養殖が天然に勝てると思うなよ?【本編完結】   作:物体Zさん

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誤字修正、感想と評価ありがとうございます!

どうぞー!


環境破壊は許しませーん!

 

 「思ったんだけどよ。エイワの力借りてアバターになっちまえよ」

 

 船の中に戻り皆で飯を食っている中、俺はネイティリと共にグレースに寄り添いながら飯を食うジェイクに言った。

 

 儀式は無事に終了しジェイクの熱い演説の後、こちらから襲撃する前に一旦休もうって事で、広場に集まっていたオマティカヤ族のナヴィ達は近場の森に入り身体を休めている。何故だか魂の木にシャヘイルして祈祷を行なっていたナヴィ達はものすごく疲れた様子でグッタリしながら森へ入っていったのだ。とりあえず船にある食糧庫から食い物をいっぱい配っておいたけど大丈夫だろうか?

 

 祈祷の最前線にいたモアトなんて、筋トレして逞しくなった身体が少しスッキリして出会った頃ぐらいの細さになっている。まぁ身体が絞られて筋肉がすげぇ浮き出てるけど…てかこいつ巫女のくせして1番筋トレハマってたな。

 

 「それはモシャ…ガブリ…ダメよ」

 「え?なんでさ」

 

 俺特製プロテインバーに齧り付くモアトが言った。

 

 「グレースを治癒する為エイワの力を借りた。それに新たな命もご創造なされた。そう何度もエイワの力を借りるわけにはいかない」

 「ん〜……そうか」

 

 俺の案はダメみたいだ。でも今はダメでも機会があるって事か。

 

 そして新しい命。アバターのグレースは未だ眠りについている。リンクしていないのもあるが、アバターグレースの胎内には新たな命が芽吹いている。

 

 誰とも交配した覚えはないとグレースは言っていた。俺的にはノームが怪しいと思っていた。でも全然違ったみたい。

 

 俺達が妊娠に気付いたのはエイワの儀式の後、それ以前は何もなかった。つまりあの儀式でアバターグレースに何かが起きたということだ。

 

 「スカイピープルの様子は?」

 「基地に残ったマックスによれば今のところ動きはない。しかし着々と準備が行われてるみたいだ」

 

 RDA社の基地には研究者のマックスが残り隙を見てジェイクらに状況を報告していた。

 

 人間達はホームツリーを破壊した後、基地に帰還し次の攻撃の準備をしている。彼らの次の標的は俺達がいる魂の木だ。

 

 ジェイクによれば、ホームツリーの下にはアンオブタニウムの鉱床があり、人間達はそれを狙ってオマティカヤ族を攻撃した。そして、RDA社は邪魔者を完全に消す為に魂の木に避難したオマティカヤ族を攻撃しようとしている。

 

 「助けを求めなくていいのか?トルーク・マクトの伝説に則り各地に点在する部族を集めればかなりの戦力になると思うが」

 

 焼肉を食うダッチがジェイクに言った。あ!!おい!!それ俺の焼いた肉!!

 

 「ダッチさん、それは最初に考えた。俺が言えばかなりの数の部族が集まるだろう。だが…」

 「不必要な犠牲を出したくないのか」

 「…ああ」

 

 まぁいきなり押し掛けて死ぬかもしれない戦いに参加してくれぇ!なんて言っても俺だったらちょっと考えたい。血湧き肉躍る戦いはワクワクするけど、やっぱ死にたくないからなぁ…ナヴィは狂信的な種族だ。トルーク・マクトが現れ懇願すれば己の思いや理想を押し除け死ぬ気で戦うだろうな。

 

 「ところでダッチ、お前は戻らなくていいのか?」

 「心配ない」

 「いや、心配ないって…よく分からんが仕事とか大丈夫なんかよ?ほら傭兵会社とかやってただろ」

 「俺の会社はもうオブライエン&ハワード産業の奴らに任せている。俺は今はフリーランスというやつだ」

 「そうなのか…」

 

 よく分からんけど、ダッチは意外としっかりしてるからな。大丈夫か。

 

 そんなこんなで大変な一日が終わった。

 

 焼肉やらプロテインバーを食い終えた俺たちは眠りについた。

 

 

 そして翌日、まだ日もあまり出ていない早朝、俺達は人間に()()を仕掛ける為に魂の木の広場で決起集会を行なっていた。

 

 襲撃をかけるオマティカヤ族の戦士達は総勢52名、どいつもこいつもなんか筋肉をビクビクさせて興奮しているが何があった?昨日の夜はちょっとグッタリしてたよな?

 

 戦えない女子供のナヴィはおよそ25名だった。

 

 ホームツリー襲撃でかなりの人数が殺されてしまった。死んでしまった同胞達の為にも必ず人間にガツンと俺達の恐ろしさを味わわせてやる。

 

 「エイワに祈ろう」

 

 戦闘服に着替え槍を携えるモアトが言った。いやモアトもいくんか?巫女だよな?此処で皆んなを守っててほしいんだが…

 

 モアトの一声で戦いに行く者達が魂の木から垂れ下がる光る枝に触手を接続した。

 

 遥か太古から繋がれた祖先の声を聞く者、人間によって殺された家族の声を聞く者、そして未来の為に自身の想いを残す者。誰がどんな事を思っているのか知らないが、皆神妙な表情で魂の木に向き合っていた。

 

 俺もそっと光る枝を数束纏めて握った。

 

 (エイワ、どうか皆を守ってやってくれ)

 

 よし、俺の祈りは終わった。

 

 「皆!聞いてくれ!」

 

 ジェイクが声を張り上げ言った。集まったナヴィがジェイクを見た。

 

 「エイペックスさん、どうぞ」

 「え?なに?」

 「いや、皆を鼓舞して下さい」

 「おぇ?」

 

 鼓舞か…うーん。俺は別にジェイクみたいに熱い演説できないしなぁ…

 

 まぁやってみるか。

 

 「聞けぇ!戦士達よ!!」

 

 大気が震えるぐらい大声を出した。

 

 「生き残ったらプロテインあげるぞぉぉぉ〜〜!!!」

 

 「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」

 

 そうしてRDA社の基地に向かった。

 

 

 カンカンに輝く太陽を背に基地に向かって飛んだ。ジェイクはトルークに跨り、それに続くようにツーテイやネイティリ達がイクランに跨って飛んでいる。

 

 俺はダッチ、そしてモアトと数人の戦士達を船に乗せ、それについていった。

 

 グレース、ノーム、そしてトルーディはお留守番だ。ジェイクの本体を守らなくてはいけないからな。

 

 人間達はまさか俺達が襲撃してくるとは思っていまい。今も呑気にグースカ寝ているか朝ご飯でも食っている事だろう。

 

 魂の木を離れ、ハレルヤマウンテンにやってきたところで殺気だった気配を複数感じ、俺の船のレーダーに多数の反応を検知した。

 

 「奴らの方が一足先だったようだな」

 「奴らの家を壊したかった」

 

 ダッチが腕を組みながら言うと、モアトが苦虫を潰したような顔で反応した。

 

 「《エイペックスさん、奴らの上から襲撃をかける》」

 「《了解》」

 

 ジェイクからの通信が入り俺は船を移動させた。

 

 ハレルヤマウンテンは巨大な岩石が多数浮遊するエリアだ。人間達が採掘するアンオブタニウムが放つ強力な磁力によって岩石が浮遊している。

 

 そして此処では電子機器を一切扱えない。レーダーは乱れミサイルのロックもままならない。俺の船に搭載されている機器はEMPシールドがついている為この影響は受けないが、まぁ…俺達は大体目視で確認したり狙いをつけるから関係ない。

 

 上空へ移動すると下に巨大な輸送機とホームツリーを破壊した巨大戦闘機、そしてそれを護衛するように沢山のヘリが見えた。ハレルヤマウンテンの岩石の間を悠々と飛行している。

 

 暫く様子を窺っていると巨大戦闘機がハレルヤマウンテンの下にある森へと降りていった。そしてそこから子供を産むように巨大外骨格AMPスーツに搭乗した人間達と兵士が降りていった。

 

 「森からも侵攻するつもりか」

 「どうする?」

 「う〜ん……んー?」

 

 なんだかソワソワしてきた。鳥肌が立ち、何かを感じる。

 

 「あ」

 

 何かを感じた束の間、空に浮かぶ巨大な岩石の間から無数の()()()()()()()とイクランが飛んできた。

 

 なんだあれ!?

 

 「《エイワが味方してくれた!!!!!》」

 

 ネイティリの興奮する声が聞こえた。

 

 「《いくぞ!!!!》」

 

 俺達はジェイクの通信を聞き、攻撃を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クオリッチ率いるRDA社の傭兵軍団は輸送機にありったけの爆弾を積み、原住民ナヴィの本拠地である魂の木へと向かっていた。

 

 「目標まで6kmです」

 「分かった。爆撃の準備を始めろ」

 「了解」

 

 パイロットから目標までの距離を聞いたクオリッチは通信を入れ爆撃の準備を始めさせる。

 

 そこでモニターを見ていた乗組員が報告する。

 

 「敵の反応を検知、接近中です」

 「映像は?」

 「この磁力では…」

 「そうか………な!?」

 

 報告を聞き操縦席に戻ったクオリッチは目の前で巨大なドラゴンに墜とされるヘリを目撃した。

 

 「敵襲だ!!全機!攻撃開始!撃て!撃て!」

 

 しかし周りのヘリが撃ち始める様子がない。

 

 「な、何が…!?」

 

 目の前で目撃したヘリの墜落を皮切りに次々と爆発音が聞こえた。

 

 操縦席から辺りを見回すと無数の巨大なドラゴンと、それよりも少し小さいドラゴンがヘリに襲い掛かり瞬く間に墜としていた。

 

 そしてその中にはドラゴンに騎乗したナヴィが見え、ヘリの操縦席に向け矢を放っている。矢はヘリの強化ガラスを簡単に貫通しパイロットを殺した。

 

 更に下の森に降りた一団にはゴンジ(パルルカン)率いる森の動物達の大群が襲いかかった。

 

 ハンマーヘッドチタノテアの群れに銃を放つが硬い表皮に弾かれ、踏み潰され薙ぎ倒されていく。

 辛うじて生き残った兵士達はゴンジやナンタングの群れに襲われ命を落とした。

 

 「《大佐ァァァッ!!……》」

 「な!?ウェインフリート!?おい!クソォ!」

 

 通信から聞こえた部下の断末魔に怒りを滾らせるクオリッチ。

 

 「今すぐ爆弾を落とせぇ!!」

 

 輸送機に指示を出し、操縦席から隣にいた輸送機を見た。

 

 そこでクオリッチは目撃する。

 

 何もない場所から輸送機の背に降りてきた一体の巨大な異星人を。

 

 ホームツリーで怪物殺しと戦い、大樹の倒壊に巻き込まれ死んだと報告を受けた筈の生物。

 

 「死んでなかったのか!?怪物殺しの報告は嘘だったのか!?」

 

 その怪物は輸送機に拳を叩きつけ穴を開けると中へと入っていった。

 

 「《な、なんだ!?うわあああ!?》」

 「《ギャッ》」

 「《ヒィッ!や、やめ…グボっ》」

 「《ぎゃあああああああああああああ》」

 「報告しろぉ!!!」

 

 通信から聞こえる輸送機にいた隊員達の断末魔の悲鳴が機内に響き渡る。クオリッチの声に誰も反応せず、一瞬の静寂のあと声が聞こえた。

 

 「《おい》」

 

 クオリッチや隊員達は通信機から流れたその声を聞き戦慄した。身体に悪寒が走り冷や汗が全身を伝い、動悸が起こり息切れが始まった。

 

 脳裏にある筈のない記憶が蘇る。太古より連綿と受け継がれてきた祖先の記憶がフラッシュバックした。人がまだ人でない時、巨大な生物に踏み潰され喰われ逃げ惑う記憶、地を2本の足で踏み締め歩けるようになった頃、サーベルタイガーに襲われ捕食される記憶。嘗て人類が経験してきたあらゆる苦難を、狩られる獲物としての苦悩が脳裏に鮮明に蘇った。

 

 「う、うわああああ!!」

 「ひぃっひいいいいいいい!!!」

 

 操縦席にいたパイロットや、モニターを監視していた者達が無線から流れたエイペックスの声を聞きパニックを起こす。

 

 「なんだというのだ!!」

 

 クオリッチは過ったものを振り払い力強く言った。

 

 (こんなもの、俺が今まで経験してきた事に比べれば生温い!恐れるな!)

 

 クオリッチは間違いなく歴戦の猛者である。地球での戦争を傷一つ負う事なく生き残り、この星でも生き残ってきた。数多の動物、ナヴィを殺し、その手を汚してきた。

 

 「進め!!俺がこの手で燃やし尽くしてやる!!」

 

 そう言ったのも束の間、機体の上空が影に呑まれた。

 

 ジェイクの乗るトルークが上を通過したのだ。

 

 ガンッという何か重いものが落ちてきた音がした。

 

 クオリッチは瞬時にそれが何かを見破る。そして操縦席のガラス窓を見回し機体の上をジェイクが走っているのを見つけた。

 

 ジェイクは両手で手榴弾を持ち、器用にピンを外し飛ばしているところだった。

 

 「させんぞぉ!!!」

 

 ジェイクのやろうとしていることに気づいたクオリッチはパニックを起こし気絶したパイロットをどかし、操縦桿を倒して機体を傾けた。

 

 機体が一気に傾き、背を走っていたジェイクがバランスを崩した。

 

 両手に持っていた手榴弾がバランスを崩した事でジェイクの手から離れすっ飛んでいく。一個はそのまま森へ、もう一個は戦闘機の熱を排気するための穴に嵌った。

 

 「クソォ!!」

 

 クオリッチがそう言った瞬間、爆発を起こし機体に穴が開く。人にとって害である空気が入り、酸素が汚染されていく。

 

 一方ジェイクはバランスを崩し機体の外に放り出された。しかし、間一髪のところで相棒のトルークが下を飛びジェイクを受け止めた。

 

 クオリッチは空気が汚染される前に息を止め、操縦席についてある簡易マスクから酸素を吸入していく。そこで機体の目の前に空間を侵食するように何かが現れる。

 

 「!!!!!」

 

 大きく黒く流線型の()()()だった。

 

 その宇宙船から青白いエネルギー弾が放たれ戦闘機の右側に直撃し大爆発を起こした。クオリッチは爆発の衝撃波を浴び、操縦席から投げ出され貨物スペースにまで落ちた。

 

 「(AMPで脱出するしかない!!)」

 

 息を殺し、すぐに立ち上がったクオリッチは目の前にあった自身の機体に乗り込んだ。

 

 そして爆発を起こしながら墜落する戦闘機からAMP用の巨銃を掴み飛び出し森へと着地した。

 

 「やってくれたな…!!!」

 

 怒りに燃え、巨大な銃を構える。

 

 上を見上げれば木々の隙間から上空が見えた。先程まで横にいた輸送機は何処かへと姿を消し、周りを大群をなし飛んでいたヘリは全て撃墜された。

 

 「ジェイク・サリーだけでもやってやる…!」

 「それは無理だ」

 

 声がした。

 

 AMPに搭載された集音機能がその声を拾いクオリッチの耳に届く。

 

 クオリッチはその方向へ銃を向けた。

 

 木々の間から1人の男が出てくる。抜き身のロングソードを肩に担いだ上裸の男だった。

 

 「何故だ…!!何故貴様が人類を裏切る…!!」

 「俺は裏切ってなどいない」

 

 露出した巨大な筋肉を脈動させながら徐々にクオリッチに近づく男。

 

 「ナヴィに与することがか!!!」

 「俺が此処に来たのは()()を狩るためだ」

 

 男がそう言った瞬間、クオリッチの目の前に剣が現れた。

 

 クオリッチは殺気を感じ咄嗟に銃を振るう。ガキィン!と甲高い音と火花が散り視界が開けた。

 

 剣を持った男が離れた場所に着地し、再度剣を構える。光が剣に反射し光った。

 

 「死ねぇい!」

 

 クオリッチが銃を乱射する。

 

 AMPの持つ銃は人間が持つ物より遥かに大きく強力だ。人の身でそれに一発でも当たれば木っ端微塵に吹き飛んでしまうだろう。

 

 当たればの話だが。

 

 高速で放たれていく弾丸を男は手に持った剣を目にも留まらぬスピードで振るい切断していく。

 

 カンカンカンカンカンカン!と甲高い音と銃弾が切断される時に起こる火花が男を包み込んでいく。

 

 「化け物めぇぇぇぇ!!!」

 「(弾切れを待つか…)ん?」

 「ガアァッ!!」

 

 銃を男に撃ちまくっていると横から突然黒い獣が襲い掛かり銃に噛み付かれた。

 

 「なっ!!!!」

 

 襲い掛かってきたのは森で最強の生物と謳われるサナターという動物だった。しかし野生のサナターとは体格がまるで違う。大きく逞しくそして勇猛だった。

 

 「どけぇい!!!」

 

 クオリッチはAMPの腰部に付けられた大型コンバットナイフを引き抜きサナターへと突き刺した。




エイワ【力が溢れる…高まる…】
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