KIVA ReRe:1986↔2008 作:ボルメテウスさん
基本的に僕だけがいない街と仮面ライダーキバのクロスオーバーという形で書かせてもらいます。
こちらで、応募を行っています。
皆様の応募、お待ちしています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=316882&uid=45956
幼い頃、俺は龍と出会った。
北海道の森の中、深夜で誰もいない場所。
その日、俺は雪を見ながら、森の中に入った。
雪をもっと見たかったのか。
それとも、何かに誘われたのか。
その時の心境は、今の俺は知らない。
だけど、その時、何が起きたのかははっきりと覚えている。
大きな木と比べても変わらない程の大きさの赤い龍が、城の中にすっぽりと入っている。
奇妙な感覚と共に、不思議に誘われた俺は、その龍に近づいた。
赤い龍は、とても大人しい印象だったのか。
それともずっと独りぼっちだったのか。
俺が来た事を歓迎してくれた。
そう、誘われるがままに、俺と赤い龍は遊んでいた。
そんな遊びが終わった時、俺は赤い龍の城の中で、何か扉を開いた。
開いた先に、何があったのか、今はもう覚えていない。
ただ、言える事は。
「あの時から、俺はこんな能力を得てしまった事だけ」
西暦、2008年。
今は東京で一人暮らしをしている俺の名前は藤沼悟には、一つ、嫌な能力があった。
再上映。
周囲でなにか「悪い事」が起きる直前の1分~5分ほど前に時が巻き戻り、必ずどこかに「違和感」を感じ、その原因となるものが取り除かれるまで何度でも同じ時間を繰り返してしまう現象。
あの、奇妙な赤い龍との出会いから、どういう訳か身についてしまったこの能力は、俺にとっては、多くの嫌な出来事が待ち受ける日々の始まりだった。
「本当に、嫌になる」
そうしながら、俺はその日の出来事を振り返りながら呟く。
アルバイトであるピザの配達時、再上映によって、児童が交通事故に遭うことを未然に防いだ俺が代わりに車にはねられ二日間入院することになる。
事故の知らせを受け上京した母親・佐知子がアパートで共に暮らし始めることになる。
そして、その際に、思い出したのは。
「誘拐事件」
1986年。今から22年前に起きた事件であり、謎の誘拐事件が世間を騒がせた。
当時、小学生だった俺は、その事件に何かしら関わっていたらしい。
それは、母さんから聞いた話であり、それが実際に関係しているのか、分からない。
「まぁ、どんなに騒いだって、そんなの関係ないけどな」
そう呟いた時だった。
「本当に、そう思うかぁ?」
独り言を呟いたはずだった。
けど、突然、俺の声に応えるように、何か聞こえた。
既に夜道で、周囲には誰もいないはず。
周りを見渡しても、人影など、どこにもいない。
「くくっ、どこを見ているんだよ、薄ノロ」
「はぁ?」
その声に、俺は上を見上げた。
すると、バサリバサリッと、何かが聞こえる。
見ると、そこにいたのは、一匹の蝙蝠のような何かだった。
「えっと」
それは、見た目は確かに蝙蝠だ。
手のひらサイズのコウモリに似た丸っこい形をしているが、その身体の全身のほとんどは包帯で巻かれている。
あまりにも奇妙な生命体に、俺は顔をしかめていると。
「おいおい、俺様に対して、そんな態度で良いのかぁ、藤沼悟」
すると、俺の態度に何か面白く感じたのか、そのままコウモリは、俺の名前を言い当てる。
「俺の名前を、なんで」
「きひひっ、なぁに、これから俺様と手を組む相手だ、名前を覚えておくのは、当たり前、だろぉ」
「手を組むって、何を言っているんだ」
俺は思わず、呟いてしまう。
「まぁ、最初は自己紹介だよなぁ、俺様の名前はゾンバットⅠ世! お前の運命に導く者だぜぇうけけけけ」
そう不気味に呟いたコウモリことゾンバットⅠ世は、何故か高笑いをする。
しかし、こんな奴と、関り合いたくないと思った俺は無視して、歩き出したのだが。
「待てよぉ!」
そう言われてしまい、立ち止まるしかなかった。
「何なんだ一体」
「だから言っただろう、俺様はお前を導くために来た、ってなぁ」
「導く? どういう意味だ?」
「言葉通りの意味さ、お前の運命をなぁ」
「だから、なんだよ、その運命は」
俺は、そう、ゾンバットⅠ世に対して、睨む。
「良いのかぁ、このままだと、最悪な未来が待っているぞぉ」
「だから、どうなるっていうんだ」
「くっ、ふぅー、教えて欲しいかぁ、なら仕方ないから、特別に教えてやろう、それはなぁ……」
ゾンバットI世が言うには、この世界では、最悪の未来が訪れるらしい。
そして、それを回避する為にも、ゾンバットI世と手を組めと言うのだ。
「断る」
明らかに怪しすぎるこんな奴の口車に乗れるわけがない。
「くくっ、そうかぁ、まぁ今は、そう考えてもなぁ」
「なんだ」
「すぐに分かるぜぇ、俺様と手を組んだ方が良いって」
その言葉と共に、なぜかゾンバットⅠ世は、どこかへ去って行った。
「なんだったんだ、あいつは」
しかし、あの不気味な雰囲気を持つゾンバットI世の事を考えている暇はないと思い、考えないようにする。
俺は、そのまま家に帰った。
だけど、家のドアを開けた。
「ただいまぁ、母さ……ん?」
ドアを開けると、そこには母がいたはずだ。
なのに、家の中に母はいなかった。
それに、部屋の中はまるで泥棒が入ったかのように荒らされていて、酷い有様だった。
そして、部屋をゆっくりと歩くと、そこには。
「母さん」
そこには、母さんがいた。
けど、その背中には、包丁が刺されていた。
間違いなく致命傷で、助かる見込みはなかった。
そんな母さんの死体を見て、呆然と立ち尽くしていると。
「きゃぁぁぁ!」
その時、間の悪いことに大家のおばちゃんが部屋に来て、手に血がべっとりと付いた俺を見て悲鳴を上げる。
しかも俺を犯人扱いですぐさま警察を呼んで、警察署に連行されそうな最悪な事態に。
「なんだよ、これ」
これじゃ、さっきの蝙蝠が言っていた事が、当たっているじゃないかよっ。
『ようやく信じたか』
そんな時、聞こえたのは、ゾンバット一世の声。
『さぁ、どうする、このまま最悪の未来に行くか?』
それは、悪魔の誘いだって、分かる。
けど。
「あぁ、やってやるよぉ!」
俺に、選択の余地なんてない。
それと同時だった。
周囲の光景は一気に変わった。
疑問に思うよりも先に、俺が見つめた先には。
「これって」
見上げた先、そこにあったのは、今は懐かしい学校。
そして、それは。
「まさか、ここは」
そこは1986年。
小学生まで戻ってしまった。