千年戦争アイギスの世界に催眠術師として転生したので好き勝手したい!   作:天河 龍汰楼

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*セーラ

 

やはり人間。人間に限る……!

というのも、やはり長命種は色々とマズい。と思ってしまったのだ。

いや、別に不老不死になるのが怖いというわけではないんだが。

最悪の場合を考えるとね。ちょっとね。監禁は嫌かなって。

そうでなくても初めての相手だし、ここは無難に人間でイくのがいいのではと考えてしまったのだ。

それも長い付き合いであり、性格も能力も非の打ち所のない女性がいることに気づいてしまったのである。

清楚なホワイトブリム、王道のロングスカートをきっちりと着こなす。

眩しいほどにつややかな銀髪をシニヨンにまとめ、強い意志を宿しながらも慈愛のこもった紅い瞳はいつも優し気に微笑んでいる。

王宮筆頭メイドであり、武官としても一流。その名もセーラ。

これはヤらなきゃ逆に失礼だよなぁ! 今も部屋に来てるんだから!

そんな女性が俺の手に落ちるなんて想像するだけでもたぎってしまうじゃないか!

 

「って、できるかぁー! 全メイドの憧れ、王子のお付きやぞ! 不敬罪で首が物理的に飛んでいくわァ!」

 

セーラが完璧に仕上げたベッドの上で叫ぶ俺。

ぶっちゃけ、賓客が来た時には必ず対応している彼女は、その出自とは関係なく貴族と同じ扱いをされているし、王子も認めている。

王子の教育係だったという理由だけで高貴属性ついちゃった、俺みたいななんちゃって貴族ではないのだ。

そのうえ、セーラと王子の絆の深さなんぞ、よーく知っとるわい。処刑台まっしぐらだぜ。

え、王子に催眠しろ? ハハッ、ワロス。

即座に亜神たちに気取られて、死ぬよりも恐ろしい目にあうことが分かり切ってるぜ。

前世から推しの一人だっただけに、生殺しは辛い。

辛いが、そんなことで死ぬのも馬鹿らしい。

俺と王子の関係はすこぶる良好だし、他のチャンスを狙えばいいだけである。

まあ、セーラが自他ともに認める天職であるメイドの仕事を捨ててまで恋愛にうつつを抜かすわけもないし、彼女はそれでいいと思う。

王子はあんなだけど、そばに侍れる唯一無二の存在としてぜひ幸せに暮らしてほしい。

俺はクールに応援するぜ……。

 

***

 

「また、やってしまいました……」

 

強い自己嫌悪とともに、少しだるさを訴える体を包む幸福感。

何度目でしょうか、筆頭メイドであるのをいいことに、術師さんのシーツを拝借したのは。

王子の親友でもある術師さんは、その重要性から厳しい監視がついています。

もちろん、彼の部屋に立ち入れるのは限られた人物だけであり、管理に至ってはほぼ私一人で行っています。

それは彼からの信頼の証であり、王子から託された責務であり、私の誇りでもあります。

それなのに。

 

「術師、さん……。んっ」

 

……術師さんは、孤児だった私を王子と同列に扱いました。

――所詮は子供。生徒に差別はしないよ、教育が必要ならいくらでも。

それが、その言葉が、その態度が、どれほど私を救ったことか。

親のいない私を、褒めて、叱って、甘やかして。

家族のいない私の、兄として、父として。

 

「どうか、御側に、ずっと……」

 

どうか願わくは、恋人として。あるいは、妻として。

末永く、そばに居たいと願うことを、誰が止められるというのでしょう。

ぎゅうっと、体が強張る。彼の姿が、脳裏に浮かぶ。

時折、どこかに飛んでいきそうな彼の姿を。

私は……。

 

「ふっ、んん……」

 

抱きしめていたシーツを噛みしめて、その先を考えないようにする。

丁度、頭も真っ白になって、良かった。

ほてった体を冷ましたら、いつも通りのセーラに戻ろう。

きっと、彼もそれを望んでいるはずだから。

筆頭メイドになったことを我がことのように喜んでくれた彼の顔を思い浮かべて、ほんの少し寂しいと思ってしまう自分を抑えつけるのでした。

 




・セーラ
王子と一緒に術師から教育を受けていた時期がある。
年上の男の人に求めるものを満たしてもらったため、ちょっと家族について理解している。
その分もあり、かなり愛が重く、名指しでアビリティの対象に入っている。
しかし、催眠術師はステータスが低く、コストも軽いため、セーラバフはかなり微妙。

・催眠術師
童貞。吸血鬼にされかけたり、冥界に軟禁されかけたり、亜神にされかけたりしているが、本人はまったく気にしていない。でも監禁は嫌。
ゲーム的にはブロンズのバッファー。出撃メンバーにいるだけで5%、出撃時加算バフ、スキル時1.1倍永続。控えめながら全メンバーに効果があるうえ、独自枠ですべてのバフと累積するので割と有能。コストはかなり軽く、ステはかなり貧弱。そのうえ撤退支援を無効化するアビリティを持っている。
どこまでセーラの好意を無下にすれば気が済むんだ。

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