養殖が天然に勝てると思うなよ?【本編完結】   作:物体Zさん

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 黒マグロから電波を受信したので書きました。


DeadSpace
木の温もり


 地球、日本。オブライエン&ハワード産業本社の最上階の部屋。

 

 そこで1人の女性、レックスが椅子に座りながら端末を見ていた。

 

 その端末には地球や宇宙に散らばった偵察者からの情報が映し出されていた。そしてレックスはその情報の中から一際目についたものの詳細を更に表示した。

 

 そこには地球統一政府の宇宙採掘船USG【イシムラ】が地球から遠く離れたイージス7という惑星で通信が途絶えたという情報が載っていた。

 

 そして、偵察者によれば地球統一政府はイージス7で無尽蔵にエネルギーを放出する謎の物体を発見し、研究していたそうだ。

 

 その物体は赤く二股の角のようなものが螺旋状に伸びた物で、表面には何か模様が描かれており、どこかの文明が作成したものである事は間違いないという。そして、研究者達はレッドマーカーとこの物体を呼称していた。

 

 更に、通信の途絶えたUSGイシムラに地球から一隻の小型船が飛び立ち向かったという情報もあった。小型船の乗員は修理を指揮するザック・ハモンド、技師のケンドラ・ダニエルズ。そしてエンジニア(修理工)のアイザック・クラークだ。

 

 「マーカー……」

 

 レックスはマーカーという言葉を聞き、昔宇宙をスカーと共に旅していた時にスカーが言っていた事を思い出した。

 

 (レックス、もし…俺と離れている時に、マーカーと呼ばれている物体を見つけたら必ず教えてくれ。いいか?絶対に触っちゃいけないし、それに書かれている文字を解析してもいけない。形は二股の角が螺旋状に……)

 

 スカーがサラッと言っていた事だから今の今まで忘れていた。

 

 レックスはすぐにガントレットを操作し、スカーに通信を入れた。

 

 「《レックス?どうしたんだい?》」

 「スカー、レッドマーカーと呼ばれるものが見つかった。どうすればいい?」

 「《………分かった。前言った事は覚えてるね?見つかった場所を教えてくれ》」

 「ええ…送信したわ」

 「《ありがとう。コレはこちらで対処する》」

 「ねぇ…マーカーってなんなの?」

 「《そうだね…簡単に言えば文明を滅ぼす兵器だよ》」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は2600年、俺はアヌ族の母星にいた。

 

 俺は今仕事に就いている。もう放浪者じゃない。宇宙を旅するのは一旦やめた。というのも子供が成長し、無事成人を迎えてから母星をあまり出ていなかった。時折り、エンジニアの星にいるディーコンにタックルをかましに行ったり、地球に行ってレックスと勝負したりするだけで、俺は今アヌ族の若者達に筋トレを教えるジムのトレーナーとして母星で仕事をしていた。

 

 好きな事を仕事にする…素晴らしい事だ。俺が今までやってきたトレーニングを若い世代に継承させ、アヌ族をさらに発展させる。

 

 アヌ族はもう弱小部族ではない。列強部族へと昇華した。

 

 まぁ…WAGYUで何度もチャンピオンを獲得したり、プレデターボディビル大会、Predator Bodybuilding & Fitness Federation、略称PBBFでエルダーが100年連覇を成し遂げたというのも大きい。

 

 アヌ族のプレデターは大きく強く逞しい。公にはされていないが、偉業を成し遂げるプレデターも増えた。クイーンの頭蓋なんて大聖堂に溢れるくらいに置かれている。俺が狩ったケルティックモーフは未だ見当たらないが……

 

 俺とヴィーンの子はケイの子【ニュー】と共に旅に出た。時折映像が送られてきて、楽しそうにしている。ニューは出会った頃より少し大きくなったくらいであまり変わってない。煌々と薄く緑に光る瞳に美しい乳白色の肌と綺麗な筋肉、そして綺麗に生え揃った黄金の毛髪が、より神々しさを醸し出している。それに物凄く強い。一度狩りに同行させてもらった事がある。自身よりも大きい巨大な獲物を腕の一振りで一瞬で殺していた。

 

 何はともあれ、アヌ族は更に大きく発展した。オブライエン&ハワード産業とも提携し、宇宙の安寧を脅かす存在を狩る任務にも就くようになった。俺なんかもたまに任務に行けと言われる。大抵は碌でもない輩だが、ごく稀にめちゃくちゃ強い生き物と戦える時がある。

 

 この前は、地球のどっかの会社が大昔に火星を生物でテラフォーミングしようとゴキブリを放った事があって、それを500年放置したんだと!それを回収しに行った人間達がゴキブリに殺されちまったとかいうんで、俺が行ったんだ。火星に確かにゴキブリがいたよ。マッチョで二足歩行だったけどな。

 

 そいつらは俺に「じょうじ…」とか言って近づいてきた。俺も手を上げ「じょうじ!」って言ったら、じょーじじょーじ言いながら踊って俺を歓迎してくれた。俺も楽しくなって踊った。

 

 そして、たくさんいるマッチョゴキブリの中から「じょーじ……」と静かにファイティングポーズをとるやつが出てきて、あ!これは勝負だと思って俺も「じょーじ!」と静かに言い拳を構えた。

 

 それから奴と戦ったよ。いやすげー強かったな。拳を受けた俺の胸や腹が少しアザになって、アッパーを顎にもらった時は流石にクラっときた。だから久々に本気出して戦ったぜ。俺が勝ったよ。殺さなかったけどな。

 

 本気で殴って爆散しない奴は久しぶりだったな。まぁすげー痛そうにしてたけど……いい奴達だから殺したくなくて報告したら、このまま火星で過ごしてもらうことになった。どうやら回収をしようとした会社が人間に異種のDNAを混ぜ強化人間を作ってたとかなんとかが判明して、オブライエン&ハワード産業の怒りに触れ会社が消えてた。怒らせると怖いな。

 

 なんて事を思い出していたら、通信が入った。

 

 「《エイペックス、至急エルダーの下にこい》」

 

 ゴンジからだった。どうしたんだろう?

 

 とりあえず、トレを教えていたプレデター達を他のトレーナーに任せて、大聖堂に向かった。

 

 アヌ国際通りを抜けて、大聖堂に着くと、エレベーターに乗って最上階のエルダーの執務室に行った。部屋に着くと、ゴンジとエルダー、そしてスカーがいた。

 

 「スカー!久々だなぁ!」

 「エイペックスさん!どうもです!」

 「よく鍛えてるな!」

 「ハハ、エイペックスさんには負けます」

 

 スカーとガッチリ握手を交わし、お互いの腕や肩、胸の筋肉を見せあった。

 

 「お前ら、そこまでにして話を聞け」

 

 ゴンジが深刻そうな声で言った。どうしたんだ?そしてエルダーが神妙な面持ちで言った。

 

 「うむ、お前達…よく鍛えられている。褒めてつかわしたいところだが今回はスカーが報告した件について集まってもらった。エイペックスよ、恐らく知らないだろうがマーカーというものを知っているか?」

 

 マーカー?目印とかのマーカーか?

 

 「ふむ…まあ知らないだろう」

 

 エルダーがそう言って一枚の紙を俺に見せた。その紙には絵が描いてあった。二股の角が螺旋状に伸びたよく分からんものが描いてあった。

 

 「これがマーカーと呼ばれる物だ。かつてエンジニアが新たな命を創造する為にディーコンの血を模倣したブラックグーを作った事は知っている事だと思う。このブラックマーカーはそれ以前に作られた物で、機能としては星にこれを打ち込み、未熟な生命に進化を促す…という機能を持っている」

 

 はぁ…またエンジニアが作った物が悪さしてるのか。

 

 「だが、勿論これも失敗だった。打ち込まれたブラックマーカーは生命に進化を促し、知的生命体へと昇華させた後、その生命体を洗脳してマーカーを複製させた。複製されたマーカーはレッドマーカーと呼ばれ同じく生命の進化を促す感応波を発する」

 

 ん?そんな事してどうなるんだ?

 

 「そしてある程度マーカーを増やすと本性を現し、その星の生命体を争わせ死体を量産してその死体をネクロモーフに変異させた」

 「ネクロモーフ?なんです?それ?」

 「お前は一度会ったことがあるはずだ。メイソン・レンという男が怪物に変異していただろう」

 

 えぇ!?あれがネクロモーフなのか!?確かに初めて見た生き物だったけど……

 

 「死体が変異したネクロモーフが生者を襲い、更にネクロモーフを増やす。そうしてある一定の質量のネクロモーフが生じるとブラックマーカーを中心に収束を始める。惑星に存在するネクロモーフ含む全ての有機生命体を吸い上げ軌道上に月を作るのだ」

 「月?月ってあの月?」

 「似て非なるものだ。そうして出来上がった月は内部でブラックマーカーを再度生成しそれを宇宙へと放ち、また同じ事を繰り返して増殖を繰り返す…」

 

 なんかヤバそう。なんでそんなヘンテコな物作るんだよ!エンジニアは!!!

 

 「つまり1つでも有機生命体に見つかれば文明が滅ぶ可能性のある代物……というわけだ」

 

 エルダーは言った。かつて、タウ・ヴォランティスという星に住む高度な文明を持つ種族がブラックマーカーを見つけた。それを星に持ち帰り解析したそうだ。そして無限のエネルギーを抽出できる事を発見し、文明が加速した。マーカーを量産できる事にも気付き大量に作成した。しかし、ブラックマーカーが本性を現し争いが頻発し、ネクロモーフが大量発生するようになる。そして原因に気づき対処しようとしたが、気づくのが遅かった。彼らは星ごと凍らせブラックマーカーを文明と共に封印した。

 

 タウ・ヴォランティス星はディーコンの血によって活動的になったエンジニア達によって現在は完全に消滅した。と言っていた。

 

 「もしかして……」

 「ああ、レッドマーカーが見つかった。スカーと共に破壊しにいけ」

 「えぇ…レッドマーカーは確か複製されたものですよね?」

 「そうだ」

 「オリジナルは?」

 「エンジニアによって全て抹消されたと聞いている」

 

 オリジナルのブラックマーカーはエンジニア以外では破壊不能な物質でできているらしく、巨大隕石の直撃にも耐えてしまうそうだ。それは全てエンジニアによって分解され抹消された。

 

 「しかし複製されたものがあれば収束が起きる可能性がある。なんとしてでも破壊しなくてはいけない。それに洗脳された生命体含めてな……」

 

 複製自体はブラックマーカーの形とその表面に描かれたものを作れればどんな材質でも構わないらしい。しかし黒く作っても複製された物は必ず赤く変色してしまうとか……故にレッドマーカー。

 

 「俺達は洗脳とか大丈夫なんですか?」

 「確固たる強固な意思を持っていれば平気だ。大丈夫だよな?」

 「た、多分…」

 「……まあ大丈夫だろう。では行け」

 

 そうして俺とスカーはスカーの船でレッドマーカーが発見されたと言われるイージス7という星に向かった。

 

 イージス7の軌道上には地球からやってきた宇宙採掘船USGイシムラと、惑星から掘り出した超巨大岩石が浮いていた。最近の宇宙採掘船は星に寄生虫のように取り付き、プラネットクラッキングを行う。簡単に言えば星を抉り取り採掘をおこなうみたいだ。

 

 スカーが停泊するイシムラを見ながら言った。

 

 「レックスによればついさっき地球からやってきた修理技師達がイシムラに入っていったとの事です」

 

 船からイシムラをスキャンすると人間の反応を()()検知した。

 

 そしてスカーから情報が送られ俺の視界にそれが表示される。

 

 イシムラに入った人間は3人。その顔をしっかり覚えた俺はスカーに言った。

 

 「俺はイシムラに行く、スカーはどうする?」

 「マーカーの反応はイージス7の採掘場にあります。それに巨大な生物の反応も近くにあります。エルダーが言っていたハイブマインドかもしれません」

 「ネクロモーフの集合体か……どうする?」

 「船からエネルギーキャノンをひたすら撃って殺します。マーカーも同じように破壊できると思います」

 

 船から撃ちまくれば絶対に殺せるだろう。巨大戦艦ですら一撃で撃沈する威力だからなぁ…生き物に当たればひとたまりもないだろう。

 

 「よし、じゃあそういうことで」

 「了解」

 

 俺は小型船に乗り込み、イシムラに向かった。




デッドスペース始まりました。

原作ではマーカーの創造主が分かっていませんが、本作ではエンジニアさんが作った事にしました。マーカーの機能もエンジニアがやろうとしている生命創造に近いんで、ディーコンの血が無くなった事で生み出した物の一つにしました。ブラックグーは実質成功みたいなもんですけど、ブラックマーカーは完全な失敗作という事で息を吹き返したエンジニアによって全て消されてます。ただ、消される前に地球政府のとある研究者(既に死亡)が遠い星で見つけたブラックマーカーを見てそれを複製したのがイージス7のレッドマーカーという事にしてください笑。原作では地球でブラックマーカーが見つかり、複製?され原作が始まる200年前にはイージス7にあったとされています。

ちなみにマーカーの形は本作で説明していますが、もっと簡単に言うとマグロの刺身です。分厚く切ったマグロの刺身を縦に裂いて螺旋状にしたものです。
 
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