第14話「天災の涙」
翔真は無事に転生悪魔となり寿命の心配は無くなり、居なくなる事はなかった。ひとまずマリーゼによる事件は幕を閉じた。レイナーレとアーシアは一誠宅へ世話になる事になった。
「今日からお世話になりますっ!天野夕麻です!」
「アーシア•アルジェントです…よろしくお願いします!」
「「……」」
「この二人はある事情で住む場所がなくて、無理を言うかもしれませんが二人をしばらく泊めてもらえないでしょうか?ちなみに、二人は一誠の婚約者です♪」
「(え、なにその設定!?)」
戸惑う一誠の両親にリサラはソファーに座り緊張気味の二人について説明する。あまりにも突然の事で呆然としていた一誠両親だったが気を取り直す。
「えと、父さん母さん?」
「いやすまないな!あまりにも突然だから!」
「うぅ…まさか二人が一誠の婚約者だなんて…馬鹿で変態で元気しか取り柄がないこの子に…」
「(元気しか取り柄がないのかよ…!?)」
(あながち間違いじゃないだろ?相棒)
(まあエッチなのは、女の子としてどうかと思うよ)
「(だけどよドライグ、ちょっと傷付くぞ。えと、乙姫だっけ?それはそのすまん)」
一誠がツッコミを入れていると赤龍帝の籠手に封印されているドライグが話し掛ける。更にはドライグと共に封印されている一人の少女皆城乙姫もまた一誠に注意?する。
「しばらなくていい!なんならずっと居てくれて構わないよ!娘が出来てわたしは嬉しいよ!」
「ええそうね!夕麻ちゃんもアーシアちゃんも自分の家だと思っていいから!今日の夜ご飯は豪華にしなくちゃ!」
「ありがとう…ございます!」
「お、お世話になります!」
一誠の両親はレイナーレとアーシアを歓迎してくれた。リサラは安堵しつつ一誠はこれからドライグと乙姫とやっていけるのか考えていた。ちなみにレイナーレの部下であったカワラーナ達だが、リサラの計らいで彼女達もまた別の場所で暮らす事になった。場所は変わりマンションの最上階にある翔真達が住む一室……翔真は今ピンチだった。
「ねぇしーくん…束さんに何か隠し事してるよね?シャルちゃんに聞いてもはぐらかすし」
「えと……」
「それに検査して身体や体調は万全で、同化現象の兆しも見られないなんておかしいよね?」
「……」
翔真が転生悪魔になったのはシャルロットしか知らない。明日菜を救う引き換えに自分の命を代償にしたなど言えるはずもない。束は翔真にとって姉的存在で心配はさせたくなかった。
「話さないならしーくんが部屋に隠してるエッチな本燃やすよ?」
「それだけは勘弁してください」
「まあどっちにしろ話しても燃やすけど」
「燃やすのかよ!?」
「当たり前でしょ!?束さん達可愛い女の子がいるのにそんな本持ってるなんて浮気と同じだから!」
「ぐぬぬ……分かりましたよ……」
諦めた翔真は束に経緯を説明した――――ぶたれる事を覚悟したが、束はそんな翔真を抱き締めた。
「しーくんは相変わらずなんだから……でも、居なくならないでよ」
「束さん……」
「束さんはしーくんと出会って毎日が楽しいんだよ?束さんの夢を応援してくれる大切な人でもあるしね……だけど…そんなしーくんが居なくなるのは嫌だ……」
「……」
束の頬に涙が流れる。シャルロット達の前では笑顔しか見せない束が今は泣いている…翔真は束の手を取る。
「俺はここにいる。約束しますよ束さん……俺はいなくなりません絶対に」
「約束だよ!?絶対だよ!……しーくん」
「はい」
二人は互いに抱き締め合う。明日菜は今も目覚めないが、長年の願いは叶った。束の部屋を後にした翔真は今も眠り続けている明日菜に近づく。
「明日菜……待ってるからな」
明日菜にそれだけ言うと翔真は家を出る。