クソボケ龍はシャーレ所属   作:鋼色

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忙しかった。それ以外に言葉はない


九話

「待たせてしまってすまないね…。竜骨アオ、準備は整ったよ。思う存分暴れてもらって構わない。キヴォトス人でも中々見られないフィジカル。上澄みとしか言いようがない体術の使い方。……ふふ、君の戦闘の奇怪さを私たちに見せてくれ」

「ウタハ先輩…‥少し怖いんですけど…」

 

研究者としての経験が「面白いものが見れる」とでも言ってんのか?

そりゃキヴォトスとは違う次元の力を持っているからな。興味がそそられるのは当たり前だろう。

研究者と言えば……あいつらもあるな。アレが俺に興味を示さない訳がないし、これが終わったら対策を考えないとな。

 

まぁ……今はウタハ先輩が用意してくれた宴を食わねえとな。

 

専用の部屋として案内された部屋は真っ白だった。広く、白く、何もない部屋だった。

ただ……一つあるとすれば。それは機械人形。剛鉄の体の上からミレニアムの制服を着ている。

いや、ミレニアムの制服と違うところがあるな。貼られている紋章はミレニアムの校章だけではない。どこの部活が作ったモノなのかをキッチリ示している。

 

真似するやつなんて早々でないと思うがなぁ……。

 

「さてはて。お前はどんぐらいの硬さを持ってる?」

 

全身龍麟……5%。この程度の強化でお前はどのぐらい響く?

 

「金属を引き寄せた……?」

「えぇ!えぇ!そうですよ!アオ先輩!硬いだけの機械はロボとは言えません!えぇ、まったく!ですから我々は特異な能力を取り入れる事にしました……。磁気の操作ですよ!ちなみにBluetoothもついてます!」

 

おうおう……考察する暇なくコトリが全てを言ったな。

ヒビキが説明したかったていう顔してるけど……うん!気のせいだな!

 

「しっかし……マジで硬いな」

 

いや本当に。ヘイローを持つ生徒の体+龍麟5%による強化。それを持ってしても崩せない硬度。

ただの磁気操作だけでは納得できないぞ。磁気を引き寄せる過程で何らかの強化を施し、未知の金属に変貌させていると言われた方が納得できますぞ。

 

磁気を操作する能力は結構見てきたけど、ここまで変則的なのは久しぶりに見たな。

でも……前に見た能力者はもっと変な使い方してたぜ?お前の使い方は常人の域を出れてない凡人野郎…雑魚のやる事だ。

それを抜け出せないとどうなるのか、お前の頭に叩き込んでやる。

 

「龍麟10%…」

「……」

「甘い…ゴリゴリ機械。一点ばかりに集中するな」

 

ドストレートに殴るように見せかけた後、しゃがんでから足払いをする。

素のフィジカルと前の戦いで上がった強化倍率を利用すれば、そういうゴリ押し戦法も負担なく可能って訳さ!

 

「ふっ!はっ!」

 

足払いにより空中に浮かんだロボ。反撃を与えるための選択肢を超特急で用意しているのだろうが、俺には遅い。

龍麟の強化倍率を腕に集中させ、21%まで倍率を底上げする。今可能な最高倍率を拳に流し、最強火力を叩き込む準備を整える。

右足を斜め60°まで引き、最大まで拳を貯める。

 

龍麟拳状(アダラァニィナルツ)

 

「どっせいや……ってな」

 

うん、うん……ちょっとやり過ぎたかもだな。思いっきり殴ったら胸部に大きな穴ができちゃった。

これ一体作るのにどれだけの費用が掛かることか……。キヴォトスは俺が英雄として降臨していた世界よりも技術が進んでいない。

製作に莫大な金額が必須なのは言うまでもないことだ。

少しやらかしてしまったかもしれない……。エンジニア部の皆様、怒ってないか…?

 

「素晴らしい!excellentだ!my hero!君が打ち勝つことを信じていた。しかし、あそこまで英雄的で爽快感に溢れ、絶望的だとは思わなかった。あぁ、英雄だ。君はまさしく英雄だ!」

「あぁ、うん。ありがと?褒めてくれるのありがたいが、俺はそこまでほ褒められるような事をした覚えはないぞ?」

「全く……自覚がないと言うのも考えものだね。あのロボは間違いなく傑作だったよ、ミレニアムの中でもね。そんな傑作を数分で屠るなんて、中々いないよ。数えるなら上から数えた方がいいくらいさ」

 

そりゃ一般生徒ならキツイだろうけど、なんて言葉が漏れそうになった時、ヒビキから重苦しい重圧が部屋に響き渡る。

どうやら俺が否定し過ぎたから起こった事態なようだ。

何でそんなに他人事なんだって?はは、アンサーをくれてやるよ。

 

全然他人事じゃないんですけど!?焦り過ぎて落ち着いて見えるだけやボケナス!俺がおにゃのこからの重圧が飛んできて無事にいられると思うんだよ!

 

「分かった!俺のしたことは凄いこと!これで良いか?」

「やっと分かってくれたか。嬉しいよ、理解してくれて」

 

ヒビキがその言葉と共に狂気と慈愛が満ちたような表情をするものだから、ついつい顔が引き攣ってしまう。

一人は狂ったような顔を晒し、一人は思いっきり引いている。

そんな意味が分からない状況を打破してくれたのがウタハ先輩だ。

咳払いをし、この未知の空気を一変してくれた。

 

「さて、竜骨アオ。君の戦闘データを手に入れたことで、君が持つべき武器が何かを知り得ることができた。半端な銃では無駄だろう。銃を放つよりも君が近づき、拳を上げる方が早い。遠くからのロマン砲もなしだ。君の戦闘方はスピードとパワーを活かしたもの。ロマン砲ではスピードの阻害になり、戦闘能力は著しく低下する。何より、君は銃の扱いが不可能なのだろう?なら、銃にするべきではない」

 

ならば、棒にするべきだ!

「動きを阻害せず、サポートしてくれる。ピッタリの代物だ。数日前にヒビキが作っていた代物の中に棒の武器があるはずだ。出せる代物になっているかい?ヒビキ」

「うん。もちろん」

 

ヒビキが取りに行き、俺に差し出した棒は純白で、普通の棒に見える。

エンジニア部が普通の棒を作る訳ないと思い、差異点を探してみるが、見つからない。

 

「普通の棒だよ、何の効果もない。Bluetoothの機能がついてるだけの普通の棒だ。ただ一つ特異性があるとすれば、君が全力で行使しても壊れないということだ」

「ヒビキ…」

「ずっと考えてきた。どうしたら君の役に立てるのかを。そして、ようやく見つけたんだ…竜骨アオ、君の側で支えさせてくれ」

 

あの、ヒビキさん……少し重くないですか?

 

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