艦これキャラの登場するモンスター・パニック作品を作ってみた2 > ソード・クラッケンとチェーンソー魚 <   作:垂直離着陸式扇風機

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前回のあらすじ

何かが船とアブルッツィを攻撃しました。


第6話

 アブルッツィに向かって飛んでくる回転する黒い塊を砲撃しようと身構えた3人は、艤装の装着ユニットを持ってきていないことに今さらのように気がついた。

 見守るしかないうちに、回転する黒い塊はアブルッツィに襲いかかろうとしたが、距離が足りずに海中へと落下した。

 

 アブルッツィは走る。ふらふらになりながら。

 波に押し出されるように砂浜に上がると、両手両ひざをついて苦しそうに息をする。

 

 海面から新しい水柱が上がり、別の黒い塊が宙を舞う。

 棒状の長いほうを回転させてアブルッツィに飛んでいく。

 

「オチロ! 」

 

 聞きなれない声で3人は我に返った。

 意識から外れてしまっていた、陸から駆けてきていた2人。

 

 外見は多少違っているが、間違いなく深海棲艦。

 そのうちの片方が投げつけたこぶし大の石が、飛んできた黒い塊に命中した。

 

「アアアアアアアアッ! 」

 

 もう片方が叫びながら、浜辺に転がった塊に走り寄る。

 

 イカのような姿をしていた。細長い胴の先に足が10本……イカならば8本の足と2本の腕。

 吸盤のついている足の左右は、両刀の剣のように鈍く光っている。

 

 深海棲艦は、胴体の先をつかむと、勢いをつけて全力で海の彼方へとぶん投げた。

 

「アブルッツィ! 」

 

 ローマが急いでアブルッツィに駆け寄り、かたわらにひざまずいた。

 足柄と羽黒はその左右について、両側にいる深海棲艦に向かい合う。

 

「え……ええっと……」

 

 言葉が出てこない。何を言えばいいのだろう。

 助けてくれたのは確かだが、それはいったいどうしてなのか。

 

 いや、それ以上にもっと先に聞きたいことが。

 あれはいったい何なのか? 

 

「沈ム」

 

 深海棲艦の声に3人は再び海のほうを向いた。

 船の甲板はすでに波に覆われ、見ているうちにもブリッジの中ほどまで没していく。

 

 その視界をさえぎるように、海中から巨大な何かが飛び上がった。

 と、思う間に、アブルッツィの目の前に波しぶきと轟音をあげて落下した。

 

 魚のような形をしている。全長は3mくらいだろうか。

 胴体はそのうちの3分の2くらいで、頭より前は長くて幅の短い、板のような部分が伸びている。

 

 板状の部分から、短い棒のようなものが何本も左右に飛び出ている。

 まるでノコギリの刃のようだ。

 

 そいつは体をくねらせると、前に伸びた板のような部分を砂浜に接触させる。

 途端に、接触したところから砂が勢いよく後方へと舞い上がった。

 

 短い棒のようなもの。それがすさまじい勢いで、板のような部分の周囲を回っている。

 チェーンソーか、あるいは自転車のチェーンのように。

 

 そいつは体の前のほうから砂を巻き上げ、跳ねて暴れながらぐるりと向きを変え、海の中へと戻っていった。

 

 

 

「何なんですか……何なんですか、あれ? 」

「海カラ離レロ! 」

 

 深海棲艦の片方が、羽黒の言葉をさえぎるように叫んだ。

 そして、空いているほうの手でアブルッツィを指し示しながら、

 

「ソイツヲ連レテイケッ! 」

 

 と、もう片方に言う。

 

 艤装がビキニ水着のように体の一部を覆っている側の深海棲艦が、ローマに介抱されているアブルッツィを軽々と抱え上げる。

 武器として使われている艤装のほとんどがなくなっているものの、「人」や「艦娘」に「重巡リ級」と呼ばれている深海棲艦だと判別がついた。

 

「アブルッツィ! 」

 

 ローマがその言葉を発した時には、アブルッツィを抱えたリ級は波打ち際まで走っていた。

 黒いイカに似た姿の何かが、剣のような足を回転させながらそこに突っ込んでいく。

 

 リ級は素早く横にステップして攻撃をかわした。

 速度を落とすことなく浜から海の上へと浮かび、鎮守府のあるほうに向かって去っていった。

 

 

「オ前タチモ海カラ離レナッ! 」

 

「人」や「艦娘」から「防空巡棲姫」と呼ばれている深海棲艦が、ローマたちに叫ぶ。

 

「武器……武器になるもの! 」

 

 足柄は我に返ったように周りを見回すと、荷物に直射日光があたらないよう固定していたビーチパラソルを引き抜いた。

 ローマと羽黒も荷物の中から手に取れるものをつかんで、浜から走って離れる。

 

「ねえ……あれ、何? 」

 

 ひたすら島の奥のほうへと早足で急ぐ防空巡棲姫に、ローマが声をかける。

 

「話ハ、モウ少シ海カラ離レテカラダ」

 

 防空巡棲姫の答えは簡潔だった。

 




陸の上泳がせてもよかったんですけど(サメ映画ならあるあるのうち)、ノリと勢いでつい。

ジョジョの奇妙な冒険第2部の輝彩滑刀(きさいかっとう)も元ネタの1つです。
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