KIVA ReRe:1986↔2008 作:ボルメテウスさん
「・・・悟」
その日、悟が行方不明になった。
どこに消えたのか、なぜ消えたのか。
それらを、知る者は誰もいない。
彼が、キバである事を知るのは、三人だけだった。
「悟は、多分、消されてしまったんだ、ファンガイアに」
「っ」
その事実に、雛月は、涙を出せなかった。
彼が、いなくなる前に。
なぜか、紅音也の所に預けられた。
その理由を聞けたのは、彼の最期の時だった。
「あいつは、あの時、お前を守る為に戦った。女を守る為にな。その結末がどうなったかなんて、俺は知らない。けれどまぁ」
そう言った音也の顔は。
「今ならば、分かるかもな。案外、こういう風に覚悟を決めていたからかもな」
まるで、未練がないように言った。
それ以降、雛月が、彼を見ていなかった。
だからこそ、彼女の人生は、そこから大きく変わったのだろう。
ファンガイアへの憎しみ。
皮肉にも、それが彼女の人生を大きく変えた。
これまで、虐待をしてきた親に対して、雛月は、抵抗した。
子供の身体だったら、抵抗など出来なかったはずだった。
しかし、憎しみは、彼女に予想以上の力を発揮した。
結果、彼女の親は病院に送られた。
雛月自身も、また逮捕される所ではあった。
だが。
「君は、復讐を果たしたいか」
既に知り合っていた嶋からの誘い。
その誘いを、彼女は受け入れた。
自分の人生を、良い意味でも、悪い意味でも、変えたのは、他でもない悟の為に。
幸せな一ヶ月。
もしかしたら、それ以上、続くかもしれなかった幸福。
それを奪ったファンガイアを、雛月は憎んだ。
憎んで、憎み、その先で。
そう、時は2008年。
その時代でも、未だにファンガイアと人間の戦いは行われていた。
「それにしても、まさか時の扉の力を使って、過去を遡れる人間がいたとはね」
「・・・けど、その出来事も、覚えている奴はいない」
「あぁ、あくまでも意識だけを過去に飛ばしていた。故に、過去を変えれば、未来も変わる。だからこそ、あいつは今は眠っている。そして」
ある三人は、その戦いを知っている。
そして、それによって起きた出来事を。
素晴らしい青空の会とファンガイアの戦闘が行われていた。
シケーダファンガイアとクラブファンガイア。
2体のファンガイアが、街で暴れていた。
それに対抗するように、素晴らしい青空の会の二人の戦士と、この時代のキバが戦っていた。
「おらぁ!」
そう、一人の青年が、手に持っていた武器のワイヤーを、シケーダファンガイアに向けて放った。
それを、あっさりと切り払い、そのまま返される。
本来ならば、その刃は、青年に当たる。
そのはずだった。
「ふんっ」
その刃は、白い何かによって、弾かれた。
「えっ、なんや!」
それが一体、誰が行ったのか。
疑問に思っていると、そこにいたのは、一人の女性。
「あれって、キバの腰にある蝙蝠?」「それにそっくりだけど」
そうしながら、その女性、雛月は、未だに幼少の頃から、その想い出にしがみ付くように赤いマフラーを首に巻いていた。
「あなたは」
「・・・」
そう、その素生を確かめるように、聞く。
だが、雛月は、無視し、その視線を、ファンガイアに向けたまま、手を前に出す。
「レイキバット」「行こうか。華麗に激しく……!」
その言葉と共に雛月の腰にレイキバットがしがみ付く。
そして。
「変身」
その音声と共に、雛月の姿は変わる。
それは、まるで白い雪。
そう思わせるキバが、そこに立っていた。
「えっキバなのか?」「・・・レイ」
ぼそっと、雛月は呟く。
「それが、今の私の名だ」
そう、仮面ライダーレイとしての名を宣言し、そのまま真っ直ぐと走り出す。
そのまま、キバと戦っているファンガイアの内、クラブファンガイアを掴む。
クラブファンガイアは、すぐにレイの方を睨むと。
「凍れ」
その言葉と共に、レイから発する言葉。
それによって、放たれる冷気によって、そのままクラブファンガイアが凍らされる。
一瞬で凍らされると共に、そのままレイは、近くの壁へと打ち付ける。
その光景は、一瞬であった。
同時に、レイは、その手にあるフエッスルを、そのままレイキバットに加えさせる。
「ウェイクアップ!」
そう、鳴り響く音声と共に、そのまま両手に爪が生える。
その爪を、真っ直ぐと、もう一体のシケーダファンガイアへと向ける。
シケーダファンガイアは、その両手の刃で防ごうとするが、それごと砕け散らす。
「なんやなんや!?」
その事態に、周囲は驚きを隠せなかった。
そして、レイは、そのままキバの方を見る。
「・・・お前は、キバだな」
「っ」
そう、レイは、問いかける。
それに対して、キバは、構える。
「お前に聞きたい事がある。藤沼悟を知っているか」
そう、問いかける。
それに対して、キバは、首を傾げる。
「藤沼悟?んっ?」
すると、反応したのは、キバではなく、キバットだった。
その様子を、レイは見逃さなかった。
「知っているようだな、ならば、聞かせろ!」
「うわっと」
その迫力に、レイは、そのままキバへと迫る。