「ではわたくしはこの辺で」
「ボク達もここで別れるね」
「分かった」
朱乃とシャルロット、夜架と校門前で別れた翔真は教室を目指そうとした時、一人の少女が話し掛ける。
「翔真師匠!おはようございます!」
「だから、師匠じゃないって言ってるだろソラ」
「いえ、そういう訳にはいきません。翔真師匠は私にとって恩人でもあり、目標でもあるんですから!」
「参ったな…」
話し掛けたのは駒王学園中等部にいる後輩で青髪のサイドテールの少女ソラ•ハレワタールだ。ソラもまた過去に翔真に助けられ、それからというものソラは翔真を師匠と慕っていた。
「朝から練習とはご苦労だな。ソラ、あっちで友達が呼んでるぞ」
「ましろさん!すいません師匠、この辺で失礼しますね!」
「ああ」
ソラと別れ自分の教室が入る――――クラスメイト達は翔真に挨拶するといつも通り話し続ける。
「あ、翔真っち!やっはろ〜!」
「言っとくが、返す気ないからな」
「もう翔真っち冷たいっ!一応中学からの付き合いじゃん!」
隣のクラスメイトの一人 由比ヶ浜結衣が挨拶する。翔真はやれやれと言わんばかりに着席する。しばらく結衣と会話しているとまた一人翔真に近付く。
「あ…綾崎君!おはようございます!由比ヶ浜さんも!」
「姫路か。おはよう」
「瑞希やっはろー!」
「や、やっはろー…です」
「姫路無理にしなくてもいいぞ。じゃないとアホになる」
「ちょっとどういう意味だし!?」
結衣、瑞希と会話しつつ翔真は数年前に行方知れずになった明日菜を思い出していた。
「(明日菜……お前は何処にいるんだ)」
「はぁ、はぁ、はぁ………翔真君……辛いよ……助けて」
『無駄よ。アンタに助けなんて来ないわ』
「生意気だね……もう一人の私は……」
『ふふふっ……翔真は私の物よ……貴女なんかにあげない』
無が支配する黒い空間――――黒髪をポニーテールにした少女 白雪明日菜はマークニヒトによって生まれたもう一人の自分と向き合っていた。あの日以来明日菜はマークニヒトで各地を移動していた。暴走し長い間意識を失い、その最中でマークニヒトによりもう一人の人格に身体を奪われていた。
『貴女が白なら私は黒………貴女は永遠に闇を彷徨いなさい。私はね手に入れる…翔真も世界も』
「そんな事…出来るわけ……」
『出来るわ。マークニヒトの異名を知ってる?虚無の申し子よ。全てを無に帰す……人間、悪魔、堕天使、天使、全て滅ぼすの。そして私と翔真だけの世界を創造する』
二人の間にマークニヒトが現れる。全身紫の装甲に覆われ竜人のようなフォルムに禍々しい雰囲気を放つマークニヒトに闇明日菜…黒雪明日菜は手を伸ばす。
『貴女はいづれこの空間で消える。そして私は本物になるの!偽りじゃなく本物としてね』
「……翔真君……」
力なく呟く片思いの名……明日菜はただ抵抗する事も出来ずただ消えるのを待つしかなかった。