養殖が天然に勝てると思うなよ?【本編完結】   作:物体Zさん

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ちょっと夜中に間違えて最新話を公開してしまったのでお詫びに朝イチで投稿します。すぐに削除をしましたが、もし読んでしまった方がいた場合はご自宅にブラッググー300ml発送!!!!どうぞ!!!!


エイワによる無慈悲な容赦ない強制情報攻撃

 

 

 「そうだったのか」

 

 俺とヴィーンはモアトのテントでグレースからジェイクとネイティリがいない理由を聞いた。

 

 スカイピープルが再襲来してきてから1年後、今から一週間ほど前に自らを狙うスカイピープルをオマティカヤ族から離す為に部族を()()()()離脱した。

 

 家族……ジェイクとネイティリの間には3人の子供が産まれ、1()()の養子ができたという。

 

 や、やっぱりいい仲だったもんなぁ…あの2人。ま、まぁ俺もヴィーンに会えたからな!というのは置いておいて。

 

 家族が部族を離れることになった原因。それは一週間前に森で出会ったアバターの部隊が原因だった。ジェイクの子供達は日課のトレーニングとしてハレルヤマウンテンの近くにある森を探索していたという。そこでアバターの部隊が俺達が最後に戦った場所を哨戒しているのを見つけた。

 あそこはクオリッチとかいうRDA社の傭兵軍団の長がエイワによってぐるぐる巻きにされたところだ。今はどうなってるか分からんが、俺が最後に見た時はまだ()()()()()

 

 そのアバター部隊を子供らはジェイクに報告し、集落へと戻ろうとした時に別働隊のアバターに遭遇、交戦した。そこにジェイクとネイティリ、そしてネテヤムというジェイクの息子が駆けつけ加勢して撤退する事ができた。だが、一緒にいたスパイダーという人間の子供が捕まり、そこから情報が洩れオマティカヤ族を危険に晒してしまうと恐れたジェイクは家族を連れ部族を離脱し森を抜け海へと旅立った。

 

 「そうか…」

 「あ、あの…」

 「うん?なんだ?」

 

 グレースの背後に座るナヴィが恐れながら俺に声をかけた。

 

 「エイペックス、彼女は私の娘よ」

 「娘ぇ!?え?でもナヴィじゃん」

 「アバターが妊娠していたでしょう」

 「あ〜〜〜……マジで?そ、そうか14年も経ったもんなぁ〜デカなったな〜」

 

 グレースの怪我を治すためにエイワに祈った時にできた子供だ。

 

 「てかグレースはなんで人間なんだ?」

 「私のアバターは今も眠り続けてるの、リンクもできないのよね」

 「そ、そうなのか」

 

 よく分からんが、エイワの影響で身体が変わってたからなぁ。それでリンクできなくなったのかな?

 

 「ほら、ちゃんと挨拶しなさい」

 

 グレースが立ち上がり、座っていたナヴィの後ろに回り込み前をずいッと押した。グレースが側に立つと改めてその体格の大きさが分かる。ヴィーンと同じくらいあるんじゃないかと?

 

 「私はキリ、初めましてパパ…」

 「なんて?キリパパ?」

 

 キリパパ?名前はキリパパっていうのか?いい名前だな。キリパパ。

 

 「パパよ、お父さんって意味」

 

 いやパパの意味がお父さんなのは分かってるわ。ん?パパ?お父さん?

 

 「あなたがパパよ」

 「バババッババッバババッバババパパァ!?」

 「エペさん???」

 

 嘘だろ?

 

 「どういうこと…?」

 「あなたと私の子供よ」

 「はぁーい?」

 「ちょっとエペさん?他のメスと交配したんですかぁ!?」

 「いや、ちょ!え!?おいおいおい変な冗談はやめてくれよグレース…」

 「うーん…なんて言えばいいか……」

 

 一体全体どういうことだぁ?このナヴィが俺とグレースの子供?いやいやそんな訳ないだろう。俺の子供だったとして俺にちょっとも似てないのはおかしくないか?いや…体格とかは大きくて立派で強そうだけど顔なんて完全にナヴィだし、髪の毛もまぁちょっとよく見たら太いくらいだけど普通だ。肌の色も青だし…模様が俺の肌に似てるような気もしないでもない…いやいやあり得ないって!だって俺まだ童……

 

 「エイペックスがエイワとシャヘイルした際に魂の一片がエイワへと移りアバターに宿ったのだ」

 

 俺があたふたしていると、プロテインバーを齧るモアトが言った。ちょっと待てそれ俺のプロテインバーなんだが?あ!袋が勝手に開いてる!盗んだな!!

 

 「エイワにシャヘイル?……そうかあの時か…!」

 

 グレースを治す為に魂の木にシャヘイルした時があった。あの時俺が全力でシャヘイルした時に俺の魂がちょっと削れてエイワに行っちゃったのか…

 

 「俺の娘…」

 「エペさんの隠し子…」

 「はは、ははは…」

 

 笑うことしかできねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「将軍、パンドラに未確認の宇宙船を確認。どこの国にも属していません」

 「見せろ」

 

 森を焼き払い建造したブリッジヘッドシティの中枢、パンドラ全域を監視する司令室でモニターを見ている作戦員が告げた。

 

 アードモア将軍が正面に映し出された映像を見た。そこには姿()()()()()()()()()一隻の地球の物ではないデザインの宇宙船がパンドラへと侵入し、都市の近くに漂いどこかへと飛んでいく映像だった。

 

 「プレデターだ」

 「やはりそうですか」

 

 将軍が解析された映像を見て言った。

 

 クロークを施された船は直に見ても存在すら感じ取れない程に希薄だ。宇宙の闇に溶け込めば誰も気づくことはできない。

 

 しかしそれはあくまで外見状だけであって、船が出す熱自体を遮断する事はできない。旧式の船では。

 

 エイペックスの乗る船は2台目の船で百数十年前に替えた船だ。人間にとっては最新技術の塊のような船ではあるが、プレデターの間では骨董品とまで称される安物の船であった。

 

 モリーの手で弄られ、フジティブによって調整されているが、古さ故にどうしても粗が出てしまっている。エイペックスの物は大事に使うという魂に染み付いたものが顕著に表れていた。

 

 「そこらの野良プレデターだろう。それに()であっても充分リコンビナントで対処できる。だが…一応()()()()()に伝えておけ」

 「了解」

 

 部下に指示を出し手に持つコーヒを啜りながらアードモアは思案する。

 

 (この星は今や牢獄。増援を呼ぶことすらままならないだろう。十数年前のパーカーらの失態はもう帳消しになった。たった1年でこれまでの結果を全て覆し凌駕した。もし…万が一あのプレデターが奴だとしても、此処に集結した軍で滅殺できる。ハレルヤマウンテンの攻略は難所だがリコンビナントが動けば平気だ。そして忌まわしきオブライエン&ハワード産業の銭湯もヘルズゲートに締め出した。備えは盤石、アムリタも滞りなく出荷できている…全て順調に進んでいる。)

 

 順調、アードモア将軍はそう思っている。

 

 惑星全体を超強力電磁波で覆い外への通信を制限した。内部では特定のコードを持つ周波数でしか通信できない。ジェイク・サリー率いるオマティカヤ族はゲリラ戦法により軍の物資を奪い通信装置を手に入れ意思の疎通をしていた。だがしかし、この星で扱われる通信は外へは絶対に漏れない仕様となっている。

 

 恒星間通信すら妨害する程強力な電磁波で惑星を覆っている。RDA社本社への連絡は物理的手法に限られるが、技術の進歩により無人船であれば数日のラグはあるものの迅速に連絡を取ることができる。

 

 更に惑星外に出ようとする船舶は全て検閲し、登録のないものは全て問答無用で撃墜。あのオブライエン&ハワード産業ですら脱出は叶わない。奴らの本社サーバーから飛んでくるAIのデータも電磁波によって制限され機能不全を起こし今やただの風呂屋だ。

 

 だが、アードモアは知らない。

 

 この星にやってきたプレデターが1体だけではないということを…そして全てを慈しむエイワに制限などないということを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし、じゃあそのアバター部隊ってのを見てくるか」

 

 集落で腹拵えをした俺とヴィーンは、身支度を済ませるとツーテイに言った。

 

 「私もいきます」

 「キリ?」

 

 いつの間にか戦装束に着替えていたキリが言った。うおお…中々様になっててかっこいいな!というか筋肉デカいなぁ!一体どれ程の筋トレをしたんだ?今度俺と合トレ…

 

 「大丈夫なの?キリ」

 「大丈夫よ、母さん。パパがいるから」

 「そう…」

 「……パパ、グギィ!」

 

 ちょっとヴィーンさん…横腹抓らないでくれますか?爪が食い込んで痛いです。あ、あ!千切れそう!

 

 「い、いこうか…」

 

 そうして俺はヴィーンとキリを連れ船に乗り、森へと探索に出た。

 

 ハレルヤマウンテン周辺の森は今は静かで平和だ。この星にやってきた時に見た都市周辺とは様相が違う。エイワによる力に守られているからだろうか?

 

 最後に戦った場所、ゴンジ(パルルカン)が死んだ場所付近にやってきた俺たちは船を着陸させ周囲を警戒しながら進んだ。

 

 木に跳び移り、枝の上を跳んで移動する。パンドラの木々はどれも太く強靭だ。俺やヴィーンのように大きく体重が重くても難なく跳び移れる。地球の木はある程度太くないとこれができなかった。

 

 少し開けた場所が見えた。あそこだ。開けた場所の周辺は銃の薬莢やらナヴィの使う矢なんかが落ちていた。古い物もあるが、つい最近使われたであろう物も落ちていた。そして夥しい血の跡も…

 

 木から降りて広場に降り立つと、花々に囲まれた広場があった。

 

 そしてその真ん中にポツンと人の形をした蔓の塊があった。

 

 「エイワに囚われし者」

 

 キリがそれに近づきながら言う。マスクの視界を切り替え内部を観察する。

 

 未だその心臓は鼓動を続けている。更によく見ると心臓以外の臓器も微妙に動いている。だが身体の内部には根がびっしりと入り込みあらゆる内臓に絡みつき突き刺さっている。死ぬことすら叶わず強制的に生かされている。

 

 惨いな。

 

 塊の下を見ると切られた根が散乱していた。

 

 誰かが助けようとでもしたのだろうか。

 

 ふむ…

 

 俺はリストブレイドを伸ばし、腕を振るった。

 

 リストブレイドが根を切り裂きボトリと落ちる。切られた箇所が瞬く間に再生し埋まってしまった。

 

 「逃がさないってわけか」

 「彼は決して逃げられない。エイワの怒りに触れた者は永遠の監獄に囚われます」

 「おっそろしいな」

 「エペさんでも逃げられなさそうだね」

 「……お、おう」

 

 この再生速度だと引きちぎってもすぐに巻き付いてくるだろう。いくら俺でもぐるぐる巻きにされちまえばどうする事もできない。以前誘拐された時みたいにな。あの時はマジでヤバかった。ロイス達が来なかったら餓死してたかもしれん。

 

 「この臭い、そして争った跡、此処に来たのは間違いないが…此処にはいないな」

 

 しゃがみ、地面に落ちている薬莢や、葉についた血を手に取り検分していく。血をガントレットに注入して検査してみるとナヴィと人間のDNAが混ざっている。ジェイクか子供達のものだろうか…?それともアバターか。

 

 「そうだね、これからどうする?」

 「うーん…ジェイク達を追うか?もし例のアバター部隊がジェイク達を追っているなら助けに向かった方がいいだろ。キリ、ジェイク達は海へ出たんだって?」

 「ええ、遥か遠くのメトカイナ族に匿ってもらうと…」

 「海の部族か」

 

 かつて俺にインストールされた知識がそう答える。

 

 メトカイナ族、海に生きる部族で森に生きるオマティカヤ族とは身体の構造も違う。尻尾は太くヒレのようになっていて手や脚も海を泳ぐのに最適な姿形に進化している。水中呼吸もお手のもので長時間の潜水は楽勝だ…らしい。やっぱ気持ち悪いなコレ。

 

 「ん?」

 

 あ、白ふわエイワだ。

 

 枝葉の隙間から無数の白ふわエイワがやってきた。

 

 はぁ…またか!?俺にくっついてビクビクさせるのかー?

 

 あれ…

 

 「あ、あのエペさん〜?なんか近づいてくるんですけど〜」

 「……動かない方がいいかも」

 

 ふわふわと一直線に沢山の白ふわエイワがヴィーンに集まっていく。そして最初の一匹がヴィーンの肩に触れた。

 

 「あががっがっがっがががっっっっががっがが」

 

 あぁ〜…こんな感じなのかぁ〜…

 

 ヴィーンの身体にエイワが触れた瞬間、ヴィーンが痙攣を始め身体を仰け反らせた。倒れる事はないものの、マスクから白い泡が出てきている。

 

 ヴィーンの身体は全身白ふわエイワに包まれ光が明滅している。ちなみに俺にも何匹かついてる。あとキリにも。

 

 そうして光が消え、白ふわエイワが離れるとヴィーンが目を覚ます。

 

 「〈絶対に許さない、人間〉」

 

 ヴィーンの口からナヴィ語が飛び出し、エイワによる強制インストールが終わったことが分かる。

 

 「やっぱ気持ち悪いなそれ」

 「エイワがあなた方の力を必要としています…」

 

 




エイワ【ヴィーンちゃん!】
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