クソボケ龍はシャーレ所属   作:鋼色

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六話

…孤独は唄い

……孤高は嘆き

………一人の王者は静寂を装う

 

急激なボルテージの増加により多く使用したエネルギー……それにより、すでに俺の体は無視できない代物に成り果てていた。

夢だと分かっていても、意識は気だるさを演じていた。

 

エネルギーの大幅使用…俺が思っていたよりも代償はひどく大きいものだ。

体が痺れるようで、エネルギーの使用もままならない。転生して三日目にコレはキツいねぇ。

 

それに……この脳裏に流れる言葉。一定の間隔で繰り出されるのを見て、前時代と同じ類のものと見て間違いないか。

 

そして……

 

『なぁ、蒼銀…。俺はどうすれば良かったんだろうな。平和を願って、血が流れない世を目指した。だが、その願いは無駄になった。俺は…』

 

くたびれた体に情報として入るのは昔の昔。

あっち側に転生してからピッタリ10年で……ちょうどクソ親父の超技術で感情摘出手術を受けた頃になるか。

 

あの時は何を言いたいのかわからなかったし、今現在から見ても「どの口が」って思ってまうよ。

だから俺たち兄弟にクソ親父なんて言われんだよバーカ。

 

「でも…気持ちはわかるよ、クソ親父。大切な人が失うって、辛いよな。俺やクソ親父、兄様や弟たちのような………自分が虐げられた立場にいた人間なら、大切な仲間を更に大切だと感じてしまう。自分の命よりも大事だと思ってしまって、自分だけが生き残った時に辛くなる」

 

こうして話していれば思い返す。がむしゃらに戦い、誰も失いたくないと思って戦った結果が全てを失うことを。

知っていたさ…。分かっていたさ。英雄とはそういうことだ。

 

力を以て平和を制す英雄というのは……悲惨な結末が決まっている。

手を離したりんごが落ちるが如く、全ては定まった方向に収縮していく。

 

「ずいぶんと悲しい夢の中だね」

「余計なお世話だよ…。勝手に人の夢ン中入るなんてマナーがなってないんじゃないか?」

「ふふ…すまないね。だが、これは不可抗力だ。さて…竜骨アオ。君は覚悟はできているかい?」

「逆に聞く。できてないと?」

「だろうね。……さあ、始めよう」

 

「「まだ見ぬ未来の話を」」

 

ーーー

 

「あー…頭いてー」

 

ちょっと難しいこと考えすぎたわ。いやー、よくないね。バカみてぇに疲労した状態で作戦会議はダメだわ。

頭を使うのはあんまり得意じゃないのに加えて、糖分が足りたいというデバフ付きだ。

そりゃ頭痛くなるのも当たり前体操的なもんだ。

 

エネルギーの消費的にもハイランダー乗ってかずミレニアムに戻るのは少々キツイか?

 

「ぁ……起きたんですね。おはようございます」

「あぁ、おはよう。確かチナツちゃんだっけ?ごめんねー、ただでさえ風紀委員は忙しいのに」

「いえ…謝らなければいけないのはこちらです。私たちゲヘナの争いにアオさんを巻き込んでしまいました。それが二度も…」

 

気にするな、なんて言葉を吐いても無駄そうだな。

ゲヘナにいるにしては真面目ちゃんのチナツ。それに対して色々と思う気持ちはあるが、口出しするのは違うか?

 

エネルギー切れで倒れていた俺を看病してくれたのが風紀委員だしな。

内心で感謝感激雨霰でもしておくか。

 

「体、疲れているでしょう。お茶をどうぞ…」

「さんきゅ。…うま。疲労した体にお茶は刺さるな。糖分を摂りたいところではあるが、これはこれでありだ」

「そうですか……。元気なようで良かったです」

 

おうおう、心配をかけちゃいましたなぁ。

そりゃ、よく考えれば当たり前の話。頑丈な体を持っているキヴォトスの生徒を見るのが普段のチナツちゃんの仕事。

ヘイローを持った上で、意識がなくなるような怪我をした。そうとなれば、風紀委員会で救護担当のチナツちゃんに心配をかけちゃうってもんだ。

 

いやー……本当に無茶は良くないな。自分の体が悲鳴を出すだけではなく、周りからも入っちゃうからねぇ。

自分も助けて他人も助ける。昔の英雄像を思い出しながらやらない腐っちゃいそうだな。

 

力が低くなったことで大分鈍ってるみたいだし……さっさと勘を取り戻さないとだ。

全盛期まで、とは言わないが…せめてこの『透き通った世界』でハッピーエンドをつかみ取れるくらいにはな。

もう二度と失わないために。もう二度と、俺の目の前で絶望を描かせないために。

 

「もう意識が戻ったの?」

「あー、ヒナちゃんじゃん。おはよーちゃーん♪委員長のおかげで俺は助かりました。ありがとねー。元気いっぱいだぜ」

「それは私のセリフね。あなたのおかげで被害がなくなったわ」

「ひえー、嬉しいこと言ってくれるじゃん」

 

素直な賛頌による照れを隠すべく気丈に振る舞えば……いや、振る舞おうとしたら。

体は言うことを聞かず、脳髄に痺れという独特の感情を残した後に前方へと倒れてしまった。

 

あぁ、まずったなぁ。思ったよりも無茶が効いていたらしい。

これ、ミレニアムに帰れるかどうか…。いや、帰れないよなあ。

 

「っ……びっくりした。妙にテンションが上がっていると思ったら…。チナツ、アオが暴れないように見てて。私は仕事を終わらせてくる」

「分かりました」

「あの…ヒナさん?ヒナさんの仕事が終わったら俺はどうなるのでしょうか。いやー、大変不思議不思議で」

「私の家に連れて帰る。ミレニアムに帰れないだろうから、それ以外にないでしょう」

 

すいません…ホンマすいません。後日に詫び菓子を持っていきます。




どうも鋼色です。

前半のキャラですが……一時期セミが現れていたキャラです。はい、それ以外に説明はありません。
キャラ理解度が足らないのは許してください。
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