「そっか……無理もないよね」
「すまない束さん」
「ううん。シーくんは悪くないよ」
夜になり翔真は高層階の一室で束を訪れていた。箒の一件を話したが束は表情には見せてないが落ち込んでいた。翔真はどうするべきか悩みながら自分とシャル達が住む一室へ帰る。するとユリシアがこちらに向かって来る。
「ショウマァ、トール知らない?」
「トール?確か昼間に買い物行ったんじゃ……」
「それがまだ帰って来てないのよォ!」
「マジかよ」
リビングにはトールを心配するシャルロットと明日菜、アカメ、グレイフィアがいた。
「翔真様、お帰りなさいませ」
「ただいま。グレイフィアさん、トールから連絡は?」
「それがいくら電話しても出なくて。明日菜様が探しに行かれたのですが…」
「トールさん、見つからなかったよ」
明日菜はマークニヒトに姿を変えて町を探し回ったが、気配すら感じられずシャルロットやアカメも手伝ったがトールが見付かる事はなかった。
「ねぇ翔真、もしかしてトールさんに何かあったのかな?」
「どうだろうな。だけど、トールは元々別世界から来たのは知ってるだろ?もしかしたら元の世界へ帰った可能性もあると思う」
「そうか。残念だ……トールの夜ご飯は楽しみだった……」
シャルロットの言葉に翔真はもしもの事を考え、アカメはトールの夜ご飯が食べれずにガッカリしていた。だがその時、窓が開く。
「すいません皆さん!帰りが遅くなりました!」
「トール!?」
「「お帰りなさい!!」」
「トール、待ってた」
「あっははは!シャルロットさんにユリシアさん!そんなに抱き着かれたらくすぐったいですよォ!アカメさん、さあ今から私がとびっきり美味しい――『トールよ』っ!?」
何時ものように振る舞うトール……しかし窓の向こうに赤いマントを羽織る初老の男が宙を立っていた。シャルロット、ユリシア、アカメが即座に警戒し、翔真がゆっくりと初老の男の方へ向かう。
「アンタは?」
「わたしはトールを迎えに来たのだ。ただの人間に用はない」
「見た感じ、トールのお父様か」
「トールよ。何故戻った」
「お父さん……私は今の生活がとても楽しいんです!翔真さんに助けられて、束さんやシャルロットさん達に出会えて私は変われたんです!ですから!『ならぬ』っ!」
「ドラゴンと人間は交われない存在。それはお前がよく知っているはずだ。トールを変えたのは貴様か…人間の男よ」
「変えたつもりはない。トールが出会いを重ねて、彼女自身が変わったんだ。アンタが終焉帝なんだろ?トールから話は聞いていた。俺はトールの意思を尊重する……」
終焉帝と翔真が対等する中でトールが再び口を開く。
「私はここに居たい……シャルロットさんとお買い物したい、ユリシアさんと一緒にお化粧だってしたい、アカメさんとご飯を作りたい、明日菜さんと遊びたい、グレイフィアさんと勝負だってしたい!だから私は……残ります」
「トール……」
「もう、欲張りさんねェ?」
「だが、それがトールのいい所だ」
「嬉しいよ、トールさん」
「トール様……」
「つーわけだ。うちのメイドラゴンのトールは渡せない。もし強引に連れて行くなら…!マークアレス!」
翔真は姿をマークアレスに変えると宙を浮上する。終焉帝もまた姿をドラゴンへと変える。
『貴様、ただの人間ではないな……』
「まあな…!」
「お父さんっ!翔真さんっ!」
トールの制止も聞かず、終焉帝と翔真がぶつかる。