養殖が天然に勝てると思うなよ?【本編完結】   作:物体Zさん

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どうも通りすがりの捕食者です。

 

 

 車椅子の男ジェイク・サリーはRDA社が産み出したアバターを操作し、ジャングルへと赴いていた。

 

 惑星パンドラの原住民ナヴィのDNAと人類のDNAを掛け合わせ産み出したアバターはナヴィと円滑な関係を築く為に利用されている。

 

 青い肌、頭部から伸びるパンドラに住む生き物が必ず持つ触手、大きな身体、そして尻尾。人間のDNAが混ざっていることによって指が5本になっていること以外差異はないが、ナヴィにとってアバターはドリームウォーカーと呼ばれる嫌悪すべき対象だった。

 

 そんな事はこれっぽっちも知らないジェイクは銃を構えながらジャングルを進んでいた。

 

 共にアバターを操作してやってきた研究者のグレースとノームは木の根に流れるパンドラのエネルギーに夢中になっている。

 

 ジェイクはそれを横目で見て周囲を確認する為に警戒しながらジャングルを進んだ。

 

 そしてジェイクの前方に橙色の見た事のない植物群が姿を現した。ジェイクが手を触れると物凄い勢いで閉じて縮んだ。

 

 「おぉ」

 

 思わず驚き声を上げたジェイクは、面白がって次々と手を触れ植物を閉じていく。そうしてジェイクが動き回ることによってストレスを感じた植物達が一気に閉じ視界が開けた。

 

 「あ…!」

 

 ジェイクの見据える先に、巨大な生物がいた。

 

 人間の間でハンマーヘッドチタノテアと呼ばれている生物だ。

 

 ハンマーのような頭蓋にカラフルな花びらのような膜を携え、象よりも大きい巨体を誇っている。

 

 ジェイクの姿を見つけたハンマーヘッドチタノテアは地を踏み鳴らし、頭蓋のハンマーを木々にぶつけ粉砕し威嚇した。

 

 ジェイクは銃を構える。

 

 「発砲しないで!落ち着いて!怒らせたら大変よ!」

 

 ノームと共にやってきたグレースが無線でジェイクに伝える。

 

 「もう怒ってる!」

 

 チタノテアは太い脚を動かし今にもジェイクに向かって突撃しそうだ。

 

 「あの硬い表皮に銃は効かない!縄張り本能なの、逃げたら襲われるわ。そのまま…動かないで」

 「グイイイイイイィィン!」

 「ダンスに誘うか?」

 「とにかく動か…」

 「グイイイイイイィィィン!!!」

 

 チタノテアが勢いをつけジェイクに向かって走ってくる。

 

 ジェイクは意を決した。

 

 「ウラアアアアアアアアアア!!!」

 

 ジェイクは走ってきたチタノテアに向かって身体を大きく広げ声を張り上げた。ジェイクの渾身の威嚇の声を聞いたからか、チタノテアがジェイクに当たるすんでのところで急に立ち止まった。そして後方にいたチタノテアの群れに向かって逃げていってしまった。

 

 「ははっどうした!逃げないのか?だらしない野郎だ。とっとと消えちまえ!うせろ腰抜けめ!仲間を呼んで助っ人に呼んでこい……」

 「グゥゥ…」

 

 ジェイクが立ち止まりそして逃げていったチタノテアに暴言を言い放った直ぐ後に、ジェイクは後ろから唸り声がするのを発達した耳で聞き取った。

 

 「……!?」

 

 ジェイクが振り向くとそこには漆黒の表皮を持つ六足歩行の見るからに危険な巨大な生物がいた。

 

 「サナターよ!」

 

 グレースの声が無線から聞こえたが目の前に牙を剥き出しにしている怪物がいて何も頭に入ってこなかった。

 

 漆黒の巨獣は倒れた木の幹を飛び越え未だ群れで威嚇をしているチタノテアの前に躍り出た。

 

 チタノテアはジェイクの威嚇で逃げたわけではなく、この漆黒の巨獣サナターの気配を感じ取り逃げたのだ。

 

 サナターはチタノテアに対し低く恐ろしい唸り声を上げ前脚を上下した。

 

 それを聞き取り見たチタノテアの群れは一際大きな声をあげると森の中へと消えていった。

 

 「あー逃げた方がいい?」

 「死に物狂いで逃げて!!!!」

 

 サナターがジェイクの声を聞き振り向く。

 

 そしてジェイクに飛び掛かった。

 

 

 

 

 

 

 時は遡りエイペックスがエイワによる情報攻撃を喰らった頃……

 

 

 

 「なんだったんだ今のは……」

 

 俺は木の枝上で呆然と立ち尽くしていた。

 

 俺の腕に白いフワフワが触れた瞬間に何かが起きた。

 

 何か断末魔のような助けを求めるような声とか、この星?の風景がドバババババとフラッシュバックしてメチャクチャだった。

 

 というかマジで一瞬気を失っていた。意識が完全に吹き飛び無防備になっていた。これはヤバいかもしれない。ちょっと鍛え直すか?そういやこういった精神攻撃に対して何も考えてなかった。どう鍛えたらいいんだろうか?ウルフ大先生とかなら知ってるかな?

 

 にしてもこの白いフワフワはなんなんだ?

 

 「うわ!!」

 

 気づいたら一匹だけじゃなくて全身にみっちりくっついてやがる!!!

 

 「どりゃあ!」

 

 腕を振るって飛ばそうとするが、ふわりと浮いて一瞬で離れてしまった。

 

 「マジでなんなんだアイツ〜…」 

 

 ふわふわと漂いながら散っていった。それを見ながら俺は唖然と立ち尽くしていた。

 

 「なんか腹減ったな…」

 

 銭湯で腹拵えしてきたのにもう腹が減ってきた。

 

 さっきから腹がグーグーいってうるさいくらいだ。

 

 「狩りでもするか」

 

 隣にある木の枝に飛び移りながらしばらく獲物を探していくと、目がギョロッとした鹿みたいな生き物が草を食っているのを見つけた。プリっとしてて美味そうだ。

 

 「イェリックか…あ?」

 

 なんだ今の?勝手に名前が出てきたぞ。この星に初めてやって来て、初めて見た生き物なのになんでか知らんが名前が分かる。あそこに見える青い猿みたいなのはシャークシュクで森の中では比較的に大人しい生物だ。

 

 ちょちょっと待て。

 

 どういうことだ?まさかさっきのエイワに…エイワ?エイワってなんだよ!?

 

 「なんか気持ち悪ぃ…」

 

 俺の知らない知識が!頭にある!なんだよぉ!これぇ!

 

 あの白ふわエイワにやられたのか!?

 

 「うごおおおおぉ……なんか気持ち悪ぃよぉ…」

 「何者なの」

 「え?」

 

 木の枝の上で頭を抱え蹲っていたら後方から声が聞こえた。

 

 立ち上がり振り向くと弓矢を構えたナヴィの女がいた。ほらまただ!知らないのに勝手に出たぁ!

 

 青い肌に発達した耳、腰からは尻尾が伸びている。身長は俺と同じか少し小さいくらいで線は細い。髪の毛のある後頭部から真っ直ぐと尻尾と同じくらいの器官が伸びていて先端は細い触手がある。この星の原住民ナヴィだ。

 

 「動かないで(なんて大きな筋肉なんだ)」

 「おーおーそんな殺気立たないでくれ」

 「何者なの」

 「俺は違う星から来たプレデターという種族の者だ。アヌ族のエイペックスという」

 「プレデター?スカイピープルではないな」

 「あぁ俺は人間じゃない」

 

 この星で人間はスカイピープルと呼ばれている。または悪魔と。俺の中にいつの間にかある知識がそう言った。

 

 「この地で何をするつもりなの」

 「……狩猟だ」

 「……狩猟」

 

 ナヴィの女が目を細め俺の身体を撫でるように見回すと、矢を戻し弓を下ろした。なんか知らんが落ち着いてくれたみたいだ。

 

 「お前からはエイワを感じる」

 「あ〜…さっき全身包まれてたからな」

 「包まれていた?」

 

 俺がそう言うと頭上から白いふわふわが大量に降りてきた。

 

 またか…

 

 いつの間にこいつら来たんだ!!!

 

 白いふわふわ、いやエイワの精霊が俺を包み込み全身真っ白にする。

 

 「エ、エイワが……」

辛うじて見える隙間から女を見ると冷や汗を流しながらあたふたとしていた。

 

 ちなみに今回は気絶するような気配はない。なんなら少しくすぐったいくらいだ。早く離れてくんねーかな。

 

 そうしてじっと待っているとファ〜っと浮き上がり散っていった。

 

 「ついてこい!」

 「あ、はい」

 

 腹減ったんだけどなんかあるよね?

 

 

 ナヴィの女の先導の下、クソデカ大樹にやって来ました。

 

 人間の基地からも見えたけど間近で見ると本当にデカい。母星にある大聖堂よりも大きいんじゃないか?

 

 マスクでスキャンすると大樹の中は螺旋状になっていて、各階層にナヴィ達が住居を構え暮らしている。頂上の枝にはイクランが住んでいるようだ。イクランってなんだよ…

 

 女に連れられ大樹の中に入ると沢山のナヴィが待っていた。

 

 「お前が見える。ネイティリ、何を連れてきた」

 「あなたが見えます。森で彷徨っているところを見つけました。エイワの導きが…」

 「エイワだと…?」

 

 ネイティリと呼ばれた女がエルダーのような格好をした1人のナビィに近づき挨拶をした後、俺の事を話した。

 

 エイワの導きがあり俺を連れてきたと…全身包まれただけなんだがなぁ

 

 「あなたが見える。俺はプレデターのエイペックス、違う星からやってきた。あなたがこの部族の長か」

 

 とりあえず俺はマスクを外し、ナヴィ流の挨拶をかました。初めてやったのにすんなりできた。

 

 「……(なんと恐ろしい顔貌よ)…ゴホンッ…いかにもワシが族長のエイトゥカンだ。随分と我々の言葉が上手いな(デカすぎじゃないか?)」

 「え?言葉…」

 

 俺今何語で喋ってた!?!?

 

 「ナヴィ語だ。赤子よりも上手く喋る」

 「は…はは、そりゃどうも」

 

 気づかず喋ってたわ!!

 

 マスクを装着し直し、エイトゥカンに向き直った。

 

 これもあの白ふわエイワの仕業だろうか?勝手にインストールしやがって…なんか改造された感じがして嫌だなぁ…

 

 エイトゥカンが隣に佇むナヴィの男を前に出した。

 

 「彼はツーテイ、次期族長の男だ。そしてお主と同じ戦士である」

 「ツーテイか、俺はエイペックス。よろしく頼む」

 「エイワの導きの戦士よ、会えて光栄だ」

 

 戦士か、俺は戦士というより狩人なんだがな。

 

 「何事!」

 

 螺旋階段の一つから装飾を纏ったナヴィが降りてきた。

 

 「彼女はツァヒクのモアト、そして私の母親」

 

 隣にいるネイティリがそう言った。

 

 ツァヒクとはナヴィの部族に1人いる巫女の事だ。エイワと交信し、部族の安寧を祈る者である。

 

 モアトがズカズカと俺に近づき周りをぐるぐると回り舐め回すように俺を見た。

 

 そして胸についた鞘から針のようなものを抜き俺の胸に突き刺そうとしたところで俺はモアトの腕を掴み止めた。

 

 「おいおい、いきなりなんだ」

 「プレデター、あなたの血を見る」

 

 ん?俺を知っているのか?

 

 「プレデターを知っているのか?」

 「昔1人のプレデターと出会った。オリオンと名乗る貴様と同じ種族の者だ」

 「オリオン?(聞いた事ないな…)」

 

 しかし、この星にプレデターが訪れていたのか。オリオン…俺の知ってる奴かな?

 

 「よいか?」

 「ん?あぁ…」

 

 俺は掴んだ腕を離し、モアトの針を受けた。

 

 チクッとした痛みが胸に走り見ると蛍光色の血がツーっと垂れていた。

 

 俺の鍛え上げた表皮に刺さるなんて随分と硬いんだな。

 

 モアトが針に付いた血をさっと舐めて吟味すると、一瞬険しい顔をしてエイトゥカンに言った。

 

 「エイワの祝福を受けている!もてなせ!」

 「え?」

 「え?」

 「はい?」

 「なんて?」

 

 モアトの言った事でエイトゥカンとツーテイ、そしてネイティリが驚きを露わにした。

 

 「どういうこと?」

 

 

 

 

 

 そんなこんなで俺はナヴィの一族オマティカヤ族に迎え入れられた。

 

 違う星の異星人なのにこうも簡単に馴染めてしまう事に違和感しかないが、オマティカヤ族の巫女モアトによればエイワの祝福を受けた者は例外なく迎え入れないといけない掟があるんだと。

 

 まぁ俺にはよく分からねぇが、あの白いふわふわはエイワの分体で、それに全身包まれてた俺は偉大なる母エイワに認められた者らしい。

 

 その日俺はオマティカヤ族の歓待を受け眠りにつき、翌日に族長の娘であるネイティリと共に森へと出かけた。ネイティリは俺の事を森で見つけたナヴィの女だ。

 

 巧みに身体を動かし弓矢で獲物を仕留めるその姿はとても勇ましい。

 

 プレデターにもこういったメスがいればいいんだが…はぁ俺より強いメスいないかな…俺もそろそろ交配の時期が来る。良いメスプレデターいねぇかな…

 

 そんなこんなで森に着きネイティリと共に移動していると、目の前に以前見かけた漆黒のヒョウが現れた。

 

 「パルルカン!」

 

 ネイティリが身構え言った。

 

 黒いヒョウの名はパルルカン。地球に棲む黒豹とは全く似ていないが、このパルルカンと呼ばれる生物はとても逞しくそして凶暴な生物だ。

 

 つるりとした黒い表皮、パンドラの生物特有の六足、そして大きな身体になんでも噛み砕いてしまいそうな口蓋。この地域の陸上に至っては最強の生物と名高い。

 

 「ネイティリ、あれは俺に任せろ」

 「な!歴戦の狩人ですら殺す生物だぞ!いくらエイワの導きがあったからと…」

 「まぁ見てろって」

 

 俺はネイティリを後ろに下がらせ俺はパルルカンの前に出た。

 

 「ガァッ!!」

 

 パルルカンは大きな口を開け鋭い牙を剥き出しにして、頭部に付いた器官を広げて威嚇している。人間なんて一咬みで殺され喰われちまうだろう。

 

 「俺は犬でも猫でも襲ってきたら食っちまうぜ?」

 

 その体躯は俺やネイティリをゆうに超えている。昔従えたゴンジ(犬)なんてパルルカンから見ればただの子犬だろう。そういえばアイツ元気かな…流石に死んでるよな。

 

 「ガァガァ!!!」

 

 俺の言葉を無視し今にも飛びかかってきそうなパルルカン。俺の威嚇はまるで効いていないみたいだ。これまで己が狩られる事など無かった強者の余裕だろうか?だが…俺は今までお前が殺してきた者達とは違うぞ…なーんてカッコいい事は絶対に口にできない。

 

 俺は背中からスピアを手に取り伸ばすと回しながら身構えた。

 

 「こいや!!!」

 「ガガァ!」

 

 俺がそう言うと、待ってました!と言わんばかりにパルルカンが吠え飛びかかってきた。

 

 俺はスピアを回し、身体を捻りながらパルルカンに向かってスピアの棘の付いていない部分を振るい叩きつけた。

 

 「ギャウンッ!」

 

 俺の膂力によって振るわれたスピアが飛び上がったパルルカンの横腹に叩きつけられ、そのまま太い木にぶつかり木を粉砕しながら吹き飛んでいった。

 

 「なんて力だ…!」

 

 ネイティリが吹き飛んでいったパルルカンを見ながら言った。

 

 「いいか?ネイティリ、力こそパワーだ。筋肉こそ力だ」

 「力こそパワー……ゴクリ…」

 

 スピアを縮ませ背中に戻し吹き飛んでいったパルルカンにダッシュで近づいた。

 

 そして上腕に力を込め筋肉を隆起させると今も朦朧としているパルルカンの頭に向かって拳を叩き込んだ。

 

 「ギャャフンッ!!」

 

 頭部が地面に沈みピクリともしなくなった。

 

 「おい、まだ生きてるだろ?」

 

 俺はしゃがんでパルルカンの頭部を掴み言った。俺の声を聞いたパルルカンの目が見開き涎をダラダラと流しながら震え始めた。

 

 「キャキャキャウーーン…」

 

 犬の嬌声のような声を上げ俺を見つめるパルルカン。

 

 「何をするつもりだ?」

 

 後ろにいたネイティリが言った。

 

 「ふっふっふ……昨日コイツを見かけてからずっと気になっていたんだ」

 「……?」

 「今から俺はコイツとシャヘイルする」

 「な!?ナヴィでもないお前に絆を結ぶことなどできるはずがない!!!」

 

  シャヘイル(契約)とはナヴィがパンドラに棲む生物に対しておこなう行為で、頭部から伸びる器官の先端にある触手群を繋げる事で絆を結び主従関係を生み出すものである。ナビィはイクランやパリー(ダイヤホース)などにこれを行い使役している。

 

 勿論、俺にシャヘイルをする器官なぞ存在しない。頭から伸びているのはぶっといドレッドヘアーだけである。

 

 だが物事というのは大体気合いでなんとかなるのである。

 

 「うおおおおおおおお!!!!エイワよぉ!!!!!俺に力をぉ!!!!」

 「な!!!何を!?!?」

 

 俺は目を閉じ祈りながら拳を上に突き出し叫んだ。偉大な母エイワに向け全身全霊の祈りを捧げた。

 

 「あ、あ、あ、あ、嘘だろ……!?」

 

 ネイティリの驚いた声が聞こえる。

 

 閉じた目を開けると枝葉の間から白いふわふわが降りてきたのが見えた。

 

 うおおおお!!!キタキタキタぁーーー!!!!!

 

 そして無数の白ふわエイワが降臨し俺の肩に集まり止まると、俺の意識が偉大な母エイワに接続され、なんとも言えないエネルギーの奔流を身体に感じた。

 

 「エイワァァァァァァ!!!」

 

 エイワのエネルギーが全身から腕、そして手に集約し桃色の淡い光が漏れ始めた。

 

 手を優しくパルルカンの頭部に置き、俺は叫んだ。

 

 「シャッヘェェェェーーーイル!!!」

 「ギュイーーーーーーーン!!!」

 「はいいいいいいいい!?!?!?」

 

 光がパルルカンの頭部を包み込み浸透していく。

 

 そうしてパルルカンは倒れていた身体をガバッと起こし、俺の身体に身を寄せてきた。

 

 「おーほほほほよしよーし」

 「なんて事だ……」

 「いいか?ネイティリ……力こそパワーだ」

 「無茶苦茶だ…」

 

 こうしてパルルカンとシャヘイルして絆を結んだ俺はジャングルを進んだ。

 

 

 

 

 

 

 「うおおおお!?!?」

 

 ジェイクは間一髪サナターの飛び掛かりを避けジャングルに入った。

 

 木々の間をすり抜けるように走りサナターの攻撃を避けていくジェイク。

 

 手に持つ小銃をサナターに向かって撃ちまくるが、放たれた銃弾を巧みに避け終いには銃に噛みつき勢いよく岩にぶつけ破壊してしまった。

 

 攻撃の手段がなくなってしまったジェイクは巨大な木の根に囲まれた場所に入り込みサナターをやり過ごそうと考える。しかし、サナターは木の根にガジガジと噛みつきどんどん破壊していく。

 

 「ヤベェ!!!」

 

 それを見たジェイクは焦り、反対側から飛び出た。それを追うサナター。

 

 サナターは猛スピードでジェイクに駆け寄り背中に噛みついた。

 

 「うお!」

 

 ジェイクの身体が浮き上がり振り回される。

 

 「くそ!」

 

 噛みついているリュックを両肩からなんとか外し拘束を脱すると、全速力で走った。

 

 もう何もできない。このまま捕まればあの恐ろしい獣に喰われてしまう…!ジェイクの脳裏に感じたことの無い緊張が走った。

 

 木々を掻き分け進んでいくジェイク。一方サナターは少し遅れて逃げたジェイクに気づいた。

 

 「ガァッ!」

 

 待てー!とでも言っているのだろうか?短く吠えるとジェイクを追った。

 

 走るジェイク。それを追うサナター。

 

 ジェイクは走り続け川の見える崖に辿り着いた。

 

 「行くしかない!」

 

 後ろを振り返り確認すると涎をダラダラ垂らし木々を薙ぎ倒しながら一心不乱にこちらに走るサナターが見えた。

 

 「うおおお!!!」

 

 崖から飛び降りるジェイク。その背中に向かって前脚を振るうサナター。

 

 しかしサナターの手は届かない。

 

 ジェイクは下に広がる水面に向かって身体を真っ直ぐ伸ばし飛び込んだ。

 

 「クゥゥーン……」

 

 サナターは逃した()()を見て悲しい声を上げる。

 

 「どうした…?ゴンジ」

 

 空間を侵食するように現れたナヴィでない巨大な異星人がサナターの身体を優しく撫でた。

 

 「ん?アイツは……」

 

 マスクの目が赤く光り川を流れ進む1人のアバターを捉えた。




エイワ【あ、あ、あーーーーーーーんっ!!!!!】】 


シャヘイル
 本来はパンドラの原生物が行う物で頭部から伸びる触手群同士を繋げ心を通わせる行為である。ナヴィがイクランやダイヤホースにこれを行い主従関係を結び使役している。シャヘイルをすると口に出さずとも頭の中で命令した事を忠実に守ったり、息遣いや心臓の鼓動までも感じる事ができる。
触手のない種族は本来できない芸当であるが、エイペックスの強靭な魂による強引な祈祷によって喚び出されたエイワの分体が力を貸した事で、エイペックスはサナター(パルルカン)に対しシャヘイルをすることができた。しかし、常に繋がっている訳ではないので触れて念じるか声が聞こえる距離で命じなければいけない。
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