」
扉を開けて中に入った。
「……まったく!」
後ろで声が聞こえたが無視した。俺は部屋にあったものに衝撃を受けていたからだ。
部屋にはポッドが沢山あった。中は培養液で満たされており、生物が浮いている。ケイとケイの赤子が融合したようなものや、ゼノモーフに似た形状のケイが浮いていた。どれもが既に死んでおり、標本となっている。
「一体なんなんだ…?」
そしてケイがふらつきながら奥へと進んでいく。白いパーテーションを開き中に入るともう1人のケイがいた。
ベッドに横たわる異形のケイだ。左半身と下半身は名状しがたき異形と化していて、自身の力では動けない状態になっている。体内をスキャンすれば今も活発に心臓が動いていた。
「お願い…殺して…」
異形のケイがこちらを向きながら言った。涙を浮かべ悲痛な表情で懇願した。
「う…う…」
俺の隣にいるケイが声を詰まらせ嗚咽し泣いている。
「2人とも…」
後ろから来たアナリーがベッドに横たわる存在を見て絶句した。
「私を…殺して…もう……無理なの……殺して」
「ケイ……」
アナリーが手に持っていた火炎放射器をケイに渡す。それを受け取ったケイが銃口をベッドに向けた。
そしてベッドに横たわるケイが微笑み頷く。
「うわあああああああああああああ!!!!!」
ケイが絶叫しながら火炎を撒き散らした。
俺はただそれをじっと見ていた。見ている事しかできなかった。
部屋にあったポッドに火炎を放った。ガラスが割れ全てが焼き尽くされる。
部屋を出ると皆が待っていた。ケイがメイソン・レンに火炎放射器を向けた。
「待て」
俺はケイを止めた。
「コイツは俺がやる」
「待て、待つんだ……ゴボフッ」
メイソンの首を掴み炎が燃え盛る部屋の前に向かう。
「アガッ!やめ!」
そのまま部屋に投げ入れた。
メイソンさんは生き残りません。