澄み切った青空だった。
思えば、あの日もこんな日差しの強い青空だった。
どれくらい時間が経ったのか、青年––
「…何だこれ?」
不思議に思いながらも戦兎は辺りを見渡し、二つの事実に気がついた。一つは、今自分がいるのは10年前、あの『惨劇』が起きた場所だということ。もう一つは、かつて
「スカイウォールが、無い…」
◆ ◆ ◆
『今日から、新しい内閣が発足しました』
数分後、戦兎はビルの電光掲示板に表示されているニュースに目を向けていた。そこでは、今日発足した新内閣の顔ぶれについて報道していた。
『新たに、厚生大臣に
外務大臣に、
「
そこには、かつてエボルトの攻撃から息子の
「–––てことは、」
【君があの時、導き出した結論は正しかったようだ。】
もう一人の自分–––
◆ ◆ ◆
それは、以前、戦兎と
「–––もしかしたら父さんは、全てを元に戻そうとしたのかもしれない」
【元に?父さんの研究データにそんな記載は無かった。】
「それは必要なアイテムが揃わなかったからだ」
【ジーニアスボトルか…!】
ジーニアスフルボトル–––それは、仮面ライダービルド ジーニアスフォームへの変身に使用する、究極のパワーアップアイテム。
その原型はパンドラパネルであり、桐生戦兎が葛城忍の研究データを元に再構築したそれを、葛城巧がジーニアスフルボトルとして完成させた。
「ジーニアスボトルは元々、パンドラパネルから創られた物だ。
白と黒のパネルと、ジーニアスボトルを使えば、物理法則を超えた救済が出来るのかもしれない」
【物理法則を超えた救済…】
「二つの世界を融合させる事で、スカイウォールが無ければ実現したであろう世界へと、人々を移す。
それが、父さんが実現させようとした、本当の新世界…」
それが戦兎の出した結論だった。
◆ ◆ ◆
「父さんの夢見た世界が、実現したんだね。」
氷室首相を始め、幻徳、紗羽、内海、一海、北都三羽ガラス、巧、忍、香澄、太郎、そして惣一や美空も、誰も命を落とさず、人生を狂わされる事もなく、平和な日常を送っている。
2つの世界を融合させる事で、スカイウォールが存在しなければ実現したであろう現在へと人々を移す、それこそが忍の創ろうとしていた新世界だったのだ。
【でも、新世界の人間は、別の10年を送っていた事になる。
君が知っている彼らじゃない。本来なら桐生戦兎は新世界に存在しない。たとえ創造主として生き残ったとしても、君を知る者は誰もいないだろう】
「………」
【そろそろお別れだ。楽しかったよ】
その言葉を最後に、葛城は、戦兎の頭の中の「記憶の世界」から完全に消滅した。
葛城の予想通りなら、これで旧世界の記憶を持つ人間は、桐生戦兎ただ一人になった事になる。
–––その時
「あっちにめっちゃ涼しい場所あるからめっちゃ涼しいよ」
戦兎にとって最も聞き馴染みのある声が聞こえた。
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