千年戦争アイギスの世界に催眠術師として転生したので好き勝手したい!   作:天河 龍汰楼

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*キュウビ

ずず、とお茶をすすって考える。

催眠プレイのときに重要な点はなんだろうか。

色々な考え方があるだろうが、そのうちの一つについて今は取り上げたい。

 

「はて、お茶菓子は出ないのか?」

 

「全部食べたでしょうに、キュウビ様への歓待と言ってもそこまで予算は出ませんよ」

 

「なんじゃ、ケチくさいのう」

 

やっぱり、お高くとまっている女性を、無様に、尊厳を貶めることは、醍醐味の一つではなかろうか。

応接間の一つを占拠している、もっふもふの尻尾を携えた少女の名前はキュウビ。

名前の通りに九本の尾をもつ、正真正銘の大妖狐である。

 

「それで、そなたは何をしておるのじゃ」

 

「見ての通り、執務ですが」

 

「そなたは相変わらず堅苦しいのう……」

 

うへぇ、とでも言いたげに赤い瞳を細め、書類の山から目をそらすキュウビ。

感情豊かに揺れるのは尻尾だけでなく、足元まで伸びる真っ白な髪も同様である。

見た目だけでも極上の美少女であるというのに、身にまとった着物に隠された母性の象徴もまた尊大な態度に見合ったものになっている。

そのテの癖がある人もない人も、容赦なく虜にできるだろう。

 

「それで、その執務とやらは、わらわよりも優先度が高いのか?」

 

「……何かご要望でしょうか」

 

「暇じゃ、構え」

 

惜しむらくはこうして人を下に見たような言動くらいのものだが。

しかし、催眠プレイならご安心。

どんな相手だろうと、犬のごとく従順に、兎のごとく奔放に、馬のように自由自在に操縦できてしまうのだ。

へへ、大妖怪様もこうなっちゃ形無しですな……。

 

「って、できるかぁー! 帝国の重鎮やぞ! 妖怪なのはまあいいけど」

 

構え構えとうるさくなったキュウビと小一時間たわむれ、いなり寿司とともに王子に投げつけたあと、自室に戻って一つ吠える。

帝国こと白の帝国と我が王国は同盟関係であり、それ以上に国家元首である皇帝と王子は大の仲良しの戦友にして親友。

そんな帝国の屋台骨の一つに手を出してみろ、元帥閣下をはじめヤベー奴らに地の果てまで追っかけまわされるわ。

最悪、王国の面子からも追いかけられるのはちょっと遠慮したい。

 

「そうでなくても、なぁ……」

 

確かに、彼女は長い時を生き、隔絶した力を持つ妖狐だろう。

それでも、どれだけ長く生きていようとも、その内面を無視することはできない。

甘えん坊で、さみしがりやな面のある子だ。

どうしても一般兵士と同じ身分な俺としては、帝国の重鎮に対して気軽な対応はできない。

なのに、彼女の可愛らしいところを知っているのは、今のところ前世の記憶のある俺だけ。

ついつい、ため息が漏れるのは仕方がないだろう。

……これは、さっさと王子に頭をなでさせないとなぁ。

 

***

 

「まだ、生きておる。な」

 

王国の王子と術師の現状について確認した後、帝国への帰り道での独り言。

擦りつけるようにして残してきたわらわの妖力を追えば、術師がどんな状態なのかはおおよそ分かる。

それこそ、ここ最近は仕事ばかりで、まともに休んでいなかったことまで。

……人間の中でも、貧弱なくせに。

 

「できれば、わらわの手の内に……」

 

死んでほしくないのは、決して彼だけではない。

帝国には恩があるし、その領民を捨ておくことなど、できはしない。

たとえ大妖怪の一人で、帝国では上から数えた方が強いとしても、帝国と王国の二つの国をまたぐことは、やすやすとはできない。

弱く、脆い。そんな存在が立ち、歩き、ぶつかっていく。何もできない自分が、歯がゆい。

いっそのこと、帝国に居てくれればと思ったことは、確かにある。

それは、術師自身の拒否によって叶うことは無かった。

 

「わらわは、偉大なる大妖狐じゃ」

 

だからと言って、あきらめることなど、到底プライドが許さない。

できないことは、ないはずだ。

多少の無理を押し通せるだけの実力はある。

それは、生まれながらの上位種と言うだけではない、日々の功績のたまもので、信頼の証でもある。

 

深く、思考を続けるキュウビ。

どこか独占欲に似た感情にキュウビは名前を付けることができないでいた。

その感情の芽はいまだ小さく、形になってはいなかったから。

それでも――。

 

「手段は、選んでおれんな」

 

燃え盛るとまで評される感情の熱は、確かに彼女の中からあふれ出していた。

 

 




すごく難産でした。次はエフトラ。

・キュウビ
まだ「ふきゅーん」してない。しそう。
いつの間にか死んでそうな術師がかなり気がかりで、よく顔を見に来る。
かなり心を許しており、素が出かけている。
今のところ恋愛感情は薄めだが、なにかきっかけがあったら一気に噴き出す。
術師の奥の手についても知っており、帝国への誘拐を企てたうちの一人で、部屋は出禁。
本気になったらどうなるのやら。

・術師
妖怪だろうが天使だろうが亜神だろうが関係なく、何も気にせず接する。
そのせいであっちこっちから狙われまくっている。
一応ほんとにやばい時はちゃんと抵抗するが、誰もかれも術師より強いので意味は無い。
このルートの術師は王子のために命を懸けているので帝国への移住は拒否。
帝国に居るIFルートもあるが、その場合の一番の推しはキュウビである。

誰の話が読みたい?

  • キュウビ
  • アーニャ
  • カルマ
  • エフトラ
  • ファニュア
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