艦これキャラの登場するモンスター・パニック作品を作ってみた2 > ソード・クラッケンとチェーンソー魚 < 作:垂直離着陸式扇風機
アブルッツィが深海棲艦に連れていかれました。
防空巡棲姫は島の尾根に向かいながら、
「アレハアタシラノ『食イモノ』ダ」
と、ローマたちに話し始めた。
「海ガ赤ク染マル時ニ、『食イモノ』ガアアナッタノヲ見タノハ初メテデ……モシカシタラ……」
「もしかしたら? 」
足柄が不思議そうに聞き返す。
「海ノ底ニ戻ルアタシラノ、何カヲ取リ込ンダノカモ」
「アタシラハ海ノ底デ産マレル。海ガ赤ク染マル時、染マッタトコロデタクサン産マレル」
防空巡棲姫は、この島に来た理由を問われて2、3回言い直したあと、このように説明を始めた。
深海棲艦がなぜ「人」や「艦娘」に襲いかかろうとするのかは、防空巡棲姫自身にもわからないと言う。
呼吸をする。「食イモノ」を食べる。
そうしたことと同じように、「人」や「艦娘」を襲うのは深海棲艦にとって当たり前の行動らしいのだ。
「で、でも……あなたは今……」
「オ前タチニ似タ姿ヲ持ツモノハ、ソレヲ抑エルコトモデキルノサ」
羽黒のつぶやいた当然の疑問に防空巡棲姫は答え、
「ケレド、海ガ赤ク染マルト話ハ別」
と、つけ加えた。
理由はわからないが、海が赤く染まる時、赤く染まる海域では深海棲艦を深海棲艦たらしめている何かが、普段以上に凶暴にさせるらしいのだ。
そして、深海棲艦にも襲いかかっていたあの回転するイカのような何かと、頭のほうがノコギリのようになっている何かも、戦いに敗れて姿を崩しながら海の底に沈む深海棲艦から凶暴にしている何かを取り込んだ。
この説明が正しいとは言い難い。そのように想像できるだけにすぎない。
しかし実際に襲いかかってくるのだから、どうにかしないとならない。
「ダカラ、オ前タチノ鎮守府ニ用ガアル」
「は? 待ちなさいよ。どうして私たちの鎮守府なの? 」
ローマには、防空巡棲姫が自分たちのところに来る理由がまったくわからなかった。
所属している鎮守府の設備はお世辞にも立派だと言い難いし、「提督」のほうもローマにはとっては優秀だとは認め難いところがあるからだ。
「デモ、オ前ラノトコロ、ワケワカンナイモノ作ッテルダロ」
しかし防空巡棲姫の返答は、ローマが全く予想していないものだった。
「デ、ワケワカンナイモノ作ッテハ戦イニ使ッテルダロ。オ前ラノ『テイトク』トヤラモ戦イニ来テ、ワケワカンナイ格好シテ、叫ンデ、姿変エテ、跳ビ蹴リシテクルジャナイ! ダカラ、オ前ラノトコダッタラ、アイツラト戦エルワケワカンナイ作レル。ソウ思ウジャナイノサッ! 」
途中で言葉づかいがどんどん崩れていきながらも一気に言い切った防空巡棲姫に足柄が、
「え? 私たちの鎮守府って、そっちではそういう扱いなの? 」
と、心底驚いたような表情で聞き返した。
羽黒は羽黒で、
「そんなにおかしいことなんでしょうか……」
と、首をかしげている。
何しろ、羽黒たちの感覚では「艦娘」が男であろうと動植物であろうと、「提督」や「要員」が宇宙のどこかから来た金属の生命体であろうと、「深海棲艦」を率いているのが異次元から侵入してきた未知の存在であろうと、「この世界だからよくあること」でしかない。
目の前にいる深海棲艦とってもそうであろう。
にもかかわらず、深海棲艦から見てよくわからないものを使って「提督」が変身して戦っているからと言って、そこまで文句を言われないといけないものだろうか。
それを私たちに言われても、という思いのほうが強かった。
「トニカク、オ前ラノトコナラ何カ作レルト思ッタカラコッチニ来タ」
「作れなかったら? 」
「アイツラニヤラレテ終ワリ」
落ち着きを取り戻していた防空巡棲姫はローマの問いにあっさりと答え、
「ソレハソウト、オ前タチガ普段使ッテイル武器ハ? 」
と、いかにも今気がついたという表情で聞いてきた。
「こんなことになると思ってなかったから、持ってきてないのよ……」
ローマは小さく舌打ちして言った。
油断していたのは確かだが、深海棲艦にそれを知られたくなかったのも確かだった。
「それに、あなた達の武器でも倒せなかったんでしょう? 」
「マア……」
今度は防空巡棲姫が舌打ちする番だった。
「でも、海から離れていれば大丈夫……」
足柄が雰囲気を変えようとして放った言葉は途中で止まった。
不思議そうに足柄に目を向けた3人はその視線の先を追って、言葉が途中で止まった理由を理解した。
生物が「赤色海域」では生きられないという設定の場合は、海域の外に漏れ出した何かを取り込んだことにしてもいいかと。
この作品の深海棲艦の設定には深海魚(捕食者)、マリンスノー、赤潮、人狼伝説など色々なネタを使っています。