KIVA ReRe:1986↔2008 作:ボルメテウスさん
俺を抱き締める力は、雛月はとても強かった。
「ふむ、確かにライフエナジーを消費しなければならないな。普通の人間がキバの鎧を身に纏う以上は」
「っ」
その言葉を聞けば、雛月は目を見開く。
「ようやくっようやくっ悟が戻ってきたのにっ、そんな事を」
それと共に、雛月の目から涙が流れていた。
涙は、俺の頬に当たっており、彼女がこれまで溜まっていた物を全て吐き出すように呟いた。
けれど、キバットバット一世は。
「心配する事はない。なぜならば、その為のルークのライフエナジーだ」
そうして、キバットバット一世は、そのまま説明を続ける。
「奴の普通のファンガイアを越えるライフエナジーがあれば、悟が再びキバとなって戦っても、その命を落とす事はない」
「だとしてもっ、また悟が戦う事には変わりないよねっ!」
キバットバット一世の言葉を聞いて、理屈は理解していた。
けれど、雛月は納得できないと言わんばかりに反論する。
……まぁ、それも当然だろう。
実際に、俺はキバとなって戦った事で、22年間、眠り続けた事になった。
それを再び、もしかしたら今度こそ、死んでしまう。
けれど。
「だからこそ、俺は、雛月を守る為にも戦うから」
「悟」
俺の言葉に、雛月は少しだけ複雑そうな顔をする。
それでも、俺は自分の決意を変えるつもりはなかった。
それはもう決めた事だったからだ。
──俺がもう一度、キバになる事を。「……そっか」
雛月はそれだけ言うと、少しの間黙り込む。
そして。
「なら、私も一緒に戦うよ」
雛月は俺の手を握る力を強くした。
「私がいれば、きっと大丈夫だから」
「いや、それは」
今は大人になった雛月が、戦えるのか。それは正直分からない。
そもそも、キバとなった後、一体何が起きるかなんて、誰にも想像できなかった。
だが、少なくとも、今の雛月に戦わせる訳にはいかない。
もし仮に、キバの力を使った後にどうなるか分からないというリスクがある以上、余計に。
「それにね、悟」
けれど、雛月は言葉を続けた。
「もう、悟に守られるだけの私じゃないんだよ?」
その顔からは、強い意志を感じた。
「…………」
俺は思わず黙ってしまう。
確かに、昔のような弱々しい雛月ではなくなっていたのだ。
いつの間にか、俺よりも強くなっていたのかもしれない。
「けれど」
「だったら、試してみる?」
それと共に、雛月は俺から離れ、キバットバット一世の方へと歩み寄る。
「何を」
「彼女の雛月の力を」
「それは、一体」
キバットバット一世の言葉に対して、疑問に思ってしまう。