KIVA ReRe:1986↔2008 作:ボルメテウスさん
1986年。
なぜ、俺がこの時代に来たのか。
それは来たばかりの俺には、まるで理解出来なかった。
再上映が、なぜ、俺をここに戻ってきたのか。
「・・・」
母さんが殺された事件。
それが、何か関係しているのか、分からない。
だけど、もしも、関係しているとしたら、この年に起きたあの誘拐事件。
それが、関係しているかもしれない。
例の連続誘拐殺人事件の被害者の一人「雛月 加代」。
気になって授業中ずっと加代を観察していた悟は加代の大腿部に大きなアザがあることに気付いた。
そんな行動をしていたからなのか、授業中にずっと加代のことを見ていたことから「加代のことが好き」と勘違いされた。
そのまま成り行きで加代を呼び出し、二人で会って話すことに。
けど、結果は。
「・・・はぁ」
失敗に終わった。
より正確に言えば、よく分からなかったと言うべきか。
友達になろうと、言ったが、失敗に終わった。
そして、最期には。
『じゃあ、わたしの為に人を殺せる?』
未だに、分からない事が多すぎて、頭を抱えてしまう。
どうすれば。
そんな時だった。
「ほぅほぅ、これは、なかなかに面白い物が見れたな」
「えっ?」
いきなり聞こえた明るい声。
それに対して、俺は、思わず後ろを振り向いてしまう。
そこに立っていたのは、派手な格好をした人物。
片手には、何やら楽器を仕舞ってあると思われるケースが見られる。
「えっと、あなたは」
「俺か?まぁ、俺は通りすがりの愛のキューピットだな」
「はぁ」
何やら怪しい言葉を吐く人物に対して、俺はうんざりするように見つめる。
それを面白い物を見るように、こちらに近づく。
「それよりも、お前、そのままじゃ、駄目だぞ」
「駄目って、本当にいきなり何を言っているんですか」
「何って、決まっているだろ、お前、あの子の心を射止めたいんだろ」
「いや、そういう訳じゃ」
俺はそう言おうとしたが、目の前にいる男性は、それを遮る。
「そうか、俺から見たら、お前はあの子に夢中になっているように見えたぞ。まぁ、恋なのか、どうかは知らないけどな」
「それは」
外れては、いないだろう。
けど。
「だったら、踏み込めば良いだろう、あの子に。自分の気持ちを」
「踏み込む」
「そうさ、どんな華も、自分から近づかないと意味はないからな」
「・・・」
その言葉は僅かだけど、少し変えた気がする。
俺は、このまま、何をすれば良いのか分からない。
けど、もしも出来る事があるとしたら、この人の言う通り、踏み込む事だろう。
「その、ありがとうございます」
「別に、俺はただ単に面白そうだから言っただけだ」
「そっそうですか」
なんというか変わった人という印象だった。
「そう言えば、名前は」
「まぁ、良いだろ、俺の名前は、紅音也だ、少年、お前は」
「藤沼悟です」
紅音也、まるで知らない人だ。
「そうか、ならば、俺から一つアドバイスを」
「あっ結構です」
そして、多分、このまま話していたら、何か嫌な予感がする。
俺は、そのまま、おそらくは雛月がいるはずの公園へと向かう。
「まったく、背伸びのガキは可愛くないな、にしても」
だからこそ、その時の言葉を聞き逃してしまった。
「だけど、あの嬢ちゃんの心に踏み込んで、どうなるかだな」