KIVA ReRe:1986↔2008 作:ボルメテウスさん
あの後、サングラスの男性こと、次郎さんを含めて、目的地であるレストランへと向かっていた。
そこは海の近くにあるレストランであり、わりと有名だったらしい場所である。
だが、同時に奇妙な噂が流れている事でも有名なレストランでもあった。
「この場所では、行方不明となった人間の衣服が海に流れる事が多いらしい。被害者の遺体はまるでなかったが」
「ファンガイアが関わった場合は、その可能性は高いだろう」
ファンガイアが人を殺す時、それはほとんどが捕食の為の殺害である。
そして、ファンガイアにライフエナジーが吸われてしまった人間の遺体は、透明となっている。
「それで、このレストランな訳だが」
「雰囲気は確かに良いな、デートにはぴったりかもしれないな」
そうして、音也さんは、次々と運び込まれている料理を食べながら、そう言っている。
今回のレストランは、ほとんどが青空の会の奢りである為、遠慮無く食べている。
「全く、呑気な奴だな」
そうして、俺達が食べている間も、次郎さんはため息を吐いていた。
それは、周囲を確かに警戒をしている。
俺達は、そんな次郎さんとは別に、運ばれてくる料理の方を見る。
一流のレストランという事もあって、運ばれるどの料理も美味しい。
そうしている内に、一つの料理が運び込まれてきた。
「おぉ、このスープ、なかなかに良い香りじゃないか」
「本当ね、これまで見た事のないスープだけど」
そのスープは、どうやらこの店でのメインといえるべき料理だろう。
他の料理と比べてもどこか雰囲気が違う。
だけど、そこに、俺は違和感を感じた。
「待って、食べないで」
「どうかしたのか?こんなに良い臭いをしているのに」
「いや、確かに美味しそうな臭いなんだけど、なんだろう、何か嫌な感じがして」
それに対して、皆が首を傾げていた。
それは、突然に、こんな事を言えば、疑問に思うのは当たり前だ。
だけど。
「・・・ふむ」
すると、次郎さんが、スープに鼻を近づけさせる。
そこから臭いを嗅いでいるのだろう。
そうして、少し嗅ぎ終わると。
「おい、シェフを呼べ」
乱暴に、次郎さんが叫ぶ。
突然の怒鳴り声で、周りの客は驚く様子が見られる。
それは、百合さん達も同じだった。
「次郎、一体」
そんな百合さんの言葉を余所に次郎さんは俺の方を睨む。
「えっと」
「なかなかに鋭いじゃないか。確かにそこにいる奴よりは役に立つな」
味方ならば。
そう、小さく呟いた気がする。
そうしている間にも、店の奥から一人の人物が現れる。
小太りしてる青いスーツを身に纏っている人物がこちらに来る。