励みになります!
成人になるにはそれ相応の苦痛が必要
おっす、俺はエイペックスだ。成人の儀式も無事終わって船に戻ってきた。
あれからエルダーとゴンジさんに色々詰められて大変だった。やれクイーンは貴重だから狩ると面倒だとか、お前の今後の扱いに困るだとか、これから覚悟しろよとかさ、色々言われた。
あ、それと一緒に戻らなかったから死んだと思っていたケルティック君が帰ってきていた。なんとか生き延びて船に自力で帰ってきたようだ。俺とスカー君に挨拶でもしていけば良いのになと思ったけど、船に帰還した途端眠るように気絶して今は色々検査をする為に副船の医務室で休憩してるらしい。
チョッパー君は見当たらないからダメだったっぽいね。まあ扱いにくいシミターブレイド持っていくくらいだし、あんまり強くなかったんだろうな、残念だ。
それと今は成人の証をつける為にエルダーの部屋に向かっているところだ。狩った時に身体につけた印とは別のものらしいけど、よく分からない。ちなみに俺は腕につけたぜ。
他のプレデターの成人の証ってなんだっけか、思い出せない。
部屋の前に着くとスカー君が扉の横に設置されている椅子に座っていた。血だらけの顔を押さえて。
「よ!スカー君、え!どうしたの血だらけじゃん」
「あ〜ハハこれはまあ成人の証ってやつです」
「え?マジ?そんな血だらけになるの?」
「エイペックスきたか、入れ」
スカー君になんでこんな事になってるのか聞こうとしたら、俺とスカー君の話が中から聞こえたのかゴンジが扉を開けて俺を呼んだ。ゴンジって結構偉いやつなのか?育児放棄の癖に。
部屋に入ると、血塗られた手術台が目に入った。
なんだあれ?スカー君一体何をされたんだ?
なんだか嫌な予感がする。
呆然と立ち尽くしているとゴンジに背中を叩かれてあの台に乗れと言われた。
よっこいせと声に出し、手術台に乗っかるとゴンジがペンチのような道具を手に持ちニヤニヤしながら俺の頭を鷲掴みにした。
「じっとしてろよ」
「ふぉえ???」
ガッとペンチで真ん中の歯を掴まれた。
そして思いっきり引き抜かれた。
「グオオオオオオオオオオオ!!!」
痛えええええ!!!!
コイツ俺の歯を抜きやがった!!え?なんでや!!
「よし、あと3本だ」
ニッコリと俺に告げた。
「へったいにひゅるはない(絶対に許さない)」
「グオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
顔を押さえながら部屋を出ると、スカー君が待っていた。
「終わりましたか?」
「ひらみへほとおほり(ほら見ての通り)」
俺は口を広げてスカー君に見せた。
ずっと血の味がして気持ち悪いし、口内に溜まっていくから飲んだり吐き出したりしてる。
「これで僕達も成人ですね」
「ほうはね…(そうだね)」
「自分の船も持てて自由に狩りができます!」
口が痛くて上手く喋れないけど、そうだ。俺はこれで成人になったんだ。成人になれば自分の船を買って自由に星々を移動して狩りを行うことができる。
単純に自由の身になれる。
他の若い奴らがどうかは知らないけど、俺みたいに年中知らない星でサバイバルしてた身からすると泣いて喜ぶくらい嬉しい。今は口が痛くて泣いてるけど。
やっぱプレデターといや狩りだよな狩り!
クロークつけてよ!木の上から獲物を見下ろしてサクッとプラズマキャスターで殺して頭から背骨もぎ取ってトロフィーにする!なーんて卑怯な真似はしないけどよ。
色んな星行って文化を体感してよ!そんで一番強い生き物とバトルする。それが俺のやりたかった事だ。あ、大体のプレデターがそうかも……。
「スカー君はこれからどうするんだ?」
「僕はレックスと一緒に星々を巡ろうかと思っています」
「あ!レックスも一緒なのか!それは楽しそうだな!」
「はい!エイペックスさんは……」
スカーが俺に何か喋ろうとした時、歯を抜いた部屋からゴンジが大慌てで出てきた。
どうしたんだ?こんな慌てたゴンジ見たことないぞ。
「大変だ2人とも、ケルティックが寄生されていた」
「うぇ!?寄生?え?なにに?」
「奴らですか」
「ああ、どうやらそのようだ。スキャンが甘かった、会場再設置の為離れた副船に乗っていたが通信が途切れたので不審に思いマスク同期で確認したら案の定だ。船は地球に墜ちた。そして……」
「奴らが放たれた」
「そうだ」
うぉ……まじか。
いや、これは本来であればスカー君が気づかず寄生されて起きる展開だったはずだ。
だが、それは俺の巧みなアドバイスで回避され何事も起きないはずだった。しかし、歴史の修正力とでもいうのだろうか?スカー君に寄生するはずだったゼノモーフはケルティックに寄生し、ケルティックが乗った船は地球へと墜ちた。
ケルティックが生き残り船に戻ったと聞いた時点でおかしいと思うべきだった。クイーンの頭に夢中になっていたせいだ。
「船は地球に墜ち、積荷のフェイスハガー、そしてケルティックから生まれた混種が逃げた。エイペックス動けるか?」
「え?動けるって俺がですか?もしかして」
「抹消任務だ、我らの痕跡とゼノモーフを跡形もなく消せ」
「いやそう言われても俺まだ成人になったばっかでちょっとゆっくりしたいんですけど?」
「大丈夫だ、助っ人を呼んである」
「助っ人?」
「ザ・クリーナー」
「マジすか!」
これは行くしかない!ザ・クリーナーと言えば俺たちの中で伝説中の伝説!最強の掃除屋でゼノモーフ専門のハンターだ。
いるとは思っていたけど、まさか本当に存在するとは……。
ゼノモーフで何かが起これば必ず彼が呼ばれ、プレデターの痕跡やゼノモーフの痕跡を綺麗さっぱり消し去り、そして目撃者も皆殺しにすることからプレデター達の間では【ザ・クリーナー】という通り名で呼ばれている。
本名はウルフ。カッコよすぎだろ。
灼熱の星、フーマック星にて。
彼方からの通信を受信した音によって1人のプレデターが目覚める。
起き上がり手元の端末を操作すると、頭上から機械が降りてきて正面に送られてきた情報を映し出した。
ーーゼノモーフ発生、場所地球、数……
「チッ良い気分で寝てたのに、ゼノモーフか。コイツら本当によく湧くな」
惰眠を叩き起こされ目にした情報はゼノモーフ発生の報。文句を言いつつも情報を確認していくプレデターは次に映し出された映像で一気に目覚めることになった。
「ハァ!?」
そこに映し出されたのは1匹の大きなゼノモーフだ。
しかし、よく見る通常の人間ベースのゼノモーフとは大きく違った。特徴的なドレッドヘアーに、プレデターと同じ口蓋を持ち、そして大きい。
映っていたゼノモーフは船のクルーを片手で持ち上げ首の骨をへし折り乱雑に投げ捨て、巨体に似合わないスピードで映像を撮った主である別のクルーに襲いかかったところで映像が途切れた。
「プレデターベースか」
これはかなり面倒くさいなぁと後頭部をポリポリと掻きながら椅子から立ち上がり装備品を置いてある棚に向かったウルフは、お気に入りのマスクと今回の任務に最適だと思う装備を選択して船に乗り込んだ。
操縦席に座り、目的地を地球にセットした。
「地球か……あそこは人間がなぁ」
最強の掃除屋ウルフが地球へと飛び立つ。