ラスボスキャラに転生したので原作以上に覇道を進む事にした   作:城之内

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第24話

 

 多数の貴族たちを束ねる帝国皇帝を輩出するヴァンフレイム家。

 

 代々受け継がれる血統魔法は、まさに王の名を関する【統べる王(エンペラー・マジック)】。

 

 ただこの魔法は直接的な攻撃力は皆無だ。

 ブランニウル家が持つ黄金の炎や、ベリル家が持つ石の生成等の攻撃魔法ではない。

 

 傷や状態異常を治したり、体力を回復させたりする回復魔法でもない。

 

「……お前の血統魔法とやらを受ければ、俺は劇的に強くなるのか?」

 

「……間違いなくな」

 

 人払いをした部屋で、ユリフィスは逆立った灰色髪の青年と向き合う。

 

「だが、魔法にかかる為には条件がある」

 

「条件?」

 

 首を捻るブラストに、ユリフィスは続けた。

 

「それは術者に、絶対の忠誠を誓う事」

 

 言いつつ、ユリフィスは瞑目しながら集中して魔法を発動した。

 

(血統魔法<統べる王>)

 

 魔力が全身を包む感触と共に眼を開ける。

 

 足元に黒い魔法陣が浮かび上がった。ブラストとユリフィス、二人を包むように伸びる。

 更に手には黒の長剣を持つユリフィスの姿にブラストは瞠目する。

 

「この漆黒の剣を受け取った配下は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 勿論それだけなら、王側のメリットはないに等しい。

 

 配下に好き勝手魔力を使われるのだ。逆にデメリットでしかない。

 なので当然この魔法の真価は違う。

 

 この魔法の真髄は、()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()使()()()事にある。

 

 つまり、血統魔法を使える者が多く忠誠を誓えば誓う程、様々な魔法を自在に使える強力無比な魔法なのだ。

 

「……それはつまり」

 

 とはいえ、今の焦点はそこじゃない。

 

「お前の少ない魔力量を俺の膨大な魔力量で補う事ができる」

 

「……はッ、おもしれえな。鬼化を自由自在に使えるなら、これほど有り難い事はねえ」

 

 ブラストは頭の上にある鬼の角を撫でながら笑みを浮かべた。

 

「……そうだろう」

 

「だがその為には忠誠を誓わなければ、魔法の効果が及ばないわけか」

 

 ユリフィスは首肯する。

 

「……なあ、ユリフィス。一つ聞かせろよ。お前は俺を配下にして、一体何を望むんだ?」

 

 目的は明確である。

 

「一言で言えば、新国家の建国だ」

 

「……は?」

 

 呆気に取られたブラストに、ユリフィスは語る。

 

「俺たちは半魔だ。魔物は人類の敵で、だからその血を引く俺たちも差別される。その理屈は分かるが、ずっと納得できなかった」

 

 白天宮で生活していた時、使用人たちが自分を見つめる瞳を思い出す。

 

「何故自分よりも明らかに劣った者達に蔑まれなければならないのか。俺の気分次第で、彼らはこの世から消えてなくなる存在だというのに実に滑稽じゃないか」

 

「……」

 

「今回の件。俺達は確かに傍目から見れば、悪辣な貴族から女性たちを救った英雄だ。だが、それは仮面を着けて素顔を隠していたからに過ぎない」

 

 紅い眼を持つだけで、どれだけ人に好意を振りまいても相手にされない。

 

 十四年間帝都で暮らしてきて、ユリフィスは嫌というほど知った。

 

「生まれてくる子は親を選べない。好き好んで化け物の子として生まれるわけじゃない。それが分からない愚か者達は消えてもらう。そして差別のない俺たちの理想郷を創るんだ」

 

「……ククッ」

 

 ブラストは不敵な笑みを浮かべてユリフィスを真正面から見つめた。

 

「おもしれえな。世界に自分達が受け入れられないからって、世界の方を変えるってのか?」

 

「帝国各地を回る本当の目的はその為だ。配下を集めて俺は帝都に戻る。戻る時は、この帝国の歴史に新たな一ページを刻む時だ」

 

「……大きな戦争になるだろうな。目いっぱい、暴れられそうだ」

 

 ブラストはゆっくりと片膝をついて、頭を垂れた。

 

「――お前にはレイサを救われた借りがある。何より、本当にそんな世界が創れるのか見てみたい」

 

「……俺に忠誠を誓うか?」

 

 その問いに、

 

「勿論だ」

 

 ブラストは躊躇いなく返答した。

 

「ならば、お前に我が力を与えよう」

 

 ユリフィスは漆黒の長剣を差し出す。

 

 ブラストがその剣を片手で掴むと同時に、剣は彼の身体に吸い込まれるように消えていく。

 

 それはさしずめ、騎士が主君から剣を授かる佩剣の義にそっくりだった。

 

 

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